【感想・ネタバレ】歴史という教養のレビュー

あらすじ

この国には「歴史」が足りない。歴史に学べと簡単に言うが、先行きの見えない時代の中で、それはいったいどういうことなのか――。当代屈指の思想史家が、歴史センスのみがき方を緊急講義。

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Posted by ブクログ

 歴史に学べとはよく言う常套句だが、学び方にも様々ある。温故知新こそが肝要というのが本書の主張だ。
 過去を美化しすぎたり、逆に矮小化して発展史観の具としたり、はたまた運命論のごとき諦念の材料とすることは筆者に言わせれば教養ではないのだという。過去は繰り返さないし、そこに理想があるわけでも、古代生物のような未発達なものがあるわけではない。過去の人物が今生きていたら世の中は変わるという発想も実はいろいろな手続きを飛ばした幻想だという。
 言われてみれば当然なことであり、私たちは歴史に今を考えるための類例を求めることで、対処の方法を探るべきなのだ。決まった答えはないし、過去を学ぶことで余計分からなくなることもあるかもしれない。それでも歴史を学ぶことで場合によっては最悪の危機から逃れるための手段になるかもしれない。
 本書は歴史学者とか哲学者とかがそう簡単には言えないことをさらりと言ってのけているのが痛快だ。ディテールを追究すればするほどかえって分からなくなることがある。時にはひいて構えることも必要だろう。本書はそんな本である。

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2019年03月03日

Posted by ブクログ

12月に入ると会社やらバンド仲間やら、学生時代の同級生やらと飲んではかりの忘年生活に入る。中学あたりの同級生ともなれば、会っても年に一回ぐらいだから、毎度の同じ話題を口にしていても、何だか新鮮で飽きも来ない(決してそれ以外も飽きてる訳ではない)。丁度仲間内じゃ最高峰の大学まで行くような秀才君の口から、社会人になってからまた大学に通いたくなったとの発言が出た。学びの対象を聞けば、歴史だという。途端に酔って良い気分(饒舌になるのにアルコールは無関係)になった私の口から、私が感じる歴史の面白さについて怒涛の言葉が発せられた。自分が改めて歴史好きだと気付いたし、他の同級生も同じく歴史は好きだと言うから、似たような趣味嗜好があってこそ、付き合いは長く続く事を思い知らされた、その様な気分だ。
本書は歴史を学ぶ事こそが人間の生き方や考え方に影響する事を教えてくれる。タイトルの通り、沢山それを知っていれば、教養ある人間に近づく訳だし、話す言葉からも歴史を知った上での説得力や重みを感じさせる事ができるかもしれない。だが、その過去に起こったことの積み重ねでしかない歴史を、今後の生き方や考え方にどう活かすかは人それぞれ異なる。様々な歴史家や哲学者が歴史について述べてきた中ではあるが、かっちりと決まったらスタイルや思考方法など存在しない。あっても「史観」と呼ばれる様な、それを言った書いた人の考え方に近づく程度の事で、それすらも想像や誤りが含まれる不安定なもの、一つの説にすぎないと言う事を理解しなければならない(絶対そうしろ、と言うものでもないが)。
要するに歴史とは過ぎ去った時間の話であり、時空を超えて確かめる事が出来ない以上、それを見た、書いた人から伝わるものでしかない。記録が映像や音声で残っていたとしても、肝心要の登場人物の(その瞬間の)脳の中身は見ることが出来ない。だから常に「あれは、ああいう事だったんだろう」という推測付きになる。ただ一つそれを限りなく事実に近いものにするなら、その前後の出来事や登場人物を広く知れば良い。それが歴史の勉強だ。多くの人が考える状況や考察は、自分1人が考えるものより正確なものに近いだろうし、それまでの流れを多方面から理解すれば、きっとその結び目である「歴史的な出来事」が事実に近いか否か判断する事は可能になる。
実は前述した、私の語った歴史好きの理由は正にそこにある。様々な歴史書を読むと、一つ一つだった出来事が、時間を経たときに何処かで交わる。経緯を知り理解する、と言う部分があり過ぎて、結局辿り着けないゴールに向かって延々と考える事ができる点、それが私が歴史を好きな理由である。私もそれなりに歴史がああだった、こうだったという自分なりの考え方を持つ。だが他人に強要はしないし、他人の意見や考えも否定しない。それぞれが旅した歴史の中にどの様な感想を持つのも自由だからだ。だから本書の考え方も一切否定しないが、中々筆者の考え方が怒涛の様に吐き出されていく内容に、結局のところ私は置いていかれてしまった。

