逸木裕のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
AID(非配偶者間人工授精)をテーマにしたミステリです。
主人公が割と独特の価値観の持ち主なので、そこを受け入れられるか否かで、評価が分かれる気がする。
主人公の健太はAIDで生まれた子どもであり、戸籍上の父親とは血が繋がっていない。母親が早くに亡くなり父親は一人で健太を育ててくれた。父親を尊敬し愛情を感じながらも健太は、血の繋りがないことを知ってから父親の健一を「父親」とは思えなくなっている。
ずっと男手ひとつでずっと育ててくれた父親を「父親」と感じない主人公にずっと違和感があり、それは最後まで続くのですが、最後健太の気持ちが少し分かったような気がする。とはいえ、共感はできないのですが。
愛 -
Posted by ブクログ
これだけは言っておきたいのです。逸木さんが選択する挑戦的なテーマがいつも大好きです。小説の完成度とか、共感の有無とかに関わらず、これだけ毎回あっと驚くようなテーマを提示してくれる逸木さんの作品がいつだって大好きなのです。なにかしら他人との違いに劣等感を隠し持ってうじうじしてたりするけれど、普段はそれなりに真面目で真摯に生きている、なのにときとして激情を抑えきれない主人公が好きなのです。
物語は突拍子もない設定と展開で、主人公がたどり着いた結論には正直共感しかねるのですが、そんなことよりもこのテーマそのものが意欲的であり、それだけで僕はもう満足なのです。
父親とは何か?生物学上の父親と育ての親と -
Posted by ブクログ
ビジネスホテルチェーン〈ラ・フォレ〉の創業者である森栄莞爾が死去して4年後、彼が生前行っていたある行為の記録が流出した。彼はAID(非配偶者間人工授精)のドナーで、彼が提供した精子によって105人もの子供が生まれていたのだ。流出したのは彼らの個人データだった。森栄の右腕だった支倉により連絡のついた12人が呼び出され奇妙な依頼を受けるが……。
男はいかにして父親になるかという命題の変形か。ミステリー仕立てではあるものの、いささか苦しい。最後に明らかになる真相も突飛すぎてついていけなかった。
テーマは重いのに文体は軽く、キャラクターの厚みも全然物足りない。逸木さんの本領が発揮されていない印象だった