【感想・ネタバレ】あなたの大事な人に殺人の過去があったらどうしますかのレビュー

あらすじ


罪を償っていれば、許せるか? 受け入れられるか? それとも、許せないのか? 揺れ動く心情を丹念に描き切った社会派ミステリー。『希望が死んだ夜に』の著者が挑む新境地——。横浜に本社を置くオオクニフーズの相模原支社に勤務する藤沢彩は、子どもの頃から自分の感情や思考を言葉にするのが苦手だ。その性格もあり引っ込み思案で人との付き合いが苦手な彩だったが、仕事のことで思い悩んでいた時に声をかけてきた一年先輩の同僚社員・田中心葉に次第に惹かれていく。心葉と同期の佐藤千暁とも次第に交流ができ、三人はそれぞれ十年後も二十年後も一緒にいたいと願うようになっていた。そんなある日、心葉が会社の朝礼で、何の前置きもなく「ぼくは人を殺したことがあります」と発言したことで、絆は揺らぐ。そして千暁にも、兄が殺された被害者遺族という人に言えなかった過去があった……。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

罪の十字架という言葉あるけど
それは被害者の関係者家族、
当人とその大切な人にものしかかる

言葉にするとありふれてるけど
更生しても償いたいと思っても終わることない罪悪感
被害者家族も、忘れたくても、忘れてはいけないという罪悪感

よく最大の復讐は、自分が幸せになることだと言うけど、現実は、忘れて幸せになってはいけないのではないかという葛藤

落とし所はなく
ずっともやもやしたものを抱えながら
人生って進むんだな

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2025年09月28日

Posted by ブクログ

重いなぁ。悲しいねえ。なにが悲しいって、「死ね」しかボキャブラリーがない人が、本をたくさん読んで、それぞれの「死ね」がそれぞれ別の言葉や意味が割当たると知ること。言葉を知ることって、心に言葉を割り当てることって、人を人たらしめる要素なんだな。そして彼が「人」になる前に犯してしまったことを、「人」の心を知った後の彼が引き受けなければならないこと。失われた命を考えたら当然なんだけど、つらいなあ

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2025年07月10日

Posted by ブクログ

章毎に、「僕のこと」「私のこと」「彼のこと」「わたしたちのこと」とそれぞれの視点と解釈から心情を疑似体験できて、終始ずっとこの世界に引き込まれ続ける

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2024年07月02日

Posted by ブクログ

とても最後まで難しかった
サンダーの生育歴を考えると胸が痛むだけど人を殺していい理由にはならない
だけどこんなに罪と向き合っているけど、罪がなくなることはないのかも
答えのないことをずーっと考えさせられるようなお話だった

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2025年07月27日

Posted by ブクログ

わたし、僕、彼
それぞれの視点からの心の葛藤

救いようのない人生
時間で解決出来ない

答えは永遠に見つからないけれど
それでも生きて行くしかない

はっきりしない子
フードバンク
過去は過去
今は今
YouTuber


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2025年07月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

昔読んで印象に残っている「あの子の殺人計画」と作家が同じだったことと、タイトルに惹かれて選んだ。
読んでいる間ずっと複雑な気持ちだった。もし私が気になっている人、大切な人が殺人の過去を持っていたら私はどうするだろう。過去のことだと割り切ってそのまま過ごすのか、やはり恐怖や軽蔑の感情を抱いてしまうのか。ましてや千暁のように友人だと思っていた人が兄を殺した犯人だったとしたら。心葉のように反省して、更生していたとしても許せるだろうか。「過去」って難しいと思った。過去と今は違う。でも「いま」は「過去」の延長なのだから無関係とは言えない。彩が気づいたようにそう簡単に割りきれるものではないのだろう。そしてこの物語で印象に残ったのは心葉と角南の対比だ。角南は手紙で反省の色を見せつつも、すべてを参蛇亜の所為にしていた。きっと角南はこれからも自分の罪から目を逸らしながら生きていくのだと思う。一方心葉は、言葉を学ぶことで人の心を知って、まっとうに生きている。親や友人の所為にすることもできただろうに。両者は人を殺した、という罪は同じなのに向き合い方が全然違う。周囲の人や環境の所為にするのではなく、真摯に受け止め向き合うことが人生には必要なのだと感じた。

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2025年07月04日

Posted by ブクログ

自分が
千暁だったら?
彩だったら?
美月だったら?

