片山杜秀のレビュー一覧

  • 国の死に方

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    政治思想史が専門である筆者は、武家政権における執権、明治政府の元老、ヒトラー、ソビエト指導部などの例を引きながら政治権力の源泉について読者に考えさせる。
    そして、豊富なエピソードをもとに、大正時代以降の権力が分断されてリーダーシップを発揮出来ない政府、普通選挙がもたらしたポピュリズム、関東大震災や米騒動、戦争でやり場のない大衆の怒りと諦観を浮き彫りにし、これらの事象、構造は平成の今とまさに繋がっているとリアルに感じさせるのだ。
    この国はまた死ぬのではないかと3.11を契機に書かれたこの本の読後感は重厚な交響曲を聴いた後のように重い。

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    2013年02月14日
  • 未完のファシズム―「持たざる国」日本の運命―

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    皇道派と統制派それぞれの行動原理を読み解くことができるようになっており、現代から見ると非合理的な行動でも当事者たちの目線に立つことにより理解しやすくなっている。

    読み終えた印象として、遠い将来に想定していたはずの対米戦について、互角に戦おうとあれこれ対策をすればするほどアメリカを刺激して開戦がどんどん近づいてしまったというところでしょうか。

    またそれまでの固定観念の大勢である「日露戦争に気を良くしてW.W.Ⅰの教訓を学ばなかった」という類の単純化された歴史観とは正反対に近い論証をされていて、大変面白く読むことができた。
    逆に総力戦を理解していたからこそ、国力豊富なアメリカを恐怖し、開戦に徹

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    2014年03月14日
  • 音盤博物誌 片山杜秀の本(2)

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    『音盤考現学』に続く第2弾であるが、こちらの方がはるかによい。
    初出は『レコード芸術」の連載記事だが、連載を重ねるにつれて勝手がわかってきたのか、たいへんに説得力のある文章となっている。
    「ふーん、こんな曲あるんだ」というような、あまり世間では知られていない曲が多く紹介されているが、そのすべてを「んじゃ、聴いてみよっかな」と思うわけではないだろう。
    ところが、2006年の連載記事は、そのどれもが「聴いてみたい!」と思わせられるものばかりだ。
    この年が、この連載記事の頂点だったと思う。
    いずれにしても、すばらしい音楽評論50本である。

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    2012年02月23日
  • 音盤考現学 片山杜秀の本(1)

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    iPad傍に再読。Wikipedia見たり、iTunesの試聴でチョイ聴きしたり(この本に載っている曲はほぼ無いけど)、そのまま衝動買いしたり、ピアノアプリで「ドードードー、ドーシドーレレ#ー」と伊福部旋律弾いてみたり、フミフムしながらも2ページに1度は爆笑している。

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    2011年07月29日
  • トッド人類史入門 西洋の没落

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    1.日本から「家族」が消滅する日
    日本やアジア圏の少子化は「ゾンビ儒教」によるもの。老後の世話と子どもの教育が負担が重すぎ、少子化を招いている。
    今後老人はどんどん増えていくため、儒教的な老人支配は強まる一方。親の面倒ばかり見たり老人への支援ばかりしていると少子化は進む一方だが改善される兆しはない(一人一票の民主主義の構造上の欠陥、マジョリティ優先)
    フランスは老後の面倒や子どもの教育を国が行っているため少子化になりづらい、移民も多いが。

    2.ウクライナ戦争と西洋の没落
    ロシアの行動は西欧社会の勝手な価値観(グローバルスタンダード)を世界に押し付けようとしたことへの反発にある。日本もアングロ

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    2026年02月28日
  • トッド人類史入門 西洋の没落

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    日本は父系直系家族の携帯から核家族に移行していく中で国のあり方がこの家族形態と不整合を起こしているのか、あるいはそれを担えるだけの人材が現れないことが国力の減退の原因かも。

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    2026年01月25日
  • トッド人類史入門 西洋の没落

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    著者のエマニュエル・ドット氏についての解説書として本書を読んでみました。
    「家族」という観点から、今までにない、新たな視点で世界を理解出来る本でした。
    「核家族」というのは、「もっとも原始的な家族形態だー」という主張は、面白いと思いましたー!
    新しい視点が得られる本でした。