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2025年12月17日

Posted by ブクログ

文字通り、歴史という教養について語った一冊。

内容以前に、言いたいことがよく分からない感じだった。

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2023年03月27日

Posted by ブクログ

なぜ歴史教育が必要なのか。ただの歴史的事実を知ることが歴史教育ではない。歴史は繰り返す、という史観のもと過去を学ぶ姿勢を否定している。その背景に見え隠れしている思想を理解することで過去を背負い、新しい歴史を歩んでいくために我々は歴史を学ばなければならない。ということに気付かされた本。実際に今まで世界史上で登場した様々な史観、思想を丁寧に解説し、筆者自身が新たに定義した温故知新主義を説く

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2020年05月21日

Posted by ブクログ

最初にざっと読もうとしたときは、面白いのは序章だけかな〜なんて思ったけど、本腰入れて読もうとするとためになる。

・「アウシュヴィッツ以後、詩作は野蛮である」
テオドール・アドルノの箴言

・アウシュヴィッツは究極の合理主義だった。それはソ連にとってのシベリア的なるものであり、強制労働空間だった。
映画でも強制労働させられてるシーンをわりと見ていたはずなのに、テキスト化されてようやく理解できた…。

・ルイ・オーギュスト・ブランキ
19世紀のフランスの革命家。フランソワ・バブーフの影響を強く受けた。共産主義の始祖とも呼ばれる。
1830年はシャルル10世を倒した七月革命にブランキあり。1839年には「四季の会」クーデター未遂事件にブランキあり。1848年にはルイ=フィリップを倒した二月革命にブランキあり。投獄を繰り返される。
共産主義の革命の理屈はマルクス、戦術はブランキ。
のべ30年以上も牢獄に入っていた結果反復主義者に。
「反復主義」とは、疲労して感覚の摩滅した人間の堕ちる「近代の地獄」なのではないか。この地獄とはニヒリズムの地獄。

・ポピュリズムの政治家は民衆の人気を取るために政治内容を想像し、支持を失えば平気で手のひら返しをする。
筋の通った個人の思想の実体はない。ポピュラーによって作り上げられるのがポピュリズム政治家。独裁者とはまるで違う。逆に民衆によって操られているともいえる。

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2020年02月27日

購入済み

歴史の本ではなく教養の本

本書は様々な歴史の見方について長所や短所、関係性が類型別に分かりやすくまとめられている。

しかし、著者の主張の中心は「教養としての」歴史はどんなものなのかにある。
教養とは「自由な視野を持って世の中をこぎわたっていく」ための力のこと。
現代社会の様々な課題に対応し生き抜いていくために、歴史を学ぶことがどんな役割を果たすのか。

学生でも読みやすく分かりやすい内容でした。

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2019年11月17日

Posted by ブクログ

日本社会は、長いものにまかれろ、勝ち馬に乗れ、的な「勢い」史観で動いているんだろうなぁ、とがっかりすると同時に反論できない説得力をもって、感じさせられた。歴史とか教養というと、日常生活とは一歩離れたところにありそうな印象がある。でも本書を読むと、そうではないと思う。勢いとか、流れにあらがいにくいからこそ、一歩踏みとどまって、そこから先に進んでもいいか?と考えるだけの知性は必要だ。そのとき、決して予言にはならないにしても、考えるための手がかりになってくれるのが、歴史とか教養なんだろうね。ちょっと難しかったけど、深みを感じさせる内容を、詩のようなリズムのある文章でわかりやすく観させてくれたと思う。内容をきちんと自分のものにするには、もう二、三回読まないといけないだろうな、なんて思うところはあったけど(苦笑)。

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2019年08月14日

Posted by ブクログ

歴史に学ぶ、とはいうものの
自分に都合良く歴史を扱いがち、
その類型が保守主義だったり、ロマン主義だったり、
という分析はなるほどと思った。

英雄中心史観ではなく、
スパンと主語、視点に自覚的に歴史を見る
大切さを感じた。

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2019年06月23日

Posted by ブクログ

歴史を知っても先が見通せるわけではないが、歴史の中から現在の状況の類似例を探し、できる範囲で対処することはできる。

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2019年05月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

<目次>
序章  「歴史」が足りない人は野蛮である
第1章  「温故知新主義」のすすめ
第2章  「歴史好き」にご用心
第3章  歴史が、ない
第4章  ニヒリズムがやってくる
第5章  歴史と付き合うための六つのヒント
第6章  これだけ知っておきたい、五つの「史観」パターン
終章   教養としての「温故知新」

<内容>
著者の言う「温故知新」は、過去にあったいろいろなことを学び(ただ先生から学ぶだけでなく、自らの意思で)、過去とは重ならない新しい出来事を新しい発想で対処しようとする、こと。
それ以外の批判が第2章以降続きます。ある程度納得。

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2019年02月20日

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