あらすじ
東京の救命救急センターで働いていた、六十二歳の医師・咲和子は、故郷の金沢に戻り「まほろば診療所」で訪問診療医になる。命を送る現場は戸惑う事ばかりだが、老老介護、四肢麻痺のIT社長、小児癌の少女......様々な涙や喜びを通して在宅医療を学んでいく。一方、家庭では、脳卒中後疼痛に苦しむ父親から積極的安楽死を強く望まれ......。
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Posted by ブクログ
シリーズものとは知らず、先にいのちの十字路を読み次に停車場を読みました。
野呂先生ポンコツでは、、、???でも元気のある若者って感じで良い。十字路の野呂先生のイメージとは違った。萌ちゃんと出会って意識が変わったことが伝わる。
白石先生も完璧な先生、と思っていたけど、色々葛藤してたんだなあと分かって、ある意味人間らしさが出ていた。良い。
3作目もあるみたいなので楽しみー!!
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在宅看護のお話です。知らない事、知らない世界が沢山書かれていました。とても勉強になりました。映画化されているようなので、そちらもみたいと思います。
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患者と家族の思いを引き出す佐和子医師達の仕事には温かみが感じられた。
そのサポートがあってこそ患者と家族は互いに歩み寄ることができたのだと思う。
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人の死に向き合うって辛いしいやだし自分の大切な人が亡くなっちゃうことなんて考えたくもないことだったけど、死に向き合うこと、どう死にたいか一緒に考えること、その人の天寿を全うさせてあげることはすごくすごく尊いことだなって思った。
自分が死を迎えるのは年齢だけでみたらまだまだ先なはずだけど、そのときどう向き合うんだろう、でも少しだけ怖くなくなった気がする。
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日経新聞のコラムが読みやすかったので、この方の作品を手に取りました。在宅介護の話ですが、いろんなタイプの患者と家族が描かれていて非常におもしろかった。あとで映画化されてることを知りました。医療の現場を知る人が作家さんなのは、ありがたいと思います。
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診察する側とされる側(看取られる側)との様々な触れ合いの中で、お互いで気づきがあり、化学反応があり、成長していく様はほんとに心地いいものでした。最後は非常に難しい問題なので、『もし同じ立場なら?』と深く考えさせられました。ほんといい本でした。
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在宅医療に携わる訪問診療の物語。
都内に住んでいるため、訪問医療というのはあまり耳にする機会がない。そう考えると交通の便が多く便利な点なのか。しかしながら亡くなってしまった祖母のことを思い出した。ベットの上から動けなくなってからはお医者さんがきていたのは記憶ある。
内容は個々の登場人物の心の動きが繊細に描写されており、その人その人が頭の中で想像でき動き出すくらいにはリアルに感じた。
その結果なのか、章毎に泣くということが起こった笑
在宅医療、人間の心など様々なことを考えさせられた。
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個人的に好きな医療分野の作品。在宅医療に関わる医師、スタッフ、患者、家族の想い、葛藤が伝わってきます。南先生の作品は初めてですが、他も読まないと。萌ちゃんの健気さに号泣しました。
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積極的安楽死や在宅での看取りの仕方、肉親の死を看取る…
考えさせられる内容でした。
特に並木さんの話では老々介護の話題を取り上げており、今後加速していく超高齢社会ではこの問題がより浮き彫りになると痛感しました。
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その結末は「あなたはこの続きをどう考えますか?」と読者に問いかけてくる。
