マイクル・コナリーのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
時は過ぎゆく。その感を作品毎に強くしてゆくのが、本シリーズのこのところの読後感である。若いベトナム帰りの辣腕刑事であったハリー・ボッシュは、今や警察を退官し老いた私立探偵となっている。その後も何作もシリーズを続けていること自体奇跡的なのだが、本書ではナイトシフトの警察官であったレネイ・バラードが未解決事件専門の新部門の責任者となった構図がシリーズに新しい風を与える。
さらにレネイ・バラードは、チームに退職者であるボッシュを迎え入れる。現役を退いてなお未解決事件に挑んできたボッシュの最新のヒストリーに、若き女性捜査官レネイ・バラードの運命を重ねることがシリーズの合体と継続とを奇跡的に成功させ、なおかつ成熟させているのだから、コナリー魔術とその奇蹟的世界設計に再々ながら驚かされた。
新しいチームに組み入れられた癖の強い新しい面々もそれぞれの個性が浮き立ち、カラフルかつ摩擦や緊張にも満ちていて本書の新しい読みどころとなっている。
本書では未解決事件に執念を見せるチームの面々も面白いところだが、彼らの一部の背景となる構造も、本書では二つの大きなうねりとなる同時並行的捜査に複雑な影となってついて回る。過去からの犯罪者を追跡しつつも、現在のチーム内に疑惑を呼び起こす奇妙なメンバーの動きなどもあって、内外ともに気が抜けないボッシュとバラードの様子が、物語全体に張りつめた緊張感を与えてゆく。
静かな捜査と大団円でのガンショット。犯罪はいつでも暴力に満ちたものだし、発生した場所や、犠牲になった人々の想い出は常に悲しくむごたらしい。それらを巻き起こしたネガティブな存在を、常に追跡し対決を挑み続ける私立探偵ハリー・ボッシュと、彼よりはるかに若いが人間的にも魅力的なレネイ・バラードという女性警察官のコンビネーションを本書からはシリーズとして新たに楽しめる。そんな期待値いっぱいの大団円を迎えながら、本書ではシリーズとしては少しショッキングなしこりのようなものが最後に残される。
ボッシュの娘である市警刑事マディと現在の相棒であるレネイ。ボッシュの正義は今、次世代に少しずつ継がれようとしている。そんな重要な局面に居合わせているような感覚を覚えるこの頃。ここのところの新作は、そういう意味でも一作一作に、まさに見逃してはならないという感覚を強烈に覚えている。次の作品が待たれると同時に、読むのが怖いような気さえしてくる。予断を許さぬシリーズ転換点に今ぼくら読者も立たされているのである。 -
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時は過ぎゆく。その感を作品毎に強くしてゆくのが、本シリーズのこのところの読後感である。若いベトナム帰りの辣腕刑事であったハリー・ボッシュは、今や警察を退官し老いた私立探偵となっている。その後も何作もシリーズを続けていること自体奇跡的なのだが、本書ではナイトシフトの警察官であったレネイ・バラードが未解決事件専門の新部門の責任者となった構図がシリーズに新しい風を与える。
さらにレネイ・バラードは、チームに退職者であるボッシュを迎え入れる。現役を退いてなお未解決事件に挑んできたボッシュの最新のヒストリーに、若き女性捜査官レネイ・バラードの運命を重ねることがシリーズの合体と継続とを奇跡的に成功させ、なおかつ成熟させているのだから、コナリー魔術とその奇蹟的世界設計に再々ながら驚かされた。
新しいチームに組み入れられた癖の強い新しい面々もそれぞれの個性が浮き立ち、カラフルかつ摩擦や緊張にも満ちていて本書の新しい読みどころとなっている。
本書では未解決事件に執念を見せるチームの面々も面白いところだが、彼らの一部の背景となる構造も、本書では二つの大きなうねりとなる同時並行的捜査に複雑な影となってついて回る。過去からの犯罪者を追跡しつつも、現在のチーム内に疑惑を呼び起こす奇妙なメンバーの動きなどもあって、内外ともに気が抜けないボッシュとバラードの様子が、物語全体に張りつめた緊張感を与えてゆく。
静かな捜査と大団円でのガンショット。犯罪はいつでも暴力に満ちたものだし、発生した場所や、犠牲になった人々の想い出は常に悲しくむごたらしい。それらを巻き起こしたネガティブな存在を、常に追跡し対決を挑み続ける私立探偵ハリー・ボッシュと、彼よりはるかに若いが人間的にも魅力的なレネイ・バラードという女性警察官のコンビネーションを本書からはシリーズとして新たに楽しめる。そんな期待値いっぱいの大団円を迎えながら、本書ではシリーズとしては少しショッキングなしこりのようなものが最後に残される。
ボッシュの娘である市警刑事マディと現在の相棒であるレネイ。ボッシュの正義は今、次世代に少しずつ継がれようとしている。そんな重要な局面に居合わせているような感覚を覚えるこの頃。ここのところの新作は、そういう意味でも一作一作に、まさに見逃してはならないという感覚を強烈に覚えている。次の作品が待たれると同時に、読むのが怖いような気さえしてくる。予断を許さぬシリーズ転換点に今ぼくら読者も立たされているのである。 -
