逸木裕のレビュー一覧

  • 四重奏

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    煌びやかな音楽を奏でる芸術家たちの厳しい現実と卑しさ… チェロに向き合う天才と凡才の物語 #四重奏

    ■あらすじ
    主人公である若き青年はチェリスト、実力はあったがオーケストラの正会員ではなく生活ができていなかった。ある日彼は、チェロを自由奔放に演奏する女性に出会い、すっかり魅了されてしまう。しかし彼女は、本人のスタイルとは合わない楽団に入団し、その後彼を離れていってしまったのだ。数年後、彼女は自宅の火事で亡くなってしまい…

    ■きっと読みたくなるレビュー
    芸術で食べていくのは、ほんと難しいですよね。アウトプットされるものは華やかなのに、何故生み出している人間はこれほどに薄暗い生活をしなければい

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    2024年02月18日
  • Jミステリー2023~FALL~

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    手にしたことのない作家さんの作品が読めて、楽しみました。新たな作家さんとのであいに感謝ですね。
    このシリーズ、大好きなのでぜひ続けてほしい。

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    2024年02月13日
  • 四重奏

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    ネタバレ

    ミステリとしては小粒だけど、芸術や音楽への視点としては面白い。世の中の全ては錯覚と解釈によるもの。完全に否定できないからこそ最後の鵜崎の模倣に心を打たれるのかも。

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    2024年02月09日
  • Jミステリー2023~FALL~

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    ネタバレ

    2023.10.28
    このアンソロジーはいつも待ち遠しい。
    ただし、さいごの宮内悠介の作品は音楽をプレイしたり、レコーディングの意味を知っている人にはすぐに推察できるネタだとワタシは感じた。ネタバレではないと思いますが念のため。

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    2023年10月28日
  • 少女は夜を綴らない

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    ネタバレ

    先が気になって一気読み。
    中学生の二人がどうにもならない現実でもがくさま。大人の存在がまだ必要で一人で生きていくには難しい年齢。自分の正直な気持ちを言えない、自分は人を傷つけてしまうかもしれないという強迫観念、絶対に人には見せられないものを抱えて苦しむ理子。兄の疑惑、母親の存在、学校での出来事、抱えるものが多い。唯一安らいでいた場所でさえも…。
    薫、マキの言葉、優しい視線に素直にうなずけない、見られない。

    「困難があったら、正攻法で乗り越えればいい。そんな風に考える人間が、嫌いなんです」

    「反対から考えると、正攻法で乗りきれる程度の壁しか、あの人たちの人生にはないんだと思います。」

    「外

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    2023年09月06日
  • 虹を待つ彼女

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    ネタバレ

    6月の合同サイン会のサイン本の一つ。
    若き天才的ゲームクリエイターの女性が,自分の作ったゲームと現実をリンクさせる仕掛けをして,ゲームに自分を殺させるという特殊な自殺を諮った。
    晴というその女性は伝説化し多くのファンを生んだ。AIの研究者である主人公・工藤はAIのキャラクターと人間とのように会話できるシステムの開発者の一人だが,その発展形として死者をAIとして蘇らせるプロジェクトに携わることになる。プロトタイプとして蘇らせる対象となったのが晴である。有名人でもあったが謎の多かった晴を蘇らせるためのデータ収集は難航するが,工藤は次第にのめり込んでいく。工藤が最終的にたどり着いたのは...。という

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    2023年07月27日
  • 銀色の国

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    ネタバレ

     自殺という重いテーマであるが故に「面白かった」と「心に澱が残った」が半々の読後感。フィクションとは言え、しっかり向き合うべき問題だからこそ、読むのがしんどくもありました。ただ、この手の話では絶対悪にされがちな「ゲーム」という存在を肯定的に扱っているのは印象的だったかも。
     主要人物たちがなんとなくギクシャクした雰囲気のまま物語が幕を閉じてしまったので、今後彼らがうまくやっていけるようになるといいなぁ。