いろんな感情が渦巻いて、、、
とても考えさせられる作品でした。

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2024年12月06日

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ほぼ一気読み。タイトル通りの内容で辛い。頭ではわかっていても気持ちや体はそうじゃない。皆が複雑な感情を表しているのが良かった。

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2024年09月20日

Posted by ブクログ

読みながら色々考える作品だと思いました
自分ならどう受けとめるだろう
3人の感情が丁寧に書かれていて
話の中に引き込まれていきました
こんなに親身になってくれる人との
繋がりが少し羨ましくもあり
眩しかったです
勝手な希望ですが
もし映像化されたら
見てみたいと思いました

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2024年09月14日

Posted by ブクログ

章ごとに、それぞれの登場人物が主体となった物語になっていました。
どの立場のキャラクターも心情もわかりやすかったです。
以前読んだ、ケーキの切れない非行少年たちという本を思い出し、事件当初の参蛇亜の状態を想像するヒントにしながら読み進めました。

被害者、同僚、参蛇亜の母親、YouTuber…
自分だったら、どうするだろうと考えさせられました。
私が一番救ってあげたいと感じたのは千暁です。心も身体も極限状態で、相当辛いだろうと思いました。

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2024年07月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

子供の頃から自分の言いたい事を上手く言えない不器用な藤沢彩。仕事で行き詰まっていた時に声を掛けてくれた先輩・田中心葉。徐々に仲良くなっていき、心葉の同量・佐藤千暁とも交流が出来て三人で海にドライブへ行く程の仲になっていた。そんな中、心葉が朝礼で「過去に人を殺した事がある」と言い出して…

彩の不器用だけど一生懸命心葉を信じようとするひたむきな姿に応援したくなりました。
単純に、心を入れ替えて過去は過去って割り切って終わりかと思いきや、怖いと言うのがリアルでした。決して信じていない訳ではないけれど、単純にハッピーエンドっていかない所が何とも言えずビターだけど納得でした。

千暁も実は関係者で、それが皮肉にも仲良くなった同僚とは…千暁の母を殺した犯人も意外でした。

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2024年07月08日

Posted by ブクログ

まっすぐ問いかけてくるタイトル。
とても深く考えさせられる作品。

十年前に起こったあるひとつの事件、少年犯罪をテーマに、加害者側、被害者遺族側、周りにいる第三者側としての視点で描かれる心理描写が繊細で刺さりまくる。

いっそのこと、全員、過去のことを忘れられることができたら、どんなに楽なことだろう
だけど、それが難しいからこそ何が正解なのか、何が正しい選択なのか、どんな言葉や表現で表したらいいのか。

わたしたちは感情を持っているからこそ、悩むし、迷う。

読み終えた今でも、まだ不安定な気持ちだけれど、
「誰の味方をするのか」ではなく、「誰を信じるのか」。
自分の中で大事にしたいなぁと思うことが分かった気がする。

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2024年07月06日

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ネタバレ

タイトル通り考えさせられる作品。
彩が真摯に人と向き合う姿勢が好もしい。与えられた仕事に誠実である様子も。彩と心葉と千暁の、互いを気に掛ける関係も心地よい。そして、三人の上司である宇佐見部長がこれまたいい人で、いい会社である。

大切な相手だったからこそ、殺人を犯した過去は重い。それだけではない関係がわかってしまったことも辛い。
一般論としては、加害者の更生を認める社会のほうが、生きやすいと思う。
ただ、それを許せないという被害者側の心情は理解できるから、彼らがそう思うのは自由だ。
加害者側は謝ることしかできない。それを受け入れるかどうかは被害者側の自由。

そこに乗っかっていくお騒がせ第三者がただただ不快。YouTuberばかりでなく、事件があるとわいて出てくるカスハラもどきの苦情屋さんたちも。文句を言いたいから言うだけの人たちを見ると、小人閑居して不善をなすという言葉が頭に浮かぶ。

