片山杜秀のレビュー一覧

  • 完全読解 司馬遼太郎『坂の上の雲』

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    「坂の上の雲」解説本の体。「坂の上の雲」も司馬作品も読んだことがない方が、読んでみたくなるかはよくわかりません。私は高校の時に読みましたが「坂の上の雲」も「竜馬がゆく」も司馬代表作とはとても思えず、国民小説かと言われれば・・・という感じ。確かに日露戦争開戦までは面白いんだけど、新聞連載らしい全くまとまっていない小説。なのでもう一度読んでみようとは全く思わなかったが、この対談で書かれている内容は作品関係なく、なかなか面白い。「司馬史観」とまで言われるように、如何に司馬作品が良い意味でも悪い意味でも歴史解釈に影響を与えているかがよくわかる、という意味では優れた解説本。

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    2022年04月10日
  • 完全読解 司馬遼太郎『坂の上の雲』

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    文藝春秋掲載で噛み合いが良すぎるこの2人、面白い読み物になるのは当然ではある。

    「国盗り物語」は好きだけど、「坂の上の雲」も「菜の花の沖」も読んでいない(観てもいない)者としては、「読んだ気になれる」のも大変に結構でございます。

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    2022年03月27日
  • ベートーヴェンを聴けば世界史がわかる

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    音楽は一人では演奏できないから、極めて社会的営み。だから当時の社会がわかる。と非常に納得感のある講義でした。聞き手、楽器製作の技術、お金の出どころなどなどの条件で音楽性自体も変わってくるのだな。

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    2022年02月17日
  • 尊皇攘夷―水戸学の四百年―(新潮選書)

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    気づきは多く面白かったのだが、基礎知識が足りないので、情報量が多すぎて、重い本であった。
    3割ぐらいしか読めていないと思われる。
    しかし、水戸学とは何なのか。
    慶喜は何であんな身の振り方なのかとか、
    気づきが多かったな。

    水戸学は歴史のB面。哀しみ...ってところが腑に落ちた感じ。面白かった。

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    2021年11月23日
  • 尊皇攘夷―水戸学の四百年―(新潮選書)

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    徳川光圀から始まった、尊皇攘夷の水戸学。大河ドラマ「青天を衝け」では水戸藩の動きも詳細に描かれているので、水戸学の思想について興味深く読んだ。
    徳川慶喜の大政奉還や鳥羽伏見の戦いでの敵前逃亡についても、水戸学を元にすると理解できる気がした。

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    2021年09月04日
  • 尊皇攘夷―水戸学の四百年―(新潮選書)

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     幕末維新のイデオロギー的原動力となった水戸学の原理と歴史的進展を考察する一書であるが、そうした学問を動かす現実的背景となった史実を、どこにこの話はつながるのだろうといった関心を惹起させつつ、良い具合いに織り交ぜて叙述が進んでいく。500ページ近い大作であるが、読物としても面白く、最後まで飽きさせずに読ませる力技はスゴい。

     本書でも登場する三島由紀夫や梶山静六のご先祖のように直接当事者ではないが、両親が茨城生まれだったので、幕末水戸の天狗党・諸生党の内乱のことは子どもの頃に少しは聞かされた。水戸の自虐ネタだが、茨城は幕末の内乱で有為な人材がいなくなってしまったので、明治になって全く浮かばれ

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    2021年08月09日
  • 尊皇攘夷―水戸学の四百年―(新潮選書)

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    ネタバレ

    正しさのロジックのめんどくささは今も昔も変わらないんだなあ。筋を通し、義を貫き、大義に従えと謳い続ける水戸学。常に気になり続けるのだろうなあ。読んで楽しい本じゃないが。

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    2021年07月29日
  • 現代に生きるファシズム(小学館新書)

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    ファシズムとナチズムを同一視していたため目から鱗だった。日本史でしか触れてこなかったファシズムという言葉の意義を正確に知ることができた。体制ではなく情況を表す言葉という説明はわかりやすかった。世界的に資本主義の行き詰まりを実感している状態でファシズムの出番がこれからやってくるかもしれない。来るべき時代に備えるための知識を身につけられる一冊

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    2021年03月03日
  • 革命と戦争のクラシック音楽史

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    この本の内容はカルチャーセンターでの講演だという。
    ラジオでの、あのバカ丁寧な(失礼!)、でも前のめりになって迫ってくるような、独特な語り口が彷彿とする。
    それは今、「クラシックの迷宮」を聴いているから?

