片山杜秀のレビュー一覧

  • 未完のファシズム―「持たざる国」日本の運命―
    総力戦が、物量の差で決することは
    有能な軍人たちは自覚していた。
    そのうえで、「持たざる国」はどのように処すべきか、
    を考えた3人の軍人の、3つの論。
    明治憲法下ではファシズムさえも運用不可能という矛盾も。
  • 未完のファシズム―「持たざる国」日本の運命―
    戦術思想史を日露戦争から第二次世界大戦に至るまでの変遷を概観した快著。
    ・青島の火力に頼む近代戦
    ・ドイツフランスに輸出された日露戦争の勇猛果敢な突撃戦術
    ・ネタがベタになった短期決戦・包囲殲滅ドクトリン
  • 未完のファシズム―「持たざる国」日本の運命―
    [玉砕、その合理的結論]日露戦争の勝利から転がり落ちるようにして第二次世界大戦に臨み、終いには「バンザイ突撃」に象徴される精神主義の称揚とその崩壊で滅亡の淵に立たされるまでに至った日本。著者はその精神主義が一定程度は合理的に導きだされたものだったとして、第一次世界大戦時の重要性を指摘します。果たして...続きを読む
  • 国の死に方
    著者曰く、日本という国は死につつあるらしい。3・11、福島原発を取り上げるまでもなく、明治時代から現在までリーダー不在の日本は迷走し続けている。

    そんな日本という国を、時にナチスドイツやソ連、ゴジラなどと比較しながら、新書らしからぬ軽妙な文体で描写する。述べていることはヘビーだが、短編歴史小説のよ...続きを読む
  • 未完のファシズム―「持たざる国」日本の運命―
    日清・日露戦争を経た日本にとって、第一次世界大戦の衝撃波が、どのような影響を及ぼし、その後の歴史にどう関わってきたかを、膨大な資料を基に丁寧に解説した研究書。

    第一次世界大戦により空白化したアジアマーケットに日本が積極的に進出したことによる空前絶後の好景気が起こる。

    1913年当時の日本の経済は...続きを読む
  • 未完のファシズム―「持たざる国」日本の運命―
    第一次世界大戦を基点として、日本の軍人が歩んだ戦争哲学を読み解き、皇道派vs.統制派の争い、世界最終戦論、総力戦体制、そして一億玉砕まで、日本人の神がかりともいえる変化を浮き彫りにしている。軍人の心理変化が分析されていて興味深い1冊でした。
  • 国の死に方
    江戸期に水戸学で確立された国体論(「君臣相和し頭を垂れる」)が第2次世界大戦以後まで続くのだが、その国体論を実践し維持するには必要不可欠な要素があった。「犠牲を強いるシステムとしての国体」の側面だ。国体論が語られる際に表だって言及されなかったが、これこそが無条件降伏をした後でさえも維持しようとした国...続きを読む
  • 未完のファシズム―「持たざる国」日本の運命―
     対米戦争において、戦前の軍部にはざっくりわけると二つの考え方(戦略)があった。  「皇道派」と「統制派」である。


     第一次世界大戦以降、戦争は国家間の総力戦となり、兵士の質や戦略の優劣の差は決定的な要因とはならず、国家の商業力、工業力の差が、そのまま戦力比となった。局地戦で勝利することがあった...続きを読む
  • 国の死に方
    これが2013年の「この国のかたち」なんだろうと思う。
    今思えば大げさだが、大震災の津波の映像や原発爆発の映像をリアルタイムで見たとき、身近な社会に対して感じる自分の中の常識が吹き飛んだように感じた。
    放射能を含めた震災に関するマスコミ報道やネット上の誤報やデマで社会の混沌を感じた。
    身近な社会に対...続きを読む
  • 文藝春秋2月号