三人も、心葉の更生を支えた人たちも良識のある人たちだからこそ、真犯人が彼でよかったと思ってしまう。

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2024年06月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

藤沢彩はフードバンク事業の会社、オオタニフーズに就職します。
そこには何かと親切にしてくれる同年齢の男性社員、田中心葉や佐藤千暁がいて、彩は二人に相模湖に誘われて車で遊びに行ったりする仲になりました。

彩は心葉に好意を抱いていました。
しかし、10月16日の朝礼で心葉は言いました。
「ぼくは人を殺したことがあります」
なぜ、心葉は自分からそのようなことを言ったのか…?

十年前心葉は中学二年生、コンビニで喫煙を注意され当時は田中参舵亜(サンダー)という名前でした。注意した十九歳の大学生雲竜陽太郎19歳とトラブルになり誤って殴って殺してしまったのでした。

心葉は、まだ13歳だったので少年院に入り更生して働いていたのです。

そしてオオタニフーズに掃除にきて働いていた石原美月という主婦が亡くなり、美月は心葉が殺してしまった、陽一郎の母親だったことがわかります。
そして、なんと千暁は美月の息子であり、陽一郎の弟でもあったのです。
心葉は美月の遺体の第一発見者で、心葉が美月を殺したのではと疑われてしまいますが…?


ありえない人間関係だと思いましたが、このストーリーを読んでいると、そういう偶然もあるかもしれないと思えてきます。

千暁も実は彩に好意をもっていて、心葉との三人の三角関係は読まされました。
彩の心葉に対する好意は事件後にも消えることなく、千暁と二人で真犯人を追いかけていきます。

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2024年06月14日

Posted by ブクログ

タイトル、そして表紙から強いインパクトを受けて読み始めた。タイトルにあるように、もし、自分の大事な人の過去に殺人という暗い過去があったら、その人との関係を続けることができるだろうか。どんな理由であれ、殺人を犯してしまった人と付き合えるだろうか。また、罪を犯してしまったとして、長い年月をかけ、悔い改め、罪を償うために生きていることを知ったら過去のことを気にせずにいられるか。たくさんのことを考えた。読みごたえのある作品だと思う。
また、一番心に残ったのは、幼少期の劣悪な環境から殺人を犯してしまった登場人物が、少年院で本と出会い、出所後の生活でも知識を得るにつれて、人として成長していく様である。知識のあるなしで、人生は如何様にも転ぶと改めて感じた。

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2024年06月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

タイトル通りの話。どうしますか?どうするもこうするも、どうにもできないだろう。実際、大切な人に殺人の過去があったという事実が起きてみなければ勿論分からないと思うし。
でもそうなってしまったとして、大事なのは「誰の味方になるか」ではなく「誰を信用するか」なのかもしれない。結局、人は自分の信じたいものを信じるしかできないのだから。

兄を殺された立場で加害者と普通に接することのできる千暁が、私にとってはこの物語中、最も気になる人物だった。
母親にも加害者と一緒にいることを責められつつも、加害者を根っからの悪人ではないと信じたい気持ちも持っている。凄く難しい立場だ。
過去のことを全て忘れる能力があれば千暁はどんなにか楽だっただろう。

千暁の母に関しては本当に無念。こちらの加害者に関しては同情の余地なし。自分の人生と他人の人生を天秤にかけ、自分を優先する所業も見ていられない。無事、逮捕となり一安心したが、千暁の母の存在は、今後の心葉に対して良い意味でも悪い意味でも影響が大きかったと思うと、やはり生きていてほしい人物だった。

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2024年05月28日

Posted by ブクログ

過去の事件と向き合う若者の苦悩が胸に沁みる… #あなたの大事な人に殺人の過去があったらどうしますか

■あらすじ
子どもの頃から父に圧力をうけ、はっきりしない性格になってしまった主人公の彩。彼女は就職先のフードサービスのNPO法人で働いていた。少しずつ職場になれてきた彩は、同僚とも少しずつ気心が知れる仲になっていく。彼女は心葉に心を惹かれていくのだが、ある日の朝礼で彼がかつて殺人を犯したことを告白するのだった…

