片山杜秀のレビュー一覧
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日本の知識人・オピニオンリーダー11人の思想とその原点をわかりやく解説している。各人の経歴など、多少退屈に感じるところもあったが、文章もよみやすく、その時代の思想風潮もよく理解できた。
各人は、多かれ少なかれ、「天皇」をどう位置づけるかにも心を砕いており、天皇は日本独自の思想背景としてなくてはならぬ存在であったこともよくわかった。近年はむしろ天皇に触れることはタブーのような風潮があるが、(どう位置づけるかにかかわらず)天皇抜きに日本の思想は論じられない、というのが、本書の裏テーマなのかな、と感じた。
知ってるようで知らない日本の代表的な知識人達の主張の概要を学ぶには最適の一冊。 -
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クラシック音楽にまつわる入門書や解説書というのは世の中にごまんと溢れていて、当然のごとくそれらの大半は知的興奮を全く与えてくれないレベルのものばかりである。
そんな情況に対して”Nein”を突き詰めるが如く、京都大学人文研におけるクラシック音楽の専門家として高いレベルの分泌活動を続ける岡田暁生と、政治学者としての顔も持ちながらクラシック音楽に対する広範な知識量でも読者を圧倒する片山杜秀という2人がタッグを組んだ本書は、まさに自分が本当に読みたかった入門書・解説書であった。
本書の特徴は、通常の入門書・解説書ではさらっと触れるような点についても、その背景・理由をごまかすことなくクリアに語ろうと -
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吉田松陰から丸山真男まで、11人の人物の経歴と思想を紹介した新書。
松蔭、丸山を始め、福沢諭吉、岡倉天心、北一輝、美濃部達吉、和辻哲郎、河上肇、小林秀雄、柳田国男、西田幾太郎と、多士済々の人物について述べられており、彼らの思想と生き方を学ぼうとする読者には、格好の入門書と言えるだろう。
福沢諭吉の項では、慶應義塾が日本で初めて授業料をとる学校だったとのエピソードも。
彼が戦前から戦後まで説得力を持ち続けた唯一の思想家であるのは、人間が独立して生きるにはお金が大事だという経済リアリズムだったからとも。
それぞれの人物について20頁前後でまとめられているのは、1回ひとり90分程度で「夜間授業」とい -
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単行本「クラシックの核心」の9人に、ベートーヴェン、トスカニーニ、バーンスタイン、カラス、リヒター、吉田秀和の6人を追加し、文庫化した本。
既に、「クラシックの核心」は読んでいたので、文庫化の際に追加となった6人だけを読んだ。ベートーヴェンは、初出の文藝別冊で読んでいたが、この際なので、また読んだ。
文藝別冊では、片山氏の書いた記事のページは、文字サイズがかなり小さく印刷されている。その為、ぱっと見て(内容云々の前、つまり認知容易性が悪いということ)あまり良い印象は抱かないが、本書は普通の文庫本の文字サイズであるため読みやすい。
内容は、話題が多岐に渡り面白い。ただ面白いだけではなく、そこ -
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江戸幕府成立後も伊達政宗など東北には曲者が揃っていた。この防波堤が水戸徳川家である。藩主は江戸在住が義務とされるが、格式は尾張、紀伊より低く、土地も痩せており財政は苦しかった。そこで徳川光圀は将軍に対する天皇の優位性を強調した。水戸学の創始である。後期水戸学会沢正志斎は攘夷を説き、吉田松陰に影響を与えた。この頃ロシアとの接触があったことが背景にある。
明治憲法において国務大臣は天皇を輔弼するとされている。輔弼とは責任と判断を行う意味であるから、天皇は政治的責任を取らなくて良いという構造である。これに抵抗した井上毅は天皇主権説を主張。のちの天皇機関説事件等に続く対立構図は、憲法制定当初からあった -
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音楽評論よりも、本業の著作「未完のファシズム」で興奮させられた片山杜秀氏が、このところ新刊が相次ぎ、いったい何人のゴーストライターを抱えているかと思わせる佐藤優氏との共著でこの本の出版案内を見かけたので「坂の上の雲」を再読した上で読み終えた。
結果的には再読直後に手にしたのが正解であった。
お二人の対談を文章化したものに加え、要所要所にそれぞれが眺めのコラムというかエッセイ風のものを差し込み、言い足りなかったところを補足している。
司馬遼太郎を手放しで礼賛することなく、「国民文学」としての司馬遼太郎の美点と、ある意味弱点となってるところを冷静に見て取っているあたりが、読んでいて納得感が大き -
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「坂の上の雲」解説本の体。「坂の上の雲」も司馬作品も読んだことがない方が、読んでみたくなるかはよくわかりません。私は高校の時に読みましたが「坂の上の雲」も「竜馬がゆく」も司馬代表作とはとても思えず、国民小説かと言われれば・・・という感じ。確かに日露戦争開戦までは面白いんだけど、新聞連載らしい全くまとまっていない小説。なのでもう一度読んでみようとは全く思わなかったが、この対談で書かれている内容は作品関係なく、なかなか面白い。「司馬史観」とまで言われるように、如何に司馬作品が良い意味でも悪い意味でも歴史解釈に影響を与えているかがよくわかる、という意味では優れた解説本。
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幕末維新のイデオロギー的原動力となった水戸学の原理と歴史的進展を考察する一書であるが、そうした学問を動かす現実的背景となった史実を、どこにこの話はつながるのだろうといった関心を惹起させつつ、良い具合いに織り交ぜて叙述が進んでいく。500ページ近い大作であるが、読物としても面白く、最後まで飽きさせずに読ませる力技はスゴい。
本書でも登場する三島由紀夫や梶山静六のご先祖のように直接当事者ではないが、両親が茨城生まれだったので、幕末水戸の天狗党・諸生党の内乱のことは子どもの頃に少しは聞かされた。水戸の自虐ネタだが、茨城は幕末の内乱で有為な人材がいなくなってしまったので、明治になって全く浮かばれ