片山杜秀のレビュー一覧

  • 未完のファシズム―「持たざる国」日本の運命―

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    「天皇陛下万歳!」が明治や大正以上に昭和で叫ばれなくてはいけなくなったのは一体なぜなのか?
    時代が下がれば下がるほど、近代化が進展すればするほど、神がかってしまうとは、いったいどういう理屈に基づくのか・・・

    重要なキッカケになったのは101年前に勃発した第一次世界大戦だったと、著者は言う・・・
    去年は勃発100年だったので、いろいろ書物が出てたけども、日本史の勉強ではあまり重要視されない第一次大戦・・・
    欧州が戦場であり、日本は大戦景気に沸き、経済が絶好調で、参戦国とはいえ、青島でドイツ軍と戦ったぐらいで、実質は遠くから見守る観客であった・・・
    国民の多くは大戦景気に踊るだけで、第一次世界大

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    2015年02月01日
  • 未完のファシズム―「持たざる国」日本の運命―

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    第一次大戦の教訓を正しく学び、持たざる国が持てる国に勝つ方策がないことを痛感したからこそ、一億玉砕に向かったという。おそらく正しい歴史認識だと感じる。
    戦後70年を間近に控えた今、我々の世界情勢への認識は何か変わったのだろうか?持たざる国であることは変わりない。中国と紛争が起きたら、果たしてどうなるのか?便衣兵ならぬ国籍不明漁船が多数尖閣諸島に迫ってきたら?
    日本のまずいところは、空気を読み過ぎて意見の多様性を認められないところではないかと思う。

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    2014年03月16日
  • 未完のファシズム―「持たざる国」日本の運命―

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    アジア・太平洋戦争における日本の悲惨なまでの敗北は、第一次世界大戦、いわゆる総力戦に学ばなかったことが原因のひとつという認識であったが、本書では少なくとも第一次世界大戦から来るべき次の戦争が総力戦になることは学んでいた。(→青島要塞攻略戦など)しかし、資源や工業力を持たない日本が、持つ国と戦うには、資源や工業力が無くとも戦える(補給線や多量の鉄量を考えない)速戦速決の殲滅戦とそれを補う無限の精神力が重視された。ところが、そこには顕教(建前)と密教(本音)の二面性が存在した。密教ではいくつかの条件が満たされねばならず、その条件が満たされなかったためにあの敗北が訪れたとしている。

    小畑敏四朗ら皇

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    2013年07月20日
  • 国の死に方

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    特に、第2章「国家をわざと麻痺させる」と、第9章「舌先三寸と気分の衆愚選挙」を興味深く読んだ。
    歴史から学ぶべきことはたくさんある。そうあらためて実感させられた。

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    2013年05月20日
  • 国の死に方

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    大日本帝国、ナチス、ソ連の死に方、日本が死にかけた関東大震災、大恐慌とゴジラに象徴される現代をエッセイ形式で描いている。「未完のファシスト」と同様な意外な材料により説かれており何れの章も興味深かった。特に、昭和初期の東北農村の疲弊が、朝鮮産の米の導入によるとの話は、初めて聞いた。

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    2013年02月16日
  • 音盤博物誌 片山杜秀の本(2)

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    異常に面白い。一晩で読みきってしまった。
    今まで評論といえば「文句だらけの貧相な感想文」というイメージしかなかったが、この本に掲載されている50本(!)もの評論はいずれも独自の切り口と長い研究の成果が見事に「面白く」、知的に昇華されており、読んでいて興奮すら覚えてくる。

    ただ私の不勉強からか、筆者のあまりの博識からか、読みながら易々と筆者の主張に説得され、違和感を覚えてもすぐに捻り潰されてしまう感じがある。これが筆者のスタイルなのだと思ってしまえば何の問題もないんだが、なんとなく悔しい。完敗です。

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    2011年07月18日
  • 音盤考現学 片山杜秀の本(1)

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    あまり知らない現代音楽の作曲家のことや、日本の作曲家のこと、その曲目や、時代背景、文化的価値などを、CD評を通して知ることができる。
    音楽にはそれぞれの「好み」が必ずある。それが、ふだんは自分があまり聴かないたぐいの音楽であれば、そんな音楽のことを知るには、その音楽を好んで聴いている人の話を聞くのがいちばんなのである。

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    2011年01月09日
  • シリーズ・企業トップが学ぶリベラルアーツ 「五箇条の誓文」で解く日本史

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    自民党の高市早苗氏が内閣総理大臣となり、お隣中国とのちょっとしたイザコザはあるものの、国民からの人気は絶大(今のところは)、何かこの国を良い方向へと導いてくれるのではないかという、淡い期待を抱いてしまう。高市総理は何と言っても日本最初の女性総理であるし、かつて絶大な人気を誇り、その存在感を対世界に対しても発揮してきた今は亡き安倍元総理の面影を思い起こさせる。期待はしてみたいが、またいつもの様に裏切られたら嫌だから、がっかりしない様に冷めた目で見ている自分がいる。とは言え、この先の日本の在り方、超高齢社会、エネルギーや食料の確保と自給自足、地方の過疎化や都市への一極集中、そして災害やサイバーテロ

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    2025年12月12日
  • ごまかさないクラシック音楽(新潮選書)

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    対談しているご両人ともに、クラシック音楽についての碩学であることはまちがいないのであるが、ともするとそれが互いの妄想を語るときもあって(特に片山氏にその傾向が強い)、「いくらなんでもそれはないんじゃない?」と思えることも多々あった。

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    2025年12月03日
  • 生き延びるための昭和100年史(小学館新書)