    それはともかく、企図は音楽史を政治史に関わらせて読み解くことだろう。
    モーツァルトのトルコ趣味も、墺土戦争、オスマントルコのウィーン包囲の影響があること。
    ベルリオーズの幻想交響曲や、ベートーヴェンの第九にも、フランス革命や、その後の自由主義思想が反映していること。
    オーケストラの楽器編成(特に金管楽器)にも、国民国家の軍隊が出来上がる時代の要請に応じたものだというところは特に面白かった。

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    2021年02月27日
  • 革命と戦争のクラシック音楽史

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    著者はラジオ「クラシックの迷宮」の解説をしており、その独特な切り口と番組構成には、毎回驚かされる。そこで選曲された曲は珍しい曲、マイナーな曲が比較的多く、曲自体の魅力に気づかされることが少なくない。他方、曲の合間で加えられる講釈も楽しい。本書はいわばその解説パートに特化したものといえる。

    一読してわかったことは、市民革命が先行し、新しい聴衆となる層が多くなると、その層に好まれる曲想や曲の役割が付与されていった、ということだ。ベルリオーズの幻想は、フランス革命後の貴族でない市民に受け入れ、ラ・マルセイエーズを歌った軍隊は強くなった。またベートーベンの曲と種々の革命は密接に関連している。今年はベ

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    2020年07月31日
  • 皇国史観

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    持続可能な(皇族に優しい)天皇制と、それを支える新たな「皇国史観」、ね。
    まぁ、人権を剥奪された上で「立派な日本人」の象徴たることを強要されている方々をどう救済していくか、は大問題ではありますわな。
    壊れちゃったら、換えが効かないんだから。

    恥知らずな長州人に都合良く利用されないようにもしないとね。

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    2020年05月05日
  • 未完のファシズム―「持たざる国」日本の運命―

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    日本が戦勝国として関わった第一次世界大戦を起点に「なぜ日本が勝てるはずもない戦争に飲めりこみ滅びたのか」を読み解く。

    未完のファシズムという意味は、明治日本は天皇中心の国家を築こうと試みたにもかかわらず、天皇以外にはリーダーシップをとれる仕組みがなかったこと。

    確かに日本のヒトラーと言われる東條英機も独裁者だったか?というとNO。この「本気で意見が一致してひとまとまりになり誰かの指導や何かの思想に熱烈に従うことは、いついかなるときでも、たとえ世界的大戦争に直面して総力をあげなくてはならないときでも、日本の伝統にはない」「幕末維新は尊皇派も佐幕派も開国派もいたからこそかえってうまく運んだ。い

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    2022年03月14日
  • 平成史

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    説明不要なこの二人の対談本、ということで同時代史として一読の価値は十分すぎるほどある。

    ただ、片山杜秀氏の他の著作の圧倒的な面白さに惹かれて手に取った私にとっては、片山氏の佐藤氏への遠慮(忖度)がかなりの残念感(それが象徴的に出ていたのが、片山氏の「シン・ゴジラ」への評価。他の文章ではあれだけ絶賛していたじゃないですか、片山先生!!)。

    佐藤氏は、間違いなく頭の明晰な整理されたトークのうまい人であるが、それだけにその瞬間の分析が速報性が高い、というか、都度都度上書き更新されていく印象が強い(雑誌の連載などでそれが顕著)。それは官僚として必要な資質だとも思うので批判しているわけではない。

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    2020年04月06日
  • 革命と戦争のクラシック音楽史

