あらすじ
「若さ! 若さ! 若さをのぞいたらこの世に何が残るというのだ!」美貌の青年ドリアンと彼に魅了される画家バジル。そしてドリアンを自分の色に染めようとする快楽主義者のヘンリー卿。卿に感化され、快楽に耽り堕落していくドリアンは、その肖像画だけが醜く変貌し、本人は美貌と若さを失うことはなかったが……。美貌を保つ肉体と醜く変貌する魂の対比。ワイルドの芸術観・道徳観が盛り込まれた代表作。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
『人に影響を与えるという行為は恐ろしいほど人の心をとりこにする。これにまさるものは他にはない。自分の説を美しい人間に投影し、しばらくそこにとどまらせる。自分自身の知的な意見が、若さと情熱という音楽にのってこだましてくるのを聞くために。自分の気質をまるで不思議な液体かめずらしい香水のように他人の気質に染み入らせるために。そこには真の喜びがある。これこそ現代のような時代に残された最上の喜びかもしれない』
Posted by ブクログ
久々の古典文学。
難しいだろうし、怪しい雰囲気で苦手かもと思ったが、スイスイ読み進められた。
若さ、美しさは年を取るにつれてなくなっていくのは当たり前であるなか、そこに執着することは、怖いなと感じた。
Posted by ブクログ
はい、というわけでとどめは『ドリアン・グレイの肖像』ですよん
オスカー・ワイルド唯一の長編小説です
でもってたぶん読んだことあるなこれ
はるか昔だけど
レビューどうすべ?
うーん、凄い
やっぱ凄いね
いろんな取り方ができる物語なんよね
で、それってたぶん読むたび変わったりするんだろうなって感じよ
テーマのひとつは間違いなく「善」と「悪」だと思うんよね
まぁ、この物語から「善」と「悪」みたいなことを抜き取ってる時点でとてつもなく浅いんだが、まぁいいじゃない
学者先生でもなんでもないんだから浅くたっていいじゃない
よくコントとかであるやん
財布を拾った人の前に天使と悪魔が現れてーみたいな奴
あれのとんでもなく崇高なバージョンなんじゃね?とか思ったりしましたw
で、結局悪魔の言い分に耳を傾けちゃうわけね
そっちのが楽しいから
で散々堕落して悪行の限りをつくすんだよ
そしてある時気付くわけ
あーなんて自分はひどい奴だったんだ
これからは悔い改めて善人になりますのでどうかお許し下さいとね
許されるか!(# ゚Д゚)
という物語です
あ、そうだ
翻訳の話ね
正直言ってだいぶ後半の方まで翻訳に注目して読んでたの忘れてました
物語に夢中になってたってのもあるんだけど、めちゃくちゃクセのない訳文で全く引っかかるところがなかったってのが大きかったです
なんていうかほんとに平坦な感じ?
後から考えてこれってたぶんノンフィクション系の方だからかな?って思いました
淡々とした語り口
この特徴がない文章ってのが、逆にものすごい特徴的だなって
これが本作に合ってるかどうかっていうと、ちょっと疑問に感じなくもないんだけど、どちらにも引っ張られないという意味ではありなんかな〜
うーん、分からんw
はい、海外文学を読む時に訳者さんに注目するのもありだよってテーマでオスカー・ワイルドを読んでみたわけなんですが、所詮原文にあたったわけでもないし、あたる能力もないので話半分で聞いてもらった上で、そんな視点も面白いかもねって思ってもらえたら嬉しいな〜
いじょ!
Posted by ブクログ
『幸福な王子』『サロメ』を残したアイルランド出身の詩人、作家、劇作家・オスカー・ワイルド唯一の長編小説。
「美」と「若さ」をテーマにすえた、強烈な寓話的物語。ところどころに散りばめられている、作者の鋭い人生論的言及をメモメモ。ヘンリー卿のシニカルなワード・パワー、ドリアンのサスペンス味を増す後半の展開に引き込まれつつ、人生の実相に思いを馳せる。あらすじや結末が知られながらも、多くの人を惹きつけ続け、読まれ続けるのは納得。本翻訳の良し悪しはちょっとわからないのだけれど、他翻訳でもぜひ読んでみたいし、繰り返しの読書に耐える作品だ。
Posted by ブクログ
津村のよみなおし世界文学の1冊である。ワイルドの有名な小説ということであるが、簡単英語の本では読んだ気がするが、現物を読んだことはなかったような気がする。話は怪奇ではあり、その怪奇の部分だけが簡単英語の本では強調されていたような気がする。あらためて初めから読んでみると、様々なことが描かれていることがわかる。会話体が多い。
Posted by ブクログ
めちゃくちゃ良かった!!