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マイクル・コナリー『正義の弧 (下)』講談社文庫。
レネイ・バラード&ハリー・ボッシュ共演作の第4弾。マイクル・コナリーの37冊目の長編。
全ての高みを極めた現代ハードボイルド小説の最高峰。
シリーズの終焉を予告するようなラストには驚いた。31年間続くシリーズもいよいよ終わりの時を迎えるのか。
マイクル・コナリーとの出会いは扶桑社ミステリーから1992年刊行の『ナイトホークス』である。以来31年間、新刊が刊行される度に読んでいる。まさかハリー・ボッシュが登場する作品がここまで続くとは思わなかった。70歳のヒーローというとハリー・ボッシュの他にはスティーヴン・ハンターのスワガー・サーガに登場するボブ・リー・スワガーくらいしか思い当たらない。両者ともに本当に息の長いシリーズであるが、面白いことにボッシュもスワガーもガンマン或いはガンスリンガーであるという共通点がある。
さて、下巻。ボッシュとバラードはサラ・パールマン事件とローラ・ウィルスン事件の犯人を突き止めるが、意外な事実が明らかになり、真犯人が別にいることを知る。単身で真犯人を追うボッシュに生命の危機が襲いかかるのだ。真犯人が死亡し、辛くも絶体絶命の危機を脱したボッシュは満身創痍になりながらも、一家4人が殺害されたギャラガー事件の捜査を再開しようとする。しかし、サラ・パールマン事件とローラ・ウィルスン事件はまだ終わっていなかった。ボッシュとバラードは2つの事件を結ぶミッシングリンクの解明に挑む。
さらに一家4人が殺害されたギャラガー事件の捜査を再開したボッシュが知ることになる悲惨な事実……
ラストで明らかになるボッシュの苦悩。人はいずれ終わりの時を迎えると言うが……
定価10,12円
★★★★★ -
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マイクル・コナリー『正義の弧 (上)』講談社文庫。
レネイ・バラード&ハリー・ボッシュ共演作の第4弾。マイクル・コナリーの37冊目の長編。
時代の流れと共に警察捜査の手法は変わり、DNAの検出や比較、遺伝子系図学調査までが容易になった。そんな時代の流れの中でも、70歳になったハリー・ボッシュは刑事であり続ける。
もはやマイクル・コナリーの名人芸と読んで良いくらいの高みを極めた現代ハードボイルド小説の最高峰。
ロス市警の未解決事件班の責任者となったレネイ・バラードは、ハリー・ボッシュがロス市警でやり残した一家4人が殺害されたギャラガー事件の捜査をちらつかせ、ボッシュをチームに引き入れる。しかし、最優先で解決すべきは未解決事件班の立ち上げをバックアップした市会議員のジェイク・パールマンの妹が30年前に殺害されたサラ・パールマン事件の捜査だった。ボッシュの指摘により、新たに発見されたDNAからサラ・パールマン事件から11年後に起きたローラ・ウィルスン事件との関連が浮かび上がる。
次第に見えてくる事件の闇……
定価10,12円
★★★★★ -
Posted by ブクログ
ハリー・ボッシュ・シリーズ20作目後半。
ロス市警を退職後、サンフェルナンドで予備刑事となり、次々に未解決事件を解決していたボッシュ。
30年前にボッシュが逮捕した死刑囚が、冤罪であったという証拠が新たに現れる。
当時、ボッシュが捏造したと疑われ‥?
(ありえない、って!)
一方、サンフェルナンド市警の管轄内でも事件が。
ボッシュは、潜入捜査に赴くことになります。
制約がありつつも腕を活かしていたボッシュ。
ロスでは犯罪者には有名だから潜入捜査などできなかったが、痩せた風貌でやや老いてきた今は、適役らしい?
捜査途中で出会った中毒患者に対しても、これまでとはやや違った対応を見せる。
といった変化を含みつつ、最後はカッコいい。
さすが!
ミッキー・ハラーも彼らしい活躍を見せますが、ボッシュにはかなわない。
危機を思いっきり跳ね返す、熱くなる結末でした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレボッシュ&バラードの第四弾。
長年続いてきたシリーズだが、
COVID-19やマスクが登場する時が来るとは思わなかった。
マスクをする、しないにナーバスになっているのは、
アメリカの現実を反映しているのだろう。
なんだろう、例えば防護服を着て街中を歩けと言われているぐらい、
アメリカ人にとってマスクは違和感があったり、
抵抗感があることなんだろうか。
年越しパーティで空に向かって発砲するお祝いの最中に、
元ギャングの銃弾で死ぬ。
バラードがやる気のない臨時の相棒と現場にむかうが、
事故ではなく殺人とわかり、
薬莢はボッシュが昔担当した事件に導く。
バラードはこの殺人事件を担当するよう上司と掛け合う一方、
本来の担当である二人組によるレイプ事件も調べる。
どうやって彼らは標的を決めているのか、
家に侵入しているのか。
(下巻へ)