    文芸春秋3月号

    年間購読にしているのですがどうしたら読めますか
  • 国の死に方
    政治思想史が専門である筆者は、武家政権における執権、明治政府の元老、ヒトラー、ソビエト指導部などの例を引きながら政治権力の源泉について読者に考えさせる。
    そして、豊富なエピソードをもとに、大正時代以降の権力が分断されてリーダーシップを発揮出来ない政府、普通選挙がもたらしたポピュリズム、関東大震災や米...続きを読む
  • 未完のファシズム―「持たざる国」日本の運命―
    皇道派と統制派それぞれの行動原理を読み解くことができるようになっており、現代から見ると非合理的な行動でも当事者たちの目線に立つことにより理解しやすくなっている。

    読み終えた印象として、遠い将来に想定していたはずの対米戦について、互角に戦おうとあれこれ対策をすればするほどアメリカを刺激して開戦がどん...続きを読む
  • 音盤博物誌 片山杜秀の本(2)
    『音盤考現学』に続く第2弾であるが、こちらの方がはるかによい。
    初出は『レコード芸術」の連載記事だが、連載を重ねるにつれて勝手がわかってきたのか、たいへんに説得力のある文章となっている。
    「ふーん、こんな曲あるんだ」というような、あまり世間では知られていない曲が多く紹介されているが、そのすべてを「ん...続きを読む
  • 音盤考現学 片山杜秀の本(1)
    iPad傍に再読。Wikipedia見たり、iTunesの試聴でチョイ聴きしたり(この本に載っている曲はほぼ無いけど)、そのまま衝動買いしたり、ピアノアプリで「ドードードー、ドーシドーレレ#ー」と伊福部旋律弾いてみたり、フミフムしながらも2ページに1度は爆笑している。
  • 歴史は予言する(新潮新書)
    週刊新潮の名物コラム「火裘冬扇」から。
    筆者の知識力には驚かされる。斬新な視点は通常のテレビや新聞報道とは一線を画する。ちょっと右寄りな気もするが。
  • 尊皇攘夷―水戸学の四百年―(新潮選書)
    尊王と攘夷が何故、水戸から産まれたのか?
    天下の副将軍の論理的思考、九十九里浜の沖が捕鯨船の停泊地、鯨の海だった事から語られる水戸の400年。
  • 11人の考える日本人 吉田松陰から丸山眞男まで
     日本の知識人・オピニオンリーダー11人の思想とその原点をわかりやく解説している。各人の経歴など、多少退屈に感じるところもあったが、文章もよみやすく、その時代の思想風潮もよく理解できた。
     各人は、多かれ少なかれ、「天皇」をどう位置づけるかにも心を砕いており、天皇は日本独自の思想背景としてなくてはな...続きを読む
  • ごまかさないクラシック音楽(新潮選書)
    クラシック音楽にまつわる入門書や解説書というのは世の中にごまんと溢れていて、当然のごとくそれらの大半は知的興奮を全く与えてくれないレベルのものばかりである。
    そんな情況に対して”Nein”を突き詰めるが如く、京都大学人文研におけるクラシック音楽の専門家として高いレベルの分泌活動を続ける岡田暁生と、政...続きを読む
  • トッド人類史入門 西洋の没落
    エマニュエル・トッドとの対談

    ロシアとウクライナ
    日本や西洋の立場でなく、非西洋的な立場から見れば違った視点が見えてくる。
    進んでいると思われた西洋の家族のあり方。
    ロシアから見たら西洋による侵略からの防衛戦争
    アメリカによるドイツの国力低下を狙った武器許与
    ロシアのGDPでは測れない軍事力

    ...続きを読む
  • 11人の考える日本人 吉田松陰から丸山眞男まで
    吉田松陰から丸山真男まで、11人の人物の経歴と思想を紹介した新書。
    松蔭、丸山を始め、福沢諭吉、岡倉天心、北一輝、美濃部達吉、和辻哲郎、河上肇、小林秀雄、柳田国男、西田幾太郎と、多士済々の人物について述べられており、彼らの思想と生き方を学ぼうとする読者には、格好の入門書と言えるだろう。
    福沢諭吉の項...続きを読む