片山杜秀のレビュー一覧

  • 革命と戦争のクラシック音楽史

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    この本の内容はカルチャーセンターでの講演だという。
    ラジオでの、あのバカ丁寧な(失礼!)、でも前のめりになって迫ってくるような、独特な語り口が彷彿とする。
    それは今、「クラシックの迷宮」を聴いているから?

    それはともかく、企図は音楽史を政治史に関わらせて読み解くことだろう。
    モーツァルトのトルコ趣味も、墺土戦争、オスマントルコのウィーン包囲の影響があること。
    ベルリオーズの幻想交響曲や、ベートーヴェンの第九にも、フランス革命や、その後の自由主義思想が反映していること。
    オーケストラの楽器編成(特に金管楽器)にも、国民国家の軍隊が出来上がる時代の要請に応じたものだというところは特に面白かった。

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    2021年02月27日
  • 革命と戦争のクラシック音楽史

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    著者はラジオ「クラシックの迷宮」の解説をしており、その独特な切り口と番組構成には、毎回驚かされる。そこで選曲された曲は珍しい曲、マイナーな曲が比較的多く、曲自体の魅力に気づかされることが少なくない。他方、曲の合間で加えられる講釈も楽しい。本書はいわばその解説パートに特化したものといえる。

    一読してわかったことは、市民革命が先行し、新しい聴衆となる層が多くなると、その層に好まれる曲想や曲の役割が付与されていった、ということだ。ベルリオーズの幻想は、フランス革命後の貴族でない市民に受け入れ、ラ・マルセイエーズを歌った軍隊は強くなった。またベートーベンの曲と種々の革命は密接に関連している。今年はベ

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    2020年07月31日
  • 皇国史観

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    持続可能な(皇族に優しい)天皇制と、それを支える新たな「皇国史観」、ね。
    まぁ、人権を剥奪された上で「立派な日本人」の象徴たることを強要されている方々をどう救済していくか、は大問題ではありますわな。
    壊れちゃったら、換えが効かないんだから。

    恥知らずな長州人に都合良く利用されないようにもしないとね。

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    2020年05月05日
  • 未完のファシズム―「持たざる国」日本の運命―

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    日本が戦勝国として関わった第一次世界大戦を起点に「なぜ日本が勝てるはずもない戦争に飲めりこみ滅びたのか」を読み解く。

    未完のファシズムという意味は、明治日本は天皇中心の国家を築こうと試みたにもかかわらず、天皇以外にはリーダーシップをとれる仕組みがなかったこと。

    確かに日本のヒトラーと言われる東條英機も独裁者だったか?というとNO。この「本気で意見が一致してひとまとまりになり誰かの指導や何かの思想に熱烈に従うことは、いついかなるときでも、たとえ世界的大戦争に直面して総力をあげなくてはならないときでも、日本の伝統にはない」「幕末維新は尊皇派も佐幕派も開国派もいたからこそかえってうまく運んだ。い

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    2022年03月14日
  • 平成史

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    説明不要なこの二人の対談本、ということで同時代史として一読の価値は十分すぎるほどある。

    ただ、片山杜秀氏の他の著作の圧倒的な面白さに惹かれて手に取った私にとっては、片山氏の佐藤氏への遠慮(忖度)がかなりの残念感(それが象徴的に出ていたのが、片山氏の「シン・ゴジラ」への評価。他の文章ではあれだけ絶賛していたじゃないですか、片山先生!!)。

    佐藤氏は、間違いなく頭の明晰な整理されたトークのうまい人であるが、それだけにその瞬間の分析が速報性が高い、というか、都度都度上書き更新されていく印象が強い(雑誌の連載などでそれが顕著)。それは官僚として必要な資質だとも思うので批判しているわけではない。

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    2020年04月06日
  • 革命と戦争のクラシック音楽史

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    またも現代史ではなく近代史のお話か、と思ったら、今回は片山先生の大好きなプロコフィエフやハチャトゥリアン、そして伊福部昭とも通底するネタでありました。
    菊地成孔のテーゼがジャズ=踊るための音楽なら、片山杜秀のテーゼはクラシック=行進のための音楽、というところか。

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    2019年09月29日
  • ベートーヴェンを聴けば世界史がわかる

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    クラシック音楽は他の芸術とは違い、作り手よりも受容先の状況が重要となる演奏する人と聴衆がいなければ成り立たないので、死後評価される画家、文学者のような人はほとんどおらず、異端の音楽家というのもクラシックの世界ではほぼいない。
    元々教会音楽から始まった受容は王侯貴族、大都市のブルジョアと受け継がれる。グレゴリオ聖歌は、もっとも神の作り出したものに近い人間のみで奏でる音楽であるが、それに宗教改革を経て、ラテン語から現地の言葉、歌いやすいメロディといった世俗的な要素が加わっていき、王侯貴族のオペラや室内楽になっていった。バッハは教会に所属して音楽を作っていったが、どちらかというと後世に評価された作曲

