久山葉子のレビュー一覧
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■スウェーデンは早々にデジタル教育を導入したが、日本がこれからというときにもう見直しが始まっていた。保育園では絵本、義務教育でも紙の教科書を増やすようにと、アナログに回帰し始めた。
■「フィーカ」とは温かい飲み物の出る休憩タイムという意味。単にのどの渇きを癒したり、お腹を満たしたりするためではなく同僚や友人とおしゃべりをして交流を深める。それも込みでのフィーカ。スウェーデン人は2時間以上の集まりになるとフィーカを挟まなければ耐えられないようだ。2時間以上拘束されるときには必ずフィーカが実施される。
■朝から運動
スウェーデンの朝の通勤風景で特徴的なのは運動している人が多いこと。
運動は脳の認知機能に良い効果を与え、集中力と記憶力、クリエイティビティを上げる効果がある。更に、ストレスホルモンのレベルも下げてくれる。その効果を仕事の生産性につなげたいなら、仕事後に運動するのではなく、仕事前にしなければ意味がない。
■スウェーデンの会議は午前中の早い時間が多い。そのメリットは、
・一日の初めにチーム内で情報を共有することで、その日の作業の予定を立てやすい
・夕方のように疲れていないので、意見がぶつかっても険悪になりにくい
・終わり時間が決まっているので、ダラダラ長引きにくい
それ以外に脳科学的なメリットもある。人間の脳のリズムでは、起床後の午前9時〜10時頃まで「クリエイティブの波」がやってくる。
■人間の脳は長い時間をかけて、進化という形で環境に最適化されてきた。その環境というのはサバンナで獲物を狩ったり、肉食動物から逃げたりしながら生き延びてきた状態。走っている最中に一番集中力を発揮できた人が生き残り、その遺伝子を残した。現代のように運動不足な日常を生きるようになったのは、ごく最近のこと。ホモ・サピエンスとして20〜30万年生きてきたが、パソコンが普及しだしたのは僅か30年前。進化には長い時間がかかるので、私たちの脳は今でもサバンナの生活に最適化されている。
■運動すればドーパミンのレベルが上がる。特に運動後15〜60分に最高潮になり、心が落ち着き、集中できるようになる。「運動は50種類の薬に値する」。
■人間の脳は12時間に1度眠くなるというリズムになっている。ランチ直後に頭を使う作業は非効率。
■集中力は15〜16時頃にまた戻ってくる。
■午前中に「90分✕2セット」の集中サイクルを回す
レム睡眠、ノンレム睡眠のサイクルは約90分になっている。
起きている間も人間の身体には僅かにその「90分サイクル」がある。
人間は90分ごとに休憩を挟むのが効率を考えると良い。
■温かい飲み物を手で持っていると、周りの人のことを暖かくポジティブに感じるという研究がある。
■スウェーデン人の労働者の燃料になっているコーヒーであるが、カフェインは朝起きてまったりしている状態から集中モードに持っていくために効果的。ただし既に集中している場合、カフェインを飲むとむしろ集中力が低下する。
■作業の種類を4つに分類すると、
①簡単で楽しいもの
②難しくて楽しいもの
③簡単で退屈なもの
④難しくて退屈なもの
④の作業を先延ばしにする傾向は「切り替え時間の長さ」が原因。①の作業を始めるときの切り替え時間はほぼゼロ。④は切り替えにすごく時間がかかることを脳が無意識に分かっていて、なかなか手が付けられない。しかしそれは、「長い切り替え時間を非生産的な時間だと見ているところに問題がある」。ではどうすればよいのかというと、次の2点が重要だ。
・「先延ばしをしている」と自分を責めずに切り替え時間の存在を受け入れる
・あらかじめ切り替え時間をプランニングに入れておく
前者は日本で言う「段取り八分、仕事二分」の概念に近い。自分はどの作業にどれだけの切り替え時間が必要なのかを考え、プランニングに反映させるべき。
■大きな課題を小さくすれば、より早く正確に
カナダの心理学者アルバート・バンドゥーラの実験で締め切りは細かい方が良いということが証明されている。
①7日間で42ページの算数の課題をやる
②1日6ページを7日間やる
この実験の結果②の短い締切のグループの方が6ページあたりにかかった時間が8分も短く、かつ正解率も80%(①は40%)だった。
また、短い締切の子供たちの方が自分の能力に自信を感じ、忍耐力もあり、自発的に解きたいと思える内発的動機づけ高かった。
■短期的回復を構成する6つの習慣
睡眠不足や身体の疲労が激しい時なら静かに休息する必要もあるが、回復というのはじっとして休むことだけではない。
具体的には、「独り時間」「自然」「リラックス」「運動」「趣味」「人間関係」の6点。
■歳を取ってから人を幸せにしてくれる「材料」とは、「良好な人間関係」である。もちろん「健康」であることも必須。
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【要約】
