14年前山梨県の宗教団体が<祝祭>という暴力による大量殺人事件を執り行い33名の犠牲者が出ました。
やったのは石黒望という女性の首謀者とコミューンに捨てられていて、石黒が育て上げた12歳の夏目わかばら5人の子どもたちでした。
わかばたち5人の子どもは<生存者>と呼ばれ、まだ、子どもだったので罪に
...続きを読む問われることはなく、でも世間の目には晒されながら逃げるように生きていました。
そしてとある事件をきっかけに5人が再会します。
後藤睦巳は光太という母親のない子どもを連れていました。
逆井将文は事件を逆手に取ってユーチューバーとして暮らし、川端伸一(旧名・長治)と斎藤彩香(旧名・弥生)は共同生活を送っていましたが、伸一は精神疾患を患い、彩香は勤めていた歯科医助手を辞めなければならない事態になっていました。
そして5人は自分たちが<刺客>と呼ぶ何者かに狙われて命が危ないことに気づきます。
宗教施設で5人が受けていたのは軍事訓練でした。
わかばは暴力をふるうと気が高まるという根っからの性質と立派な体格で戦闘要員。
将文は稼いだお金で銃を買いなかなかの腕前です。
睦巳も、わかばと同じ暴力性があり、つい光太を殴ってしまうことがあります。
伸一は<祝祭>の日本当は一人も殺していませんでした。
彩香も同じくその場にいただけで一人も殺していません。
そんな5人が再会した後、睦巳が<刺客>にさらわれ、わかばたちは、光太を連れてコミューンに来なければ睦巳を殺すと<刺客>からのメッセージを受取りますが…。
<刺客>とは果たして<祝祭>の被害者遺族なのか…。
<刺客>の真の目的は何か…。
八王子市から相模湖、コミューンのある山梨まで傷つきながら熊と闘い、雨にさらされながら山道を歩き続けるサバイバルゲームのような行動を強いられる4人と光太。
全部で500ページある力作ですが救いのもたらされることのない作品でした。
でも、なぜか心に5人のことが、残ってしまう。そんな作品です。
<刺客>の正体は意外性がありラスト数ページはミステリーとしては大変面白く読みました。