【感想・ネタバレ】ドリアン・グレイの肖像のレビュー

あらすじ

「若さ! 若さ! 若さをのぞいたらこの世に何が残るというのだ!」美貌の青年ドリアンと彼に魅了される画家バジル。そしてドリアンを自分の色に染めようとする快楽主義者のヘンリー卿。卿に感化され、快楽に耽り堕落していくドリアンは、その肖像画だけが醜く変貌し、本人は美貌と若さを失うことはなかったが……。美貌を保つ肉体と醜く変貌する魂の対比。ワイルドの芸術観・道徳観が盛り込まれた代表作。

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Posted by ブクログ

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久々の古典文学。
難しいだろうし、怪しい雰囲気で苦手かもと思ったが、スイスイ読み進められた。
若さ、美しさは年を取るにつれてなくなっていくのは当たり前であるなか、そこに執着することは、怖いなと感じた。

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2025年11月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

めちゃくちゃ良かった!!
学校の図書室で借りたのだが、返却期限より圧倒的に早く読み終わってしまったくらい面白かった。
前は途中でやめちゃったけど、なんだか今回は不思議とスルスル読めた。本にも時期ってものがあるのかしらね?

純粋にストーリーが面白い。最初は少し恥ずかしがり屋で純粋な青年だったドリアンがどんどん堕落していくのにはゾクゾクした。退廃的……ってこういうことを言うのかな。
ドリアンが堕落していく様が不思議と美しくて、読者もこの青年の悲劇を見届けたい……っていう考えに駆られてしまう。
最後も良かったね。自分の罪に振り回されて破滅……。若さと美しさに執着してたのにそれも失われる案外あっけない最後。を、自分の手で迎えてしまう。
それが大変よかった。
イギリス上流階級の会話もなんだか面白く、会話を嗜みとして楽しんでいるような感じがした。
ある種の貴族的な……考えというか、上流階級の人間の価値観みたいなものが垣間見えて興味深かった。
人間、金を持ちすぎるとこの世に飽いてしまってなんだか妙なことをやらかすらしい、という話でもあるように感じたな。
難しかったけど面白かった!また読みたい。

読んでいると、ついドリアンの美しい堕落を最後まで見届けたくなってしまう。人の堕落を平気で願う読者もまた快楽に魅入られ、堕落してしまっているのではないか?
この本にはそんな危険な魅力があったな。

いやはや、これはとんだ悪書だぞ。素晴らしい。

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2022年09月05日

Posted by ブクログ

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私の中で1.2を争うほどお気に入りの本になりました。

思いつきそうで思いつかなかったストーリーもさることながら、キャラクターがとても魅力的。
ヘンリー卿のレスバトルの強さ……
それが正しい、と思わせる自信と巧みな言葉で相手を沼に落としていく。この作品の人物、ほぼ全てが彼の被害者と言っても過言ではないな……と思います。
恐ろしいのは彼に悪気や恨みがあってそうしているわけではないというところですね……
ヘンリー卿からしてみれば、己の意見を口にしているだけ、アドバイスをしているだけ、戯れているだけなんだろうな、と……

後半のドリアンもとても魅力的。思わず読む手が止まらなくなりました。
バジルとのシーン、アラン・キャンベルとのシーンがとても印象深いです。

メイクを頑張る、ボディメイクを頑張る事ももちろん大切ですが、性格は顔に出るというから、内面を磨くことの方が大切なんだなと改めて気付かされた作品です。
見た目だけ取り繕っていても、邪な心は浸み出してしまうものなのですね。


全ての元凶といえば恐らくヘンリー卿なのでしょうが、ドリアンの結末、バジルの行末を知れば心の底からひどく悲しむのだろうな…と思いました。
あとはアラン・キャンベルも好きなのでもう少し彼を詳しく知りたかった。

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2021年03月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

穢れを知らぬ、青年の悲劇。
彼は「鵜呑みにする」ゆえに、
悲劇を自ら生み出してしまいます。

もしも、彼に多少の分別があれば
恐らく、若さがすべてであったり、
衰えがマイナス一方ではないことが
わかったことでしょう。

だけれども、目の前にいる完膚なき【悪魔】の
前では彼は抗うことができませんでした
悪であればあるほど、それは離れがたいものだから。

だけれども、自分を見なかった彼は、
最後の最後で付けを払わされます。
あのような形で…

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2014年05月04日

Posted by ブクログ

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 文学を読もうと思い名前を聞いたことがあった本書を手に取りました。本書はちょっと昔のイギリスの金持ちの若者がひょんなことで堕落し、最終的に悪の方面に転落しきって亡くなるという小説です(あまりにも雑な要約)。
 元来真面目(あるいは無垢?)であった主人公のドリアンは、画家のバジルを通じて知り合ったヘンリーに唆されどんどんよくない方向に進んでいきます。ヘンリーの人間像が非常にいい感じで、哲学的でなんだか深そうなよくわからないことを滔々と喋り続けるわけです。現代日本人である私の感覚からすると、ある種の魅力はあるにせよ関わってはいけないタイプの人間に感じられます。思うに、いい大人であれば本書が出版された当時からそう思っていたのではないでしょうか(事実、作中でもわりと他の人物は適当に褒めて聞き流しているっぽさもある)。しかし主人公のドリアンは無垢であるため、言葉を真に受けてどんどん享楽的な考え方に陥っていきます。
 本作の魅力はいくつもあるように思いますが、まず第一にドリアンがどんどん堕ちて行って人間性が変わっていくさまが生々しいことがあると思います。生活の様子が浮世離れしていることとは対照的です。また、作中の人物が語る美や人生についての長演説も、読むのに体力が必要ですが妙に引き込まれる魅力があります。文学や音楽、神話などから引用して自説を語る場面が多くありますが、これも本書のペダンティックな雰囲気に寄与しているように思います。
 偉大な名作にこういうことを言うのは憚られますが、読みにくいと感じる点もあります。ヘンリーがよくわからないことをひたすら喋る部分を読むのはしんどく感じることもあります。終盤ではドリアンまで似たようなこと喋るようになります。序盤の展開のゆっくりさも若干もどかしく思います。また、ある章から急に時間が進んで堕落が急に進んでいるので、過程がわかりにくく急だなとも感じます。

