伊岡瞬のレビュー一覧
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22年前に惨殺事件が起きた村に、大学生がサークル活動という名目で訪れた。そこで過去と同じ惨劇が繰り返される…、みたいな事が背表紙に書かれていて、横溝正史の世界の匂いがプンプンすると思い読んでみました。
ろくでもない学生たちにうんざりしつつも、確実に迫ってくる者がいるという恐怖。横溝正史のあのおどろおどろしい感じがずっと続いていきます。でも残り1/3でアレ?アレ?アレ?となりました。そういう事件の解決もありなんだ、とそこが私の中でどんでん返し。結末も真相が分かりスッキリはするのだけど、これから何か不吉な事が起こります、という感じで話が終わったので怖い。私は絶対にアイツがやらかすと思う。 -
Posted by ブクログ
おもしろかった。
浪人生の堀部一平はバイト先の同僚(お爺さん)が職場で倒れ、部屋まで送り届けるところから運命の歯車が狂いだす。
ぼろっぼろのアパートへ送り届けると、どう見ても親戚などではない女性3人と男の子が集まって来て、側から見ても奇妙な宴会に参加させられる。
その人たちの不可思議な関係に疑問を持ちながらも、なんだか興味が湧き一平と奇妙な住人たちとの交流が始まる。
しかしこの奇妙な住人たちにはさまざまな過去があり、とある縁から一緒にある事件について水面下で行動を起こしていた。
ミステリーではなくサスペンス。
最初から犯人もわかっている状態だったが、最後のまとまりもよく、ちょっとした寂しさを残しながら読み終えた時には、この話のその後がとても気になってしまいました。
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Posted by ブクログ
高齢ドライバーの危険運転が招く事故は最近、頻繁にニュースで取り上げられる。この作品は、それをベースにしたミステリーであり、家族崩壊までの様子がリアルなタッチで描かれている。
主人公の大槻敏明は私立高校の教師で妻・香苗と息子・幹人の3人暮らし。同じ市内で一人で住む父親・武はまもなく80歳。中学校の校長を務めた後、再任用も退き、現在は生涯学習センターの講師をしている。そんな武に認知症と思われる症状が現れ、運転する車のキズが絶えず、敏明や香苗は免許証返納を望むものの、頑迷な武は受け入れようとしない。
さらに、武は講座の受講生である65歳の女性と時々ドライブに出かけていることがわかってくる。
そして、武から「人を轢いたかもしれない」との電話が敏明にかかってくる。その真相を巡ってのミステリーという形式になるが、どんでん返しや謎解きの面白さを狙った作品ではない。この作品の心臓部は、敏明の揺れ動く不安な心理、いろいろな手を打ちながらも追い込まれていく滅亡過程の描写であろう。
一度は危機を脱し、なんとか、身の破滅を免れようとするが、そうは上手くいかず、家庭の崩壊に至る過程は、読んでいて妙にリアルさを感じ、身近な問題としての恐怖があり、どんどん読んでしまった。 -
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東京の武蔵野の山中で、東村山のパン屋の妻である宮崎璃名子が白骨死体で発見されたことから物語は始まる。
そして璃名子の友人である新田文菜も行方不明となっていた。
この『 仮面 』では、人間の本性は何処にあるのかを問うている。
人の心は複雑怪奇な面がある。
本人にさえ理解していない一面が、突如現れてくる可能性がある。
信じていた友に裏切られたり、長年生活を友にしていた家族でさえ理解不能の行動に出られたりもする。
本人さえも自覚できない「仮面」を、人は心に備えているのだろう。
この『 仮面 』に登場する7人の人々も、二面性や三面性を擁しているがために、本人でさえも予想外の行動に出ることになり、その結果、加害者か被害者となってしまう物語だ。
7人の登場人物の中で、最後まで好印象だったのは大食漢刑事の宮下真人と、超クールな女性刑事の小野田静だけだった。
最後の最後、宮下真人が小野田を見送る場面で、鼻水を垂らしながら直立不動で最敬礼する姿を想像し、不覚にも私の鼻の奥がツンとなって鼻水を垂らしてしまった。
ぜひ最後の感動を、皆さんにも味わっていただきたい。 -
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『翳りゆく午後』の「午後」とは、人生の午後だろう。
高齢者による交通事故のニュースを見ては、またか!といつも憤慨している一人である。
しかし、家族がいくら言っても本人が頑として免許を返上しないという事情も知っている。車がないとどこにも行けないという事情も分かっている。
だが、人の命には代えられないのではないか。
運が悪かったら、最悪こういうことになるんだよ、という小説である。
元校長の父親・武(たけし)には世間から重きを置かれる地位にいた人間特有の頑固さとプライドがあり、屁理屈を振りかざすのが得意で、最初は主人公の敏明に同情していた。高齢の親に手を焼いた自分自身の体験から、感情移入もしていたが、途中でふと、この人なんだか自己中じゃない?と思い始めた。
武が死んだら実家の土地と屋敷を売って、駅に近い新しいタワーマンションを買うつもりだ、という腹づもりを読んだあたりだったと思う。
一度視点が変わってしまうと、どんどん、自分勝手な部分や、バイアスをかけたものの見方、人の話を遮って自分の聞きたい事を先に質問するようなところが気になり出す。作者もそのつもりで書いているのだと思う。
そのうち平気で嘘をつくようになり、保身を優先するあまり、法に触れるような嘘をついてしまったところが、決定的な人生の転落地点だったろう。
高齢の父親が事故を起こしたことも、タチの悪い女に見込まれたことも、敏明にとっては本当に不運な偶然が重なった。
だが、自分は不幸だ、不運だともろ手をあげて嘆く資格もまた、無いのではないかと思う。
いや、この後に及んで、刑務所に入ってくれていたら自分が介護しなくて済んだのにみたいな事、考えてたな。
閻魔様の備忘録にしっかり記入しておいてほしい。