山本知子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
《絶望の淵に立たされた時、人はどう生きる力を取り戻していくのか》
SNSで見掛けて気になった作品。
パリを代表する舞台俳優・フランソワは交通事故に遭い下半身不随に。秘密の関係を経て彼と結ばれるはずだった若き恋人・エレオノールは未来の全てをなげうち、彼を支えようとするがー…。
物語が始まる前のページから引き込まれた。
「空、はてしない青」の読者なら、きっと「あ!」ってなるハズ。
この名言、めちゃくちゃ好き。
今作も設定がすごい…!
法的に見ればレオはフランソワのそばにいる必要はないわけで、フランソワもレオにそれを強制することはできない。
お互いに離れたければいつでも離れられる関係。
夫婦 -
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Posted by ブクログ
昔、「私の頭の中の消しゴム」という映画を観て、悲しい結末が、最初から暗示されている作品は苦手になり、類する物語を避けてきた。
だから、この作品を買った時の私が、どこまで理解していたのか、今となっては分からない。
読み始めから、あぁ、これは……となってしまった。
けれど、旅を共にする二人もまた、最初から終わりが見えているのだった。
初め、出会った時は、この女性と旅をするなんて出来るのか?と思うくらい、コミュニケーションに乏しかったけれど。
少しずつ、ジョアンヌの言葉も、表情も、変わってゆく。下巻に至っては、彼女の方が言葉に富んでいるくらいだ。
エミルが喪っていく中で、ジョアンヌの回想……彼 -
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Posted by ブクログ
上巻とは変わって、下巻はジョアンヌをメインに物語が進められる。
ドンドン読み進められるし進めたいけど、進めればエミルの症状が進行してしまう、、、。
そんなジレンマを抱えながら読んだ。
最後の数章はずっと涙ぐんでいた。
ジョアンヌにこの世の美しさや純粋な感情や善き心を教えられることで、この世から自分を少しずつ消していくはずが、むしろこの世を離れたくなくないと思うようになり、自分の記憶から彼女が消えてしまうことが耐えがたい恐怖となった。
エミルの過去は消えつつあって、余命が限られているので未来もない。
でも今この時が残っている。
「今このときがほかのどんなときより優れている点がある。それは、今 -
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Posted by ブクログ
とりあえず上巻を読んでの感想。
26歳、若くして突如襲ってきた病魔。
記憶が失われる事やわずかとなった余命への恐怖を抱きながらも、病院に閉じ込められ皆に囲まれながらただ生きるのではなく自由に旅をする。
仲の良いカップルでもなく友達ですらない、最後の旅の運命共同体。
ローラとのこれまでの事など少し身勝手な言動など言い過ぎたりする事も多いエミルが、物静かで落ち着いたジョアンヌと一緒にいるうちに過去を振り返り変わっていく様子やジョアンヌを大切にするところもいい。
ジョアンヌがこの旅に参加することになったきっかけはまだ分からない、しかしジョアンヌもまたこの旅で変わりつつあるのが感じられて嬉しい思 -
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Posted by ブクログ
ネタバレすごく綺麗なお話。外国の地理には詳しくないけど、風景の描写が繊細で自分もエミルやジョアンヌと一緒に旅をしている気分になった。ジョアンヌとの初対面から慣れるまでの雰囲気は気まずかったし、水を求めてエミルが倒れそうになりながら歩いている時はハラハラした。病院からの脱走は手に汗を握ったし、エウスでの暮らしは温かかった。こんな波乱万丈で優しい生活の中では、時々襲ってくるエミルの病気がよりいっそう恐ろしく感じる。自分の家にすら帰れないってどんな気分だろう。私なら子どものように泣きわめいてしまいそう。まだ上巻しか読んでないけど、引き続き二人の旅路を見ていたい。
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Posted by ブクログ
ネットの掲示板で知り合った二人。男は過酷な運命から逃れる旅に出るために、女は新たな運命の導きに従って、選択した結果だった。
主人公の若年性アルツハイマー発病という男側の背景が明かされ、物語が動き出す。旅はキャンピングカーでピレネー山脈を巡る、うらやましくもあるものだった。美しい景色、素晴らしい出会いと同時に若年性アルツハイマー病がこの旅の本質をつき付けてくる。旅の合間、病の合間に女性側の事情が自分語りで明かされ、男と読者は共にその人生を知ることになっていく。
男、エミルの症状が深刻になるに伴い、旅は移動から移住に近いものになる。女、ジョアンヌはエミルの希望する最期をかなえるため環境を -
Posted by ブクログ
いわば幸福論の入門書のような一冊だと思う。
難解な議論ではなく、シンプルな言葉と分かりやすい喩えを用いながら、人が生きるうえで本当に大切なものは何かを率直に語っている。
この本は単なる禁欲主義を説いているわけではない
。物質的な豊かさを全面的に否定するのではなく、それに過度に依存する生き方を問い直す姿勢が貫かれている。また、精神的な学びのためにお金を惜しむ必要はないと書かれているところにも、現実に根差したバランスの良さを感じた。
「簡素であること」を自分の行動指針の一つにしたいと考えている自分にとって、この本の言葉はとても素直に胸に入ってきた。読み終えてすぐに、これは何度も読み返したくなる本だ