オスカー・ワイルドのレビュー一覧

  • ドリアン・グレイの肖像

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    ネタバレ

     文学を読もうと思い名前を聞いたことがあった本書を手に取りました。本書はちょっと昔のイギリスの金持ちの若者がひょんなことで堕落し、最終的に悪の方面に転落しきって亡くなるという小説です(あまりにも雑な要約)。
     元来真面目(あるいは無垢?)であった主人公のドリアンは、画家のバジルを通じて知り合ったヘンリーに唆されどんどんよくない方向に進んでいきます。ヘンリーの人間像が非常にいい感じで、哲学的でなんだか深そうなよくわからないことを滔々と喋り続けるわけです。現代日本人である私の感覚からすると、ある種の魅力はあるにせよ関わってはいけないタイプの人間に感じられます。思うに、いい大人であれば本書が出版された当時からそう思っていたのではないでしょうか(事実、作中でもわりと他の人物は適当に褒めて聞き流しているっぽさもある)。しかし主人公のドリアンは無垢であるため、言葉を真に受けてどんどん享楽的な考え方に陥っていきます。
     本作の魅力はいくつもあるように思いますが、まず第一にドリアンがどんどん堕ちて行って人間性が変わっていくさまが生々しいことがあると思います。生活の様子が浮世離れしていることとは対照的です。また、作中の人物が語る美や人生についての長演説も、読むのに体力が必要ですが妙に引き込まれる魅力があります。文学や音楽、神話などから引用して自説を語る場面が多くありますが、これも本書のペダンティックな雰囲気に寄与しているように思います。
     偉大な名作にこういうことを言うのは憚られますが、読みにくいと感じる点もあります。ヘンリーがよくわからないことをひたすら喋る部分を読むのはしんどく感じることもあります。終盤ではドリアンまで似たようなこと喋るようになります。序盤の展開のゆっくりさも若干もどかしく思います。また、ある章から急に時間が進んで堕落が急に進んでいるので、過程がわかりにくく急だなとも感じます。

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    2025年06月01日
  • サロメ

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    周囲を虜にし、また危惧させるほど魔性の美貌を誇る王女サロメの、預言者ヨカナーンへの執着たるや! どれほど本人から拒まれようと恋慕し、己が手中に入れんとする様が恐ろしい。狂気ここに極まれり。

    なぜエロド王はサロメのことをずっと視ていたのか?
    ヨカナーンが非難していたのは本当にエロディアス妃だったのか、そもそも彼女は本当に罪深かったのか?
    そもそもヨカナーンは真に預言者であったのか?
    ……戯曲としてはかなり短い内容。聖書から材を得ているらしいが、分からないことだらけ。とは言え狂おしく禍々しいくらいの耽美の世界には圧倒された。収録されているAubrey Beardsleyの不可解で官能的な挿絵18点もいい。

    旧仮名遣いではある(※私が読んだのは2012年発行の第15刷。1959年 第1刷/2000年 改版第1刷)が、福田恆存の翻訳文がいい! 戯曲=「声に出して読まれるテキスト」としての話しやすさと品格が備わっていると思う。翻訳者による巻末の「解題」を作者Oscar Wildeの経歴紹介に割き、作品自体の解題を新潮文庫版に丸投げしている点はいただけない。

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    2025年05月20日
  • サロメ

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    文学の力を体現したような文章と訳で、内容は非常に面白かったのだが、ビアズリーの挿絵で全部ぶち壊されていて笑ってしまった。盛り上がって引き込まれていくシーンでヌルッと出てくる気の抜けた「サロメの化粧」等々は全く関係なさすぎてワイルドの文学に対する冒涜としか思えないのだが、ワイルドとビアズリーの当時のバチバチした関係が味わえてよかった。ビアズリーの挿絵を載せるかどうかは意見が分かれるところではあると思うが全部載せてくれた岩波文庫に感謝。

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    2025年05月07日
  • サロメ

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    FGOに登場するサロメというキャラクターが好きでせっかくなので原作を読もうと思いました。