学校の図書室で借りたのだが、返却期限より圧倒的に早く読み終わってしまったくらい面白かった。
前は途中でやめちゃったけど、なんだか今回は不思議とスルスル読めた。本にも時期ってものがあるのかしらね?
純粋にストーリーが面白い。最初は少し恥ずかしがり屋で純粋な青年だったドリアンがどんどん堕落していくのにはゾクゾクした。退廃的……ってこういうことを言うのかな。
ドリアンが堕落していく様が不思議と美しくて、読者もこの青年の悲劇を見届けたい……っていう考えに駆られてしまう。
最後も良かったね。自分の罪に振り回されて破滅……。若さと美しさに執着してたのにそれも失われる案外あっけない最後。を、自分の手で迎えてしまう。
それが大変よかった。
イギリス上流階級の会話もなんだか面白く、会話を嗜みとして楽しんでいるような感じがした。
ある種の貴族的な……考えというか、上流階級の人間の価値観みたいなものが垣間見えて興味深かった。
人間、金を持ちすぎるとこの世に飽いてしまってなんだか妙なことをやらかすらしい、という話でもあるように感じたな。
難しかったけど面白かった!また読みたい。
読んでいると、ついドリアンの美しい堕落を最後まで見届けたくなってしまう。人の堕落を平気で願う読者もまた快楽に魅入られ、堕落してしまっているのではないか?
この本にはそんな危険な魅力があったな。
いやはや、これはとんだ悪書だぞ。素晴らしい。
匿名
雑な感想ですが
あとがきやレビューでも言われている通り、とても読みやすい翻訳。それほど平易な日本語とも思えないのに、スムーズに読めるから不思議だ。ここまで物語の内側にすっぽりくるまれるかのようにしてこの年代の海外作品を読んだことはない。
内容に関して言えば、読んでいる最中には色々な思いが去来したものの、今はただ美しい…という以外に感想がない。私が感受性に乏しいからそれしか言えないのだろうが、この物語は本文の中ですでに完成し切っており、それ以上に言い足したいことがないという気持ちでもある。
解説の中で、エドガー・アラン・ポーらの作品との共通点が指摘されている。怪奇幻想的な雰囲気もさることながら、メタファや伏線がパチッときれいにハマって終わる感じも、まさに「数学的」とも評されるポー短編の巨大バージョンと感じられた。
Posted by ブクログ
私の中で1.2を争うほどお気に入りの本になりました。
思いつきそうで思いつかなかったストーリーもさることながら、キャラクターがとても魅力的。
ヘンリー卿のレスバトルの強さ……
それが正しい、と思わせる自信と巧みな言葉で相手を沼に落としていく。この作品の人物、ほぼ全てが彼の被害者と言っても過言ではないな……と思います。
恐ろしいのは彼に悪気や恨みがあってそうしているわけではないというところですね……
ヘンリー卿からしてみれば、己の意見を口にしているだけ、アドバイスをしているだけ、戯れているだけなんだろうな、と……
後半のドリアンもとても魅力的。思わず読む手が止まらなくなりました。
バジルとのシーン、アラン・キャンベルとのシーンがとても印象深いです。
メイクを頑張る、ボディメイクを頑張る事ももちろん大切ですが、性格は顔に出るというから、内面を磨くことの方が大切なんだなと改めて気付かされた作品です。
見た目だけ取り繕っていても、邪な心は浸み出してしまうものなのですね。
全ての元凶といえば恐らくヘンリー卿なのでしょうが、ドリアンの結末、バジルの行末を知れば心の底からひどく悲しむのだろうな…と思いました。
あとはアラン・キャンベルも好きなのでもう少し彼を詳しく知りたかった。
Posted by ブクログ
「なんと悲しいことなんだ!僕は歳をとっていく。そして恐ろしく醜い姿になっていく。この絵は若さを失わない。…反対だったらいいのに!いつまでも若さを失わないのが僕の方で、この絵が老いていけばいいのに。…」(P56)
3月は古典に触れようと思います。
そんな矢先に、読もうと思ったのがこの本でした。
人間、いつまでも若々しくありたいもの。しかし、鏡に映る自分は日を追うごとに歳を取って行きます。
主人公である、美少年ドリアンもそう思っていて、画家バジルが描く自分の姿を見て、冒頭の言葉を言い放った。
何気なく、情動的に出た一言。しかしこの言葉が彼の人生を大きく狂わせることとなったのでした。