■きっと読みたくなるレビュー
生きづらい現代社会を背景に、少年犯罪や若者の葛藤を描くのがお上手な天祢涼先生の新作。まさにタイトルとおりの物語で、本作も胸が引き裂かれるような内容でした。

まず1ページ目ですよ、最初のセリフから一連のシーン… いきなり引き込まれる場面で脳裏に焼き付く。こんなのはフィクションの中だけであって欲しい。

本作は人間関係が凝っていて、主人公の彩とかつて殺人を犯してしまった心葉だけの物語ではありません。当時の事件の関係者が様々に入り組んでおり、現代においてさらなる事件に発展してしまう。彩や心葉だけでなく、色んな人の視点で物語が進行するため、それぞれの事件に対する想いが芯から伝わってくるんです。

特に被害者家族の叫び声は、読むほどに胸が締め付けられ、どうすればこの人たちは救われるのかと読んでるこちら側が悩んでしまうんです。亡くなった人は帰ってこないのは頭では分かっているのに、いつまでも処理できない苦悩。辛すぎますね…

また加害者についても、ただただ哀れみを感じる。まだ知識も経験もなかった少年期の一度の失敗がもたらす呪い。たとえセカンドチャンスを掴みかけても、ずっと処罰がまとわりつき、瞬時に全ての努力を消し去っていく。至極一般人の私たちにとっては、自業自得だと片付けてしまいますが、その少年は当然そう至ってしまった背景や理由があることを忘れてはいけません。

そして本書後半には、一連の事件の真相が明らかになってくるのですが、まさに現代の情報化社会の瑕疵が明るみになってくる。自分には関係のないのではなく、ひとりひとりがよく噛み締めるべき社会問題であることを認識させられるのです。

ただ過去にはいろんな出来事があったけど、それでも未来を担う世代が希望を見出して戦っている姿は美しいんです。これからも負けずに生きてほしいと思いました。

■ぜっさん推しポイント
世の中には苦しんでいる人に手を差し伸べている方々がいる。ヤフコメやSNSで正論を振りかざすのではなく、実際に体と時間をつかって、元犯罪者たちと向き合う人たち。自分の会社に受け入れ、世間の目からも戦いながら、彼らと誠実に正対して成長の手助けをしていく。

本作で印刷工場の恩田さんの日記を見た時、セカンドチャンスまで構築するのが、どれだけ手間と時間と精神力を使うのか身に沁みました… 何もしていない自分が、如何にずるい人間かを痛感しましたよ… ただ少なくとも、関係のない人間が未来を壊してしまうようなことは無くしたいと思いました。

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2024年05月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

他の方の感想でもあったが、題名から想像していた内容と違っていたことと、またそれが美月さんを殺した犯人も含め『ん~!?』と個人的には消化不良だったので内容についてこれ以上書くことは無いかなと…

ただ題名にある『あなたの大事な人に殺人の過去があったら…』ということだが、『大事な人』とあるので今作のように同じ職場の人(近くにいる人)で友達以上の感情(ある程度深い関係)を持ち合わせているような人であり、その殺人に至った経緯(今回は突発的)、殺意の有無(今回は当時明確な殺意が結局あったのかなかったのかが『?』)、本当に反省・償いが出来ているのかによって考え方・接し方は変わってくるのではと思う。(自分が彩の立場だったとして)

ただ千暁の立場(20代前半)だったら、(今の私は50代だからある程度律することもできると思うが)親しくなってから知らされたとしても、普通の感情ではいられないでしょうか。

結局彩と心葉、千暁は別々の道を歩むようだが、これ以上お互いがお互いの心情を探りあっていくよりは、その方がスッキリとするのではと思う。(忌み嫌いながら分かれるのではなく適度な距離感として)

それだけいわゆる覆ることのない『十字架』を背負って生きる意味というのは重く、正解というものはなく殺めた人もまた殺めた人に接する人々にも一生をかけてずっと問いかけていくものだと思う。