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    とても読みやすく勉強になりました。昭和100年と言う視点が面白いと思いました。もう100年になるのかと感じながら買いました。戦前から戦中戦後にかけての日本の歴史が中心です。日米同盟があるのでアメリカの歴史も入ってきます。日本の総理大臣やアメリカの大統領がたくさん登場します。会話形式なので非常に読みやすかったです。ただずっと手元に保管をしておくと言う本ではなさそうです。なぜならば、数年すれば色あせるそういった類の新書であるからです。

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    2025年10月13日
  • 歴史は予言する(新潮新書)

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    週刊新潮のコラムの書籍化。
    未来を見通すために過去を振り返る、著者独自の視点で切り取る"今"が小気味良い。

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    2025年09月15日
  • 国の死に方

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    何か、明確な主張のある本を想定していたので、肩透かしを食らった気持ちはある。どうも連載ものをまとめた本とのことなので、自分の下調べ不足かもしれない。
    ただ、要所要所で面白い論考はあった。

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    2025年08月02日
  • 歴史は予言する(新潮新書)

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    概要
    「1秒遅れの時計は永遠に合わない。しかし、止まっている時計の針は必ず合う」。現代人はインターネットやSNSを駆使して「最新の情報」を追い求めるが、すべての情報はどんなに速くても「1秒遅れ」で届く。一方、止まった時計は一日に二度、正確に“今”を指し示す。未来を見通すには、現在を追いかけるより過去を振り返るほうが有効なこともある。週刊新潮の看板コラム『夏裘冬扇』待望の書籍化。

    FMの「クラシックの迷宮」やN響のプログラムに連載されていた「N響百年史」で馴染みがあるが、著作を読むのはおそらく二度目のはず。マニアックな視点が面白い。

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    2025年07月26日
  • トッド人類史入門 西洋の没落

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    『西洋の敗北』がとても面白かったので、理解を深めるために本書をAudibleで聴いた。『我々はどこから来て、今どこにいるのか?』などからの引用が多く、そのたびに出典の書名も音読されるのが非常に苦痛だった。

    本の分量は少なく、さらっと聴くことができたし、内容自体も理解を定着させるという意味では良かったと思うが、それ以上ではない。

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    2025年05月29日
  • 11人の考える日本人 吉田松陰から丸山眞男まで

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    ここ数年、精力的に執筆活動を加速させている片山杜秀氏。従来は主として音楽評論・政治評論を手掛けてきた(特に『未完のファシズム』が名高い)ので、本書のように単なる「政治」カテゴリーに収まらない――なんてったって西田幾多郎や小林秀雄までもが論及されている――ある種、畑違いの著作は珍しい気がする。
    タイトル(ちなみに、この本のタイトルは、おそらく映画『12人の怒れる男』をもじったものだろう)にもあるように、この本は、11人の著名な思想家達を一章ずつ取り上げて、その代表的著作を丁寧に――しかし時には掻い摘みながら――紐解いて、彼らの思想の核心に迫っていく日本近現代思想の入門書である。似たような類書はい

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    2025年04月27日
  • 左京・遼太郎・安二郎 見果てぬ日本(新潮文庫)

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    小松左京、司馬遼太郎、小津安二郎という、一見関係が無さそうに見える3人の創作者を通じて、昭和の日本を眺めてみるという面白い切り口の著作。関係なさそうでいて、色々共通点も見いだされるところが、年齢の幅はありながらも、同じ時代を生きた故か。

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    2025年01月14日
  • 11人の考える日本人 吉田松陰から丸山眞男まで

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    吉田松陰。欧米列強は日本にたいして船など高額なもの売る。値は張るが、資金は貸してやるという。しかし借金が返せない場合、日本の土地に租借権を要求。部分的に植民地にしてしまう。徳川幕府は米と通商を結ぼうとしているが、隙あらば侵略を仕掛ける欧米列強のやり方に無防備すぎる。p.26 水戸学では日本を守るのは侍(エリート)であり愚民は反乱を起こさないよう統治するという発想だが、日本を守るためには身分関係なく教育しなければならない。p.28▼丸山まさお。天皇はヒトラーのような独裁者ではない。天皇は万世一系の血統で威光を発しているのでり、天皇自身が主体ではない。天皇は自らの意志によって何かをする気持ちがない

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    2024年12月19日
  • 歴史は予言する(新潮新書)

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    日本の歴史に沿った話。それに現象がこうだと言っているだけで、将来どうなると言ったことには触れられていない。

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    2024年10月20日
  • 別冊NHK100分de名著 宗教とは何か

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    4人の作家がそれぞれ宗教についての学びの深い本を1冊ずつ取りあげて紹介・解説している本。とりわけ各章末の考察欄が非常によい。

    「宗教は社会や家庭と対話を重ねながら価値観をすり合わせて共に成熟していくことが重要」
    「宗教に対して疑いがあって当然、逆に100%疑いがない方が危うい」
    「信仰は信じる・信じないの間で揺れ動くが、離れられないと思った時に本物になっていく」
    「論理を超えた妄信があるからこそ宗教と呼ぶ。」
    「宗教には体感できる非日常性がなければならない。」
    「念仏とは与えられるもの(与格的)であり、自分の無力さに絶望し祈ろうという気さえ起きないようなときに初めて他力が開かれる」
    要約する

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    2024年09月05日
  • トッド人類史入門 西洋の没落

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    2024.07.01
    確かに西洋は没落するのかもしれない。しかし、それは日本が興隆するというわけではない。その答えが見えない時代だという認識が必要なのはわかった。答えは自分で探さないといけないのだ。

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    2024年07月01日