星新一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
私はこれまでSF小説をほとんど読んだことがなかった。特に理由はないが、何となく敬遠していたのだ。そのため『マイ国家』にも正直あまり期待していなかったが、その予想は良い意味で裏切られた。
本書に収録された作品には、意外な結末や皮肉の効いた展開が多い。それでも、読後には不思議と爽やかな気持ちが残る。それは、無駄を徹底的に削ぎ落とした文章に、クリスタルのような美しさがあるからかもしれない。
星新一の作品は、書かれた時代が古くなっても色褪せない普遍的な魅力を持っている。私は『マイ国家』を読んで、予想もできない結末の数々に驚かされるとともに、本を読む面白さを改めて感じた。SF小説を敬遠していた自分がもっと星新一の作品を読んでみたいと思ったほど、本当に面白い作品だった。 -
Posted by ブクログ
“流行の鞄”、“なりそこない王子”などは、思い浮かびそうで浮かばないプロットで、さすがとしかいいようがない。
“流行の鞄”は、舞台で喜劇化してもおもしろいだろうな。
“収容”は、読者の先入観を利用した、見事なオチ。読みながら、星新一にしてはいやに色っぽい語り草で珍しいなと思っていたが、なるほどその意図があったかと感嘆した。
星新一の話の根底には、痛烈な皮肉がある。もはや「バカにしている」とも言えるくらい、あるテーマを滑稽化している。
しかしながら、星新一が何世代にもわたって愛され、「読書の手始め」のような立ち位置で評価されるは、その皮肉の中に重苦しい主張がないからだと思う。
「だからどうだ、こうなのだ」という思想が込められておらず、淡々と皮肉だけを提示している。
巻末の解説が著者のあとがきになっており、星新一自身で自分の作品を批評している。たった数ページのこのあとがきでさえ、星新一の淡々とした文体が味わえ、この部分だけで買う価値がある。
装丁、挿絵が真鍋博氏のイラストでないのが、残念でならない。 -
Posted by ブクログ
ショートショートの作家が1967年から連載していたものを編集。アメリカのヒトコマ漫画を題材に、ブラックユーモアと捻りを効かせまくった数々のシチュエーションを描いてみせるエッセイのような作品集。
ショートショートの極みか。1つの題材に対し、短いものは2行程度でネタを完結させ、次々と書きまくっている。時折「これでは普通すぎる」「1回使ったら終わりのネタ」など自己分析も交えるのがエッセイらしくて面白い。最近バラエティで見かける「この絵から一言」的な企画はこの本から着想を得たのかと思えてきてしまう。
60年近く前の作品なのに、古さを全く感じさせない。題材が「手術」「強盗」「動物」「浮気」「宇宙人」など、時事ネタや技術の発展なととはあまり関係なく普遍的なものを扱っているからか。「進化した猿たち」とは象徴的な上手い表現だ。世の中が変わっても、進化しても、根本は変わらないということか。