オスカー・ワイルドのレビュー一覧

  • ドリアン・グレイの肖像

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    想像以上におもしろく、引き込まれながら、気になるフレーズのあちこちに線を引きながら読んだ。あらすじは随分昔から知ってはいたけれども、そうした筋よりも、ヘンリー卿の皮肉で逆説に満ちた、でも知性的で魅力ある警句の数々、並べ立てられる芸術的な美への賛辞などなど、言葉をたどることが興味深く、おもしろかった。悲劇的なドリアンの最期は、それでも救いがあったのか。ヘンリー卿にいわせると、はじめから救われるべきものなんてないのかもしれないけど。

    線を引いたフレーズのひとつ。もちろんヘンリー卿の言葉。
    「ものごとを外見で判断しないのは底の浅い人間だけだよ。世界の本当の神秘は目に見えないものではない。目に見える

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    2013年07月10日
  • ドリアン・グレイの肖像

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    何も知らないということは、
    人間が失ってしまった
    全てのものを持っている
    ということだ。
    これには本当に納得した。
    何も知らない、無垢な状態とは
    知恵の実を食べてしまう前の
    楽園のイブだ。
    ヘビであるヘンリー卿がそそのかし、
    ドリアンは罪を知ってしまった。
    この時点でドリアンは
    神から見放され、
    人生を追放されたのだと思う。
    また、バジルの描いた絵も、
    美しくありながら、
    怪しいヘビであったのではないかと
    感じた。
    ドリアンの美しさを崇拝しながら
    一方では、彼の美しさを
    自覚させてしまうエゴに悩む。
    だからバジルはあんなに苦しみ
    絵に罪を感じていたのではないか。
    けれど罪というものは美しく

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    2013年05月28日
  • サロメ

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    まずは新訳。表紙がなかなかホラー。そのうち鴎外にもとりかかりたいです。
    言葉が右往左往する様が不穏でしゃーない(ドM顔で)
    あとすごくほも

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    2012年08月28日
  • ゲイ短編小説集

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    『永遠の生命』が恐ろしいほどにいい。個人的に。
    ワイルドに関しては盲目なので省略。サキには驚いた。解説に感謝。

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    2011年09月07日
  • ゲイ短編小説集

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    密林の野獣、あまりにもなにも起こらなさすぎてこわい。セジウィックの、クローゼットの認識論を続けて読む。

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    2011年07月11日
  • ゲイ短編小説集

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    タイトルどうにかなんねえかなあ!W・H氏の肖像のテンポが大好きです。どの話も、読み終わったらなんだか「あーあ、なんでかなぁ」的な虚な気分になります。ヨサノ的にやっぱりオスカーワイルド秀逸。

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    2009年10月04日
  • 幸せの王子 【日本語/英語版】

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    ネタバレ 購入済み

    サロメとかも書いてます

    どちらかといえばサロメよりの話が多いワイルドさんですが、
    とても同じ人の頭から紡がれた話とは思えない。
    たいへん綺麗な話です。
    汚れた話を書いている自覚があって、その反作用でこうした話を紡ぎ出したのでしょうか。
    草葉の影に引っ込んだ後、機会があれば聞いてみたいものです。
    お好みで。

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    2025年11月27日
  • 新訳 サロメ

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    ビアズリー展のミュージアムショップで購入し、展覧会の余韻に浸りながら帰りの新幹線で読破。

    そう、今こそその口にキスをするわ、ヨカナーン。
    ……ああ!ヨカナーン、ヨカナーン、おまえだけなのよ、私が愛したのは。

    同じ言葉の繰り返しが多用されていてサロメの激情がひしひしと伝わってくる。きっと劇で見ると迫力がもっとあるんだろうな。

    オスカー・ワイルド本人はビアズリーの挿絵を「日本的だ」と嫌っていたみたいだが、サロメの退廃的で耽美的な世界観にはビアズリーの美しく繊細ながらも不気味な絵柄が合うな…と思ってしまう。

    訳者あとがきも面白かった。フランス語の二人称の使い分けと心理的距離の変化が連動してる

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    2025年08月30日
  • 新訳 ドリアン・グレイの肖像

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    ネタバレ

    ビアズリー展からオスカーワイルドに興味を持って読む。
    新訳かつ解説付きでかなり読みやすい。
    おすすめ。
    肖像画が主人公の代わりに年を取り、彼が醜い行いをする度に醜い肖像画へと変化していく。
    でも年を取らないのもそれはそれで恐ろしい気もするけどね。
    最後は因果応報。ヘンリー卿が元凶かなと思うので、誰と付き合うかって大事。

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    2025年06月15日
  • ドリアン・グレイの肖像

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    ネタバレ

     文学を読もうと思い名前を聞いたことがあった本書を手に取りました。本書はちょっと昔のイギリスの金持ちの若者がひょんなことで堕落し、最終的に悪の方面に転落しきって亡くなるという小説です(あまりにも雑な要約)。
     元来真面目(あるいは無垢?)であった主人公のドリアンは、画家のバジルを通じて知り合ったヘンリーに唆されどんどんよくない方向に進んでいきます。ヘンリーの人間像が非常にいい感じで、哲学的でなんだか深そうなよくわからないことを滔々と喋り続けるわけです。現代日本人である私の感覚からすると、ある種の魅力はあるにせよ関わってはいけないタイプの人間に感じられます。思うに、いい大人であれば本書が出版され

