オスカー・ワイルドのレビュー一覧

  • ドリアン・グレイの肖像

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    引用が多く華美な文章で読むだけで満腹感を感じる。美しさへの執着や、精神と外見の相関性など現在のルッキズム問題にも通じる部分もあり。貧しさや醜さへの嫌悪と富や美への憧れは誰しも持っているもの。老いる事への恐怖とどう折り合っていけばいいのか。美しさを追い求めたワイルドの葛藤が伺える。

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    2025年10月12日
  • 新訳 サロメ

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    ビアズリー展のミュージアムショップで購入し、展覧会の余韻に浸りながら帰りの新幹線で読破。

    そう、今こそその口にキスをするわ、ヨカナーン。
    ……ああ!ヨカナーン、ヨカナーン、おまえだけなのよ、私が愛したのは。

    同じ言葉の繰り返しが多用されていてサロメの激情がひしひしと伝わってくる。きっと劇で見ると迫力がもっとあるんだろうな。

    オスカー・ワイルド本人はビアズリーの挿絵を「日本的だ」と嫌っていたみたいだが、サロメの退廃的で耽美的な世界観にはビアズリーの美しく繊細ながらも不気味な絵柄が合うな…と思ってしまう。

    訳者あとがきも面白かった。フランス語の二人称の使い分けと心理的距離の変化が連動してる

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    2025年08月30日
  • 新訳 ドリアン・グレイの肖像

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    ネタバレ

    ビアズリー展からオスカーワイルドに興味を持って読む。
    新訳かつ解説付きでかなり読みやすい。
    おすすめ。
    肖像画が主人公の代わりに年を取り、彼が醜い行いをする度に醜い肖像画へと変化していく。
    でも年を取らないのもそれはそれで恐ろしい気もするけどね。
    最後は因果応報。ヘンリー卿が元凶かなと思うので、誰と付き合うかって大事。

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    2025年06月15日
  • ドリアン・グレイの肖像

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    ネタバレ

     文学を読もうと思い名前を聞いたことがあった本書を手に取りました。本書はちょっと昔のイギリスの金持ちの若者がひょんなことで堕落し、最終的に悪の方面に転落しきって亡くなるという小説です(あまりにも雑な要約)。
     元来真面目(あるいは無垢?)であった主人公のドリアンは、画家のバジルを通じて知り合ったヘンリーに唆されどんどんよくない方向に進んでいきます。ヘンリーの人間像が非常にいい感じで、哲学的でなんだか深そうなよくわからないことを滔々と喋り続けるわけです。現代日本人である私の感覚からすると、ある種の魅力はあるにせよ関わってはいけないタイプの人間に感じられます。思うに、いい大人であれば本書が出版され

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    2025年06月01日
  • サロメ

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    周囲を虜にし、また危惧させるほど魔性の美貌を誇る王女サロメの、預言者ヨカナーンへの執着たるや! どれほど本人から拒まれようと恋慕し、己が手中に入れんとする様が恐ろしい。狂気ここに極まれり。

    なぜエロド王はサロメのことをずっと視ていたのか?
    ヨカナーンが非難していたのは本当にエロディアス妃だったのか、そもそも彼女は本当に罪深かったのか?
    そもそもヨカナーンは真に預言者であったのか?
    ……戯曲としてはかなり短い内容。聖書から材を得ているらしいが、分からないことだらけ。とは言え狂おしく禍々しいくらいの耽美の世界には圧倒された。収録されているAubrey Beardsleyの不可解で官能的な挿絵18

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    2025年05月20日
  • サロメ

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    文学の力を体現したような文章と訳で、内容は非常に面白かったのだが、ビアズリーの挿絵で全部ぶち壊されていて笑ってしまった。盛り上がって引き込まれていくシーンでヌルッと出てくる気の抜けた「サロメの化粧」等々は全く関係なさすぎてワイルドの文学に対する冒涜としか思えないのだが、ワイルドとビアズリーの当時のバチバチした関係が味わえてよかった。ビアズリーの挿絵を載せるかどうかは意見が分かれるところではあると思うが全部載せてくれた岩波文庫に感謝。

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    2025年05月07日
  • サロメ

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    FGOに登場するサロメというキャラクターが好きでせっかくなので原作を読もうと思いました。

    少女らしい可愛らしさとヨカナーンへの異常な執着を見せるおぞましさが両立してるこの文庫でも魅力的に書かれていて古典作品でありながら読みやすかったです。
    サロメの踊りの官能感や「ヨカナーンの首をちょうだい」と強請る怪しさが緊張と共に読み手にも伝わってくる素敵な文章でした。

    舞台や映像にもなっている作品なのでサロメの踊りのシーンやヨカナーンの首の唇にキスをするシーンは是非そちらでも見てみたいです。

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    2025年04月19日
  • サロメ

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    わずか90ページだが濃密。オスカーワイルドのサロメ。王女サロメはサイコパスなのか、欲望の奴隷なのか。サロメの欲するものは預言者ヨナカーンの首。ビアズリーの挿絵も強烈で凄く、インパクトのある本でした。

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    2025年03月09日
  • 新訳 サロメ

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    絶対読むべきと思いながら数年経ってしまった。が、読んだぞ!よかった!サロメが毒婦というよりはどこか切実で必死な感じで、翻訳の効果もあるんだろうけど、とにかくよかった。

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    2025年03月02日
  • ドリアン・グレイの肖像

