オスカー・ワイルドのレビュー一覧
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ネタバレサロメを描いた絵画を見たことはあるが、元は戯曲。戯曲に苦手意識が有ったが、短かく読み易い。
絶世の美女であり王女でもあるサロメを、預言者ヨカナーンは見もしない。サロメはヨカナーンの首を欲する。
物語は最初から不吉な予感が漂っている。宴の席なのに、禍という言葉が何度も出てくる。皆が常に何かに怯えている。その中、大胆不敵なサロメがいる。何でも手に入る筈なのに、ヨカナーンは手に入らない。彼の首は手に入ったが、結局自分を見てもらえない。無理矢理手にしても本当に得られたわけではない。
本書はビアズレーの挿絵18点も収録されていたのが嬉しい。
ただ、自分に宗教知識がないのが残念である。 -
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オチは聞いたことがあるから、なかなかちゃんと読もうという気持ちになれなかった作品。
のめり込めるまでちょっと時間かかったかな。
時代背景の理解も難しいし、いちいちまどろっこしい言い方で表現してるところがしんどいかも。
本当に後半になってからおもしろかったかな。
少し予想外の展開が待っていたのでそれはよきよきでした。
全部で20章あって、中でも11章目は飛ばしました!
お話の本題から脱線していたような??
女性は支配されるのが好きとか、当時の人は思ってたんだって、クズ男なヘンリーが言うことに毎回ドン引きしてました。
モデルのドリアンと画家のバジルはまともな感じ。
ドリアンは推し活してるところは -
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ネタバレオスカー・ワイルド唯一の長篇小説。うまく感想をまとめられないが、まず、間違いなく傑作なのであろうと思う。それは本作がいまだに読み継がれていることからも明らかである。しかし、いっぽうで失敗作のような気もする。題名にもなっている肖像画は、画であるにもかかわらず、容貌が醜く変化してしまい、そのことがきっかけとなって多くの災厄がまき起こる。この部分だけ聞くとオカルティックで、個人的にもどうにも馴染みづらかった。そして、傑作であり失敗作であるという二重性はまた、作中の肖像画に対する評価でもある。そう考えるとこの小説は、世にも奇妙な肖像画を文章という形で表現したものであるといえるかもしれず、そんな藝当がで
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唯美主義に浸りたいだけの気持ちで読むには人生動かされすぎる問題作でした((汗
ここから得るものはかなり大きいので、人生で読んでおいた方がいい作品だと思うのですが、あらすじとか教養として知っていただけの大雑把な内容などから受けるイメージは軽すぎたかもしれません。
実際に読んでみたら無秩序が予想の遥か上をいっていて、とにかく怖い怖い!
怖がらせるためのホラー小説よりもずっと怖いです……。
凄く重く心にのしかかるものがあり、考えようによっては財産にもなり得ると思うので、読んでよかったというのは素直な感想ですが、ただ私は実際に読破する前の、大まかな知識だけの時の方がこの作品が好きでした。
全て含め -
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ネタバレ耽美小説
宝石や美しいものに関する逸話などにグレイがのめりこむ章をもう少し色鮮かに想像しながら読み直したい。
神話の引用などかなり詳しくならないとなぞるのが難しく、ただただ固有名詞として流すしかないのがもったいない感じがする。やっぱり神話とシェークスピアの知識は必須。
花や宝飾品、家具、色の名前なども豊富だから、図鑑などで予備知識を増やしておくのもいいかも。
ヘンリー卿がサディスティックで魅力的。結局この人が一番のまともな人間だったんじゃないかという気もする。
バジルが不憫。3人とも複雑な内面で、漫画のような単純なキャラクターがいない。
自分の若さと美しさを他者から自覚させられて、その途端、そ -
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言わずと知れたワイルドの戯曲ですね。ビアズリーの挿絵選びのセンスが好きなので、岩波文庫での読書を提案します。訳は言わずもがな、ワイルドらしい詩的な装飾の施された文体がやはり素晴らしいですね。
ワイルドしかりビアズリーしかり、彼らが日本人に与えた影響は図りしれないでしょう。三島由紀夫が初めて自分で買った本はワイルドだと言いますし、水島爾保布などの描く絵はビアズリーチックで魅力的です。話は逸れるようですが、サロメを読むと、中公文庫の谷崎潤一郎『人魚の嘆き 魔術師』も一緒に読みたくなります。短くてすぐに読み終わるのに、電撃的な恍惚感に浸れるので最高です。まるでヨカナーンに一目惚れしてしまったサロメの -
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ネタバレオスカー・ワイルドの代表作。モチーフは肖像画と自分の関係であるため、いわゆるドッペルゲンガー物とは少し異なるのだが、肖像画が自分の心のありようを反映して徐々に変化し、あたかも生きているかのようであり、自分のコントロールが効かず、またそれに怯えるようにもなる点で、ドッペルゲンガーのような存在であり、ポーの「ウィリアム・ウィルソン」を思い出しながら読んでいた。最後は神経症的に自分で自分を追い詰めるようになるあたり類似していると思う。同じような作品が作られるあたり、当時の風潮も反映しているのだろうか。19世紀末という近代の一つの円熟期でもあり、豊かさとアジアからの異文化がロンドンという大都市の中で融
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ゴシック小説第2ブームの代表作(最初のブームの代表作は「フランケンシュタイン」)。もうプロットが大天才なんじゃ...天才であると同時にかなりシンプルなんだけど、しかしその肉付けがモリモリモリ...いやあものすごいものをよんだなあ...!
「なにはともあれ有害な書物であった。あたかも香の強烈な匂いがこの本の頁にまとわりつき、頭脳を濁らせているかのようだった。」(p.247)この本もそうだと思う(笑)わたしにとっての新しい視点からの考え方をめちゃくちゃ吹き込まれた!でもそれが良いことなのかこの作品に関してはちょっぴりわからないのも事実(笑)
オスカーワイルドの逆説は奇抜で常識に囚われてなくてほ