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    またも現代史ではなく近代史のお話か、と思ったら、今回は片山先生の大好きなプロコフィエフやハチャトゥリアン、そして伊福部昭とも通底するネタでありました。
    菊地成孔のテーゼがジャズ=踊るための音楽なら、片山杜秀のテーゼはクラシック=行進のための音楽、というところか。

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    2019年09月29日
  • ベートーヴェンを聴けば世界史がわかる

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    クラシック音楽は他の芸術とは違い、作り手よりも受容先の状況が重要となる演奏する人と聴衆がいなければ成り立たないので、死後評価される画家、文学者のような人はほとんどおらず、異端の音楽家というのもクラシックの世界ではほぼいない。
    元々教会音楽から始まった受容は王侯貴族、大都市のブルジョアと受け継がれる。グレゴリオ聖歌は、もっとも神の作り出したものに近い人間のみで奏でる音楽であるが、それに宗教改革を経て、ラテン語から現地の言葉、歌いやすいメロディといった世俗的な要素が加わっていき、王侯貴族のオペラや室内楽になっていった。バッハは教会に所属して音楽を作っていったが、どちらかというと後世に評価された作曲

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    2019年07月15日
  • ベートーヴェンを聴けば世界史がわかる

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    社会史の観点で音楽史をざっくり語ったもの。重厚な読書ができた気はしないが、1日で読み終わる平易さがお手軽で、教養に富んだ筆者の語り口も面白かった。

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    2019年07月13日
  • ベートーヴェンを聴けば世界史がわかる

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    タイトルをそのまま鵜呑みにすると、本書の全体を勘違いする。ベートーヴェンは、クラシック音楽の聴き手に、一般市民が参加できる素地を作った意味で、エポックと言えるが、ベートーヴェン以前、以後を通して、クラシック音楽を方向付けしてきた音楽史が語られている。誰が支えてきたか聴き手の変遷から、その時代の社会環境から、音楽家の狙いがわかりやすく解説されている。著名な音楽家の人となりや、作品を通して、クラシック音楽の世界を再構築できる。

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    2019年06月04日
  • ベートーヴェンを聴けば世界史がわかる

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    教会音楽?クラシック音楽?バッハ?ベートーヴェン?ワーグナー?なにが違うの???

    …と、音楽的素養のない私にはそう感じられるのだが、この本を読んで、世の中や教会の権威、音楽の受け取り手の世界史の中での変容に応じて(またはあらがう形で)、音楽が歴史を紡いできたことを知ることが出来た。当時の世の中の受け取り手に向けて、こういう意味合いで作られた音楽…という作品の背景を知り、敷居の高い音楽、全く分からない音の羅列を、理解するヒントが得られたような気がする。
    ベートーヴェンの運命の、覚えやすい冒頭のメロディーは、なぜそうなっているのか、が分かる。

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    2019年05月13日
  • ベートーヴェンを聴けば世界史がわかる

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    美術や文学と違い、受取手の存在が必要な音楽。それだからこそ音楽は時代・社会を反映するという観点から西洋音楽史を見ていく。
    自分の音楽の追求と近代市民というニーズへの応えが一致したベートーヴェン。学校というシステムができることで難解で退屈であることが権威という商品価値を持つようになった。ドイツより先に理想のドイツをつくったワーグナー、日本の近代化もワーグナーモデルの影響下で進展した。

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    2019年02月16日
  • ベートーヴェンを聴けば世界史がわかる

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    第3章までは、普通の音楽史に書かれている普通の進行だが、第4章の「ベートーベンの時代」から面白くなってくる。

    市民の時代において、市民と向き合うことで生まれてきたのがベートーベンの音楽である。
    キーワードは、①わかりやすい(簡易・単主題) ②うるさい(刺激・エネルギー・力) ③新しがる(資本主義・驚き)

    ちょっと強引に作曲家と時代を関連付けすぎていると感じる部分もあるが、代表的作曲家が存在した時代背景についての認識を持っているのと、持たずにいるのでは、聴こえてくる音が全く違ってくるだろう。

    ベートーベン以降はシェーンベルクに至る(ロマン派から近代)、社会と音楽の変遷が非常分かりやすくまと

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    2019年01月15日