3.11のあと被害規模が明らかになるにつれ、また、被災地とは離れた首都圏や西日本にまで影響が出てくるにつれ、"日本が非常事態に陥った"、"いよいよ滅びの一途を辿るのか、"と不安に感じた人は少なくないと思う。
非常事態、国の滅亡――「現在から想起される過去について書くことで、現在を思う糧が得られるよう
...続きを読むにやってみたい」(p.217)
・・という考えの元、行われた連載をまとめた一冊。
中世~近世~近代の日本、加えてナチスドイツ・ソ連の政治史をかいつまみながら、国家の衰亡をプロセスを辿る。
面白かったです。
特に6~8章の保険と関東大震災・戦災について書かれた部分は、こういう視座での考察には触れたことが無かったので新鮮でした。
あと、ゴジラ。
水爆実験がきっかけで覚醒した大怪獣は、口から放射能を吐き、野を被爆させる・・最終的には在野の研究者が自らの命を投げ出し、ゴジラを道連れに死ぬ――そんな話だったとは知らなかった。
日本の「『国体より重い命のない国』から『人の命は地球より重い国』へ」の捻転(p.213)・・という一文とも相まってとても印象に残りました。
ゴジラを語る部分や、3.11後の原発云々に揺れる日本を語る部分はやや叙情的すぎますが、"論考"というより"思索"と思って読めば良いかと。
大いに面白かったです。