天祢涼のレビュー一覧
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わけあってやる気を出したくない結子が配属された町役場広報課のお仕事小説、ミステリ成分ありだが謎を解くとむしろピンチがやってくるところがいい。▷五月号:防災会会長の田村が急に会を解散すると言い出したのは結子のせい?▷六月号:人気ゲームのイラストのモデルとはっきりわかる風景なのにイラストレーターが否定し続けるのはなぜ?▷九月号:不調だったデジカメで撮った高宝火礼祭の写真が全部消えた! どうやら人為的?▷十二月号:「広報する喜び」を得た結子だが空回りしそうなところにそれっぽい案件?▷一月号:『こうほう日和』存続のピンチ。結子はどうする? 伊達豹変?
■簡単な単語集
【明美】結子の友人。
【芦名真/あしな・まこと】町立高宝病院院長。難病で死んだ十七歳だった息子の昌史(まさし)のことを広報で取り上げてくれないかと言ってきた。
【芦名麻里/あしな・まり】真の妻。叔父は「お光教」教祖の虎哉龍馬(とらや・りょうま)。
【東優佳/あずま・ゆうか】城山市の広報マン。結子の写真の腕に感心している。
【石田】日京新聞医療部記者。神経質そうに見えるが人懐っこい笑みを浮かべる。
【泉田】結子がなにやら迷惑をかけた雰囲気。高宝町に来た原因の可能性もある。
【烏帽子真之介/えぼし・しんのすけ】芸術家。六十八歳。招き猫の左手を作った人。トレードマークはシルクハット。
【長部大介/おさべ・だいすけ】産業振興課職員。短い髪を整髪料で立て、赤いフレームの眼鏡をかけたIT企業に勤めていそうな出で立ち。マラソンが趣味。
【鬼庭直人/おににわ・なおと】町長。元町役場職員。四十代半ば。伊達とは幼馴染で同期だった。失言レベルの発言をしょっちゅうしてしまう。誤解されやすい男であると同時に誤解しやすい男でもある。広報紙を廃刊にしたいようだ。ロッカーの中から「話は聞かせてもらった」と出てくるような人物。
【片倉清矢/かたくら・せいや】「日京新聞」L支社文化生活部記者。三十一歳。「泉田くん」に少しにてるらしい。「日京グループ史上最大の問題」を起こして飛ばされたようで、ずっとムスッとした表情のまま仕事をしている。どことなく結子に近い境遇なのかも?
【好奇心】伊達《広報マンたるもの、なんにでも好奇心を持たなくてはなりません。もっとも、好奇心を持たないほうがよい職業がこの世にあるとは思えませんがね》p.88
【高宝火礼祭】八月二十九日に行われる祭。町には祭らしい祭が、なこったので岩手県の「藤沢野焼祭」を参考に作り今年で二十回。
【広報誌】いろいろあって結子は広報紙をアイドル雑誌ふうにすることになった。伊達は燕市の『広報つばめ』を参考にして「今月のこだわり」という特集を組むことにした。
【高宝町/こうほうちょう】東北地方L県にある。約百平方メートルの面積に人口は約一万人。
【こうほう饅頭】老舗の菓子店「餡子本舗」の新作スイーツ。結子にはめちゃくちゃ美味しかった。
【沙耶香】結子の友人。アイドル雑誌の編集者。
【新藤結子/しんどう・ゆいこ】高宝町役場広報課職員。新卒で採用された二十三歳。ワケアリでわざわさ高宝町に来たらしい。期間限定の島流しっぽいつもりのようで見るからにやる気なしだがときおりの行動から意外に情熱家と言われること多し。中高は写真部で大学ではバスケットボールをやってたらしい。蜘蛛は天敵。酒は弱いわけではないが一定量を超えるとぷつんと記憶がなくなりその間なにをしていたのかわからない。やる気ないのはなんらかの過去に起因していたようだったが意外にしょーもない理由だった。タフそうなタイプなのに今の若者らしい打たれ弱い面もあったわけで。
【沢庵】人気の居酒屋。店主は綿貫。アナログカメラ派。
【伊達輝政】高宝町役場広報課係長。結子の直接の上司。わざとらしい黒縁眼鏡の奥の目つきは鋭い。結子の文章に赤の嵐。
【田村幸太郎】第九区自主防災会会長。いきなり会を解散すると言い出した。
【羽田茜/はねだ・あかね】観光課職員。結子と同じ年だが短大卒で入ったので職場では先輩。かわいらしいタイプだしタメ口でいいということになった。絵心があり自作のイラストを入れた、町の名所を紹介するパンフを作ったがいまいち反響がないので広報課に応援を求めてきた。
【羽田紅子/はねだ・べにこ】茜の母。両親が紅生姜好きだったのでこの名前になったらしい。高宝病院看護師。
【招き猫の左手】なぜかあちこちで見かける。
【宮守斎一郎/みやもり・さいいちろう】宮守商事社長。
