オスカー・ワイルドのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ビアズリー展のミュージアムショップで購入し、展覧会の余韻に浸りながら帰りの新幹線で読破。
そう、今こそその口にキスをするわ、ヨカナーン。
……ああ!ヨカナーン、ヨカナーン、おまえだけなのよ、私が愛したのは。
同じ言葉の繰り返しが多用されていてサロメの激情がひしひしと伝わってくる。きっと劇で見ると迫力がもっとあるんだろうな。
オスカー・ワイルド本人はビアズリーの挿絵を「日本的だ」と嫌っていたみたいだが、サロメの退廃的で耽美的な世界観にはビアズリーの美しく繊細ながらも不気味な絵柄が合うな…と思ってしまう。
訳者あとがきも面白かった。フランス語の二人称の使い分けと心理的距離の変化が連動してる -
Posted by ブクログ
ネタバレ文学を読もうと思い名前を聞いたことがあった本書を手に取りました。本書はちょっと昔のイギリスの金持ちの若者がひょんなことで堕落し、最終的に悪の方面に転落しきって亡くなるという小説です(あまりにも雑な要約)。
元来真面目(あるいは無垢?)であった主人公のドリアンは、画家のバジルを通じて知り合ったヘンリーに唆されどんどんよくない方向に進んでいきます。ヘンリーの人間像が非常にいい感じで、哲学的でなんだか深そうなよくわからないことを滔々と喋り続けるわけです。現代日本人である私の感覚からすると、ある種の魅力はあるにせよ関わってはいけないタイプの人間に感じられます。思うに、いい大人であれば本書が出版され -
Posted by ブクログ
周囲を虜にし、また危惧させるほど魔性の美貌を誇る王女サロメの、預言者ヨカナーンへの執着たるや! どれほど本人から拒まれようと恋慕し、己が手中に入れんとする様が恐ろしい。狂気ここに極まれり。
なぜエロド王はサロメのことをずっと視ていたのか?
ヨカナーンが非難していたのは本当にエロディアス妃だったのか、そもそも彼女は本当に罪深かったのか?
そもそもヨカナーンは真に預言者であったのか?
……戯曲としてはかなり短い内容。聖書から材を得ているらしいが、分からないことだらけ。とは言え狂おしく禍々しいくらいの耽美の世界には圧倒された。収録されているAubrey Beardsleyの不可解で官能的な挿絵18 -
Posted by ブクログ
存在は知っていたけれど、舞台ミュージカル「ワイルド・グレイ」を観ることにして、ようやか手に取った1冊。
美貌の青年ドリアン、ドリアンに魅了される画家バジル、ドリアンが魅了されていくヘンリー卿。「美」とは?「若さ」とは?
寓話的にも読める話。
これまで思いもつかなかった視点からの見方に、ドリアンが魅了されるのがよくわかります。
ドリアンが手にした様々な美しい物の羅列のあたりは、自分の想像力が及ばないので、冗長に感じましたが、
そこを乗り越えるとミステリーのような展開になり、一気に読み進めてしまいました。
最初は客観的な書き方だったのが、美しい物の羅列の後はドリアンの心情も含めた主観に近い -
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ネタバレヨカナーンの声
「その日、日は黒布のごとく翳り、月は血のごとく染り、空の星は無花果の実の、いまだ熟れざるざるに枝により落つるがごとく地におちかかり、地上の王たちはそのさまを見て恐れをののくであらう」
『私にヨカナーンの首をくださいまし』
なんともおぞましいセリフではあるが、このあとサロメはヨカナーンに口づけをする
ピアズレーの挿絵もなんとも素敵でぞわぞわする
預言者の予言の表現といい、サロメと言う作品が
長く伝わるのは、サロメの恋の激しさが、狂気が
わかるからだろうか
こ、こわい
『ああ!あたしはとうとうお前の口に口づけしたよ、ヨカナーン、お前の口に口づけしたよ。お前の唇はにがい味が