南杏子のレビュー一覧
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『いのちの停車場』から続く3作目。
余命わずかな人たちの役に立ちたいと看護師の麻世が、能登半島の穴水にある能登さとうみ病院の看護実習で「ターミナルケア」を学ぶことになる。
第一章 キリシマツツジの赤
大腸癌が肺にも転移している患者さんが、かなりの痛みがあるにも関わらずモルヒネを拒否する理由とは…。
第二章 海女のお日様
子宮体癌の患者がICDをどうするか…家族の判断は…。
第三章 親父のつゆ
末期の前立腺癌と重度の認知症を患っていても家族は、胃瘻をしても生きてほしいと願う理由は。
第四章 キリコの別れ
末期の肺癌患者が、親族は両親も含めて拒否な理由とは。
第五章 内浦の凪
仙川先生 -
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『仕事は山積みだ。こなしても、こなしても、いつになっても終わらない』。
このレビューを読んでくださっている方の属性はマチマチだと思います。学生さんもいらっしゃるでしょうし、ご定年された後の第二の人生を過ごされている方もいらっしゃるでしょう。しかし、恐らくは何らかの”お仕事”をされていらっしゃる方が多いのではないかと思います。
この世には数多の仕事があります。もちろん仕事に貴賎はありませんし、忙しさのも具合もそれぞれでしょう。一方で、働き方改革が進み統計上も日本人の労働時間は減る傾向にあります。しかし、必ずしもその状況が改善されているとは言い難い”お仕事”もあるようです。その一つが私たちが病 -
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あなたは、『延命治療』を受けたいでしょうか?
日本人には不吉なことを口にすることを極端に嫌がる国民性があると思います。残される者に苦労をかけまいと頭では分かっていても、各論として自らの葬式のことを考えるようなことは心が拒絶します。具体的に考えることによってそれが現実のこととなってしまうのではないかという不安が先立つからだと思います。
一方で、2010年代から『エンディング・ノート』というものが急速に普及し始めた現状があります。『人生の終末期に自らの希望を書き留める』という『エンディング・ノート』によって、私たちは『延命治療などに関する意思を明確な形で遺』せるようになったのです。もちろん、こ -
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あなたは、次の質問にどう答えるでしょうか?
『人生の最後をどうしたいかは、誰が決めること?』
あなたにも私にも人には必ず最期の瞬間が訪れます。それはある日突然に訪れることもあるかもしれません。日々ニュースになる交通事故をはじめとして私たちにはいつ何時本人も周囲も誰も予想しない中に人生の終わりの時を迎える可能性があります。
その一方で、余命○○ヶ月といった形で未来に人生の線引きがなされる場合もあるかもしれません。かつては周囲が全力で嘘をついて真実を隠そうとする時代もありました。しかし、本人にも包み隠さず真実が伝えられる、それが今の世の中です。結果としてそこには本人が『人生の最後』を認識し -
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南杏子氏の小説を読むのは2冊目だが、本書が著者のデビュー作らしい。
著者は現役の医師であり、本書のジャンルは医療小説だ。患者や家族の描写がとてもリアルである。
ストーリーは、大きな大学病院から在宅医療のクリニックに不本意ながら出向になった女性医師とその患者たちの話。患者ごとに短編になっている。主人公の倫子(医師)の父親は脳梗塞で意識不明になって8年入院している。
自宅療養している患者たちの事情は様々である。患者とのやり取りは、倫子が大学病院で志してきた患者が1日も長く生存できるようにする医療が、患者にとって幸せなのかという疑問を突きつける。父に生き続けてほしい母と、終末医療の希望を書き残した父 -
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サイレンを掻き鳴らし
赤信号に突っ込んで、
ときに車線を逆走して、
一分一秒を争いながら
病院を目指す救急車。
必死に命をつなごうと
する医療スタッフ。
そして救おうとしても
手からこぼれてく命─
結局すべては諸行無常
なのかもしれません。
でも、そうやって達観
したところで、
心が満たされることは
ありませんよね。
小児がんの少女が最期
に望んだのは海に行く
ことでした。
酸素ボンベや点滴台を
取り付けた車椅子で、
大人達に守られながら
辿り着いた遠浅の海に、
もう体力のない小さな
体から歓声をあげます。
父親に抱かれ生まれて
はじめて海に足をつけ、
とろける笑顔を -
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看取り。
必ず最後は誰もが迎える。
頭ではわかっていても、実際に身近な者がその立場になった時、「いつまでもいて欲しい」と思う。
だから、やれるかぎりのことをする。
それが、本人の望みでないとしても。。
意識のない祖母が、痰吸引をされた時の苦しそうな辛さそうな表情。
意識のない祖母の脚が、浮腫んでぱんぱんだったこと。
そんな光景を思い出した。
あれは、祖母が望んだ最期だったのだろうか。。
「一才の延命治療は断る」と書き記し、その通りにホスピスで安らかな最期を迎えた伯母の最後の顔も思い出した。
一人暮らしだったから厳しかったけれど、家で迎えさせてあげたかったな。とも思いながら。
書中で、「自 -
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『心身に障害のない、日本人の、男性医師 ー それこそが医局員の標準であって、初めから女性医師は規格外の存在なのか。自分たちは、女というだけで欠陥を抱えているのだろうか』。
山崎豊子さん「白い巨塔」。医学界の権力争いの極みを見る傑作小説は、女性作家さんの小説をコンプリートすると誓って読書を続ける私には、どこかで踏破すべき作品だと思っています。テレビドラマで先に見たその作品は原作が1960年代ということもあり、男と男のドロドロの闘いが描かれています。まさしく医学界が男性社会であることを象徴もした作品だと思います。しかし、そんな作品が2019年にドラマ化された時に原作とは異なる変化がありま