    少女らしい可愛らしさとヨカナーンへの異常な執着を見せるおぞましさが両立してるこの文庫でも魅力的に書かれていて古典作品でありながら読みやすかったです。
    サロメの踊りの官能感や「ヨカナーンの首をちょうだい」と強請る怪しさが緊張と共に読み手にも伝わってくる素敵な文章でした。

    舞台や映像にもなっている作品なのでサロメの踊りのシーンやヨカナーンの首の唇にキスをするシーンは是非そちらでも見てみたいです。

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    2025年04月19日
  • サロメ

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    わずか90ページだが濃密。オスカーワイルドのサロメ。王女サロメはサイコパスなのか、欲望の奴隷なのか。サロメの欲するものは預言者ヨナカーンの首。ビアズリーの挿絵も強烈で凄く、インパクトのある本でした。

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    2025年03月09日
  • 新訳 サロメ

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    絶対読むべきと思いながら数年経ってしまった。が、読んだぞ!よかった!サロメが毒婦というよりはどこか切実で必死な感じで、翻訳の効果もあるんだろうけど、とにかくよかった。

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    2025年03月02日
  • ドリアン・グレイの肖像

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    存在は知っていたけれど、舞台ミュージカル「ワイルド・グレイ」を観ることにして、ようやか手に取った1冊。

    美貌の青年ドリアン、ドリアンに魅了される画家バジル、ドリアンが魅了されていくヘンリー卿。「美」とは?「若さ」とは?
    寓話的にも読める話。

    これまで思いもつかなかった視点からの見方に、ドリアンが魅了されるのがよくわかります。

    ドリアンが手にした様々な美しい物の羅列のあたりは、自分の想像力が及ばないので、冗長に感じましたが、
    そこを乗り越えるとミステリーのような展開になり、一気に読み進めてしまいました。

    最初は客観的な書き方だったのが、美しい物の羅列の後はドリアンの心情も含めた主観に近い書き方に変化していますが、特に違和感なく読めました。

    最後の方に出てきた
    「洗練を身につける方法は二つ。教養と堕落」
    という言葉がなぜか印象に残りました。

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    2025年02月26日
  • ドリアン・グレイの肖像

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    ネタバレ

    不思議な後味の残る小説だ。
    過度に花に彩られた冒頭、これは美しいドリアンを導く演出だろう。ヘンリーの逆説もくどいほどに過剰。
    ドリアンは終始利己的で、せっかく危機を乗り切ったのに自ら最期を招いてしまう。
    結局何を描いたものなのか、よくわからなかった。

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    2024年11月28日
  • サロメ

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    ネタバレ

     ヨカナーンの声
    「その日、日は黒布のごとく翳り、月は血のごとく染り、空の星は無花果の実の、いまだ熟れざるざるに枝により落つるがごとく地におちかかり、地上の王たちはそのさまを見て恐れをののくであらう」

    『私にヨカナーンの首をくださいまし』

    なんともおぞましいセリフではあるが、このあとサロメはヨカナーンに口づけをする
    ピアズレーの挿絵もなんとも素敵でぞわぞわする
    預言者の予言の表現といい、サロメと言う作品が
    長く伝わるのは、サロメの恋の激しさが、狂気が
    わかるからだろうか

    こ、こわい

    『ああ!あたしはとうとうお前の口に口づけしたよ、ヨカナーン、お前の口に口づけしたよ。お前の唇はにがい味がする。血の味なのかい、これは?‥いいえ、そうではなくて、たぶんそれは恋の味なのだよ。恋はにがい味がするとか‥でも、それがどうしたのだい?どうしたといふのだい?あたしはとうとうお前の口に口づけしたよ、ヨカナーン、お前の口に口づけしたのだよ』

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    2024年10月27日
  • サロメ

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    ヨカナーン

    大学生の時に買って、やっと読んだ
    すごく舞台的な作品だった

    真っ黒真っ白真っ赤、金に銀
    色のコントラストがいっぱい出てきてビビッドな世界が広がっていた

    みんなヤバびと

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    2024年10月27日
  • ドリアン・グレイの肖像

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    美貌の青年ドリアン・グレイがとある人物との出会いを境に、人生が狂って行く…。

