南杏子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
都市部の地域医療を支える市民病院の抱える問題や闇、医師の置かれた過酷な状況をリアルに感じさせる医療小説です。
主人公は大学病院から地域の市民病院へ転院してきた女性内科医。病院の方針は金融畑から転身してきた事務長が取り仕切っており、サービス業と化した医療は患者を『患者様』として過剰なまでに患者にへりくだり、おもねっている。デパートのように綺麗で明るい空間を演出した待合室は、毎日大挙して押し寄せてくる患者で座る場所もない。待ち時間が長くなればクレームにつながり、かといって一人一人の患者を手早く済ませようとすればきちんと話を聞いてくれないとクレームになる。医師は相手が医療を求める限りどのような -
Posted by ブクログ
ネタバレ・あらすじ
Audibleで視聴。
大学病院の総合診療科に勤める倫子は、教授から訪問診療への異動を命じられる。
当初は急性期医療とかけ離れた「診療」に戸惑っていた倫子だったが、死にゆく患者に対して「医者」として己に何が出来るのかを自問自答していく。
・感想
医者は病気を診るプロ。
でも現代では医者はトータル的な視点を持って「人間」を診る、全人的医療が必要とされている。
本来であればチーム医療でそれぞれ役割分担ができてればいいけど中々そうもいかない現状もあるのがもどかしい。
でもなーー思想哲学している現場の医者なんかほとんどいないよ。
業務の多忙、過大な責任、訴訟対策。
諸々の問題もあるけど -
Posted by ブクログ
医師でありながら作家でもある方々の医療小説9編。
私の知っている作家さん以外にこんなに多くの医師作家さんがいることに驚きました。どれも医師であるだけに小説の内容は臨場感が溢れていて迫力がありました。
中山祐次郎さんの『救いたくない命』は救急で運ばれてきた患者が犠牲者15人以上を出した通り魔事件の犯人と知り、葛藤をしながらも必死に命を救う姿に京アニ事件を思い出しました。
南杏子さんの『空中テント』は家族の介護の経験がある人は共感出来るはず。
どれも本当に良い作品ばかり。若手医師の過酷な労働時間、医療ミスの隠蔽、不都合な論文を闇に葬る等、医療小説が好きな人なら興味のある内容ばかり。でも朝比 -
-
-
Posted by ブクログ
終末期医療を題材にした作品。
とにかく殺人が起こる作品ばっかり読んでいたので、温度差がすごい。
死は「負け」ではなく「ゴール」、という表現があった。
昔から、寝たきりになって食事も自力で取れなくなったらその時はもういっそ延命せず安らかに死にたいと、そう思っている。
でも仮に自分ではなく、自分の周りの人がそういった状況になったとして、まして仮に自分がそれに抵抗できるかもしれない技術・知識を持った医者だったら、考え方は変わるかもしれない。
自分が頑張ったら、もしかしたら何とかできるかもしれないと、患者に「諦めるな!」と、そう思う気がする。
でもたぶん大事なのは、患者自身がどう思っているか、 -
Posted by ブクログ
ネタバレ9人の現役医師による医療小説アンソロジー。
医師作家でしか表現できないと思われる臨場感あふれる詳細な描写、ヒューマンでミステリアスなストーリーが魅力の作品集だ。
1〈研修医ヒナノの洞察〉
上司からパワハラを受けている研修医が患者の膠原病を見つけ上司を見返す痛快な話
2〈魚類譚〉
封建的で理不尽な医大の内部構造、詳細な手術シーンにミステリーとホラーの要素を取り入れた作品
3〈パイナップルのある光景〉
同じような引きこもり系の精神疾患でも、一方は入院治療、一方は家族による対処という示唆をする精神科医。専門的な見解が押し付けなく、ふわっと伝わってくる秀作
4〈救いたくない命〉
救急外来に運び込まれて -
-
Posted by ブクログ
あっ、NHKで観たやつ!
と気づくまで時間がかからなかった。
患者を「お客様」扱いする病院サイド。そこに紛れ込んだ何人かのモンスターペイシェント。板挟みになる若き女医が、ロシア格闘技システマの呼吸法でもって応戦する様は見ていてこちらが苦しくなる。ドラマでは田中哲司さんの怪演ぷりがまた怖いのなんの。
ホスピタリティとサービスの履き違えなのかな。
ただこれが私だったらと思うと、割と早めにメンタルやられてアパートに引きこもってるな〜。負ける。コロナ禍なんかまさにそうだけど、医療従事者の戦う力ってすごい。
──過重労働、過重責任、承認欲求
作者の言う、医師の働き方を変革できない3つの壁。
誰 -
Posted by ブクログ
2024.4.23
咲和子の患者さんに対する一生懸命さと命との向き合い方、医師として、娘としての姿勢にぐっときました。
老老介護、四肢麻痺の社長、小児がんの少女、そして脳卒中後疼痛に苦しむ父親からの積極的安楽死の提案。
・生命活動を終えようとするとき、胃腸の動きが止まっていくため食べなくなっていく。
・セルフネグレクトとは、別名自己放任。介護医療サービスの利用を拒否するなどにより社会から孤立し、生活行為や心身の健康維持ができなくなっている状態。生活環境や栄養状態が悪化しているのにあ、改善の気力を失い、周囲に助けを求めない。ゴミ屋敷や孤立死の原因とも言われる。セルフネグレクト状態にある高齢者は -
Posted by ブクログ
少し前にニュースにもなっていたこと。
「医学部合格者の操作。男子を優遇し、女子を意図的に不合格にしていた」
そのニュースが根幹にあるストーリー。
いまだに根付く「男性優位」の世界。
女性ということだけで、並列にはされない世界。
今回描かれているのは、医師の世界だけれども、この女性蔑視の考えは、「女性活躍推進」と言いながらもさまざまな世界で根強く残っている。
自分が働く会社でも、「女性活躍推進」としながらも、相変わらず、「女性は家庭があるから。子育てがあるから。時短だから。」と、線を引く風習はありありと残っている。
解剖学の過程が詳しく描かれていたので、こんなふうに進行するのかー。。と、興味