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    2019年07月15日
  • ベートーヴェンを聴けば世界史がわかる

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    社会史の観点で音楽史をざっくり語ったもの。重厚な読書ができた気はしないが、1日で読み終わる平易さがお手軽で、教養に富んだ筆者の語り口も面白かった。

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    2019年07月13日
  • ベートーヴェンを聴けば世界史がわかる

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    タイトルをそのまま鵜呑みにすると、本書の全体を勘違いする。ベートーヴェンは、クラシック音楽の聴き手に、一般市民が参加できる素地を作った意味で、エポックと言えるが、ベートーヴェン以前、以後を通して、クラシック音楽を方向付けしてきた音楽史が語られている。誰が支えてきたか聴き手の変遷から、その時代の社会環境から、音楽家の狙いがわかりやすく解説されている。著名な音楽家の人となりや、作品を通して、クラシック音楽の世界を再構築できる。

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    2019年06月04日
  • ベートーヴェンを聴けば世界史がわかる

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    教会音楽?クラシック音楽?バッハ?ベートーヴェン?ワーグナー?なにが違うの???

    …と、音楽的素養のない私にはそう感じられるのだが、この本を読んで、世の中や教会の権威、音楽の受け取り手の世界史の中での変容に応じて(またはあらがう形で)、音楽が歴史を紡いできたことを知ることが出来た。当時の世の中の受け取り手に向けて、こういう意味合いで作られた音楽…という作品の背景を知り、敷居の高い音楽、全く分からない音の羅列を、理解するヒントが得られたような気がする。
    ベートーヴェンの運命の、覚えやすい冒頭のメロディーは、なぜそうなっているのか、が分かる。

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    2019年05月13日
  • ベートーヴェンを聴けば世界史がわかる

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    美術や文学と違い、受取手の存在が必要な音楽。それだからこそ音楽は時代・社会を反映するという観点から西洋音楽史を見ていく。
    自分の音楽の追求と近代市民というニーズへの応えが一致したベートーヴェン。学校というシステムができることで難解で退屈であることが権威という商品価値を持つようになった。ドイツより先に理想のドイツをつくったワーグナー、日本の近代化もワーグナーモデルの影響下で進展した。

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    2019年02月16日
  • ベートーヴェンを聴けば世界史がわかる

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    第3章までは、普通の音楽史に書かれている普通の進行だが、第4章の「ベートーベンの時代」から面白くなってくる。

    市民の時代において、市民と向き合うことで生まれてきたのがベートーベンの音楽である。
    キーワードは、①わかりやすい(簡易・単主題) ②うるさい(刺激・エネルギー・力) ③新しがる(資本主義・驚き)

    ちょっと強引に作曲家と時代を関連付けすぎていると感じる部分もあるが、代表的作曲家が存在した時代背景についての認識を持っているのと、持たずにいるのでは、聴こえてくる音が全く違ってくるだろう。

    ベートーベン以降はシェーンベルクに至る(ロマン派から近代)、社会と音楽の変遷が非常分かりやすくまと

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    2019年01月15日
  • 大学入試問題で読み解く 「超」世界史・日本史

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    私が歴史に本格的に興味を持つようになったのは、予備校時代に河合塾の石川晶康先生の講義を受けたからである。「歴史に流れなんてない、っつうの」が口グセ。実はそれは現代のパラダイムで過去を安易に語るな、ということを言っていたのだと思う。これ出るぞ、は本当に出題されていたが、要するに学会誌に丹念に目を通して出題者の関心を捕捉していたんだろう。「聖と賤はコインの裏表だからな」なんてことを板書して力説していたし(これはのちに網野善彦を読み漁ることにつながった)、「7-8世紀の対東アジア外交は押さえとけ」の教えは今、娘に引き継いでいる。

    さて本書は、そもそも小学校から一貫校で大学受験自体未経験という著者が

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    2019年01月01日
  • ベートーヴェンを聴けば世界史がわかる

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    音楽の提供者ではなく、受け手の変遷を軸にして、音楽史を振り返る1冊。教会を中心とした宗教音楽から、王侯・貴族に向けた音楽へ、そして市民に向けた音楽へと、社会の変化を反映しつつ変容を遂げていく音楽。そのなかで、市民向けの音楽を創造したという意味で、ベートヴェンは比類なき業績を残した。
    さらに面白かったのが、大国のグローバリゼーションに対抗し、民族を重視し、小国が存在感を増していく流れの中で、ワーグナーが台頭していったという流れ。
    音楽というのは、あとから振り返っても、いろんな意味付けが可能ですが、こうして世界史と重ね合わせながら語られるのはとても新鮮でした。

