片山杜秀のレビュー一覧

  • トッド人類史入門 西洋の没落
    トッドの知性は現在世界の知識人の中でも、ずば抜けて信頼がおけるということを再認識した。

    トッド自身の語り口の妙は相変わらずだが、トッドの集大成ともいえる「我々はどこから来て、今どこにいるのか?」の読みどころを論じる片山と佐藤による対談も勘所をよく押さえていて、良いおさらいになった。

    ウクライナ戦...続きを読む
  • ごまかさないクラシック音楽(新潮選書)
    音楽のストリーミング配信とクラシック音楽の関係性。聞きたい所だけを抜き出して聴く、ながら聞き、
    クラシック音楽は今後衰退の一方と思いきや、音楽コンクールでのアジア勢の活躍。混沌としときました。
  • トッド人類史入門 西洋の没落
    家族の形を分類して考察するところが目新しく、面白かった。日本は長男が家を継いでいく的な直系家族だというのは今の時代たしかに違うけど根底として残っていると感じているし、ドイツが同じような家族形態であったこと、さらに直系型であるが故に社会が安定・硬直しがちで、英米の核家族型社会の破壊的創造と対比されると...続きを読む
  • 片山杜秀のクラシック大音楽家15講
    単行本「クラシックの核心」の9人に、ベートーヴェン、トスカニーニ、バーンスタイン、カラス、リヒター、吉田秀和の6人を追加し、文庫化した本。

    既に、「クラシックの核心」は読んでいたので、文庫化の際に追加となった6人だけを読んだ。ベートーヴェンは、初出の文藝別冊で読んでいたが、この際なので、また読んだ...続きを読む
  • トッド人類史入門 西洋の没落
    トッドさんの最新の見解を対談形式を通して確認できるのでとても読みやすかった。またその見解が他国よりもここ日本で比較的受け入れられているというのは日本人の柔らかさなのかなと思う。
    そして距離人種如何に関わらず争いの早期終結を心から願っています。
  • 皇国史観
    江戸幕府成立後も伊達政宗など東北には曲者が揃っていた。この防波堤が水戸徳川家である。藩主は江戸在住が義務とされるが、格式は尾張、紀伊より低く、土地も痩せており財政は苦しかった。そこで徳川光圀は将軍に対する天皇の優位性を強調した。水戸学の創始である。後期水戸学会沢正志斎は攘夷を説き、吉田松陰に影響を与...続きを読む
  • 完全読解 司馬遼太郎『坂の上の雲』
    音楽評論よりも、本業の著作「未完のファシズム」で興奮させられた片山杜秀氏が、このところ新刊が相次ぎ、いったい何人のゴーストライターを抱えているかと思わせる佐藤優氏との共著でこの本の出版案内を見かけたので「坂の上の雲」を再読した上で読み終えた。
    結果的には再読直後に手にしたのが正解であった。

    お二人...続きを読む
  • 平成史
    平成史は対談でも論述でも、出版当時はこの本以外に良いものがなかった。時間ができたら、2021年に出版された与那覇さんの平成史も読んでみたい。
  • 完全読解 司馬遼太郎『坂の上の雲』
    「坂の上の雲」解説本の体。「坂の上の雲」も司馬作品も読んだことがない方が、読んでみたくなるかはよくわかりません。私は高校の時に読みましたが「坂の上の雲」も「竜馬がゆく」も司馬代表作とはとても思えず、国民小説かと言われれば・・・という感じ。確かに日露戦争開戦までは面白いんだけど、新聞連載らしい全くまと...続きを読む
  • 完全読解 司馬遼太郎『坂の上の雲』
    文藝春秋掲載で噛み合いが良すぎるこの2人、面白い読み物になるのは当然ではある。