【屋代/やしろ】町の若い衆のひとり。茶髪。女性にモテたいから防災会に入った。
【結子】→新藤結子
【ラブラブクエスト】逆ハーレムものの恋愛ゲーム。魔女が、魔王を倒すための旅の最中に恋愛する。モデルになった風景が高宝町にあるらしい。絵を描いたのはエル森宮という人物らしい。 -
Posted by ブクログ
殺すつもりがなかったとしても結果として相手が死んでしまえば殺人の加害者になってしまう。それが少年の頃に犯した罪でも生涯逃れられない。心葉の様に反省して生き直しても、殺人事件の第一発見者になったら犯人に疑われてしまうのもあり得る事なのだろう。
心葉に惹かれていた彩が信じたいけど怖いと思ってしまう心理状態はわかる気がする。しかし、仲の良い同僚が兄を殺した犯人だと知った時の千暁のショックは想像を絶する。それでも近くにいたからこそ心葉の後悔している様子を知る事が出来たのは遺族として少しは救われたのではないだろうか。
許せないのは当事者の気持ちなど関係なしに事実ではないことをさも事実の様にネットで拡散させる人たち。以前なら裏取りもしないで週刊誌で報道され、それを読む私達も鵜呑みにしていたが、ネットだとあっという間に拡散されてしまう。それもお金目的でやっている人がこの小説にも出てくる。その後の当事者の人生がどうなろうとお構い無しの所に怒りを覚える。 -
Posted by ブクログ
天祢涼『罪びとの手』角川文庫。
初読み作家。警察ミステリー。
どうにもこうにも、川崎少女連続殺人事件と無理矢理、中年男性の遺体発見事件と結び付けたような展開が不自然過ぎる。大体、刑事にたまたま葬儀屋の同級生が居て、事件に巻き込まれるなどあり得ない。その刑事の父親も警察官で、川崎少女連続殺人事件の捜査に関わり、左遷されていたとなると、開いた口が塞がらない。僅かな偶然なら承知出来るが、結末ありきの余りにも強引過ぎる展開では、ミステリーとしては成立しない。
川崎区の廃ビルで身許不明の中年男性の遺体が発見される。検死の結果、事件性なしと判断されるが、刑事の滝沢圭は死亡推定日時と遺品の壊れた腕時計が示す日付とのズレに事件性を疑っていた。そんな中、遺体を引き取りに来た葬儀屋の御木本悠司が、遺体は自分の父親だと申し出る。
しかし、遺体を目にした悠司が呟いた「殺したか」という一言に疑念を抱いた滝沢が独自に捜査を行ううちに明らかになった事件の真相。
本体価格800円
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Posted by ブクログ
ネタバレ74/100
んやー、星5にもいきそうではあって惜しかったな…っていう本でした。
心理的ストーリーが星5だった。仲良くなった人が、殺人事件を起こしたことがあると言われると、確かにこの感情になるよな…でもそんな簡単に割り切れないよな…と凄く辛くなり、読んでいて涙を流した。「過去は過去、今は今」この言葉では割り切れなくて自分もすごく悩んで辛かった時が実際にあったからこそ感情移入したセリフ。そしてラストの「いつの日か」。これは先程のように時間で割りきれないけど、時が解決してくれることもあると伝えている一言である。
その一方で、ミステリーのストーリー性があまりにも陳腐になってしまった。え?こいつ誰だっけ?というあらすじに全然出てこなかったぽっと出のYouTuberが犯人であることを言われ、それの論理付、心理的感情が最後の3/4で慌ててされていても全然しっくり来なかった。一気に内容が浅くなってしまったのが勿体無い。
ミステリーとしてもっとちゃんと出来上がっていたらだいぶ評価が高かったと思う。 -
Posted by ブクログ
※
もし、一緒に働いている人に殺人の過去が
あったら……。
今傍にいて親しくしている人、
特別親密ではなくても身近にいる人、
その一人ひとりに自分の知らない過去があるし
その反対も然り。
その知らない、いくつもの過去の中に
万が一人を殺めた事実があったら。
自分は、今見ている相手にこれまでと同じ
対応ができるだろうか。
相手が自分にとって大切だと思える
相手であればあるほど、湧いてくる感情は
きっと複雑になるに違いない。
過去と今は切り離せない、同じように現在の
延長線上にある未来も今と分離できるもの
ではなくずっとずっと地続きに続いている。
そして、人の心や考え方は同じ場所にとどまり
続けることもあれば、僅かずつでも変化して
いく場合もある。
過去と真摯に向き合い、現在や未来とも
真っ直ぐ向き合った物語。
身を切るぐらい辛くて、心を癒すように
慈愛に溢れた深く染み入るお話でした。