     自殺の話とは直接関係ないけれど、主人公の「友達にかけるような言葉を自分にかけてごらん」という台詞が、すごく心に染みました。真面目で優しくて他人思いで、自分を責めがちな人にこそ、そう思って欲

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    2023年07月02日
  • 風を彩る怪物

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    ごく短くまとめれば、壁にぶつかってもがく主人公が、様々な出会いの果てに新たな価値観を手に入れて再出発する物語なんだけれど、その過程がとってもリアルで、心に響いた。作者が音楽をやっている人かどうかはわからないけれど、いかにも音楽をやっている人たちが感じそうな悩みばかりだった。自己中な芸術至上主義の人たちの迷惑ぶりや、技術を身につけても魅力的な個性を見つけられずに悩む姿など、もきっととても丁寧に関係者に取材したのではないかと感じられた。
    音楽をやっていない人でも、何かにずっと打ち込んできて、限界にぶつかった経験のある人には、きっと感じるものがあるのではないかと思う。
    でてくる人たちも、「いい人」「

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    2023年06月03日
  • 電気じかけのクジラは歌う

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    ネタバレ

    読んでる途中で感じたのは「好きを仕事にしたらダメなのかな」だった。岡部も益子も理沙もみんなみんな好きだったから音楽で生きていて、そのせいで絶望を味わった。でも最後はやっぱり音楽で希望があった。「好き」はずっとずっと大切にしていきたい。それが絶望をもたらしたとしても最後はきっと自分の支えになるから。
    AIが音楽を作る話はちょうど今起こっているAI絵師問題と酷似していて興味深かった。世界は日々進歩していて、人にAIが勝る(技能的に)ことはどんどん難しくなるだろうと思う。物語の中でもAIを利用して作った作品はその人の作品と言えるのか?という問いがあったけど、今後その線引きをどうするのかによって創作の

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    2023年06月03日
  • 電気じかけのクジラは歌う

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    生成AIが話題になってるので読んでみた。
    作曲領域でAIが活躍する近未来の話。主人公は夢やぶれて、AIへ取り込む情報の審査員へ身を落とした元作曲家。元バンドメンバーの天才作曲家の自殺から物語が動き出し、謎を解く過程でAIとはなにか、人とは何かが問われる。
    主人公が優柔不断で、そうはせんやろ…みたいなところは不満点だが、ストーリーは一貫してAIとヒトというテーマで軸が通っていて面白かった。

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    2023年05月29日
  • 電気じかけのクジラは歌う

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    ーー大丈夫。世の中がどんなに変わろうと、私たちの行動は波及し、必ず誰かにつながっていくのだから。

    本作では音楽という題材が扱われましたが、イラストもCGも小説も例外ではなく、もっというと私たちの仕事ですらAIが代替していくかもしれない。そんなワクワクと同時に漠然とした恐怖も感じる現在だからこそ、この作品が示した答えは、震えるほど勇気をくれました。AIが加速度的に普及するいま読めて本当によかった作品です。

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    2023年04月16日
  • 銀色の国

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    恐ろしい話で監禁暴力の話は何度も本を閉じて休憩した。だけど、病みと光を上手く描いているからこそ、最後まで読めた。初めての作家さんだけど、良い作家さんだ!

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    2023年04月03日
  • 銀色の国

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    面白くて一気に読み切ってしまいました。

    中身としてはサスペンス色の強いミステリーです。

    そこにさらに主人公を軸とした人間関係などが更なる緊張感を生んでおり、続きが気になってページをめくってしまいます。

    作中にある緊張感を生んでいる一つは自殺という重いテーマです。自殺にまで至らなくとも悩みは尽きないというのが現実かと思いますので、自殺を止めたい主人公や、それを取り巻くキャラクターに共感を覚え、目が離せませんでした。

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    2023年03月15日
  • 電気じかけのクジラは歌う