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    存在は知っていたけれど、舞台ミュージカル「ワイルド・グレイ」を観ることにして、ようやか手に取った1冊。

    美貌の青年ドリアン、ドリアンに魅了される画家バジル、ドリアンが魅了されていくヘンリー卿。「美」とは?「若さ」とは?
    寓話的にも読める話。

    これまで思いもつかなかった視点からの見方に、ドリアンが魅了されるのがよくわかります。

    ドリアンが手にした様々な美しい物の羅列のあたりは、自分の想像力が及ばないので、冗長に感じましたが、
    そこを乗り越えるとミステリーのような展開になり、一気に読み進めてしまいました。

    最初は客観的な書き方だったのが、美しい物の羅列の後はドリアンの心情も含めた主観に近い

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    2025年02月26日
  • ドリアン・グレイの肖像

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    ネタバレ

    不思議な後味の残る小説だ。
    過度に花に彩られた冒頭、これは美しいドリアンを導く演出だろう。ヘンリーの逆説もくどいほどに過剰。
    ドリアンは終始利己的で、せっかく危機を乗り切ったのに自ら最期を招いてしまう。
    結局何を描いたものなのか、よくわからなかった。

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    2024年11月28日
  • サロメ

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    ネタバレ

     ヨカナーンの声
    「その日、日は黒布のごとく翳り、月は血のごとく染り、空の星は無花果の実の、いまだ熟れざるざるに枝により落つるがごとく地におちかかり、地上の王たちはそのさまを見て恐れをののくであらう」

    『私にヨカナーンの首をくださいまし』

    なんともおぞましいセリフではあるが、このあとサロメはヨカナーンに口づけをする
    ピアズレーの挿絵もなんとも素敵でぞわぞわする
    預言者の予言の表現といい、サロメと言う作品が
    長く伝わるのは、サロメの恋の激しさが、狂気が
    わかるからだろうか

    こ、こわい

    『ああ!あたしはとうとうお前の口に口づけしたよ、ヨカナーン、お前の口に口づけしたよ。お前の唇はにがい味が

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    2024年10月27日
  • サロメ

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    ヨカナーン

    大学生の時に買って、やっと読んだ
    すごく舞台的な作品だった

    真っ黒真っ白真っ赤、金に銀
    色のコントラストがいっぱい出てきてビビッドな世界が広がっていた

    みんなヤバびと

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    2024年10月27日
  • ドリアン・グレイの肖像

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    美貌の青年ドリアン・グレイがとある人物との出会いを境に、人生が狂って行く…。

    悍ましくも美しく芸術的な物語で、醜悪さと耽美さを併せ持つゴシックホラー小説。
    非常に古い作品ではあるが、古臭さは無く、終始耽美的な世界観に魅了された。

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    2024年10月06日
  • 新訳 サロメ

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    挿絵もストーリーも薄気味悪く悪趣味。だが、美少女サロメが、浮浪者のような預言者ヨカナーンに魅力を感じ入り、狂気かつ妖艶の状態となっていくさまは、人間の感情のミステリアスな部分をとても巧みに表現している。マタイの福音書がモチーフだが、よくこんなの思いつくなと、つくづく思う

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    2024年09月15日
  • 新訳 サロメ

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    ネタバレ

    ああ!おまえの口にキスしたよ、ヨナカーン、おまえの口にキスした。おまえの唇は苦い味がした。血の味かしら?でも、恋の味かも。

    耽美的・退廃的な世界観とはこういうものなのだろうか。
    ファムファタールの代表格と言われるサロメだが、どちらかというと力強く直動的で雄々しい。

    訳者あとがきも、初心者でも分かりやすくワイルドの世界観に触れることができ、良かった。

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    2024年09月12日
  • ドリアン・グレイの肖像

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    大人のための寓話。
    完成度が高く、美しくもグロテスクで悲しい。
    現代人からすると時代錯誤な描写もあるが、毎日鏡を見ては若く美しく、、、とお化粧している身としては、自分を少し顧みねばという気持ちになった。

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    2024年09月11日
  • 理想の夫

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    予想を裏切るハラハラな展開。オスカー・ワイルドが普通のつまらない戯曲を書くわけがないんだよね(『サロメ』しか読んだことないけどさ)。ストーリーはもちろんのこと、セリフもかなりおしゃれ!

    前半は、19世紀イギリスのこと、社交界のことなど、知らないからこそ理解できない表現も多く出てくるけれど、中盤からかなり面白くなってくる。

    夫婦、友人同士のすれ違いや勘違いがハラハラドキドキな戯曲です。少し古めの訳もまた味があってすてきだった〜。

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    2024年06月09日
  • ドリアン・グレイの肖像

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    ドリアンの悪行はベールに包まれているがギラギラと輝いて暗い中で光る宝石のような美しさを感じさせる。肖像画はドリアンの良心で、醜くなった分だけ彼が傷ついていたのだと感じた。それにしてもヘンリー卿は無責任すぎませんか。

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    2024年05月10日
  • サロメ

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    なぜ『サロメ』を平野啓一郎が?その狙いは?という答えは本人によるあとがきと宮本亜門が寄せた文章でしっかりと明らかに。そういうところから、この「古典新訳」シリーズ自体の意義や面白さについても考えさせられる。

    ファムファタール的イメージに支配されない、無垢な乙女であるサロメ像が、奇を衒わない堅実な訳文から確かに浮かび上がっているように思う。その試みから、ワイルド→三島→平野の文学の系譜も見出せる。

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    2024年03月13日