あらすじ
The Picture of Dorian Gray by Oscar Wilde, 1891
「新訳の光に照らされて、生身のドリアンがそこに立っている!
紫水晶色の瞳、緋色の唇から、いま生きた言葉がこぼれだす。
名優によって役が飛翔するように、名訳は原作を解き放つ。」(鴻巣友季子)
130年前の作品なのに、めちゃくちゃ面白い
最新研究を反映した決定版!異端の名作を、最高に読みやすい新訳で!
純真な青年ドリアンは天使のような美貌を買われ、肖像画のモデルになる。それは素晴らしい出来になるが、快楽主義者ヘンリー卿に若さが有限だと気づかされ絶望。「永遠に若いのが僕で、年をとるのがこの絵なら、魂だって差し出す!」以来、青年に代わり、絵が年老いていく。誰かを裏切れば絵は醜く歪み、破滅させれば邪悪に黒ずむ。××すれば…。現実と虚構、同性愛の記号が交差する異端の名作。徹底解説91P。最新研究を反映した新訳!
●他社と違う! 河合訳のここがポイント
ポイント(1) どの先行訳よりも読みやすく、面白く、原文の意味を忠実に伝える新訳。
ポイント(2) 最新研究に基づき、ワイルドの思想とテーマを明快に提示。
ポイント(3) 作品の時代背景や芸術観がわかる、読解に必須の訳注が47Pも掲載!
ポイント(4) ワイルドを破滅させた同性愛裁判を詳説する訳者あとがきも44P掲載!
※ポイント(1)(2)について、詳しくは「訳者あとがき」を参照
目次
ドリアン・グレイの肖像
訳注
訳者あとがき
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
濃密で美的な読書体験。美的に生きようとするがあまり、心を堕としていく様はとてもグロテスク。一方でワイルドの哲学が、美への愛がありありと表現されていて、甘美な気持ちになる。
訳者の自己主張というか、エゴイズムみたいなものも滲み出ているのかもしれないけれど、精緻な仕事であるのは紛れもないことだ。こんな仕事がしてみたい。
Posted by ブクログ
永遠の若さを手に入れた美青年ドリアン・グレイ。彼が悪徳に染まり、魂の純粋さを失ってゆくにつれ、彼自身の肉体の代わりに彼の肖像画が醜く老いてゆく…。ドリアンの美をカンバスに留めた画家バジルは彼の堕落に失望し、やがて破滅する。一方バジルの友人で人を煙に巻くような貴族ヘンリーは、ドリアンと意気投合し唯美主義的な享楽へと彼を引き込む。
ドリアン・グレイを挟んで神と悪魔が対立する構図のようにも読めるが、詳細な後書きを読むとバジルとヘンリーはオスカー・ワイルドの二つの側面とも読めるだろう。
ホラー小説のバリエーションとして楽しむことも可能だろう。思えば「ドリアン・グレイの肖像」はブラム・ストーカーの「ドラキュラ」とほぼ同時代の作品である。そういえばドラキュラもまた、永遠を手に入れようとしたキャラクターであった。