片山杜秀のレビュー一覧

  • 平成史
    説明不要なこの二人の対談本、ということで同時代史として一読の価値は十分すぎるほどある。

    ただ、片山杜秀氏の他の著作の圧倒的な面白さに惹かれて手に取った私にとっては、片山氏の佐藤氏への遠慮(忖度)がかなりの残念感(それが象徴的に出ていたのが、片山氏の「シン・ゴジラ」への評価。他の文章ではあれだけ絶賛...続きを読む
  • 革命と戦争のクラシック音楽史
    またも現代史ではなく近代史のお話か、と思ったら、今回は片山先生の大好きなプロコフィエフやハチャトゥリアン、そして伊福部昭とも通底するネタでありました。
    菊地成孔のテーゼがジャズ=踊るための音楽なら、片山杜秀のテーゼはクラシック=行進のための音楽、というところか。
  • ベートーヴェンを聴けば世界史がわかる
    クラシック音楽は他の芸術とは違い、作り手よりも受容先の状況が重要となる演奏する人と聴衆がいなければ成り立たないので、死後評価される画家、文学者のような人はほとんどおらず、異端の音楽家というのもクラシックの世界ではほぼいない。
    元々教会音楽から始まった受容は王侯貴族、大都市のブルジョアと受け継がれる。...続きを読む
  • ベートーヴェンを聴けば世界史がわかる
    社会史の観点で音楽史をざっくり語ったもの。重厚な読書ができた気はしないが、1日で読み終わる平易さがお手軽で、教養に富んだ筆者の語り口も面白かった。
  • ベートーヴェンを聴けば世界史がわかる
    タイトルをそのまま鵜呑みにすると、本書の全体を勘違いする。ベートーヴェンは、クラシック音楽の聴き手に、一般市民が参加できる素地を作った意味で、エポックと言えるが、ベートーヴェン以前、以後を通して、クラシック音楽を方向付けしてきた音楽史が語られている。誰が支えてきたか聴き手の変遷から、その時代の社会環...続きを読む
  • ベートーヴェンを聴けば世界史がわかる
    教会音楽?クラシック音楽?バッハ?ベートーヴェン?ワーグナー?なにが違うの???

    …と、音楽的素養のない私にはそう感じられるのだが、この本を読んで、世の中や教会の権威、音楽の受け取り手の世界史の中での変容に応じて(またはあらがう形で)、音楽が歴史を紡いできたことを知ることが出来た。当時の世の中の受...続きを読む
  • ベートーヴェンを聴けば世界史がわかる
    美術や文学と違い、受取手の存在が必要な音楽。それだからこそ音楽は時代・社会を反映するという観点から西洋音楽史を見ていく。
    自分の音楽の追求と近代市民というニーズへの応えが一致したベートーヴェン。学校というシステムができることで難解で退屈であることが権威という商品価値を持つようになった。ドイツより先に...続きを読む
  • ベートーヴェンを聴けば世界史がわかる
    第3章までは、普通の音楽史に書かれている普通の進行だが、第4章の「ベートーベンの時代」から面白くなってくる。

    市民の時代において、市民と向き合うことで生まれてきたのがベートーベンの音楽である。
    キーワードは、①わかりやすい(簡易・単主題) ②うるさい(刺激・エネルギー・力) ③新しがる(資本主義・...続きを読む
  • 大学入試問題で読み解く 「超」世界史・日本史
    私が歴史に本格的に興味を持つようになったのは、予備校時代に河合塾の石川晶康先生の講義を受けたからである。「歴史に流れなんてない、っつうの」が口グセ。実はそれは現代のパラダイムで過去を安易に語るな、ということを言っていたのだと思う。これ出るぞ、は本当に出題されていたが、要するに学会誌に丹念に目を通して...続きを読む
  • ベートーヴェンを聴けば世界史がわかる
    音楽の提供者ではなく、受け手の変遷を軸にして、音楽史を振り返る1冊。教会を中心とした宗教音楽から、王侯・貴族に向けた音楽へ、そして市民に向けた音楽へと、社会の変化を反映しつつ変容を遂げていく音楽。そのなかで、市民向けの音楽を創造したという意味で、ベートヴェンは比類なき業績を残した。
    さらに面白かった...続きを読む
  • ベートーヴェンを聴けば世界史がわかる
    近現代日本史を主戦場とする片山先生が書く西洋古典音楽史。