    悍ましくも美しく芸術的な物語で、醜悪さと耽美さを併せ持つゴシックホラー小説。
    非常に古い作品ではあるが、古臭さは無く、終始耽美的な世界観に魅了された。

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    2024年10月06日
  • 新訳 サロメ

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    挿絵もストーリーも薄気味悪く悪趣味。だが、美少女サロメが、浮浪者のような預言者ヨカナーンに魅力を感じ入り、狂気かつ妖艶の状態となっていくさまは、人間の感情のミステリアスな部分をとても巧みに表現している。マタイの福音書がモチーフだが、よくこんなの思いつくなと、つくづく思う

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    2024年09月15日
  • 新訳 サロメ

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    ネタバレ

    ああ!おまえの口にキスしたよ、ヨナカーン、おまえの口にキスした。おまえの唇は苦い味がした。血の味かしら?でも、恋の味かも。

    耽美的・退廃的な世界観とはこういうものなのだろうか。
    ファムファタールの代表格と言われるサロメだが、どちらかというと力強く直動的で雄々しい。

    訳者あとがきも、初心者でも分かりやすくワイルドの世界観に触れることができ、良かった。

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    2024年09月12日
  • ドリアン・グレイの肖像

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    大人のための寓話。
    完成度が高く、美しくもグロテスクで悲しい。
    現代人からすると時代錯誤な描写もあるが、毎日鏡を見ては若く美しく、、、とお化粧している身としては、自分を少し顧みねばという気持ちになった。

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    2024年09月11日
  • ドリアン・グレイの肖像

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    ドリアンの悪行はベールに包まれているがギラギラと輝いて暗い中で光る宝石のような美しさを感じさせる。肖像画はドリアンの良心で、醜くなった分だけ彼が傷ついていたのだと感じた。それにしてもヘンリー卿は無責任すぎませんか。

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    2025年10月05日
  • 理想の夫

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    予想を裏切るハラハラな展開。オスカー・ワイルドが普通のつまらない戯曲を書くわけがないんだよね(『サロメ』しか読んだことないけどさ)。ストーリーはもちろんのこと、セリフもかなりおしゃれ!

    前半は、19世紀イギリスのこと、社交界のことなど、知らないからこそ理解できない表現も多く出てくるけれど、中盤からかなり面白くなってくる。

    夫婦、友人同士のすれ違いや勘違いがハラハラドキドキな戯曲です。少し古めの訳もまた味があってすてきだった〜。

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    2024年06月09日
  • サロメ

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    なぜ『サロメ』を平野啓一郎が?その狙いは?という答えは本人によるあとがきと宮本亜門が寄せた文章でしっかりと明らかに。そういうところから、この「古典新訳」シリーズ自体の意義や面白さについても考えさせられる。

    ファムファタール的イメージに支配されない、無垢な乙女であるサロメ像が、奇を衒わない堅実な訳文から確かに浮かび上がっているように思う。その試みから、ワイルド→三島→平野の文学の系譜も見出せる。

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    2024年03月13日
  • 理想の夫

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    ウィットに富んだおしゃれな英国古典文学。おしゃれで小粋なやり取りと、入り組んだ人間関係にワクワクします!

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    2023年12月28日
  • サロメ

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    ネタバレ

    サロメを描いた絵画を見たことはあるが、元は戯曲。戯曲に苦手意識が有ったが、短かく読み易い。

    絶世の美女であり王女でもあるサロメを、預言者ヨカナーンは見もしない。サロメはヨカナーンの首を欲する。
    物語は最初から不吉な予感が漂っている。宴の席なのに、禍という言葉が何度も出てくる。皆が常に何かに怯えている。その中、大胆不敵なサロメがいる。何でも手に入る筈なのに、ヨカナーンは手に入らない。彼の首は手に入ったが、結局自分を見てもらえない。無理矢理手にしても本当に得られたわけではない。
    本書はビアズレーの挿絵18点も収録されていたのが嬉しい。
    ただ、自分に宗教知識がないのが残念である。

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    2023年11月29日
  • ドリアン・グレイの肖像

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    ワイルドの物語は、コインの表と裏、紙の表と裏、その間にある僅かな厚み…その「奥行き」を表そうとしているように思える。何度でも読み返して伏線を見つけたいと思える作品。

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    2023年11月20日