あらすじ
私立探偵として活動するみどり。“人の本性を暴かずにはいられない”彼女は、いくつもの事件と対峙する――。第75回日本推理作家協会賞〈短編部門〉受賞! 精緻でビターなミステリ連作短編集。
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『龍の残り香』作者の香道についての堅実な下調べや取材が物語の厚みにつながっている気がした。『スケーターズ・ワルツ』も同じく。
『解錠の音が』高校生、大学生を経て大人になっても丸くなるわけではなくより刺激的な真相を求めている榊原みどりを見た。好奇心の獣。
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謎を解くたびに、わたしは誰かに迷惑をかける。隠されているものを暴きたいーわたしの<熱中>は、多くの人を幸せにする音楽などとは違い、常に誰かを傷つける危険性を孕んでいる。
(p.225)
探偵の父をもつ高校2年生の榊原みどりは、あるとき同級生から、生徒に人気の男性教師の秘密を探るよう依頼される。教師を独自に尾行するうち、真相に気付いたみどりは自身の探偵としての才能とある"性質"に気づかされる。
面白かった!
ミステリーではたいてい、"探偵"は謎を解いたことで周囲からヒーローのように扱われて称賛される。でも、"探偵"が辿り着いた真相は、登場人物のある一部にとっては知りたくなかった事実、隠れたままでいてほしかった事実かもしれない。
この小説は、そうした感謝されない探偵を描いた点でとても面白かった。
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おすすめされていた本なので。良くあるミステリ小説の探偵ではなく、我々の日常により近い感覚の探偵もの。女子高生だった主人公は、友人からとある依頼をされて以来、その人が持つ人間性を覗き見るのが好きになってしまう。それはどんな結末をもたらしても変わることなく、彼女を魅了していく。それでもそこまで罪深い話はないので、何というか、ちょっとした悪い趣味を見つけてしまったときの感覚に似ている。薬物はちょっとどころじゃなくヤバいか。でも殺人も無いので、ミステリ初心者や、猟奇ものじゃないのを読みたい人にはぴったりかもしれない。ひとつの話もそこまで長くないし。私は大満足だった。
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★5 人間の本性に魅了された私立探偵みどり、バランスの優れた高品質な連作短編 #五つの季節に探偵は
■きっと読みたくなるレビュー
すげー面白んだけど、いい連作短編集ですね。読み逃してたなぁ~、文庫で拝読します。
設定自体は女性の私立探偵ものなんですが、ひとつひとつの作品に気品があり、味がある。各編の素材もセンスが良いし、取材も徹底的。謎解きとしても伏線の効かされた真相に驚かされるし、変に捻り過ぎず、物語とのバランスもいい。
主人公みどりのキャラクター、人間の本性を見抜きたくなるという性格もいいんすよ。ミステリー読者であれば、誰もが思う現実的なあるあるだし、すごく身近に感じちゃう。彼女の成長物語でもあるしさー。えー、マジ褒めるところしかないんだけど。
手軽に読める高品質な探偵小説、万人に推せますが、特にミステリー読み始めの方にオススメしたいすね。
●イミテーション・ガールズ 2002年 春
探偵の娘、高校生のみどりは、友人からいじめの相談を受ける。先生の調査をしてほしいというのだが…
はじめて探偵の真似事するときのみどりのドキドキ感、めっちゃ伝わってくる~ わかるわかる、きっとこんな感じだよ!一編目から鋭角な真相にビックリ、おもろい。
●龍の残り香 2007年 夏 【おすすめ】
大学に通うみどりは、お香に入れ込む友人から相談を受ける。貴重な龍涎香を先生に盗まれたらしく…
すげー取材力、お香の世界ってこんなにも深いんすね。シンプルに勉強になりました。ストーリーとしてもうねりがある良いミステリーなんですが、特にラストが情趣と虚無感があって好き。
●解錠の音が 2009年 秋
事務所に就職した新人探偵みどり、ストーカー調査の依頼をうけるのだが…
若さと無邪気が溢れまくりのみどりが眩しすぎする、先輩の奥野さんも頼りがいのあるキャラ。このバディに感情移入しちゃうよね。物語としてのまとまりもキレイな一編。
●スケーターズ・ワルツ 2012年 冬 【超おすすめ】
軽井沢に休暇にきていたみどり、レストランでピアノを演奏していた尚子との会話。
この作品もすごい取材力ですね、音楽や芸術に対する感性も高くないと書けないじゃないのコレ。読んでるとどんどん物語に入り込んじゃう。登場人物たちが目に浮かんでくるし、もはやオーケストラが奏でる音楽すら聴こえてきそう。短編なのにこれだけ躍動感をだせるもんなんでしょうか、すげぇ。
もちろんミステリーとしても面白いし、これだけでも読む価値がある。
●ゴーストの雫 2018年 春 【おすすめ】
新人探偵の須見とみどり、リベンジポルノを流布した人探しの依頼だったが…
本編は新人の須見目線で物語が進行、ちょっと新鮮。もはやベテラン探偵のみどり、10年も経つとこうなるよねってイメージどおり。作品内では描かれないんだけど、彼女の歴史が見えてくるんよ、あえて引き算なのが魅力なんですよね。
そして須見との掛け合いも探偵の深淵を覗かせてくれました。人間だれしも得意なこともあれば、苦手なこともある。いかに自分の強みを伸ばし、仲間を信頼するかってことなんすよね。チーム力って大事です。
■ぜっさん推しポイント
主人公みどりを含め、人間の描き具合が超推せる! くどく書いてないのに深みがあるんだよなぁ~
人間の良いところばかりじゃなくて、あくどい部分を嫌味ったらしく描くのも上手なんすよね。善悪を出すことによってバランスをしっかりとり、探偵ものの物語としてもちゃんと機能させている。
これまで逸木裕先生の作品は『四重奏』しか読めてませんでしたが、これからの作品も期待しちゃいます!
