結城浩のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
とうとう長らくから愛読してきた数学ガールが終わってしまいました。過去作品とも紐づけられ、感慨深い描写が多かったです。また、稚拙な様子の描写がちらほら見られた主人公も、受験と真剣に向き合う描写や、夢の話が上がったときに「教える仕事がしたい」と即答していたことに成長を感じました。シリーズをすべて読み終わってしまった達成感と喪失感で頭が働かないのですが、これだけは言えます。これからも数学との奇跡の出会いに感謝しつつ、数と向き合い、未解決問題をつないでくれた数学者とも、それを解く自分とも向き合っていきたい。うっかり文系になってしまった私がどれだけ役に立つかなんてたかが知れてるけど、私も数学のために何かがしたいです。
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Posted by ブクログ
つい、歳をとると、新しいことを取り入れることに億劫になりがちだが、この本を読んで、AIに対する意識がかなり変わった。
AIを日常生活に取り込んで、AIを上手に使って生活することに前向きになろうと思った。
作者の結城浩氏は、プログラミングの本で何冊もお世話になっていたし、読みやすく、仕事面で大変役立っていた。この本を読んで、さすが、結城さん!って、心の中で感動していた。
AIを使う場面、注意点、AIへの質問の仕方、など、色んなことが散りばめられていた。AIに対してだけでなく、人生への考えさせらえる言葉もあったりして、若い人にも、AIから遠ざかっている人にも、読んでもらいたいと思った。 -
Posted by ブクログ
ネタバレもしも自分が生まれた時、最初からインターネットがあったら、最初からスマートフォンがあったら、SNSがあったら、そんなことを時々考えるようになった。それはもしも自分が生まれた時、最初からAIがあったらということを考え、新しいテクノロジーが自分の生き方や考え方に大きな影響を与えてきたであろうことを強く実感するようになったからだ。
時々、久しぶりに実家に住む両親と話していて、何か調べ物をするとき、自分がインターネットで検索をして調べていたとき、両親は辞書で調べようとしていた。誰かに連絡を取ろうとするとき自分がSNSのメッセージを使っているとき、両親は電話を使おうとしていた。何かを達成するために利用する手段にこういった違いが生まれるのは単純にその手段が身のまわりにあったか、なかったかだけによることが多い。
そしてAI。これを手段として利用するかどうかにも、それをどう使うか、どうとらえるかについても人によって差がある。
数学ガール AIと生きる、はこれまで本編で登場した人物たちが、それぞれどのようにAIと接し、利用し、AIに対してどのような考え方を持っているか、そこに違いがありとても興味深い話となっている。特に中学生や高校生がこれらに対してどのような思いを持つのか、また使う以前に両親から利用を禁止されているような様子も描かれ、半ばスマートフォンやSNSと同じくその危険性の側面が強調されていることもわかる。ただそれが危険であるという判断は大人側の曖昧な主観に基づくものとなっている。
先生から課題の提出で「AIを使ったら減点」と言われたとき、「減点されてもいいならAIを使っていいこと?」ととまどうテトラの様子は滑稽でありとても重要な課題を大人(先生)の側に投げかけている。
AIを有用なツールとして使いこなせるようになるには大人でなければいけないのか、大人であれば使いこなせると言えるのか、子どもは使ってはいけないのか、使っていいとしたらどういう条件で、どういう目的で許容されるのか、SNSに対して明確な指針を出せていないのと同様に、いやそれ以上にAI利用のそれはまだまだ定まっていない。
テトラは高校2年生だから、進路に思い悩むシーンもよく描かれる。大学に進学したいという思いはあるものの、理系に進むか、文系に進むか決めかねている。大人になってどんなことをしたいか具体的に思い描けず、また自分の能力がどちらに向いているのか、理系に進むことができるのか明確な答えがないからだ。これはAIがある時代もないときも同じような悩みだ。
そのことについてAIさんにきいてみても、とてもフラットに客観的な答えしかAIは返してくれない。質問の仕方によって自分の思いにある程度あわせてAIさんは答えてくれるが、それは適切なアドバイスと言えるのか、感覚的に何か違うということをテトラは感じ取っている。逆にAIから答えられない問いを投げかけられることもある。
先輩のことが大好きなテトラ。先輩がミルカさんに好意を持っていることも知っている。ただ気持ちを伝えたかったテトラはその思いをAIさんに伝えながらある日、先輩に渡す手紙を書き始める。そして手紙を先輩に渡すことを『決めた』。
テトラはただ先輩に手紙を渡すはずだった。そこにしたためられた思いが伝われればいい、そう思っていた。
でもテトラは先輩を前にして手紙を読んでもらう前に「あたしは、あなたが、大好きです!」と言ってしまう。
テトラはAIさんとのやりとりでこんな伝え方をしたらいいというアドバイスはもらっていないし、こんな風に伝えたいとも考えていなかった。でも先輩を前にしてその時、そのように伝えたのだった。これが人間というものだということを鮮やかに描ききっていて、AIと人間の違いを明るく描写しきっている。そこには希望さえ感じられる。
この物語は数学ガール本編を多く読んでいれば読んでいるほど、それぞれの人物のAIへの向き合い方、考え方に共感できると思う。単にAIとの向き合い方を知るためにあるのではなく、それは人それぞれに違うし、違っていいということ、そしてそれが変わっていくであろうことをとてもわかりやすく伝えてくれる。 -
Posted by ブクログ