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    2018年12月17日
  • ベートーヴェンを聴けば世界史がわかる

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    近現代日本史を主戦場とする片山先生が書く西洋古典音楽史。

    まぁ、伊福部だって北海道の原野からポッと生まれ出てきたわけでなく、現代音楽を理解しようと思ったら土台としての19世紀以前を「教養」として掘り下げるんでしょうが、そこは片山先生だけあって、掘り下げ方というか、掘り拡げ方が半端ではない、と。

    吉松隆にも諸井誠にも書けないスーパー音楽史、その口調は「でございます」なのだけど、それで想起したのが、小沢昭一さんでございますな。
    あしたの、ベートーヴェンのこころだぁ!

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    2018年12月15日
  • シリーズ・企業トップが学ぶリベラルアーツ 「五箇条の誓文」で解く日本史

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    日本の近代史を様々な視点から見直すという作業は本当に難しい。その意味で、著者の試みは非常に重要である。
    特に、戦前の体制は権力の分立が徹底されていていわゆる「東条独裁」なるものは一切なかったという指摘は秀逸である。

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    2018年04月18日
  • シリーズ・企業トップが学ぶリベラルアーツ 「五箇条の誓文」で解く日本史

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    日本のあらゆるところに蔓延する、無責任主義、たこつぼ思考が五箇条の誓文に読み取れるとする新説。なぜ明治維新はうまく行き、77年後の敗戦を招いたのか。元勲がいなくなって国の経営を統合できる人物がいなくなったからだ、という。非常に腑に落ちる仮説だ。
    戦後72年を過ぎ、リーダーシップのある首相に期待が集まる反面、ファッショとラベルをつけて馬鹿騒ぎするマスコミ。煽動を真に受けないものの、ちょっと危ういなと眉唾で聞く民衆。職域奉公に専念し我関せずの経済人。非常に危うい時期に来ているのは間違いなさそうだ。。。
    戦前と異なるのは、国民が本位ではなく足かせに見えるところ。愛国心の基礎を奪われた状態で、一朝事が

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    2018年04月08日
  • 音盤考現学 片山杜秀の本(1)

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    ネタバレ

    とてつもない本。
    残念ながら私はクラシックに関しては
    不得手な部類に入るため
    ピントは来ないのですが、
    物は試しなので一部楽曲は聞いてみました。

    クラシックと言えば…の
    あの方の曲は実に難解でした。
    でもはまる人ははまるんだろうな。
    嫌いではないですよ。

    そして、ある動画で見た指揮者の方は
    やっぱりものすごい人なんだな、と思いました。
    確かかなり長く生きた指揮者の方で、
    すごい人からバイオリンの指導を受けていたことは
    全く知りませんでした。

    クラシックというと有名どころばかりですが
    この本にはそういうのはあまり出てこず
    (まあ、マーラーは有名か)
    私も聞いたことのない人ばかりでした。

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    2018年02月28日
  • シリーズ・企業トップが学ぶリベラルアーツ 「五箇条の誓文」で解く日本史

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    <目次>
    序章  「五箇条の誓文」と明治150年
    第1章  尊皇攘夷再考~「未来の攘夷」と「方便の開国」
    第2章  明治国家のデザインの秘密~「王政復古」と「シラスによる政治」
    第3章  大正デモクラシーとは何だったのか
    第4章  昭和維新の論理~攘夷からアジア主義へ
    第5章  非常時国家のへの野望と挫折
    終章   「五箇条の誓文」と平成日本

    <内容>
    この本の魅力は、「五箇条の誓文」を利用して、明治~戦前までの日本近代史を俯瞰してしまったことだろう。こうした歴史論は面白い。あっているかどうかは二の次で、解釈されたものの筋が通っているものは面白い。昭和維新の①アジア主義②農本主義③国家社会主

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    2018年02月23日
  • クラシック迷宮図書館 片山杜秀の本(3)

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    ネタバレ

    音楽関連の本ばかりが集まった
    音楽に疎い私には「???」になりそうな本たち。
    しかも書評される本のタイトルが堅苦しいぜ、
    まったく。

    著者の読書方法はある種似たものがあります。
    (ただし、100冊分まではさすがに決めなかったぞ
    私は)

    タイトルにこそクラシックがあり、
    大体の本はそれがメインではあるものの
    電子音楽も出てきますし、
    ピアニストに関しても出てきますし
    どうして演奏者は名器を持つと
    残念になるとか…

    書評の終わりの1行が独特。
    でもきれいにまとまっているのよね。

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    2018年02月19日