絵の中の自分は、少しずつでも確実に、彼が行う悪行とともに醜く歪んでいき、その一方で「本当の」自分は全く変わらないまま…。
理想であった、絵の中のいつまでも変わらない自分の姿が、いざ、現実となってしまった今、彼の心の中の恐怖が、文面を通じて伝わってきます。
ただ、そこに絶対に起こり得ないという、共感しきれなさがあって、そこがなんとももどかしい。
気持ちはわかるんだけど、分かりきれていない…。
そんなもどかしさを味わいながら、頭を巡らせながら読み切りました。
Posted by ブクログ
老いるのも残酷だが、自分だけ美を保ち続けるのも残酷なんだなぁと思った。
飽きさせないストーリー展開に加えて、ヘンリー卿の毒舌などでワイルドの人生観を堪能できた。
Posted by ブクログ
THE NOVEMBERSの小林祐介さんが勧める小説と見かけたので読んでみた。第19章で私の人生を揺るがすような素晴らしい言葉を見つけた。指針になるかもしれない。そしてヘンリー卿の言葉に深い意味などないのかもしれないが、突き刺す言葉だらけで頭と心が揺れ動き続けた。
Posted by ブクログ
自己愛と堕落に溺れたドリアンの、醜さを描く作品。
快楽主義者による快楽主義者のための本かと思ったが、ここまで堕落し醜くなっていく人間を描き爽快感がある。
ストーリー自体は予想ができるような内容で、そこを重視すると少し退屈だと思うが文一つ一つにワイルドの考えが込められているような気がして、重厚だった。
Posted by ブクログ
19世紀アイルランド出身の作家・劇作家、
童話も名高いオスカー・ワイルドの小説。
高校生の頃、旧訳を古本屋で買って
積読しっ放しだったことを思い出しつつ、
あまりに有名なため、
読まずしてオチを知ってしまっていたので避けていたが(笑)
まあまあ気に入っている光文社古典新訳文庫にて
第2刷が出たのを機に購入。
予想を遥かに上回る面白さに驚いた。
老若・美醜の問題に囚われるあまり
言動が常軌を逸していく主人公の混乱っぷりは他人事でもなく、
意外に感情移入して世界観にとっぷりハマることが出来た。
男性三人が同性愛の関係にあるのは明白なのだが、
それが罰せられる世の中だったため、
極めて婉曲かつ控え目に描かれているところが
個人的に好ましく思えるのだった。
この新訳は現代的な言い回しで綴られ、
読みやすく、お薦めしやすいが、
解説で紹介されている1950年発表の平井呈一訳の冒頭部分が
うっとりするほど色香が匂い立つような文体なので、
機会があったら読んでみたい。
尚、本書第10章以降で言及される、
ドリアン・グレイがヘンリー卿から贈られて耽読する
「悪書」はユイスマンス『さかしま』である。
[備忘]
岩田美喜「世紀末の夜の子供たち――『ドラキュラ』におけるアブジェクシオンの作用」
(東北大学英語文化比較研究会機関誌《川内レビュー》№3〈2004年〉)
ワイルドと同時代の同郷人ブラム・ストーカーの『吸血鬼ドラキュラ』と
『ドリアン・グレイの肖像』のテーマ、モチーフの近似性を論じている。
Posted by ブクログ
あらためてオスカー・ワイルド半端ないと思った。筋は戯曲・舞台調で陳腐と言えば陳腐でドラマチックと言えばドラマチックでとにかく飽きさせない。しかし一番の見どころ(読みどころは)ヘンリー卿とドリアンやその他貴族との洒落た軽妙な会話の数々。頭に浮かぶアイテムをつなぎ合わせたら「サロメ」のにおいぷんぷんなんですが、小説だけの言葉、戯曲だけの言葉の使い分けが徹底的だから筋が舞台調でも読み手がしらけずにいられるんだろうなぁ。セリフだけ書き出してトイレにでも貼っておきたい。
Posted by ブクログ
自分が美しい事を解っている人間がその事を利用して欲望のままに生きていくって、凡人からしたらとても羨ましい。
本当に恐ろしいものは美しい。最後の最後までまでとても魅力的な一冊です。
Posted by ブクログ
大学で絵画を専攻しているのですが、人物画のモデルには、知り合いか他人かに関わらず、特別な感情が湧きます。
私はモデル本人に打ち明けたことはありませんが、ドリアン・グレイの画家がドリアンに打ち明けたのはすごい事だなと思い、それが印象深かったです。
制作中は実際会ってる時と違う気持ちにもなり、長く描いてると、絵の中のモデルとの付き合いが長くなり、妙な親密さを持ち、「私の知っている絵の中のモデルとは」を考えることがあります。
