天祢涼のレビュー一覧
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子供の頃父親から、はっきりしない子と言われたことがきっかけで自分の気持ちを言葉として他者に伝えることに苦手意識がある藤沢彩は、オオクニフーズの相模原支社に勤務することになる。そこで1年先輩の田中心葉が優しく声をかけてくれたことから次第に惹かれるようになり、心葉の同期でもある佐藤千暁とも親しくなりうちとけるようになる…。ある日の朝礼後、心葉が「ぼくは人を殺したことがあります」と告白…その後心葉が殺めたのは、千暁の兄であったことが判明した…。
心葉の受けてきたネグレクトが根深かった故の犯罪だけど、そうとわかっていても、罪を償い反省していたとしても、被害者遺族の傷は癒えるものではない…んだと思 -
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ネタバレ【収録作品】十七歳の目撃/初恋の彼は、あの日あのとき/言の葉/生活安全課における仲田先輩の日常/少女が最後に見た蛍
神奈川県警生活安全課の仲田蛍シリーズ。いじめと虐待がテーマ。
仲田に救われる人は多いだろうが、彼女自身が置かれている環境はひどいものだ。後輩の聖澤に頑張ってもらいたい。そして、真壁、国枝のような理解者が増えていくといい。
大人もいじめをしているわけで、見て見ぬふりをしているのもいっしょ。そんな人たちに子どもの問題が解決できるわけがない。
最終話の彼女は、いやな感じ。お金はありそうだし、嗜虐趣味があるし、うまいこと罪を逃れて逆恨みしてきそうだ。今後、そっちの話にならないことを -
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2人の視点で2つの話が進んでいく、
意地悪な言い方をするとよくある構成なんだなと
油断していたら、
後半1/3くらいのところで急にえっそっち?と
思わせる仕掛けがあり思わず読破してしまった。
そしてなんとも言えないやりきれなさが残る(いい意味で)。
天祢涼さんが本作シリーズで
社会に問いかける相対的貧困と虐待問題は
悲しくやるせない連鎖を生み出し、断ち切れない。
それにしても私がこの問題に触れても、なんて他人事、なんて綺麗事、、、。悲しくなる。
このお話は
虐待を受けている小学生の女の子の視点と、
ある事件を追う刑事の視点で描かれている。
小学生の女の子の方の視点は、
考え方は子供らし -
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ネタバレ※
子どもが関係する事件を『想像』という
独自の視点で推理し解決に導く捜査官
仲田蛍シリーズ第4段。
・十七歳の目撃
・初恋の彼は、あの日あのとき
・言の葉
・生活安全課における仲田先輩の日常
・少女が最後に見た蛍
蛍がなぜ、そんなにも自分の身を削って
子どもに関係する事件に心血を注ぐのか、
その一部が明らかになる物語たち。
どんな事件に対峙しても子どもに対して
常に温かく穏やかに微笑む蛍。
その胸に常に浮かぶ光景は、大切な人との
後悔に満ちた時間。
強さと弱さ、複雑な思いが無いまぜになって
今を真っ直ぐ精一杯生きる蛍が眩しい。
・少年法から、特定少年と少年の違いを
テーマにした事件へ -
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このシリーズも好きなんですよね!神奈川県警生活安全課仲田蛍さんが活躍するシリーズ第4弾です。今作は、前作までとは異なり、5編の短編が収められています。
・十七歳の目撃:
弁護士になることを目指して勉学に励む主人公、ある日クラスメイトが窃盗を犯した現場の目撃者となるが…。
・初恋の彼は、あの日あのとき:
蛍と同級生の初恋について、彼が本当に好きだったのは蛍か同級生か…。思い出すことで見えてきた真実…とは。
・言の葉:
元アイドル政治家を蔑む主人公の男子高生、何だか、今っぽい問題点が浮かび上がる…。政治家の責任とは…。
・生活安全課における仲田先輩の日常
板チョコを万引きした少年…。蛍 -
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人を思いやり、困っている人に寄り添う勇気に痺れる… 仲田シリーズの最新短編集 #少女が最後に見た蛍
■きっと読みたくなるレビュー
いじめや虐待など、子どもたちの社会問題に切り込む仲田シリーズの短編集です。全五編からなる作品集で、今回も読んでいて辛く悲しく、耐えられない感情になってしまう。物語の中だけならいいですが、現実にあって欲しくない。大事な青春時代は明るく楽しい時間であって欲しいと願わずにはいられません。
それでも全編にわたって仲田の寄り添う優しさに満ちていて、ほんの少しだけ心が休まる。まずは我々大人たちが見本になるべきだと学びをえる作品でした。
〇十七歳の目撃
いじめと少年犯罪に巻 -
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帯に書かれていた『本と酒をこよなく愛する書店員たちが選ぶ』や『酒飲み書店員大賞』といった言葉に期待して読んだのですが、そういったお話ではなかったですね……
確かにお酒のシーンが物語の印象的なポイントとして登場はするのですが、ただそれだけ
ジャンルとしてはお仕事ミステリ、広報課での広報誌作り
そして町の名前は高宝(こうほう)町
こういったネーミング、嫌いじゃないです(笑
こんなお話かなー、と先を想像しながら読んでいたのですが、自分が想像する程度のシーンには物語の中盤で辿り着いてしまいました
ある程度定番の展開から、さらにその先を見させてもらえてそういった部分で楽しく読み切る事が出来ました -
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共感覚:ある刺激に対して、通常の感覚だけでなく、異なる感覚も自動的に得てしまう知覚現象。
例えば、文字に色を感じたり、音に色が見えたりとさまざま。生まれ付き持った感覚らしいから、それと気がついていない人もいるかもしれない。
もしかしたら、オーラを見えると言う方は、体臭とか汗とかに色彩を見ているのかもしれない。
小説ないでは、10万人に一人の割合とされていたけれど、もう少し多いらしい。
この小説のヒロインで探偵の音宮美夜さんが、声に色を感じる共感覚の持ち主、という設定。
だから、犯人の特定は、その能力を使う。そこを納得すれば、ホワイダニットを楽しめます。
被害者の一人となった女子高生の兄が、探偵 -
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ネタバレ2017年時点の新進気鋭の作家の短編集。
2023年度現在、青柳碧人の収録作品の展開に驚き!
著者紹介が充実していて、読んでみたい本もいくつかあった。大山誠一郎、他にも読んでみたい。
1 密室龍宮城 青柳 碧人/著
龍宮城ならではのトリックが面白い!
2 居場所 天祢 涼/著
主人公の運命には同情すべき点もあるし、最後いい話になりそうなんだけど、どうしても、主人公の変態のイメージが拭えなかった。私もそういう態度になるだろうなぁ……。
3 事件をめぐる三つの対話 大山 誠一郎/著
ラジオドラマによさそう!でも、映像にしても面白そう。
4 夜半のちぎり 岡崎 琢磨/著
そ