南杏子のレビュー一覧
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こういう言い方は実に良くない。のだが、この手の話はどうやったって泣ける。ずるい。泣く以外の選択肢ない。
看取り、という題材の中でもクリティカルなのは、親子。そして夫婦。やめてほんと。小説で泣いてから、現実で笑うためのアクションがとれるような人には良いと思う。
同じ作者の、『いのちの停車場』を先に読んでいたが、こちらの方がデビュー作とのこと。確かに駆け出しは荒削りなようにも見えるが、エンディングでは涙腺へのハードパンチが待っていた。
だから、敢えてそのあたりを全て度外視した上で、3人目のカルテに出てくる「胃瘻」について触れたい。
いや、もう読み終わる前から語りたくて語りたくて仕方がなかった。 -
Posted by ブクログ
エリザベス・ブラックウェルは1821年にイギリスで生まれ、11歳で家族とともにアメリカに移住した後、1849年、女性として世界で初めて医学学位を取得した。
この本は、女性医師の未来を切り開いたブラックウェルを灯火として、医療の世界で性差に抗い闘う女性たちの姿を描いた小説。ふ
主人公は、1998年、中央医科大学の解剖実習で組まれた女性だけの班に所属した長谷川仁美、坂東早紀、椎名涼子、安蘭恵子の4人と指導教授・城之内泰子だ。
4人は泰子の指導を受け、いずれも優秀な成績で卒業し、それぞれの道を歩むが女性ゆえの苦労も味わうことになる。
長谷川仁美は、大学に残り、白内障オペのスペシャリストとして活躍す -
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いのちの停車場を読み、南杏子さんを知りました。他の作品も読んでみたいなと思っているとき、ブック・オフで見かけたので購入。
女性教授と4人の女性医師の話です。大学初の女性教授の葛藤と苦悩、中堅医師となった4人の葛藤と苦悩が描かれています。事実、女であるということでたくさん苦労されてきたことがよく分かりました。そして、現在やこれからは女であるということで理不尽な偏見や差別が無くなることを願うばかりです。
ちょうど、私もアラフォーで仕事について振り返り、決断する時期にきているので、彼女たちの悩みに共感しました。最後の章で城之内教授が「どんな道を選んだにせよ、間違った選択なんてない。自分を信じてあげま -
Posted by ブクログ
ブラックウエルとは、世界で初めて医師として認められた女性のことだそうだ。
数年前にあった医学部不正入試問題、それを踏まえて著者はこの作品を著したのだろう。
書中、ひとりの女医が言う。
「つまり大学受験での女性差別は、私たちにとってささいな始まりでしかなかったともいえますね」
入学試験での女性差別は、ほんのスタートにしかすぎず、入学後さらに医師になってからも、医療分野は女性蔑視が甚だしい。
そんな男性社会で奮闘する4人の女医たちを描いた医療小説。
解剖学実習で女性だけの班を組まされた彼女たちが、卒業後医師となり女性ゆえに苦労する医療界の現実を、現役の医者である著者がリアルに描き出す。
指導教授だ -
Posted by ブクログ
読み始めた途端、テレビドラマで観た作品であることを思いだした。主人公役が誰だか忘れたが、陽子役と座間役が印象深く、記憶に残っている。
現役の医師による、過酷な医療現場の実態を小説化し、現代の医療を告発した作品と言えようか。
主人公千晶の先輩医師陽子が語る「良心に従って仕事するだけで精一杯です」に、先に読んだ夏川草介『神様のカルテ』の「良心に恥じぬということだけが、確かな報酬か」を連想した。
『神様・・・』が、過酷な医療の実態をオブラートに包んだ手法に対し、本書は肉体の限界を超える過酷な勤務や患者からの暴力、訴訟リスク等々をストレートに描き出している。
訴訟問題で命を絶った医師を惜しむ患者たちが