それは自分の見たかったモデルの姿とか、理想像であったり、一瞬の人間らしさを感じるたたずまいなどです。
だから自分が描いた絵画の中のドリアンが変貌していくなんて知ったら、とても悲しむことだなと感じます。
結構人物画は、モデルの一瞬の美しさを絵の中に閉じ込めたいから描くイメージだったのが、これを読んで少し変化したように思います。ドリアン・グレイの肖像を読んだら人物画を描きたくなりました。
Posted by ブクログ
穢れを知らぬ、青年の悲劇。
彼は「鵜呑みにする」ゆえに、
悲劇を自ら生み出してしまいます。
もしも、彼に多少の分別があれば
恐らく、若さがすべてであったり、
衰えがマイナス一方ではないことが
わかったことでしょう。
だけれども、目の前にいる完膚なき【悪魔】の
前では彼は抗うことができませんでした。
悪であればあるほど、それは離れがたいものだから。
だけれども、自分を見なかった彼は、
最後の最後で付けを払わされます。
あのような形で…
Posted by ブクログ
想像以上におもしろく、引き込まれながら、気になるフレーズのあちこちに線を引きながら読んだ。あらすじは随分昔から知ってはいたけれども、そうした筋よりも、ヘンリー卿の皮肉で逆説に満ちた、でも知性的で魅力ある警句の数々、並べ立てられる芸術的な美への賛辞などなど、言葉をたどることが興味深く、おもしろかった。悲劇的なドリアンの最期は、それでも救いがあったのか。ヘンリー卿にいわせると、はじめから救われるべきものなんてないのかもしれないけど。
線を引いたフレーズのひとつ。もちろんヘンリー卿の言葉。
「ものごとを外見で判断しないのは底の浅い人間だけだよ。世界の本当の神秘は目に見えないものではない。目に見えるものなのだ。」(pg.49)
実は近々、マシュー・ボーン演出のバレエ「ドリアン・グレイの肖像」を見に行くので予習のために読んだんだけど、もっと早くに、もっと若い時に読んでおくべきだったかも。とはいえ、今からでも読んで良かった。バレエも楽しみ!
Posted by ブクログ
文学を読もうと思い名前を聞いたことがあった本書を手に取りました。本書はちょっと昔のイギリスの金持ちの若者がひょんなことで堕落し、最終的に悪の方面に転落しきって亡くなるという小説です(あまりにも雑な要約)。
元来真面目(あるいは無垢?)であった主人公のドリアンは、画家のバジルを通じて知り合ったヘンリーに唆されどんどんよくない方向に進んでいきます。ヘンリーの人間像が非常にいい感じで、哲学的でなんだか深そうなよくわからないことを滔々と喋り続けるわけです。現代日本人である私の感覚からすると、ある種の魅力はあるにせよ関わってはいけないタイプの人間に感じられます。思うに、いい大人であれば本書が出版された当時からそう思っていたのではないでしょうか(事実、作中でもわりと他の人物は適当に褒めて聞き流しているっぽさもある)。しかし主人公のドリアンは無垢であるため、言葉を真に受けてどんどん享楽的な考え方に陥っていきます。
本作の魅力はいくつもあるように思いますが、まず第一にドリアンがどんどん堕ちて行って人間性が変わっていくさまが生々しいことがあると思います。生活の様子が浮世離れしていることとは対照的です。また、作中の人物が語る美や人生についての長演説も、読むのに体力が必要ですが妙に引き込まれる魅力があります。文学や音楽、神話などから引用して自説を語る場面が多くありますが、これも本書のペダンティックな雰囲気に寄与しているように思います。
偉大な名作にこういうことを言うのは憚られますが、読みにくいと感じる点もあります。ヘンリーがよくわからないことをひたすら喋る部分を読むのはしんどく感じることもあります。終盤ではドリアンまで似たようなこと喋るようになります。序盤の展開のゆっくりさも若干もどかしく思います。また、ある章から急に時間が進んで堕落が急に進んでいるので、過程がわかりにくく急だなとも感じます。
Posted by ブクログ
存在は知っていたけれど、舞台ミュージカル「ワイルド・グレイ」を観ることにして、ようやか手に取った1冊。
美貌の青年ドリアン、ドリアンに魅了される画家バジル、ドリアンが魅了されていくヘンリー卿。「美」とは?「若さ」とは?