数学ガールでおなじみの登場人物たちが、AIとの会話を通して悩み、成長していくストーリーである。AIの応答の特性や、どのように質問すればよい回答を引き出せるのかといった、活用のコツにも触れられている。さらに、数学ガールの登場人物たちによる青春ストーリーとしての完成度も高く、すらすら読める。AI活用の入門書としても、十分に有用な一冊だと思う。
書籍の中で特に気になったのは、「創造性は選択に宿る」という部分である。AIによって、たしかにさまざまなことが効率化され、便利になる。だが、AIは提案はしても、決断はしない。選択肢の中から決め、その結果に責任を負うのは人間にしかできない。そして創造性とは、そうした選択の積み重ねの中から生まれるものなのだと思う。AIの言うことを鵜呑みにせず、自分で考えて選んでいく。その姿勢があってこそ、「これは自分が作ったものだ」と胸を張って言える。そうしたオーナーシップが大切なのだと感じた。
もう一つ印象に残ったのは、「未来とは何か」という部分である。AIによって、これからの社会や生き方は大きく変わっていくのだろう。しかし、それがどのような未来になるのかは予測できない。効率性が重視されて久しいが、無駄なく進むためには完璧な計画が必要になる。けれども、未来はそもそも完璧には予測できない。完璧な計画を立てようとしていては、いつまでも前に進めない。では、どうするのか。未来に向かって、まず動くしかない。こうしたほうがよいのではないかと考えて動き、経験し、必要に応じて軌道修正しながらまた進む。あとから振り返れば、そこは無駄だったと思える道もあるだろう。それでも、未来がわからない以上、その遠回りには意味があるのだと思う。 -
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AIを「正解をくれる存在」ではなく、「考えるのを助けてくれる対話相手」として描いているところが印象的だった。AIはアシスト付き自転車のようなものだと思う。自分がペダルを漕がなければ前に進まないように、考える主体もあくまで自分なのだ。「創造性は選択に宿る」という言葉が一番強く残った。AIが提案してくれても、最後に選ぶのは自分。そのことに常に自覚的でいたい。問い掛けるのは答えを得るためというより、理解するため、そして「知りたい」という気持ちを手放さないためなのだと感じた。青春小説としても甘酸っぱく、テトラちゃんをとても応援したくなる一冊だった。
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ネタバレ今作は私が好きな位相空間論と非ユークリッド幾何学を扱ってくれました。本で問題提起すれば主人公たちと一緒に考え、それが当たる日が来るなんて、数学ガールを読み始めた頃の私には想像すらできないでしょう。特に私が感動したのは、驚異の定理です。ガウス曲率に注目すれば、面がどのような形をしているかわかる、というものです。初めは私は「こんなん小学生でもわかるやんけ、何がそんなに驚異なんだろう」と思いつつも内心ゾクゾクしていました。しかし、章が終わる度に必ず偉人の言葉の引用があり、第8章末には「この定理によって外の世界がなくても、宇宙の曲がり方について議論できるようになった」のようなことが書かれていて、衝撃のあまり発狂しました。数学は宇宙を超えるほど広大で偉大だと思いました。
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ネタバレ日頃の忙しさに甘えて、読み終わるのに時間がかかってしまいました。時には読まない時間がかなり空くこともあったので、ストーリーをよくは覚えていません。しかし、あみだくじに関する何気ない会話から物語は始まり、角の三等分問題や方程式の解の公式を経てガロア理論に行き着きました。その時に「えっ!?これがここに繋がるの!?」と驚くシーンがクライマックスに詰め込まれており、広大で複雑に絡み合った数学の世界を旅することが出来ました。普通の小説なら、ストーリーを忘れれば終わりですが、数学ガールはストーリーから得た知識があれば、たとえストーリーを忘れようと待っていてくれるのが強みだと思います。そして、最後まで読み切って、若くして亡くなったガロアのために、次の世代に数学を伝えるのが私たちの使命であると感じました。
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今はただ読み終わってしまったというその事実があるだけ。数学ガールが完結するなんて思ってもいなかった。
ほとんど理解もできない ゼータ関数やオイラー積、こういったものを追いかけて自分は何を求めていたのか。今までわからなかったものを少しでも理解したいというその気持ちをもって数学ガールに登場した人物と一緒に その論理を追いかけた。数学は一人で行うものではない。一人で考える時間は大事だけれどもその発展は人類の長い歴史において少しずつ行われてきたものだから。それを理解することにもすごく長い時間がかかるはずだし たくさんの人の助けが必要になる。
数学ガールはそういうことを教えてくれる。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ確率は私の苦手分野で、アルゴリズムも触れたことが全くないので、初めのうちはとてもとっつきにくい印象を受けました。特にアルゴリズムは数学よりも情報のイメージが強く、どんな関係が?と思っていました。しかし、苦手な二項分布が取り扱われ、それが模試に出た時には数学ガールに感謝しました。また、最終章で乱択アルゴリズムについて言及する際に以前の章で扱った分野が用いられていて、鮮やかな伏線回収に痺れました。シグマが出てくる数式がシンプルな分数の2乗で表された時は感動しましたが、私が一番感動したのは専門的な分野にも、学校でよく習ったコイン投げの考え方が用いられていた時です。確率とも、アルゴリズムとも友達になれた気がします。私もアルゴリズムやってみたいな。