ここ数年におけるデジタルの進化は凄まじいが、人間の脳はデジタル社会に適応できていない。
【気付き】
・スマホの依存はおそろしい。ポケットに入ってるだけでも影響力がある。
・週3日、最高で45分の運動はストレスを緩和し、不安を除去し、集中力を高める効果がある。
・子供のスマホは1日1時間以内に制限すべき。
・SNSで他人の素敵な日常を見せられると、自分と比較して自信を失ってしまう。
・ボス猿はセロトニンの分泌量が多い(社会的地位が高いと実感している結果)、ただし、その地位を失った途端にセロトニンが減少し、うつ傾向になるという実験結果がある。
・snsがない時代の比較対象はクラスメートなど数十人だった。しかし、今はインスタグラマーが完璧に修正してアップした画像を見させられ、「よい人生とはこうあるべきだ」という基準が手の届かない位置に設定され、その結果、自分は最下層にいると感じでしまう
【学びを今後にどう活かすか】
・スマホと物理的に距離を置く
・朝ランする。今やってる筋トレを継続する。
・目覚まし時計を買う -
Posted by ブクログ
あらすじ
「なぜ人は、危険のない安全な現代社会に生きていながら、不安やパニック、気分の落ち込みに苛まれるのか」――。世界的精神科医が、人間が感じるネガティブな感情の生物学的ルーツを平易に説き明かした実践的メンタル指南書。著者は、「脳は私たちを幸せにするために作られたのではなく、生き延びさせるために作られた器官である」と断言する。狩猟採集時代、不安を強く感じて最悪の事態に先回りできる個体こそが外敵から命を守ることができた。つまり、不安や恐怖は心や人格の欠陥ではなく、遺伝子に刻まれた正常な防御反応に過ぎない。感情のメカニズムを正しく知った上で、脳の過剰反応を鎮める「有酸素運動」「質の高い睡眠」「他者とのリアルな交流」という最もシンプルで確実な心身の調律法を提示する。
所感・深掘り
「不安や落ち込みを感じる自分を責める必要は一切ない」という脳科学の明快な視座が、日々の重圧や漠然とした焦燥感を驚くほど軽やかに解きほぐしてくれる良書だった。
特に深く腑に落ちたのは、「感情は自分そのものではなく、脳が生存のために発している単なる警報に過ぎない」という冷徹な事実だ。不調や不安に襲われたとき、人はつい「自分が弱いからだ」「根性が足りない」と内面に理由を求めて自滅の罠に嵌まっていく。しかし、それはサバンナ時代を生き抜くために脳が作動させた防衛アラームが、現代の日常で誤作動しているだけなのだと理解できれば、感情の渦に呑まれず一歩引いた視点(メタ認知)で見つめ直すことができる。自分の心を客観的に扱い、冷静さを取り戻すための極めて実践的な知恵だと痛感した。
また、「心の乱れを整える最強の特効薬は、頭の中で反省を繰り返すことではなく、身体を動かすことである」というメッセージも心に深く刺さる。ウォーキングやランニングなどの運動によって心拍数を上げることは、脳に「脅威から逃げ切った」という安心のシグナルを送り、不安を鎮める生物学的な作用をもたらす。指導や仕事の現場で大きな責任を背負い、精神的なプレッシャーに晒される大人こそ、机上の精神論や気合いに頼るのをやめ、まずは身体を動かし、汗を流し、深く眠る。身体の土台を愚直に整える凡事徹底こそが、いかなる逆境でも折れないしなやかな精神の防波堤になると確信させられた。
感情の揺らぎを責めるのをやめ、脳の仕組みを理解し、身体を動かして心身を調律すること。
漠然とした不安やメンタルの浮き沈みに悩んでいる人はもちろん、組織やチームの要として常に安定した判断力を保ち、健やかな心で人と向き合い続けたいすべてのリーダーにとって、生涯にわたり自分を守る盾となる必読書だ。 -
Posted by ブクログ
あらすじ
「なぜ私たちは、必要もないのに無意識にスマートフォンを手にとってしまうのか」――。世界的精神科医である著者が、最新の脳科学と進化心理学の知見から、現代社会を席巻するデジタル依存の正体を解き明かした衝撃作。人類の脳は、飢餓や危険が隣り合わせだったサバンナ時代から基本的に進化していない。不確かな情報に反応して快楽物質ドーパミンを放出する報酬系の仕組みを、最新のアプリやSNSは徹底的にハックしていると著者は警告する。スクリーンの放つ刺激によって集中力や記憶力が著しく低下し、睡眠障害やうつ症状を訴える若者が激増している現実を提示しながら、脳の本来の機能を取り戻すために「運動」「睡眠」「デジタル断食」を生活にどう組み込むべきかを具体的に提言する。
所感・深掘り
「だらしがないからスマホを見てしまうのではなく、人間の脳の生存本能そのものが巧みに利用されている」という科学的事実に目を開かされ、日々の時間と意識の使い方を根底から見直させられる強烈な一冊だった。