寓話的にも読める話。
これまで思いもつかなかった視点からの見方に、ドリアンが魅了されるのがよくわかります。
ドリアンが手にした様々な美しい物の羅列のあたりは、自分の想像力が及ばないので、冗長に感じましたが、
そこを乗り越えるとミステリーのような展開になり、一気に読み進めてしまいました。
最初は客観的な書き方だったのが、美しい物の羅列の後はドリアンの心情も含めた主観に近い書き方に変化していますが、特に違和感なく読めました。
最後の方に出てきた
「洗練を身につける方法は二つ。教養と堕落」
という言葉がなぜか印象に残りました。
Posted by ブクログ
魂、欲望、理性、道徳、美、善、等についての語りが多く意外に思弁的。ストーリーは一本調子。それでもぐいぐい読ませるのは、登場人物のキャラクターの強さだろう。主人公のグレイとその美を崇拝する画家ホールワード。そしてニヒリスティックなヘンリー卿。19世紀末のまさに世紀末的な時代の空気を感じる。同じ時代にはニーチェがいた。彼の思想と重なるものを感じる。
Posted by ブクログ
オスカー・ワイルド唯一の長篇小説。うまく感想をまとめられないが、まず、間違いなく傑作なのであろうと思う。それは本作がいまだに読み継がれていることからも明らかである。しかし、いっぽうで失敗作のような気もする。題名にもなっている肖像画は、画であるにもかかわらず、容貌が醜く変化してしまい、そのことがきっかけとなって多くの災厄がまき起こる。この部分だけ聞くとオカルティックで、個人的にもどうにも馴染みづらかった。そして、傑作であり失敗作であるという二重性はまた、作中の肖像画に対する評価でもある。そう考えるとこの小説は、世にも奇妙な肖像画を文章という形で表現したものであるといえるかもしれず、そんな藝当ができるとすればやはり本作が傑作であることは間違いないのであろう。
Posted by ブクログ
耽美小説
宝石や美しいものに関する逸話などにグレイがのめりこむ章をもう少し色鮮かに想像しながら読み直したい。
神話の引用などかなり詳しくならないとなぞるのが難しく、ただただ固有名詞として流すしかないのがもったいない感じがする。やっぱり神話とシェークスピアの知識は必須。
花や宝飾品、家具、色の名前なども豊富だから、図鑑などで予備知識を増やしておくのもいいかも。
ヘンリー卿がサディスティックで魅力的。結局この人が一番のまともな人間だったんじゃないかという気もする。
バジルが不憫。3人とも複雑な内面で、漫画のような単純なキャラクターがいない。
自分の若さと美しさを他者から自覚させられて、その途端、そしてそれらを失いたくないと願った瞬間からそれらを失っていく。
美しさとは何か
死の意味は
Posted by ブクログ
オスカー・ワイルドの代表作。モチーフは肖像画と自分の関係であるため、いわゆるドッペルゲンガー物とは少し異なるのだが、肖像画が自分の心のありようを反映して徐々に変化し、あたかも生きているかのようであり、自分のコントロールが効かず、またそれに怯えるようにもなる点で、ドッペルゲンガーのような存在であり、ポーの「ウィリアム・ウィルソン」を思い出しながら読んでいた。最後は神経症的に自分で自分を追い詰めるようになるあたり類似していると思う。同じような作品が作られるあたり、当時の風潮も反映しているのだろうか。19世紀末という近代の一つの円熟期でもあり、豊かさとアジアからの異文化がロンドンという大都市の中で融合する時代の雰囲気が色濃く反映されていると思う。また、ダンディズム思想に彩られたヘンリー卿とドリアン・グレイの警句が全編にわたって展開されるあたり、また同時代のドイルも描いているアヘン窟の様子など、まさに世紀末のロンドンといえるのかとも。そういえば、最近フィラデルフィアのキングストンという街でのドラッグ中毒者がゾンビのように徘徊する動画が話題になったが、当時のアヘン窟もこんな感じだったのだろうか。ホームズのドラマなどの印象からは19世紀の方がもっと暗いイメージはあり、もっとやばいという感じもする。
いずれにしても、当時の雰囲気や、ワイルド一流の耽美的世界観を満喫できる作品である。
“ものごとを外見で判断しないのは底の浅い人間だけだよ。世界の本当の神秘は目に見えない物ではない。目に見えるものなのだ“(P.50)