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どの話しもとても面白かったが、特に「龍の残り香」が好きだな、香道に興味わきました。
でも、みどりちゃんはいつ結婚して、結婚相手の森田さんはどんな人なんだろう?奥野さんと良い感じになるかと思ってたから、名字が森田でびっくりした。
今後、新人探偵の要ちゃんの活躍も見たい。
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五つの短編のうち、『スケーターズ・ワルツ』が、日本推理作家協会賞(短編部門)
初読みの作家さん。
『彼女が探偵でなければ』という短編集の前編ということで読む。
とても読みやすい文章でさらさらっと読み終えた。
主人公のみどりは、高校生の時、あるきっかけから人間の裏側を暴く興奮にのめり込んでいき、京都大学卒業後、探偵業につくことになったのだが、誰かを傷つけることになっても、謎を解かずにはいられないという性癖を持つ。そこには思いやりなどない。
みどりは好きになれないが、次作も読んでみたいと思わせられた。はたして、年齢を重ねて、みどりに人間味が出てくるのだろうか。
『龍の残り香』という短編は、香道についてのものだが、私は前に香道体験をしたことがある。詳しいことはすっかり忘れてしまったのだが、いくつかの香りを嗅いで(聞く、というらしい)当てるのだが、かすかな香りなど覚えていられない。私にはとても難易度が高いお稽古ごとだった。
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女性探偵もの。単に事件を重ねていく連作ものかと思ったら、五つの短編は2002年から2018年まで16年にわたり、主人公のみどりも高校生から、やがて子どものいる大人になっている。この小説で面白いのは、みどりの仄暗い性癖。ふだん他人には見せない、対象者の心の奥や裏の表情を垣間見ることをやめられず、そのお陰で友人を無くし、信頼関係を壊すこともしばしば。そんな性格は探偵業が天職なんだろうな。物語も殺人のような派手な事件はなく、いじめ、窃盗、ストーカーなど心の闇をテーマにしたものが多かった。謎はそこまで複雑ではないので、ミステリを読み慣れた人なら、だいたい解けるんじゃないだろうか。ともあれ、共感とかないわりに面白かったし、ちょっと不思議な読後感だった。
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高校生から大人になって出産後に仕事を再開する、探偵人生の物語という形式の連作ミステリー。設定自体どうということもないし、成長したからこその事件解決能力が上がっていくようでもない。そういう意味では物足りないこともないではないが、主人公の根本的なところは変わらないというのが話の根幹でもあるから、じっくりとこの探偵と付き合っていくための連作というところ。
それぞれの話は面白くできているし、どんでん返しもあったりするので十分楽しめた。どうということのない高校生、自分を常温水に例えるくらいの無味無臭かもしれないが、どうしてどうして色々なところでいい味を出している。最初の話が高校生時代の探偵業に入っていくところである意味一番驚かされたが、そこからはもう少し紆余曲折が起きないかなとは思った。
推理作家協会賞受賞作はクラシック音楽にまつわる話だったが、音楽ファンの自分にしてもちょっと音楽に寄りすぎかなと思った。作者は結構研究したのかあるいは元々音楽マニアだったのか。
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久しぶりに読むことができた逸木裕さんの本。今回は探偵もの。単なる謎解きとしても予想外に良くできていたけれど、僕が期待していた通りに、ちょっと変わった人間の性(さが)のようなものを背負った主人公の設定がいつもながらにとても面白かった。コンプレックスを抱えつつも、それを否定的にとらえるばかりではなく、自分の根底にあるものとして認め、つきあっていく主人公像はいつも興味深く読ませてもらっている。
5つの短編がつまった連作集となっており、途中がちょっと中途半端になってしまっているきらいはあるものの、最初と最後がうまくまとめられているので読後感は極めて良く、感動すら覚えた。最終話がまさか別視点になるとは思いもしなかった。
否定とか自虐とか諦念とか劣等感とか、そんなちょっと陰を感じる人間の特徴が、見方によっては評価され、羨望され、肯定されるのはよくあることで、この作品もそういった過程を経て、ラストの感動に辿り着いているのだと思う。逸木さんの作品、もっともっと世間で評価されてほしい。
