逸木裕のレビュー一覧

  • 風を彩る怪物
    ★4.5
    道を惑うフルート奏者の少女と、オルガンビルダーの少女の求道音楽物語。
    どちらも音楽を創るという意味では同じだけれど、視点を変えた悩みや戸惑いが胸に迫る。
    森の怪物の正体へ行き着くストーリーも必見。
  • 五つの季節に探偵は
    他作品で登場する女探偵が如何なる軌跡を描いて現在に到達するかを時代を追って描かれている。

    女探偵といえば、葉村晶。こちらはみどりさん。どちらもグリーンなイメージでいて、貪欲でタフで安全装置がどこかぶっ壊れている人物描写。どちらも好ましい。
  • 新世代ミステリ作家探訪
    ミステリ作家とのトークイベントをまとめたもの。ミステリを俯瞰したようなテーマと、インタビュアー自身の考えも多く語られているのが特徴か。
    ミステリの面白さが多角的に見られる。最近のミステリを読めてないなと実感し、読みたい本がたんと増えた。
  • 電気じかけのクジラは歌う
     『〝クジラ〟強調月間始めました!』13

     第13回は、逸木裕さんの『電気じかけのクジラは歌う』です。
     今後十数年で、現在の職業の半分がAIに代替されると予測される未来は、理想社会なのでしょうか?
     本書で描かれる世界は、AIで駆逐される音楽業界、とりわけ作曲家の苦悩が主軸です。ここに、天才作曲...続きを読む
  • 五つの季節に探偵は
    高校生みどりは同級生から父親が私立探偵だからと無理矢理押しつけられた依頼をこなしていくうちに人の内面に隠された、心の奥に隠し持っているものを見たいという自分の中の性にきづき探偵の道を歩んでゆく。2002年春から2018年春までの16年間の五つの章からなる探偵みどりの成長譚。殺人事件はないけれど場合に...続きを読む
  • 祝祭の子
    宗教団体で洗脳された子供達も利用して起こった大量殺人。
    その子供達のその後の人生、そして新たな事件について描かれている。
    設定がちょっと苦しいかなと思ったけど、現実に起こる事件だってとんでもないことが理由だったりもするので、これもありかなと思ってみたり。
    やはり心情描写などがとても良くて、500ペー...続きを読む
  • 新世代ミステリ作家探訪
    若林さんがガンガン踏み込んで面白い話を引き出してくださるので楽しかった。「こうではないですか?」と斬り込んで「そうじゃないですね」と返される場面も多かったけど、それはまあご愛嬌。

    印象に残っているのはこの辺▼
    ・円居さんの「推理漫画よりも早く展開する頭脳バトルやギャンブル漫画のテンポが求められてい...続きを読む
  • 電気じかけのクジラは歌う
    技術革新により職場が失われて行く。圧倒的な才能を持ち、AIに対抗出来ると思われていた斯界の第一人者も自らの命を絶った。昔の仲間に謎めいたメッセージを残して。。。

    名塚楽はなぜ自殺したのでしょう?岡部の得た結論はとても陳腐に感じられて名塚のイメージにそぐわないのですが…。天才の考えは永遠に凡人の理解...続きを読む
  • 空想クラブ
    宮古島の祖母から祖父へ、祖父から駿へ受け継がれた「見る力」。小学生のときの親友の死、その葬式の帰り道、彼女が亡くなった場所で彼女を「見る」。彼女はなぜ亡くなったのか、その真相にたどり着けるか。かつての仲間たちとその真相に迫るミステリー。疎遠になっている仲間や不良グループに縛られ葛藤する仲間、駿との邂...続きを読む
  • 祝祭の子
    宗教団体「褻」で生まれ育ち、洗脳された子供たち。団体トップの石黒に命令されて大量殺人を引き起こした彼らは無罪とされたのにも関わらず、世間からは冷たい扱いを受けて生きていた。ある日石黒の死を知らされた彼らに、何者かが襲撃を仕掛けてくる。刺客に対抗するため、彼らは協力して策を練ると同時に、自らの過去にも...続きを読む
  • 五つの季節に探偵は
    五つの季節に依頼された謎。
    印象に残ったのは『龍の残り香』かな(*´艸`)
    高校時代に初めて依頼された謎も好きでした。
  • 祝祭の子
    14年前、宗教団体が運営する施設内で大量殺人が行われた。
    施設内ではトップの石黒望が、捨て子を引き取り森の奥で教育していた。
    そして、子どもたちを操り殺害を命じていた。
    洗脳されていた子どもたちは、加害者となりそれぞれ過酷な運命を生きていたが、石黒の遺体が発見され、彼らたちが何者かに襲われる。
    終わ...続きを読む
  • 祝祭の子
    熱い。逸木さんの最新作は、身も心も熱くなる活劇小説だった。
    14年前に宗教団体〈褻〉で起きた惨劇。逃げ場もないまま信者たちが一人、また一人と狩られていく。5人の殺人者は10代の少年少女で、団体トップの石黒望に戦闘術を仕込まれていた。そして現在、彼らの命を狙う〈刺客〉が現れた……。
    衝撃の冒頭から終幕...続きを読む
  • 五つの季節に探偵は
    父親が探偵のみどり。高校、大学、父親の会社に就職、そして探偵になり、課長になり。「人の本性を見たい」という欲求はいつまでも変わらないけど、だんだん大人の振る舞いにはなってるんだなーと。
    「龍の残り香」と「解錠の音が」が良かった。
  • 風を彩る怪物
    パイプオルガンの記述が半端ない。あまり知らなかったパイプオルガンの魅力が間違いなく増した。
    そしてソロ楽器としてフルートも知ることができた。
    主人公は前半と後半でそれぞれ二人の若い女性。お互いが近づきすぎない距離感覚で物語が進む。そしてそれぞれの音楽に対する悩みや、楽器制作に関わる悩みが語られる。
    ...続きを読む
  • 風を彩る怪物
    陽菜はフルートで音大受験したが失敗してしまった。田舎でカフェをやる姉のもとでしばらく暮らすことにした。するとオルガンを作る工房の人に誘われ、バイプオルガン作りに協力することになった・・・

    すごく面白かった。全く知らなかったパイプオルガンの世界の深いこと。楽器とか音楽に畏怖の念を覚える。

    そして挫...続きを読む
  • 風を彩る怪物
    コンテストで力の限界を感じたフルート奏者陽菜、姉のいる奥瀬見でオルガン製作者芦原と出会う。その娘の朋子もオルガンビルダーを目指し、陽菜と反発しながらすこじずつ歩み寄りお互いに成長していく。
    フルート奏者としての新たなる出発とパイプオルガンの完成にむかって進む物語。森の樹々を渡る風の音が聞こえ、バッハ...続きを読む
  • 五つの季節に探偵は
    父が探偵であり、自身も学生時代から探偵の真似事を始めた榊原みどりを中心に起こる5つの出来事を描く短編集。章ごとにみどりが成長していくのも面白い。依頼人を傷付けることになると分かっていても、人間の奥底を暴かずにはいられないみどりを見て「紅蓮館の殺人」の葛城を思い出した。最後は希望の見える終わり方でよか...続きを読む
  • 風を彩る怪物
    陽菜と朋子、2人の心の叫びと紡ぎ出されていく絆とが、そのまま物語を彩る音色となって、読み終えたあともその余韻が心地良いです。
  • 風を彩る怪物
    オルガンとフルート、音楽に真剣に向き合う人の物語。
    確かにオルガンや木管楽器の響きは、森の響きと似ているのかも。
    バッハを脳内再生しながら、心地よく読みすすめた。