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2025年11月28日

Posted by ブクログ

タイトルは何かの比喩的なものだと思っていたら本当に殺人の過去がある人だった。実際に親しくなった人にそんな過去があったら私はそれまでと変わらずにはいられないのではないかなと思った。

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2025年07月11日

Posted by ブクログ


「はっきりしない子」と父に言われ続け、幼少期から自分の気持ちを言葉にするのが苦手な藤沢彩。
不器用だけどまっすぐで、彩自身と丁寧に向き合ってくれる同僚の田中心葉に次第に惹かれていく。
心葉の同期の千暁とも親しくなり、3人で過ごすようになる。
そんな中、心葉から突然「人を殺したことがある」と告白されーー


主要人物それぞれの視点で話は進んでいく。

彩、心葉、千暁。どの人物にも共感してしまう。


真偽が分からないまま事件についてSNSで拡散される様子もリアル。
何にも関係のない人達が結局、被害者も加害者も引っ掻き回しているんだよなあ。

タイトル通り、「あなたの大事な人」に「殺人の過去があったら」。
元々殺人の過去を知っていたら仲良くならなかっただろうけど、自分の中で大切な存在になっていた人から、「殺人を犯したことがある」と告白されたら。
自分はどうするだろうか。

何が正解かは分からないけど、「殺人の過去」がある状態のその相手ときちんと向き合おうとする彩は人としてすごいと思う。
自分なら逃げてしまうだろうな。

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2025年03月11日

Posted by ブクログ

殺すつもりがなかったとしても結果として相手が死んでしまえば殺人の加害者になってしまう。それが少年の頃に犯した罪でも生涯逃れられない。心葉の様に反省して生き直しても、殺人事件の第一発見者になったら犯人に疑われてしまうのもあり得る事なのだろう。

心葉に惹かれていた彩が信じたいけど怖いと思ってしまう心理状態はわかる気がする。しかし、仲の良い同僚が兄を殺した犯人だと知った時の千暁のショックは想像を絶する。それでも近くにいたからこそ心葉の後悔している様子を知る事が出来たのは遺族として少しは救われたのではないだろうか。

許せないのは当事者の気持ちなど関係なしに事実ではないことをさも事実の様にネットで拡散させる人たち。以前なら裏取りもしないで週刊誌で報道され、それを読む私達も鵜呑みにしていたが、ネットだとあっという間に拡散されてしまう。それもお金目的でやっている人がこの小説にも出てくる。その後の当事者の人生がどうなろうとお構い無しの所に怒りを覚える。

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2024年12月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

殺人犯の家族の人生に焦点を当てた、東野圭吾さんの『手紙』を思い出しながら読みました。

一方の本作は、殺人犯、被害者家族、一般の方の三視点があって、非常に興味深く読めるミステリでした。

それぞれの立場を上手く使って、心理的なミスリードに上手くやられたな、の気持ちです。

更生していてほしい、と祈りながら読んで、最後にやっとひと息がつけました。
犯罪ひとつ、悪意ひとつでこんなにも……。

読んでいてスッキリする物語ではありませんでしたが、得るものは確かにあった、と感じる1冊でした。

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2024年09月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

74/100

んやー、星5にもいきそうではあって惜しかったな…っていう本でした。

心理的ストーリーが星5だった。仲良くなった人が、殺人事件を起こしたことがあると言われると、確かにこの感情になるよな…でもそんな簡単に割り切れないよな…と凄く辛くなり、読んでいて涙を流した。「過去は過去、今は今」この言葉では割り切れなくて自分もすごく悩んで辛かった時が実際にあったからこそ感情移入したセリフ。そしてラストの「いつの日か」。これは先程のように時間で割りきれないけど、時が解決してくれることもあると伝えている一言である。

その一方で、ミステリーのストーリー性があまりにも陳腐になってしまった。え?こいつ誰だっけ?というあらすじに全然出てこなかったぽっと出のYouTuberが犯人であることを言われ、それの論理付、心理的感情が最後の3/4で慌ててされていても全然しっくり来なかった。一気に内容が浅くなってしまったのが勿体無い。

