片山杜秀のレビュー一覧

  • 未完のファシズム―「持たざる国」日本の運命―
    「天皇陛下万歳!」が明治や大正以上に昭和で叫ばれなくてはいけなくなったのは一体なぜなのか?
    時代が下がれば下がるほど、近代化が進展すればするほど、神がかってしまうとは、いったいどういう理屈に基づくのか・・・

    重要なキッカケになったのは101年前に勃発した第一次世界大戦だったと、著者は言う・・・
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  • 未完のファシズム―「持たざる国」日本の運命―
    第一次大戦の教訓を正しく学び、持たざる国が持てる国に勝つ方策がないことを痛感したからこそ、一億玉砕に向かったという。おそらく正しい歴史認識だと感じる。
    戦後70年を間近に控えた今、我々の世界情勢への認識は何か変わったのだろうか?持たざる国であることは変わりない。中国と紛争が起きたら、果たしてどうなる...続きを読む
  • 未完のファシズム―「持たざる国」日本の運命―
    アジア・太平洋戦争における日本の悲惨なまでの敗北は、第一次世界大戦、いわゆる総力戦に学ばなかったことが原因のひとつという認識であったが、本書では少なくとも第一次世界大戦から来るべき次の戦争が総力戦になることは学んでいた。(→青島要塞攻略戦など)しかし、資源や工業力を持たない日本が、持つ国と戦うには、...続きを読む
  • 国の死に方
    特に、第2章「国家をわざと麻痺させる」と、第9章「舌先三寸と気分の衆愚選挙」を興味深く読んだ。
    歴史から学ぶべきことはたくさんある。そうあらためて実感させられた。
  • 未完のファシズム―「持たざる国」日本の運命―
    日本という工業力が弱く、資源に乏しい”持たざる国”がなぜ、太平洋戦争を行わねばならなくなったのか。この問いに対し、戦時の陸軍軍人、石原完爾、小畑敏四郎、中柴末純、酒井鎬次などを取り上げ、その思想的背景、明治憲法下の政治体制について論が進んでいく。顕教と密教という対比を使い、彼らが表向きに語ることと、...続きを読む
  • 未完のファシズム―「持たざる国」日本の運命―
    戦前の軍隊の極端な精神主義は、第一次世界大戦の詳細な分析による結論という、かなり好奇心をそそられる内容。

    「持たざる国」である日本が、「持てる国」であるアメリカやソ連と戦って生き残るためにはどうすればよいかという観点から、それぞれ考え方は違ったが、満州事変や「生きて虜囚の辱かしめを受けず」に代表さ...続きを読む
  • 国の死に方
    大日本帝国、ナチス、ソ連の死に方、日本が死にかけた関東大震災、大恐慌とゴジラに象徴される現代をエッセイ形式で描いている。「未完のファシスト」と同様な意外な材料により説かれており何れの章も興味深かった。特に、昭和初期の東北農村の疲弊が、朝鮮産の米の導入によるとの話は、初めて聞いた。
  • 未完のファシズム―「持たざる国」日本の運命―
    WW1前やWW2の時の日本軍の思想体系について詳しくかかれた本。持たざる国の日本の苦渋の決断、日本の伝統支配の「しらす」、軍事の戦争を巡る明治憲法の構造的な問題など知りましたとさ。。
  • 音盤博物誌 片山杜秀の本(2)
    異常に面白い。一晩で読みきってしまった。
    今まで評論といえば「文句だらけの貧相な感想文」というイメージしかなかったが、この本に掲載されている50本(!)もの評論はいずれも独自の切り口と長い研究の成果が見事に「面白く」、知的に昇華されており、読んでいて興奮すら覚えてくる。

    ただ私の不勉強からか、筆者...続きを読む
  • 音盤考現学 片山杜秀の本(1)
    あまり知らない現代音楽の作曲家のことや、日本の作曲家のこと、その曲目や、時代背景、文化的価値などを、CD評を通して知ることができる。
    音楽にはそれぞれの「好み」が必ずある。それが、ふだんは自分があまり聴かないたぐいの音楽であれば、そんな音楽のことを知るには、その音楽を好んで聴いている人の話を聞くのが...続きを読む
  • 歴史は予言する(新潮新書)
    一個一個は面白く、知らない話も多かったのだが週刊誌のゴシップ記事のような雰囲気が合わなかった。ちゃかして終わりというか。こちらも真面目に読む気が失せてしまったのがもったいないなと思った。
  • 歴史は予言する(新潮新書)
    「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」、「歴史は繰り返される」など歴史を学ぶことの重要性を問う言葉や文面は多く存在する。私も学生時代は歴史の授業が好きで、大学は法学専攻だったが一年次は西洋史や宗教史などの授業が1番面白かったのを記憶している。歴史といえば山川出版の教科書に慣れ親しみ、用語集などは凡そ...続きを読む
  • 11人の考える日本人 吉田松陰から丸山眞男まで
    音楽評論家としてテレビに登場する片山杜秀氏。
    本業は思想史研究であり、明治から戦後にわたって名を馳せた11人が選ばれ、著者が考察して本質に迫っていくスタイルをとる。吉田松陰から始まり丸山眞男までが論述されていくが、小林秀雄、西田幾太郎、丸山眞男が印象に残った。
    小林秀雄曰く、何でも科学的に説明できる...続きを読む
  • 現代に生きるファシズム(小学館新書)
    ファシズムって?ナチズムとどう違う?といった疑問から購読。

    その定義から天皇制に飛び、日本の過去現在未来そして超未来(文学)にも及ぶ対談をがっつく。

    それは情況論なので「束ね」感覚に注意だということは最低限分かったかな。
    満腹だ。。
  • ごまかさないクラシック音楽(新潮選書)
    帯や紹介文には「最強の入門書」と銘打っているが、全く入門書ではない。切り口は、岡田史観と片山思想。ある程度、この2人の著者の本を読んでいない人にとっては敷居が高そうな内容だった。

    私は岡田氏の本も数冊、片山氏の本は多く読んでいるが、本書は対談のためもあってだろうが、落としどころ・まとめ方が弱い感を...続きを読む
  • 11人の考える日本人 吉田松陰から丸山眞男まで
    丸山眞男の言う、政治家を含め我が国の天皇ですら「無責任体系」が明治・大正・昭和へと続いている、と言う。奇しくも、平成、令和においても誰一人「責任ある判断、行動、決断ができない」国へと継続しており、「集団的『流れ』に任せた無責任主義」が悲しいかな横行していると感じる、のは私だけだろうか。
  • 音盤博物誌 片山杜秀の本(2)
    本書の元の記事は、2000年から2008年までレコ芸に連載していた「傑作!?問題作!?」である。その全100本の記事の内、前半の50本が「片山杜秀の本 1 音盤考現学」に、後半の50本が本書に納められている。

    1枚のテーマ・ディスクに対する記事なので、落とし所は限られてくる。そういう場合でも、取り...続きを読む
  • 歴史という教養
    文字通り、歴史という教養について語った一冊。

    内容以前に、言いたいことがよく分からない感じだった。
  • 完全読解 司馬遼太郎『坂の上の雲』
    司馬遼太郎の「坂の上の雲」は、私の一番好きな本の一つです。(もっとも読んだのは大昔ですが・・・)
    その本を月刊文藝春秋で、佐藤優と片山杜秀の対談で取り上げていたものが出版されたので、どんな対談か楽しみにして手にした次第です。

    この「坂の上・・・」は筆者(司馬遼太郎)が、第4巻のあとがきで「この作品...続きを読む
  • 文藝春秋2021年4月号