“ヘンリー卿はまだ入ってきていない。遅刻するのが彼の主義なのだ。時間に正確であることは時を盗むものだという主義なのだ“(P.91)
“一生に一度しか恋をしない人間こそ浅薄なんだよ。彼らが一途さとか貞節とか呼んでいるものは、習慣による惰性か想像力の欠如だ。感情生活において誠実であるということは、知的生活において変化がないのと同じだ“(P.102)
“結婚の本当のデメリットは人を利己的でなくすることだ。利己的でない人間はつまらない。個性を欠いているんだよ“(P.148)
“まずい演技を観るのは、道徳に反する“(P.167)
“本当に魅力的な人間は二種類しかいない。本当にすべてを知っている人間か、何を知らない人間だ“(PP.167-168)
“情熱的な経験を排除するような思想や体系は、どんな形にせよ決して受け入れてはいけない。この快楽主義の目的とするところは、その経験自体であり、その経験から何かの成果を得ることではない。たとえその成果が甘いものであろうと、苦いものであろうとも、快楽主義は、感覚を押し殺してしまう禁欲とも、感覚を鈍らせる放蕩とも相容れない。それは、ただの瞬間にすぎない人生の一瞬一瞬に意識を集中して生きるよう、人間に教えてくれるものなのだ“(P.251)
Posted by ブクログ
周りにいる人物や友人によって、人は大きく変わってしまうことがある。
でも、誰とどのような付き合いをするのかを選ぶのもまた自分。
自分を止める事ができなくなったドリアン。
排他的な持論を並べるヘンリー卿。
自分の思いを上手く言葉にできないバジル。
3人の間に垣間見える好意と嫌悪、嫉妬。
全ての感情が同時に存在する人間の心って難しい。
Posted by ブクログ
なんか聞いたことあるタイトルと思ったが、昔「プルシアンブルーの肖像」と言う映画を観に行ったのを思い出したわ。検索したらリアル青髭がいた。
本編→肖像画を描かれて「ふーん」ってな感じだったドリアン。新しいお友達に「絵は美しいままだが、君は老いて醜くなっていく」と言われ、本能的に「いやや!歳とるのは絵の方で自分はずっと変わりたくない」と願いその通りになってしまう。内容は短編で収まると思うが、世の中の自分か好きな物の羅列と会話で増量。文章は素晴らしいが物語とあんまり絡んでないという。スリラーなのかね。
Posted by ブクログ
名著中の名著ですね、この作品。
とにかくヘンリー卿の名ゼリフのオンパレードです。
名ゼリフすぎて、この著者どれだけ世間に恨みつらみ持ってんだよ、と思ってしまいます。
で、実際に著者オスカー・ワイルドさんの事を調べたらなるほど納得という感じでした、気になる方はぜひ読んでみて下さい。
僕の中でのヘンリー卿名ゼリフベスト5を残しておきます(ベスト5では全然足りない)。
第5位
若さが消え去れば、一緒に美も失われる。
そして君は自分にはもうなんの勝利も残されていないことを知るんだ。
あるいは過去の記憶と比べれば、敗北よりも惨めになるようなつまらない勝利で自分を満足させなければならなくなったのをね。
第4位
アメリカの女性たちは親を隠すのが得意です。ちょうどイギリス女性たちが過去を隠すのがうまいみたいに。
第3位
何の関心もない相手には、人はいつも優しくなれるものだから。
第2位
そもそも結婚などやめておけ、ドリアン。
男は疲れたから結婚する。女は好奇心から結婚する。そして両方ともがっかりするんだ。
第1位
若さを取り戻すためなら、この世でできることはなんでもするよ。
運動とか早起きとか、きちんとした生活をするとかいうこと以外ならね。
Posted by ブクログ
難しいところもあったけど、基本的に読みやすかった。
暗い部屋の雰囲気、晩餐会の雰囲気、劇場の雰囲気、イメージしやすかった。
ぞわぞわするところは夜に思い出してはいけない。(笑)
Posted by ブクログ
恐ろしい…。自分の美貌を守る為、自分の肖像にかわりに自分の老いや醜さを背負わせたドリアン・グレイの悲劇。本当のところはわからないけど、肖像画はずっと同じままあって、容姿が衰えていくのを恐れたドリアン・グレイの目には肖像画が変化しているように見えたんじゃないかなって思う。あるがままを受け入れることは大事。頽廃的な美しさを持った作品。2012/385