    「国盗り物語」は好きだけど、「坂の上の雲」も「菜の花の沖」も読んでいない(観てもいない)者としては、「読んだ気になれる」のも大変に結構でございます。
  • ベートーヴェンを聴けば世界史がわかる
    音楽は一人では演奏できないから、極めて社会的営み。だから当時の社会がわかる。と非常に納得感のある講義でした。聞き手、楽器製作の技術、お金の出どころなどなどの条件で音楽性自体も変わってくるのだな。
  • 尊皇攘夷―水戸学の四百年―(新潮選書)
    気づきは多く面白かったのだが、基礎知識が足りないので、情報量が多すぎて、重い本であった。
    3割ぐらいしか読めていないと思われる。
    しかし、水戸学とは何なのか。
    慶喜は何であんな身の振り方なのかとか、
    気づきが多かったな。

    水戸学は歴史のB面。哀しみ...ってところが腑に落ちた感じ。面白かった。
  • 尊皇攘夷―水戸学の四百年―(新潮選書)
    徳川光圀から始まった、尊皇攘夷の水戸学。大河ドラマ「青天を衝け」では水戸藩の動きも詳細に描かれているので、水戸学の思想について興味深く読んだ。
    徳川慶喜の大政奉還や鳥羽伏見の戦いでの敵前逃亡についても、水戸学を元にすると理解できる気がした。
  • 尊皇攘夷―水戸学の四百年―(新潮選書)
     幕末維新のイデオロギー的原動力となった水戸学の原理と歴史的進展を考察する一書であるが、そうした学問を動かす現実的背景となった史実を、どこにこの話はつながるのだろうといった関心を惹起させつつ、良い具合いに織り交ぜて叙述が進んでいく。500ページ近い大作であるが、読物としても面白く、最後まで飽きさせず...続きを読む
  • 尊皇攘夷―水戸学の四百年―(新潮選書)
    正しさのロジックのめんどくささは今も昔も変わらないんだなあ。筋を通し、義を貫き、大義に従えと謳い続ける水戸学。常に気になり続けるのだろうなあ。読んで楽しい本じゃないが。
  • 現代に生きるファシズム(小学館新書)
    ファシズムとナチズムを同一視していたため目から鱗だった。日本史でしか触れてこなかったファシズムという言葉の意義を正確に知ることができた。体制ではなく情況を表す言葉という説明はわかりやすかった。世界的に資本主義の行き詰まりを実感している状態でファシズムの出番がこれからやってくるかもしれない。来るべき時...続きを読む
  • 革命と戦争のクラシック音楽史
    この本の内容はカルチャーセンターでの講演だという。
    ラジオでの、あのバカ丁寧な(失礼!)、でも前のめりになって迫ってくるような、独特な語り口が彷彿とする。
    それは今、「クラシックの迷宮」を聴いているから?

    それはともかく、企図は音楽史を政治史に関わらせて読み解くことだろう。
    モーツァルトのトルコ趣...続きを読む
  • 革命と戦争のクラシック音楽史
    著者はラジオ「クラシックの迷宮」の解説をしており、その独特な切り口と番組構成には、毎回驚かされる。そこで選曲された曲は珍しい曲、マイナーな曲が比較的多く、曲自体の魅力に気づかされることが少なくない。他方、曲の合間で加えられる講釈も楽しい。本書はいわばその解説パートに特化したものといえる。

    一読して...続きを読む
  • 皇国史観
    持続可能な(皇族に優しい)天皇制と、それを支える新たな「皇国史観」、ね。
    まぁ、人権を剥奪された上で「立派な日本人」の象徴たることを強要されている方々をどう救済していくか、は大問題ではありますわな。
    壊れちゃったら、換えが効かないんだから。

    恥知らずな長州人に都合良く利用されないようにもしないとね...続きを読む
  • 未完のファシズム―「持たざる国」日本の運命―
    日本が戦勝国として関わった第一次世界大戦を起点に「なぜ日本が勝てるはずもない戦争に飲めりこみ滅びたのか」を読み解く。

    未完のファシズムという意味は、明治日本は天皇中心の国家を築こうと試みたにもかかわらず、天皇以外にはリーダーシップをとれる仕組みがなかったこと。

    確かに日本のヒトラーと言われる東條...続きを読む