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主人公は最初おお話で探偵、というか他人の秘密を知らずにいられない性癖に目覚めます。主人公はプロの探偵になりますが、仕事の範囲を超えてでも真実に迫ろうとします。それによって友情が壊れても、相手を不幸にしても止められない。そんな主人公の成長を描く連作短編集です。
探偵は謎を解くものですが、それは必ずしも誰かを幸せにしないことがある。それでも謎を解く。まさに探偵の物語だと思います。
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最後の結末を読み終えたときの満足感が半端なかったです。ミステリー系の探偵のお話なので真相がわかったとき「!?」ってなるのでどんどん読み進めてしまいました。
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「人間の本性」に魅入られた主人公の高校生〜30代までが描かれている。
特に夢中になれるものがなかった主人公が、高校のクラスメイトから依頼を受けて探偵事をしたことで、人間の持つ本性や裏側、それを暴いた時に現れる表情に魅入られて探偵業にのめり込む。
自分の欲望のために、依頼人から望まれていない真相解明をしてしまうことで失ったものがあっただろうけど、お構いなしに真相追究してしまう。
龍涎香の話が特にその傾向が強かった。
探偵としては優秀だろう。が、友人としてはそばにいて欲しくない人物ではある。
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主人公の探偵としての初めての仕事から、16年後までの仕事についての短編集。
"誰を傷つけることになっても謎を解かずにはいられない探偵"(裏表紙あらすじより)という記載の通り、その辺りでやめた方が、というところから突っ走る主人公の姿に、やりすぎだよーと思いつつ、読まずにはいられない。
知らない文化について(香道やクラシックや建設)の話もあり、楽しめる要素たくさん。 続編もでているので、読むのが楽しみ。
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父が探偵事務所を営む高校2年生の榊原みどりは同級生に英語教師について調べてほしいと依頼され…『イミテーション・ガールズ』。
大学3年生になったみどりは、大学の友人に盗まれた龍涎香を取り戻してほしいと依頼され…『龍の残り香』。
父の探偵事務所に就職したみどり。元警察官の奥野とバディを組んで、元交際相手にストーカーされているという男性の依頼を受ける…『解錠の音が』。
社会人5年目のみどりは休暇を取ることにした。軽井沢のレストランでピアノを弾いていた女性からある指揮者と恋人の話を聞く…『スケーターズ・ワルツ』。
須見要は2年目の新米探偵。女性探偵課の課長・森田みどりと組んで、リベンジポルノを受けたという女性の依頼を担当することに…『ゴーストの雫』。
1人の女性探偵の16年間、高校生から働く母親になるまでの間に探偵として出会った5本の物語で描いた作品。面白かった。
『解錠の音が』が一番結末を予想できない感じでよかった。先が読めないミステリー小説を読んでいる感覚。
印象的だったのは『龍の残り香』。人間が隠している本性を暴いてしまいたい、というみどり。そのみどりの苦い思い出。みどりのこういうところは普通の人にもどこかしらありそうではあるけれど、他の人より強いからこそ探偵(いわゆる小説に出てくるような探偵ではなく現実にいる探偵)に向いているのかもしれない。
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2022年1月に刊行された単行本に加筆修正のうえ文庫化されたそうだ。単行本は未読のため違いはわからない。
サカキ・エージェンシーという探偵事務所を経営する父を持つ榊原みどりが主人公の5篇で構成された連作短篇集だ。2002年の春に始まり2018年の春で終わる。
初登場時のみどりは高校生で探偵ではない。その後、年月の進行と共に彼女の立ち位置が変化していくが、性格は揺らがないのがおもしろい。
ミステリーとしては派手なものではないけれど、日本における探偵小説はこのくらいがちょうどいい。
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父親が所長の探偵事務所に勤めるみどりは真相を突き止めずにはいられない性質を持つ。
その為に仕事の依頼を踏みこえた事をしてしまうのもしばしば。
そんなみどりの高校生から結婚して母親になるまでの間に起きた様々な事件を描いている。
時にはクールに、時には執拗に事件の調査をするみどり。
日常の謎を解くタイプのミステリー。
結果はハッピーエンドにならないことも多いからモヤっとするラストもある。