超高齢多死社会を迎えたこの国で、終末期医療のあり方についての議論を「これ以上先送りにするのは、よそうよ」という著者からのメッセージが込められているようにも感じる。
在宅医療の現場を舞台にした医療小説ではあるが、医療者や患者よりも「患者家族」の心情や揺らぎがよく描かれていると感じた。
施設名は架空のものですが、金沢市内に実在する川や橋、地名がたくさん出てくるので、土地勘のある人は実際の風景を想像しながら読むのも楽しいです。
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さまざまな死の向かいかた。
知っているようで知らなかった最期を丁寧な形で描いた作品でした。
在宅医療という切り口だからこそ見えた自分の知らない親しい人との別れかたは、大切な人との別れ、自分の最期の少し前にもう一度読みたいと思いました。
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サイレンを掻き鳴らし
赤信号に突っ込んで、
ときに車線を逆走して、
一分一秒を争いながら
病院を目指す救急車。
必死に命をつなごうと
する医療スタッフ。
そして救おうとしても
手からこぼれてく命─
結局すべては諸行無常
なのかもしれません。
でも、そうやって達観
したところで、
心が満たされることは
ありませんよね。
小児がんの少女が最期
に望んだのは海に行く
ことでした。
酸素ボンベや点滴台を
取り付けた車椅子で、
大人達に守られながら
辿り着いた遠浅の海に、
もう体力のない小さな
体から歓声をあげます。
父親に抱かれ生まれて
はじめて海に足をつけ、
とろける笑顔を見せて
・・・
そして数日後に天使に
なった少女─
よくあるお涙頂戴的な
話なのかもしれません。
でも、そうやって斜に
構えてたら、
とんでもない落し物を
してる気がします。
嗚咽しながらなんとか
読み終えました。
鏡を覗いたら目の周り
が真っ赤でびっくり!
文句なしの星五つです。
Posted by ブクログ
著者が、NHK俳句のゲストで登場した際に内科医であり小説家であることを知りました。実体験をもとに、読者が「終末期医療」について考えるきっかけとなればとの思いで執筆されていることに共感し、父の病気のこともあって読んでみました。
病院医療と在宅医療とを対比させながら、主人公の苦悩と成長、医療現場の実態、病人と家族との関係性がいくつかのストーリーで描かれています。病気とどう向き合っていけばいいのか、最後をどう迎えたらいいのか、色々と考えさせられ著者の思惑通り、在宅医療、終末期医療の実態を垣間見ることができ、大変勉強になりました。映画もぜひ観てみたいです。
「あろうことか、父は積極的な安楽死を、娘である咲和子に希望してきた。これまでの数日間と違い、ありのままの思いを伝える強く明確な口調で、」
この作品は映画になるらしい。是非ブームになってほしい!ラストシーンは一億みんなに投げかけられた問題。
作者が現役医者だけに
在宅医療の描写がリアル
医療用語もわかりやすかった
映画はまだ見てないけど
映像だとつらいシーンばかりで
本で読んだ方が良かったかも
最後の元医者の父が
安楽死を望むところでは
自分の死をもって
娘に医者としての姿を
教えたのだと思うと
尊厳死の尊さを感じました
と同時に最後の一手を下さなかったのは
娘を思う父としての思いやりだったのだろう
思い通りの死を迎えられる人は
幸せなのかもしれませんね
残された者はどうやっても悔いは残るものですが
いかに死ぬかは
いかに生きるか
それを意識して生きたい
Posted by ブクログ
南杏子さんの作品を初めて読みました。とても変わった経歴をお持ちの方ですが、だからこその作品であると感じました。
今の自分にとって在宅医療は身近なものとは言えず、ほとんど知識もありませんでした。そのような状況でこの作品を読みました。
終末期の患者が題材になっているからと言うこともあるかもしれませんが、患者のみならずその家族の精神面もサポートする、ただいのちを救うだけではないなど大変な苦労だと思います。
自分や家族が同じような立場に置かれたときどうするのか、とても難しい問題だと痛感しました。
Posted by ブクログ
生と死を、側でたくさん見つめてきた著者だからこそ、描ける物語だな、と思った。
張り詰めた高度救命救急の現場から、在宅医療へ。