特に深く腑に落ちたのは、「スマホが手元にあるだけで、脳のワーキングメモリ(作業領域)が奪われ、集中力が削がれる」という指摘だ。通知が鳴らなくても、視界に端末があるだけで脳は「見ないように我慢する」エネルギーを無意識に消費している。机の上に放置されたスマホが、仕事の生産性や読書の深さ、目の前の人との対話の質をいかに損ねているか。意志の強さに頼るのではなく、「別の部屋に置く」「物理的に触れない環境を作る」といった仕組みの工夫こそが、思考のノイズを排し、深い集中を取り戻すために不可欠な凡事徹底なのだと痛感した。
また、「人類を不安と依存の泥沼から救う特効薬は、身体を動かすこと(運動)である」という生物学的な原点回帰のメッセージも胸に力強く響く。狩猟採集民として走り回ることで生存してきた人類にとって、体を動かすことは脳のストレスを洗い流し、集中力と幸福感を高める最大の自己投資である。指導現場や教育の現場においても、頭の中だけで悩むのをやめ、まずは身体を動かし、しっかり眠るという当たり前の生活習慣を整えること。これこそが、情報過多に喘ぐ現代人が自律と健全な精神を保つための最強の防壁になると確信させられた。
無自覚なデジタル依存を手放し、身体を動かし、自らの時間と意識の主導権を取り戻すこと。
日々のマルチタスクや倦怠感に集中力をすり減らしている人はもちろん、組織や次世代を導く立場として、心身を健やかに保つ生活の規律を整え直したいすべての現代人にとって、必読の警鐘であり処方箋となる名著だ。 -
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ネタバレ◯読後感想
1人の人生を左右するスマホの話
〈内容整理〉
「人間の脳はまだサバンナにいる」だから、人間の脳は、サバンナを生きていくための脳になっている。そのための機能がいくつもある。例えば、ドーパミン。これは、脳が「生き残るために必要と判断した」言動を人間が何度もするために出す物質。食事、セックス、情報を得るなどを人にたくさんさせるためにドーパミンが出る。また、不安やストレスも人が危険を回避して生き残るために必要なことだった。ストレスホルモンが出ると人は「闘争か逃走か」の判断を迫られる。それが危険回避につながっていた。
そして、スマホは人間に備わったこれらの性質を利用して悪影響を与えている。例えば、情報を手に入れることや「もしかしたら」という期待感が利用されている。そのせいで人はスマホに取り憑かれる。
スマホに取り憑かれた人はどうなるのか。スマホに支配される。集中力や睡眠時間、運動の時間を奪われる。SNSを見て他人と比べ、自信を奪われる。子供から自制心や人とのリアルなつながりが奪われる。人はスマホに、大事なことを奪われている。
では、スマホの悪影響にさらされず、幸せに生きることはできないのか。できる。そのためには、まずはスマホから距離を取ること。そして、これまで人がずっと行ってきた運動や睡眠などをしっかり取ること。それが大事。そうすれば、過度なストレスや鬱からは解放され、睡眠、集中力、自制心、人とのつながりを取り戻すことができるだろう。
〈読んで思ったこと〉
スマホの悪影響は低年齢になる程大きいと感じた。大人は、まだ自制心が育っているが、子供はまだ自制心が成熟していないのだそうだ。だから、スマホを使い過ぎてしまう。しかし、子供にとってこそ、スマホの時間によって奪われた時間が大切。睡眠、運動、人とのつながり、集中力、自制心、自信など。それらを奪われた子供は大人になって、生きていくことができるのだろうか。生きることはできるだろうが、しんどい暮らしになるだろうな。睡眠運動不足が慢性化して、体調を崩す。人とのつながり方や関わり方がわからず孤独を感じる。集中力や自制心がなく、自分の成し遂げたいことを達成できない。人と比べてばかりで自信をなくす。特に、うつなどになることは悲劇だろう。そんなことにさせないためには、やはり親が鍵となる。スマホ以外の楽しさを見つけさせてあげたい。スポーツ、習い事、友達と遊ぶこと。なんでもいいから。
自分としても、子供にはスマホではなくスポーツや読書、友達とのつながりを大切にしてほしい。なぜなら、それが生きていく力になるから。でも、これからの時代子供でもスマホなしで過ごせるのか、、、。友達が持ってるからなどと言われかねないな。
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Posted by ブクログ
ネタバレ脳の目的は生き延びさせることであり、幸せになることでない。
生き延びるために不安な感情が生まれるし、不安な感情が生まれたり幸せだと感じない瞬間は脳の構造的に当たり前。
だから、不安になることはおかしなことでないし普通と捉えると楽。
常に幸せになることは構造的に不可能。
人間は昔から群れで生きる生き物なので、少人数の仲間と普段から関わって孤独を回避しつつ、定期的な運動でメンタルを保つ。
そして、なんでもいいからゾーンに入り没頭できるものに集中して過ごす
幸せを追い求めてしまうと期待値が上がってしまい逆に現実と理想のギャップに苦しむので、幸せを追い求めない。