南杏子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ副題は『閉ざされた楽園』だ。
舞台は北海道、DVの夫から逃れるため、主人公の明日香は7才の娘・リサを連れて当てもなく車で走り出す。途中で煽り運転の車に襲われ、車を降り迷い込んだ森の中で気を失う。気がつくとある場所に寝かせらていた…その場所は認知症患者だけが集められた理想郷『アルツ村』だった。
『アルツ村』は北海道のとある場所(住所は世間的には不詳)にあり、アルツハイマー、認知症患者の介護に限界を迎えた家族が安い費用で送り込む…患者はここで死ぬまで暮らし、村からは出られない。亡くなったら、脳などを検体にされ、医療機関の発展に資するものとされる…もちろん設定はフィクションだが、実際に存在するかもしれないようなリアリティがちょっと恐ろしくもある。
最後の章で大どんでん返しがあり、『え?どういうこと?』となる。
なかなかの問題作だった。 -
Posted by ブクログ
「いのちの停車場」の白石先生は、コロナ禍のもと加賀大病院のヘルプに出かけ、まほろば診療所は、医師国家試験に合格したばかり、久しぶりに帰ってきた野呂先生の肩にかかることになった。
前著は、終末医療の厳しい現実がテーマだったけど、今回は新人の野呂ということもあって、独居老人問題、家族の負担、外国人労働者の終末医療、認知症隠し、ヤングケアラー問題、老老介護など、比較的世の中に「よくある問題」を扱っている。現役医師南杏子さんは、日頃の経験から「どうしても伝えたい」という想いが、あり過ぎるのだろう。他の医療小説よりもヒシヒシと感じる。
金沢の訪問医療の小さな診療所。
「私たち、最後の砦なんですね!」看護師の麻世ちゃんの言うとおり、世の中のいろんな歪みが其処に集まる。若い野呂先生の目を通して、私たちも考えなければならない。
図らずもコロナ禍小説ともなっている。次のシリーズは、能登の震災直前までの小説になっているようだ。第四巻があるとしたら、災害医療小説になるのかもしれない。
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Posted by ブクログ
看護師として働く女性の過酷な忙しい日々が綴られる。医療現場の現実や限界をリアルに描いた小説。
三交代制のシフトで体力が削られる上に、様々な患者への対応は待った無し。認知症の患者を入浴させるシーン、便が出ない患者を摘便させるシーン、患者から様々なハラスメント行為を受けても黙って業務を続けなきゃならないストレス…(患者への殺意が芽生えるシーンまで)小説の上でも僕には軽いカルチャーショックでした。おそらく実際に仕事をしてる方々にはこれが当たり前で、日常なのだろうな。
これから看護師を目指そうと思ってる方がこの本を読んで、それでも看護師になりたいという意思が変わらなければホンモノかなあ。小説とはいえ、それほど過酷な内容でした。
こんな一行が印象に残った。
医師の仕事は患者の死で終わる。しかし看護師の仕事は、患者の死後ケア(エンゼルケア)や家族への対応などがまだまだ続く…
医療もののドラマは好きでよく見るけど、この小説はスーパードクターが登場するわけでもなく、ナースたちのやり甲斐や素晴らしさが描かれているわけでも無い。こんなあまりにもリアルで過酷な現状がドラマ化、映画化されることはあるだろうか。そんなことを考えた。