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2025年06月01日

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オスカー・ワイルド唯一の長篇小説。うまく感想をまとめられないが、まず、間違いなく傑作なのであろうと思う。それは本作がいまだに読み継がれていることからも明らかである。しかし、いっぽうで失敗作のような気もする。題名にもなっている肖像画は、画であるにもかかわらず、容貌が醜く変化してしまい、そのことがきっかけとなって多くの災厄がまき起こる。この部分だけ聞くとオカルティックで、個人的にもどうにも馴染みづらかった。そして、傑作であり失敗作であるという二重性はまた、作中の肖像画に対する評価でもある。そう考えるとこの小説は、世にも奇妙な肖像画を文章という形で表現したものであるといえるかもしれず、そんな藝当ができるとすればやはり本作が傑作であることは間違いないのであろう。

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2023年01月03日

Posted by ブクログ

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耽美小説
宝石や美しいものに関する逸話などにグレイがのめりこむ章をもう少し色鮮かに想像しながら読み直したい。
神話の引用などかなり詳しくならないとなぞるのが難しく、ただただ固有名詞として流すしかないのがもったいない感じがする。やっぱり神話とシェークスピアの知識は必須。
花や宝飾品、家具、色の名前なども豊富だから、図鑑などで予備知識を増やしておくのもいいかも。
ヘンリー卿がサディスティックで魅力的。結局この人が一番のまともな人間だったんじゃないかという気もする。
バジルが不憫。3人とも複雑な内面で、漫画のような単純なキャラクターがいない。
自分の若さと美しさを他者から自覚させられて、その途端、そしてそれらを失いたくないと願った瞬間からそれらを失っていく。
美しさとは何か
死の意味は

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2022年08月01日

Posted by ブクログ

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オスカー・ワイルドの代表作。モチーフは肖像画と自分の関係であるため、いわゆるドッペルゲンガー物とは少し異なるのだが、肖像画が自分の心のありようを反映して徐々に変化し、あたかも生きているかのようであり、自分のコントロールが効かず、またそれに怯えるようにもなる点で、ドッペルゲンガーのような存在であり、ポーの「ウィリアム・ウィルソン」を思い出しながら読んでいた。最後は神経症的に自分で自分を追い詰めるようになるあたり類似していると思う。同じような作品が作られるあたり、当時の風潮も反映しているのだろうか。19世紀末という近代の一つの円熟期でもあり、豊かさとアジアからの異文化がロンドンという大都市の中で融合する時代の雰囲気が色濃く反映されていると思う。また、ダンディズム思想に彩られたヘンリー卿とドリアン・グレイの警句が全編にわたって展開されるあたり、また同時代のドイルも描いているアヘン窟の様子など、まさに世紀末のロンドンといえるのかとも。そういえば、最近フィラデルフィアのキングストンという街でのドラッグ中毒者がゾンビのように徘徊する動画が話題になったが、当時のアヘン窟もこんな感じだったのだろうか。ホームズのドラマなどの印象からは19世紀の方がもっと暗いイメージはあり、もっとやばいという感じもする。
いずれにしても、当時の雰囲気や、ワイルド一流の耽美的世界観を満喫できる作品である。

“ものごとを外見で判断しないのは底の浅い人間だけだよ。世界の本当の神秘は目に見えない物ではない。目に見えるものなのだ“(P.50)
“ヘンリー卿はまだ入ってきていない。遅刻するのが彼の主義なのだ。時間に正確であることは時を盗むものだという主義なのだ“(P.91)
“一生に一度しか恋をしない人間こそ浅薄なんだよ。彼らが一途さとか貞節とか呼んでいるものは、習慣による惰性か想像力の欠如だ。感情生活において誠実であるということは、知的生活において変化がないのと同じだ“(P.102)
“結婚の本当のデメリットは人を利己的でなくすることだ。利己的でない人間はつまらない。個性を欠いているんだよ“(P.148)
“まずい演技を観るのは、道徳に反する“(P.167)
“本当に魅力的な人間は二種類しかいない。本当にすべてを知っている人間か、何を知らない人間だ“(PP.167-168)
“情熱的な経験を排除するような思想や体系は、どんな形にせよ決して受け入れてはいけない。この快楽主義の目的とするところは、その経験自体であり、その経験から何かの成果を得ることではない。たとえその成果が甘いものであろうと、苦いものであろうとも、快楽主義は、感覚を押し殺してしまう禁欲とも、感覚を鈍らせる放蕩とも相容れない。それは、ただの瞬間にすぎない人生の一瞬一瞬に意識を集中して生きるよう、人間に教えてくれるものなのだ“(P.251)

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2021年09月26日

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