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    2025年06月01日
  • サロメ

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    FGOに登場するサロメというキャラクターが好きでせっかくなので原作を読もうと思いました。

    少女らしい可愛らしさとヨカナーンへの異常な執着を見せるおぞましさが両立してるこの文庫でも魅力的に書かれていて古典作品でありながら読みやすかったです。
    サロメの踊りの官能感や「ヨカナーンの首をちょうだい」と強請る怪しさが緊張と共に読み手にも伝わってくる素敵な文章でした。

    舞台や映像にもなっている作品なのでサロメの踊りのシーンやヨカナーンの首の唇にキスをするシーンは是非そちらでも見てみたいです。

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    2025年04月19日
  • 新訳 サロメ

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    絶対読むべきと思いながら数年経ってしまった。が、読んだぞ!よかった!サロメが毒婦というよりはどこか切実で必死な感じで、翻訳の効果もあるんだろうけど、とにかくよかった。

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    2025年03月02日
  • ドリアン・グレイの肖像

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    存在は知っていたけれど、舞台ミュージカル「ワイルド・グレイ」を観ることにして、ようやか手に取った1冊。

    美貌の青年ドリアン、ドリアンに魅了される画家バジル、ドリアンが魅了されていくヘンリー卿。「美」とは?「若さ」とは?
    寓話的にも読める話。

    これまで思いもつかなかった視点からの見方に、ドリアンが魅了されるのがよくわかります。

    ドリアンが手にした様々な美しい物の羅列のあたりは、自分の想像力が及ばないので、冗長に感じましたが、
    そこを乗り越えるとミステリーのような展開になり、一気に読み進めてしまいました。

    最初は客観的な書き方だったのが、美しい物の羅列の後はドリアンの心情も含めた主観に近い

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    2025年02月26日
  • ドリアン・グレイの肖像

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    ネタバレ

    不思議な後味の残る小説だ。
    過度に花に彩られた冒頭、これは美しいドリアンを導く演出だろう。ヘンリーの逆説もくどいほどに過剰。
    ドリアンは終始利己的で、せっかく危機を乗り切ったのに自ら最期を招いてしまう。
    結局何を描いたものなのか、よくわからなかった。

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    2024年11月28日
  • ドリアン・グレイの肖像

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    美貌の青年ドリアン・グレイがとある人物との出会いを境に、人生が狂って行く…。

    悍ましくも美しく芸術的な物語で、醜悪さと耽美さを併せ持つゴシックホラー小説。
    非常に古い作品ではあるが、古臭さは無く、終始耽美的な世界観に魅了された。

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    2024年10月06日
  • 新訳 サロメ

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    挿絵もストーリーも薄気味悪く悪趣味。だが、美少女サロメが、浮浪者のような預言者ヨカナーンに魅力を感じ入り、狂気かつ妖艶の状態となっていくさまは、人間の感情のミステリアスな部分をとても巧みに表現している。マタイの福音書がモチーフだが、よくこんなの思いつくなと、つくづく思う

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    2024年09月15日
  • 新訳 サロメ

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    ネタバレ

    ああ!おまえの口にキスしたよ、ヨナカーン、おまえの口にキスした。おまえの唇は苦い味がした。血の味かしら?でも、恋の味かも。

    耽美的・退廃的な世界観とはこういうものなのだろうか。
    ファムファタールの代表格と言われるサロメだが、どちらかというと力強く直動的で雄々しい。

    訳者あとがきも、初心者でも分かりやすくワイルドの世界観に触れることができ、良かった。

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    2024年09月12日
  • 理想の夫

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    予想を裏切るハラハラな展開。オスカー・ワイルドが普通のつまらない戯曲を書くわけがないんだよね(『サロメ』しか読んだことないけどさ)。ストーリーはもちろんのこと、セリフもかなりおしゃれ!

    前半は、19世紀イギリスのこと、社交界のことなど、知らないからこそ理解できない表現も多く出てくるけれど、中盤からかなり面白くなってくる。

    夫婦、友人同士のすれ違いや勘違いがハラハラドキドキな戯曲です。少し古めの訳もまた味があってすてきだった〜。

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    2024年06月09日
  • ドリアン・グレイの肖像

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    ドリアンの悪行はベールに包まれているがギラギラと輝いて暗い中で光る宝石のような美しさを感じさせる。肖像画はドリアンの良心で、醜くなった分だけ彼が傷ついていたのだと感じた。それにしてもヘンリー卿は無責任すぎませんか。

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    2024年05月10日
  • サロメ

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    なぜ『サロメ』を平野啓一郎が?その狙いは?という答えは本人によるあとがきと宮本亜門が寄せた文章でしっかりと明らかに。そういうところから、この「古典新訳」シリーズ自体の意義や面白さについても考えさせられる。

    ファムファタール的イメージに支配されない、無垢な乙女であるサロメ像が、奇を衒わない堅実な訳文から確かに浮かび上がっているように思う。その試みから、ワイルド→三島→平野の文学の系譜も見出せる。

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    2024年03月13日