オスカー・ワイルドのレビュー一覧
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ネタバレいつまでも子供の頃のように純真無垢でいたい。
とびきりの美男美女じゃなくとも、魂の清廉さを求める心は誰にでもあると思う。
そして、そんな願いを叶えたのが本作の主人公ドリアングレイ。彼は自分の肖像画に我が身にふりかかる不浄の一切を引き受けてもらえるように願い、そして叶えられた。
どう考えても悲劇的な結末しか予感させない。
なによりわたしが一番恐ろしいのは、日々頽廃するドリアングレイよりも、ヘンリー卿だ。
彼が毎度唱える逆説的な台詞には、19世紀末の暇にあかした貴族の物憂げさ、噂好き、結末のない議論好きな雰囲気がよくあらわされている。
そして彼こそ、側でドリアンが侵す悪行の数々を目にしていたは -
Posted by ブクログ
す、凄い良かった。
オスカーワイルドについては、経路がおかしいけど原田マハのサロメという作品を通じて知ったので、いい印象がなかった分、余計に感動しました(笑)
どの作品もアイロニックで、美しい文章で着飾られ、哲学的で、人間的で今の私が悩む諸々のことに、響くものがたくさんあります。琴線に触れるというか、オスカーワイルドがどれほど機知に富んでおり、悩み抜き、繊細な人なのかを窺い知れます。さらに、後藤貴志の挿絵がまた絶妙でビアズリーを思わせるタッチがたまらんです。
この本で取り上げられた作品が収められてるそれぞれの童話集を読んでみようと思います。 -
購入済み
あまりに美しい物語
黄金に覆われた鉛の体を持つ像は
幸福な王子と呼ばれた夭逝の王子の姿と心を継いでいる。
その王子像と、渡りの旅の道中にあるツバメの
出会いと愛の物語。
悲劇ではあるが、町の人々は王子像とツバメによって救われているのだ。
悲しいだけの話ではなく、王子とツバメの気高さが胸を打つ。
ツバメが実は主役なんだな。
ツバメは、暖かいエジプトに旅立つ事を放棄し王子が自らの体を貧しき人々に分け与える手助けをする。
「私は男が苦手なんですよ」なんて気取った事ばかり言う、多弁なツバメが王子の美しさに惹かれ
王子の外見以上に美しい心に触れ、次第に王子を誰よりも愛するようになる。
ツバメは愛を知ったのだ。
王子とツバメ -
Posted by ブクログ
今度オペラを見に行くので、久しぶりに読みました。かれこれ10年ぶりくらい…?以前読んだのは高校生か大学生なりたてかの多感な時期で、ひどく美しく耽美な戯曲に、そしてその日本語を書いた福田恆存に、くらくらしていた記憶がある。
久しぶりに読み返してそこまでの陶酔感が得られなかったのは、再読だからか、年だからなのか…再読だから、だといいんだけど笑
ドリアンなども読んだ身からすると、いかにもワイルドらしい表現、特に月に対する表現に、にんまりしていた。
「月を見るのはすてき! 小さな銀貨そつくり。どう見ても、小さな銀の花。冷たくて純潔なのだね、月は…さうだよ、月は生娘なのだよ。生娘の美しさが匂つてゐるも -
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昨年の『禁色』、今年の『標本作家』ときて、ようやく『ドリアン・グレイの肖像』にたどり着きました。本に関しては、読むべき時におのずと手に取ることになるという(?)運命論者なので、来るべき時が来たという感じです。
学生時代に『サロメ』にはまった時に、なぜこちらを手に取らなかったのか。福田恆存が好きだと話し合える友人がいたのに、なぜこの本を手に取らなかったのか。もう彼と話し合えることがないのに、今更彼にぴったりな本達を読むことになっているなんて、なんと残酷なのだろうと思います。でも私たちにとって、美しいものは悲劇的であるということはあまりに自明なことなので、きっとこれで良かったのだと思う自分もいます -
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ネタバレめちゃくちゃ良かった!!
学校の図書室で借りたのだが、返却期限より圧倒的に早く読み終わってしまったくらい面白かった。
前は途中でやめちゃったけど、なんだか今回は不思議とスルスル読めた。本にも時期ってものがあるのかしらね?
純粋にストーリーが面白い。最初は少し恥ずかしがり屋で純粋な青年だったドリアンがどんどん堕落していくのにはゾクゾクした。退廃的……ってこういうことを言うのかな。
ドリアンが堕落していく様が不思議と美しくて、読者もこの青年の悲劇を見届けたい……っていう考えに駆られてしまう。
最後も良かったね。自分の罪に振り回されて破滅……。若さと美しさに執着してたのにそれも失われる案外あっけな -
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平野啓一郎によるサロメ。解説でご本人が述べられていたが非常に少女性があるサロメになっている。好きな男を振り向かせようとして一生懸命なサロメ。だけど振り向いてくれず最後は殺してしまう。ヘロデも娘を振り向かせようと領土の半分を与えようとする。耽美的になりすぎず一方でサロメ独特の魅力も残したままうまく訳されていると思う。
平野さんの解説も出色で世紀末の京都の雰囲気が懐かしかった。田中さんのワイルドに関する解説もワイルド、サロメ理解を深めてくれるもので、田中さんのアドバイスがあっての平野訳ということでもあるのだろう。リヒャルト・シュトラウスのサロメとは違うということも解説を通じて知ることができた。
宮 -
匿名
購入済み雑な感想ですが
あとがきやレビューでも言われている通り、とても読みやすい翻訳。それほど平易な日本語とも思えないのに、スムーズに読めるから不思議だ。ここまで物語の内側にすっぽりくるまれるかのようにしてこの年代の海外作品を読んだことはない。
内容に関して言えば、読んでいる最中には色々な思いが去来したものの、今はただ美しい…という以外に感想がない。私が感受性に乏しいからそれしか言えないのだろうが、この物語は本文の中ですでに完成し切っており、それ以上に言い足したいことがないという気持ちでもある。
解説の中で、エドガー・アラン・ポーらの作品との共通点が指摘されている。怪奇幻想的な雰囲気もさることながら、メタファ -
Posted by ブクログ
ネタバレ私の中で1.2を争うほどお気に入りの本になりました。
思いつきそうで思いつかなかったストーリーもさることながら、キャラクターがとても魅力的。
ヘンリー卿のレスバトルの強さ……
それが正しい、と思わせる自信と巧みな言葉で相手を沼に落としていく。この作品の人物、ほぼ全てが彼の被害者と言っても過言ではないな……と思います。
恐ろしいのは彼に悪気や恨みがあってそうしているわけではないというところですね……
ヘンリー卿からしてみれば、己の意見を口にしているだけ、アドバイスをしているだけ、戯れているだけなんだろうな、と……
後半のドリアンもとても魅力的。思わず読む手が止まらなくなりました。
バジルとの