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    2025年12月31日
  • 皇国史観

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    皇国とはその名のとおり、天皇の治める国という意味である。では天皇とは何か。それは古代以来の日本の君主ならびにその称号とあり、遥か古代から日本を統治する王という事になる。その在り方や存在は時代により様々な変遷を辿ってきたが、現在の天皇の定義は1946に公布され1947年5月3日より施行された日本国憲法によれば、日本国および日本国民統合の象徴となる。その役割としては、日本国の象徴として、憲法第1条に規定される通り、日本国と日本国民が一つにまとまっていることの象徴であること。そしてその役割として、国事を行うこと。国事とは国会の召集、内閣総理大臣の任命、法律や条約の公布など、憲法で定められた国事行為に

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    2025年10月15日
  • 生き延びるための昭和100年史(小学館新書)

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    昭和100年ということで、昭和元年=1926年から現在に至るまでの歴史を、日本・アメリカの関係性を軸に辿っていく。とはいえ当然昭和に至るまでのバックボーンもあるわけで、対話の中では時には明治維新頃にまで遡ったりもする。

    歴史は好きなのだが、近現代史は全然面白みが感じられなくて学生時代~20代の間は全然頭に入ってこなかった。
    それが30代になって、物事の是非が分かるようになり、自らの生きる世の成り立ちを遡る中で、近現代史の複雑に絡み合った経緯を紐解くことの重要性や面白さにようやく気付いた。

    私は昭和の末期、63年生まれなので、昭和の記憶などない。人生の大半を平成に生きてきた身からすると、昭和

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    2025年09月15日
  • 国の死に方

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    「先づ労銀の引き下げを策し、労銀の引き下げの為には先づ食料品の引き下げを行なふのが順序」

     日本人の国体に対する愛着というか執着は相当で、ポツダム宣言を受け入れるかどうかの判断においても、日本の国体が維持できるかどうかを気にしていた。国体とは天皇を頂点とした制度体制のことで、敗戦によって国体はついえたかというと、母が皇族ニュースを見ていたり、日本人の天皇家に対する好意を見ると、未だ国体は残ってる気がする。これは天皇が謙虚な姿を続けているからだと思う。

    日本の軍人はは敗戦後の東京裁判で、空気に抗えなかったというような証言をしたそうな。戦局が日本軍に不利になった際には、ポツダム宣言を受け入れる

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    2025年09月09日
  • トッド人類史入門 西洋の没落

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    この本は、トッドの大作『我々はどこから来て、今どこにいるのか?』を読むための入門本と冒頭で紹介されているけど、それ以上の面白さ。

    前述の大作の面白いところをギュッと紹介してくれるだけでなく、現代社会の抱える様々な課題や疑問を家族制度の観点で説明するところにフムフムと読み入ってしまう。
    ところどころに見える刺激的なフレーズがまた良い。

    意図的に極解した切り取り
    ■日本やドイツは長男を頭とする直系家族社会。英米の核家族社会とは根本から異なる。
    ■日本は長男が家を継ぎ、老いた親の面倒を見て家が社会福祉を担った。英米は成長した子は親元を離れ、老いた親の面倒は社会税制が担った。
    ■日本が硬直化しやす

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    2025年06月15日
  • ごまかさないクラシック音楽(新潮選書)

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    いわゆるバロック音楽の後から現代音楽までのことを言うクラシック音楽は、西側キリスト教圏の音楽であり、西洋の時代と切っても切り離せないものであった。いわば時代を表したもの、ということを詳細に歯に衣を着せぬ物言いで語りつくしたのが、この対談だ。バッハあたりからシュトックハウゼンぐらいまで、個々に取り上げている。結構下世話な話も。確かにねえ、時代から離れた人間の活動はあり得ないからねえ。どんな音楽も、その背後にはそれぞれの「絶対倫理」がしっかりと張り付いている、なんて言われると、もっともでございます、でもなんか怖い、いやうーんそんなもんかなあ、と思ってしまう。いちいち音楽を聴くのに、その背後の絶対倫

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    2025年06月15日
  • トッド人類史入門 西洋の没落

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    オーディブルで

    エマニュエル・トッドの著作は以前いくつか聴いたことがあるのだが、これは「我々がどこから来て、今どこにいるのか?」の邦訳の出版後に、それを読み解き、さらにはその後の特にウクライナとロシアの情勢を受けての世界の現状をどう考えるかについて、トッド氏と、片山杜秀、佐藤優両氏の対談、トッド氏についての片山、佐藤両氏の対談、フィガロ紙のトッド氏に対するインタビューなどなどを載せている。基本、対談やインタビューがベースのものなので、わかりやすいものになっている。

