オスカー・ワイルドのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
オスカー・ワイルド作、平野啓一郎訳
ワイルドはアイルランド人なのに、原作はフランス語とのこと。
筋書きは知っていたつもりだけど、元々持っていたイメージとはだいぶ異なる印象。とてもわがままな王女が無茶苦茶をする話であることは同じなのだが、少女の超ツンデレぶりが逆に清々しいくらいだ。サロメが、ヨカナーン(ヨハネ)の白い肌、黒い髪、赤い唇を順に褒めたり貶したりする様は、滑稽でもあり、切なくもあり、ストーカーが死を以て相手を独占しようとする様とも重なる。どうしてもキスしたいから首を斬る、と言う発想はぶっ飛んでいるが、紀元前からずっと語り継がれてきたお話である以上は、ある程度は普遍性のある感情なのだろ -
Posted by ブクログ
ネタバレ先輩に薦められて。視線のドラマ。人は誰しも「悦びに呪われている」というのが引っかかる本でした。
<平野啓一郎解説>
・今回、私に《サロメ》の新訳を依頼したのは、演出家の宮本亜門氏
・「古典を権威にまで堕落させ」、新しい「美」の創造に対して古典を「棍棒として」振り回す保守的な読者への揶揄
・ワイルドのサロメは、もっと少女的で、愛らしい。強いて言えば純真。
・ヨカナーンの言葉は、大別して三種類
①人間ヨカナーンのつぶやき②預言者としての言葉③預言そのもの
・その無邪気なアプローチには、「ヨカナーン!お前の体が愛おしい。」と正直に語ってしまうような、母親譲りの欲望が露わになっている
・サロメ -
購入済み
読むたびに印象が変わる作品
子供の頃から何度となく読んできた作品だが、年齢によるのか訳者によるのか、毎回受ける印象が変わる。昔は美しいお話と感じていたが、今は不条理さを強く感じるかな。そういう読み方、楽しみ方で良いのだと思う。