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    ネタバレ

    近未来の音楽世界。究極までパーソナライズされた音楽はもはや作り手を必要とせず、音のタコツボ化が起こる。それでも音楽を作り続ける人間と区切りをつけて適応する人間。主人公岡部数人は、友人である名塚楽の死をキッカケに、音楽の本質的価値を苦悩しながらも理解していく。一人一人が持つ空港。音楽の波及。芸術の将来性を考える上でいい参考資料になった。
    近年の芸術活動は、経済活動と綿密に結びついている。この固定観念の崩壊が起こった時に人類は芸術の本質を再発見出来るかもしれない。

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    2023年03月07日
  • 空想クラブ

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    ネタバレ

    楽しかったけど、中学生の話なのでちょっと子供っぽいなーと思うシーンが多々あった。

    けど、力を使って色んなものが見えるのはすごーーく羨ましい!!

    小学生の時に仲良かったメンバーが中学生になるとみんなそれぞれ変わっていって会わなくなるのは誰しもあることやなーと思った。

    真夜が死んだ理由が残酷だけど、駿から力をもらってハッピーエンドやし、空想クラブのメンバーも交流があるたいやし良かった!

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    2023年02月01日
  • 風を彩る怪物

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    ★4.5
    道を惑うフルート奏者の少女と、オルガンビルダーの少女の求道音楽物語。
    どちらも音楽を創るという意味では同じだけれど、視点を変えた悩みや戸惑いが胸に迫る。
    森の怪物の正体へ行き着くストーリーも必見。

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    2022年12月18日
  • 新世代ミステリ作家探訪

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    ミステリ作家とのトークイベントをまとめたもの。ミステリを俯瞰したようなテーマと、インタビュアー自身の考えも多く語られているのが特徴か。
    ミステリの面白さが多角的に見られる。最近のミステリを読めてないなと実感し、読みたい本がたんと増えた。

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    2022年11月16日
  • 電気じかけのクジラは歌う

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     『〝クジラ〟強調月間始めました!』13

     第13回は、逸木裕さんの『電気じかけのクジラは歌う』です。
     今後十数年で、現在の職業の半分がAIに代替されると予測される未来は、理想社会なのでしょうか?
     本書で描かれる世界は、AIで駆逐される音楽業界、とりわけ作曲家の苦悩が主軸です。ここに、天才作曲家の自殺に伴う謎が絡むミステリー仕立てになっています。
     『Jing』というAI作曲アプリ。中国語で「鯨」の意。創業社会長は霜野鯨。生態系の中心に君臨し、海域の食物を大量に食す鯨は、全てを取り込んでしまうのか…。ドキドキとヒリヒリが続くドラマを観ているようです。
     音楽に携わる者の葛藤が見事に描かれ

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    2022年11月14日
  • 祝祭の子

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    宗教団体で洗脳された子供達も利用して起こった大量殺人。
    その子供達のその後の人生、そして新たな事件について描かれている。
    設定がちょっと苦しいかなと思ったけど、現実に起こる事件だってとんでもないことが理由だったりもするので、これもありかなと思ってみたり。
    やはり心情描写などがとても良くて、500ページをあっという間に読んだ。

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    2022年10月30日
  • 新世代ミステリ作家探訪

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    若林さんがガンガン踏み込んで面白い話を引き出してくださるので楽しかった。「こうではないですか?」と斬り込んで「そうじゃないですね」と返される場面も多かったけど、それはまあご愛嬌。

    印象に残っているのはこの辺▼
    ・円居さんの「推理漫画よりも早く展開する頭脳バトルやギャンブル漫画のテンポが求められていると感じている」という話や、FGO他ノベライズの裏話。

    ・SFミステリと特殊設定ミステリの違いと阿津川さん・逸木さん・方丈さんのスタンスの違い。

    ・澤村さんの「ジャンルの書き手でないからこそジャンルあるあるなシチュやキャラに頼りたくない」スタンスはそういう考えもあるんだと新鮮だった。

    ・呉さん

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    2022年10月27日