生きるための治療を行う患者から、生活の中の医療、同時に、死と向き合う過程へ。
「人間には、誰もが自分の人生を自由に創ることが認められている。そうであれば、人生の最後の局面をどのように迎え、どのように死を創るかーーこれについても、同様であるはずだ。その正当性を、すべての人に理解してもらいたい」
生きる、ことに向き合える一冊。
Posted by ブクログ
大きな救急センターを離れ、
故郷の在宅医療を担うことになった
佐和子
麻世や野呂、仙川先生といった
温かい周りの人
章ごとに違う患者が抱える
老老介護、ゴミ屋敷、先端医療、
小児癌といった現在の問題の中にある
生きる尊厳
最後の章は、実父の死ぬ尊厳
一貫して生きるってどういう状態なのか
ということ…
お父さんの
「自分で死ぬ力すら残っていない」
「痛みに終わりがあると決めることによって、死はむしろ生きる希望にすらなりうる」
自分や自分の親、家族がこうなった時
自分はどうすればいいのか
考えても想像つかない
せめて自分にも他人にも寄り添える心を持とう
Posted by ブクログ
初作家さん。全体的に心が温かくなるお話しばかりでとても満足です。
医療系といえば病院がメインにストーリーが展開されていきますが、在宅医療にスポットを当てた物語は初読みだったので現場での仕事を知ったり、読んでていろいろ考えさせられました。
第五章「人魚の願い」は辛かった…萌ちゃん自身も辛いがご両親のことを思うと…涙腺が崩壊してしまった…
すごく気になる所で終わったのですがこれは続編があるのか??
Posted by ブクログ
古本屋にて、表紙が隠されている状態で購入。
普段なら絶対に手に取らないジャンルの本であったため、読むことができて良かったと思える作品だった。
医療とは対病気や怪我だけでなく、対人だということを認識でき、医療のあり方についても深く考えさせられた。
Posted by ブクログ
訪問診療は自分にとって全く知らない世界だった。患者の家族が死を受け入れる体制を整え、患者自身が望む最期のあり方に最大限沿う仕事。医療行為はもちろんあるが、患者、家族双方の心に寄り添い、生活をサポートする訪問診療はものすごい仕事だなと今回初めて知りました。
特に小児がんの女の子のストーリーが素晴らしいです。死ぬ前に海を見たい、次は人魚に生まれ変われるよう、海にお願いしたいという少女の切実な願いと、それを叶えるために全力を尽くすまほろば診療所スタッフの想い。涙が止まりませんでした。
Posted by ブクログ
在宅医療を通して、人がどう命を全うするか描かれていました。
在宅医療に関わる医師やスタッフ、人の気持ちに寄り添う優しさや熱い思いが伝わってきて、何度も心が震えて泣きました。
父と娘の関係、金沢の長閑な風景が描写されていて優しい気持ちになれました。
自分の命を大切に使えてるか、後悔のないよう生きれてるか考えさせられました。
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エンド・オブ・ライフのような内容と思っていたら解説でもしっかり書かれていた。
医療費問題や尊厳死安楽死の話もあり、色々と考えさせられる内容だった。
Posted by ブクログ
東京の救命救急センターで働いていた、六十二歳の医師・咲和子は、故郷の金沢に戻り「まほろば診療所」で訪問診療医になる。命を送る現場は戸惑う事ばかりだが、老老介護、四肢麻痺のIT社長、小児癌の少女……様々な涙や喜びを通して在宅医療を学んでいく。一方、家庭では、脳卒中後疼痛に苦しむ父親から積極的安楽死を強く望まれ……。
終末期医療専門病院の内科医さんだから書ける内容だなぁと思った。
そして、こんなに個人に寄り添った医療を受けることが出来た患者さんは幸せだなと思う。
定期通院をしていていつも思うのは お医者さんの大半は検査の数値を見て薬を処方するだけの人やな…ってこと…
その資格があるだけでも凄いことだとは思うけど そのお医者さんの力量ってあんまり感じない。
私の近所には専門医がいなくて 1番近いと思われるクリニックに通院している。診てもらえるだけ有難いと思っているけど 流れ作業的な感じは拭えない。
尊厳死や安楽死についての是非は難しいと思うし 私も咲和子の父親と同じ立場なら同じような気持ちになるかもしれないけど 自分が頼まれたら出来るのか?っていつも考えてしまう…とてもじゃないけど出来ないと思う。
お互いに医師免許を持っていて 苦しんでる身内がいたら また違う考えになるだろうか?