ミステリーとしてもっとちゃんと出来上がっていたらだいぶ評価が高かったと思う。

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2024年08月22日

Posted by ブクログ


もし、一緒に働いている人に殺人の過去が
あったら……。

今傍にいて親しくしている人、
特別親密ではなくても身近にいる人、
その一人ひとりに自分の知らない過去があるし
その反対も然り。

その知らない、いくつもの過去の中に
万が一人を殺めた事実があったら。

自分は、今見ている相手にこれまでと同
対応ができるだろうか。

相手が自分にとって大切だと思える
相手であればあるほど、湧いてくる感情は
きっと複雑になるに違いない。

過去と今は切り離せない、同じように現在の
延長線上にある未来も今と分離できるもの
ではなくずっとずっと地続きに続いている。

そして、人の心や考え方は同じ場所にとどまり
続けることもあれば、僅かずつでも変化して
いく場合もある。

過去と真摯に向き合い、現在や未来とも
真っ直ぐ向き合った物語。

身を切るぐらい辛くて、心を癒すように
慈愛に溢れた深く染み入るお話でした。

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2024年08月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

中学2年の時殺人を犯した心葉、父親からはっきりしない子と言われた彩、心葉に殺された被害者の弟の千暁。同じ会社で親しい3人のそれぞれの視点で、新たに起こる殺人事件。誰が犯人かというミステリーとしても面白いが、育児放棄された少年が犯してしまった犯罪からどのように考え立ち直り贖罪の日々を過ごすようになったかというところが心に響く。
タイトルが長い今の流行りだと思って読み始めたが、まさしくタイトル通りのことを考えさせられもした。

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2024年07月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

心も体も未熟とされる少年犯罪の複雑さ。
犯罪を軽視してしまった後でその重大さに気づく人もいるだろう。幼くても、早くから心に悪意が潜んでいる人もいるだろう。
心から反省しているのか?本当に更生しているのか?
どちらにしても大事な家族が奪われたら赦せるはずはないと思う。奪われた命は戻ってこないのだから。
でももし、その人が自分にとって大切な存在であり、心開ける友ならば…。

個人的には、彩との恋愛より、心葉と千暁の友情と心理状態の変化に深く心が動かされた。

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2024年07月13日

Posted by ブクログ

しっかり更生した少年(犯罪者)は許していい
当事者は、許さなくていい
ただし、少年の人生を意図的に邪魔したりすると、同じ生き物になる

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2024年06月05日

Posted by ブクログ

感想
ひとまず理由を聞いてみる。だけどそれは興味があるから。心はもう決まっている。他人の未来を、権利を奪うことは許されない。それが法治。

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2024年05月31日

Posted by ブクログ

殺人なんて、自分とあまりにもかけはなれていて、他人事でしかない。でも、題名のようにすぐ近くの人に殺人の過去があったら?現在がどんな人でも、どんな経緯があっての殺人なのかも、関係なく距離をおいてしまう。絶対に。悲しいけれど、それが現実。彩が心葉を「こわい」といったことばが、痛いほどわかる気がする。

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2024年05月27日

Posted by ブクログ

 子供の頃父親から、はっきりしない子と言われたことがきっかけで自分の気持ちを言葉として他者に伝えることに苦手意識がある藤沢彩は、オオクニフーズの相模原支社に勤務することになる。そこで1年先輩の田中心葉が優しく声をかけてくれたことから次第に惹かれるようになり、心葉の同期でもある佐藤千暁とも親しくなりうちとけるようになる…。ある日の朝礼後、心葉が「ぼくは人を殺したことがあります」と告白…その後心葉が殺めたのは、千暁の兄であったことが判明した…。

 心葉の受けてきたネグレクトが根深かった故の犯罪だけど、そうとわかっていても、罪を償い反省していたとしても、被害者遺族の傷は癒えるものではない…んだと思います。なので、千暁の母、美月さんの気持ちに私的には共感できました。彩や心葉、千暁の行動には、ちょっとした違和感を感じたまま、次の事件が起き、加害者と被害者遺族の思いを軽んじた犯行には憤りを感じました。

 「あなたの大事な人に殺人の過去があったらどうしますか」という長いタイトル、私ならどうするんだろう?そんなことを考えさせられました。

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2024年05月10日

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