    まぁ、伊福部だって北海道の原野からポッと生まれ出てきたわけでなく、現代音楽を理解しようと思ったら土台としての19世紀以前を「教養」として掘り下げるんでしょうが、そこは片山先生だけあって、掘り下げ方というか、掘り拡げ方が半端ではない、と。

    ...続きを読む
  • シリーズ・企業トップが学ぶリベラルアーツ 「五箇条の誓文」で解く日本史
    日本の近代史を様々な視点から見直すという作業は本当に難しい。その意味で、著者の試みは非常に重要である。
    特に、戦前の体制は権力の分立が徹底されていていわゆる「東条独裁」なるものは一切なかったという指摘は秀逸である。
  • シリーズ・企業トップが学ぶリベラルアーツ 「五箇条の誓文」で解く日本史
    日本のあらゆるところに蔓延する、無責任主義、たこつぼ思考が五箇条の誓文に読み取れるとする新説。なぜ明治維新はうまく行き、77年後の敗戦を招いたのか。元勲がいなくなって国の経営を統合できる人物がいなくなったからだ、という。非常に腑に落ちる仮説だ。
    戦後72年を過ぎ、リーダーシップのある首相に期待が集ま...続きを読む
  • 音盤考現学 片山杜秀の本(1)
    とてつもない本。
    残念ながら私はクラシックに関しては
    不得手な部類に入るため
    ピントは来ないのですが、
    物は試しなので一部楽曲は聞いてみました。

    クラシックと言えば…の
    あの方の曲は実に難解でした。
    でもはまる人ははまるんだろうな。
    嫌いではないですよ。

    そして、ある動画で見た指揮者の方は
    やっ...続きを読む
  • シリーズ・企業トップが学ぶリベラルアーツ 「五箇条の誓文」で解く日本史
    <目次>
    序章  「五箇条の誓文」と明治150年
    第1章  尊皇攘夷再考~「未来の攘夷」と「方便の開国」
    第2章  明治国家のデザインの秘密~「王政復古」と「シラスによる政治」
    第3章  大正デモクラシーとは何だったのか
    第4章  昭和維新の論理~攘夷からアジア主義へ
    第5章  非常時国家のへの野望...続きを読む
  • クラシック迷宮図書館 片山杜秀の本(3)
    音楽関連の本ばかりが集まった
    音楽に疎い私には「???」になりそうな本たち。
    しかも書評される本のタイトルが堅苦しいぜ、
    まったく。

    著者の読書方法はある種似たものがあります。
    (ただし、100冊分まではさすがに決めなかったぞ
    私は)

    タイトルにこそクラシックがあり、
    大体の本はそれがメインでは...続きを読む
  • 大学入試問題で読み解く 「超」世界史・日本史
    こうして読んでいくと、つまらなかった受験の歴史もすごい面白く考えられる。むしろ、ここまで高校生に考えろというのが無理か。
  • 大学入試問題で読み解く 「超」世界史・日本史
    ・十字軍は、政治的な影響、経済的な影響、文化的な影響をもたらした。
    ・教皇と諸侯の力をそぎ、王と商人の力が伸長した。中世が崩壊し、絶対王政が幕を開ける。
    ・ヨーロッパはユーラシアから見れば「辺境」であり、進んだ東方の文明やイスラム帝国やモンゴル帝国からは放っておかれた。そのおかげで、自分のペースで近...続きを読む
  • 大学入試問題で読み解く 「超」世界史・日本史
    大学入試の試験問題を答えながら、歴史を物語のように読み解くというもの。知らないことだらけだったので、とても面白い本だった。
  • 国の死に方
    逆説の日本史?世界史?読んだことはないが苦笑 ヒトラーは独裁ではなかった。戦争中の日本は軍国主義ではなかった。文体のテンポがよく、すいすい読めた。本書と未完のファシズムは大学時代のゼミの先生に貸してもらった本。さぁ、未完のファシズムを読もう。