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3人に1人が高齢者、2人に1人が癌患者という時代に、生きることと死に向き合うことをじっくり考えさせられた本だった。野呂くんの今後に期待したいし、周りの人達との関わりも含めて続編が楽しみだ。
Posted by ブクログ
この本のおかげで、これまであまり考えることのなかった「在宅医療」について知ることができ、人間の最後つまりどう死ぬかということについて考えさせられた。
バリバリの救急医が故郷の金沢に戻って在宅医になるというお話。
街の風景が多々描かれていること、周囲の個性的かつ温かい人々、そして医療系…と少し前に読んだ『スピノザの診察室』を彷彿とさせる内容(『いのちの停車場』の方が出版は先)。
一つひとつのエピソードが出来すぎていて作り物感は否めないけど(現実はそう上手くいかないでしょと心の中で突っ込みつつ)、思わずぐっとくる場面もあった。
再生医療の江ノ原のエピソードだけはこれからっていうところで気になる終わり方…。
咲和子が医者としての自分、娘としての自分の間で揺れ動くところでは、医療に正解はないんだろうなと感じた。
終盤は咲和子の葛藤が痛いほど伝わってきて一気読みだった。
Posted by ブクログ
医師としての、在宅医療のお話。
どうしても自分の経験と重ねてしまう。母を在宅で看取って、もう19年も経つんだなぁ。。そんなに前なのに、この本で言う最先端の在宅医療を受けていたことに気付く。最期を迎えるまでの変化も教えてもらい、母の最後の願いをスタッフ総出で叶えてもらった4日後の朝、眠るように旅立ったこと。ずっと思い出して当時のクリニックの皆さんに改めて感謝しながら読みました。
最後のシーンは衝撃的だった。積極的安楽死、あってもいいと思っていたけど、とても難しい。
◇モンゴルの格言◇
思って行けば実現する、ゆっくり行けば到着する
※佐和子が『苦しくてどうしようもないとき、マスターならどうする?』と聞いた時のマスターからのこたえ
Posted by ブクログ
文中のモンゴルの格言。
苦しくてどうしようもない時どうするのか?
思って行けば実現する、ゆっくり行けば到着する。
小さな女の子の話しはずるい。
号泣してしまいました。
吉永さゆりさんをイメージしてしょうがありません。映画を見て観ます。
Posted by ブクログ
2024.4.23
咲和子の患者さんに対する一生懸命さと命との向き合い方、医師として、娘としての姿勢にぐっときました。
老老介護、四肢麻痺の社長、小児がんの少女、そして脳卒中後疼痛に苦しむ父親からの積極的安楽死の提案。
・生命活動を終えようとするとき、胃腸の動きが止まっていくため食べなくなっていく。
・セルフネグレクトとは、別名自己放任。介護医療サービスの利用を拒否するなどにより社会から孤立し、生活行為や心身の健康維持ができなくなっている状態。生活環境や栄養状態が悪化しているのにあ、改善の気力を失い、周囲に助けを求めない。ゴミ屋敷や孤立死の原因とも言われる。セルフネグレクト状態にある高齢者は、認知症のほか、精神疾患・障害、アルコール関連の問題を有すると思われるものも多い。
・在宅医療とは、最後の日までいかにその人らしく生きるか、そうした毎日を支える存在になろうと、皆がそれぞれに考えている。
・すべての患者と家族は、命を救うことを求め、咲和子はそれに応えて生かすことだけを考えて生きてきた。死なせる方法など、考えたことはなかった。