    「我々はどこから来て、今どこにいるのか?」もオーディブルに入っているので、聴こうと思っていたが、こちらはちょっと気合を入れない

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    2025年05月22日
  • 未完のファシズム―「持たざる国」日本の運命―

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    日本が何故大東亜戦争という、後世から見れば圧倒的に無謀な戦いに突入していったのか。
    時の陸軍指導者たちは神国の奇跡を信じていたのか。

    結論を言えば、彼らは何の幻想も抱いていなかった。

    第一次大戦やそれ以前の日露戦争の教訓から、近代の陸戦は火力と物量が勝敗を決することは熟知されていた。
    実際、第一次大戦の中で日本軍が戦った青島戦は十分な火力による飽和的攻撃によって勝利した。

    にも関わらず、「生きて虜囚の辱めを受けず」といった「戦陣訓」や、無勢に不利な包囲殲滅戦が何故主流の思想となったのか。

    筆者はそこには顕教と密教があるという。

    経済力、人口、資源、技術などの戦争資源に劣る「持たざる国

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    2025年05月07日
  • トッド人類史入門 西洋の没落

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    欧米中心主義ではないとは、どういうことか
    ウクライナ戦争にしても、アメリカやイギリスの裏の思惑がなんとなくわかり、ロシアに対する見方もちょっと変わった

    西洋の栄光が相対化されたとき、日本はどうあるべきか、、

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    2025年04月30日
  • 歴史は予言する(新潮新書)

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     圧倒的な情報量。ちょっと失礼ながら(どっちに?)(仲がどうなのかは知らないけども)原さんのコラムを思い出してしまった。

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    2025年02月19日
  • 未完のファシズム―「持たざる国」日本の運命―

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    太平洋戦争では過度な精神主義に陥った日本軍であったが、第一次世界大戦で行われた総力戦の研究を怠っていたわけではない。近代戦は国家同士の物量戦であり、日本は欧米列強に比べて生産力で劣るということまで日本軍は理解していた。日本軍の青島攻略は物量戦の模範とも言うべき戦い方であった。しかし、物量戦の重要性を認識していたからこそ、物量差の大きい欧米列強と全面戦争になったら物量での劣勢を挽回するために、精神主義的な殲滅戦を理想とした。絶対に敵わない物量戦から目を逸らし、精神力で劣勢を跳ね返すという非現実的な思想を抱いてしまった。(石原莞爾は満洲の支配を通じて、欧米列強に対抗できる生産力を獲得しようとしたよ

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    2025年01月28日
  • トッド人類史入門 西洋の没落

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    エマニュエル・トッドは社会の根底を見据える思想家である。彼の視点は地域や人種といった分断を越え人々の文化や家族構造に光を当てる。時に鋭く時に冷静に歴史の流れを解き明かす彼の分析は我々が持つ固定観念を揺さぶる。だが我々は報道の恣意性に常に注意を払う必要があるとともに判断も委ねられている。事実をどう伝え、どう受け止めるべきか――現代における課題を浮き彫りにする。多様な視点を持ち真実に近づく努力を忘れないことが思考の深まりにつながるだろう。

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    2024年12月09日
  • トッド人類史入門 西洋の没落

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    ソ連は共産主義、反植民地主義で勢力を拡大したが、基本的には外婚制 共同体家族の地域に限られた。今のロシアは父権的で伝統的な保守主義を掲げており、イスラム世界を含むより広くアピールする事ができるとの事。実は世界の75%は父権制社会である。ロシアは孤立していない、味方を変えると西洋社会が世界から孤立しているとも言える。
    トッド氏の「我々はどこから来て、今どこにいるのか」に挑戦したい。

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    2024年10月14日
  • 未完のファシズム―「持たざる国」日本の運命―

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    明治憲法のガバナンス上の欠陥から宮沢賢治、さらには女性の月経に関する問題まで、著者の守備範囲の広さに舌を巻く。著者の記述の妥当性はわからないが、一つの説明としては面白かった。著名な「昭和16年夏の敗戦」や「失敗の本質」と並んで読まれるべき一冊だと思う。
    次の一文が印象的だった。
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    (…)ふたりとも冷静な現実主義者として次なる戦争は物量と機械と科学力だという合理的な本音を持ちながら、日本陸軍の軍人としては精神主義を建前として高唱せざるを得ず、しかし二・二六事件や日米開戦といった歴史の流れのなかで、本音は忘却され建前ばかりが暴走し始めていったのです(…)

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    2024年08月04日