【感想・ネタバレ】希望が死んだ夜にのレビュー

ユーザーレビュー

Posted by ブクログ 2020年04月30日

凄い本を読んだ、という感覚。
読み易いし、殊更に重厚な訳でもないけれど、そういう身構えずに読める軽さ(とても語弊がある……)にその分きっと広く読まれてくれるだろうという意義を感じた。……我ながら偉そうだ。
沢山のひとに読んで欲しいと思うひとが沢山いそうな、重要極まりない切々とした重みを感じた。
疾走...続きを読む感があって、その為にラストシーンをラストシーンと認識出来ずに一旦わたしだけ走り抜けてしまった。たまにある。

子供を害する自分に甘んじるような大人なんて全くもって共感出来ない。
自分本位に自分だけを守って厚顔でいるひどいひとばかりだ。自分も苦しんでいる母親や父親の場合だって免罪符にはならない。
そういう大人たちの存在があまりにも自然で、優しい蛍と認識を改める真壁の刑事コンビも、彼らがはびこるつらい薄暗い世の中という印象を吹き飛ばしてはくれない。
もう大人なのに、どうせわたしだって接触を持てば鈍感に害する側になるに決まっているのに、かわいそうな子供の側にひどく感情移入した。
フルートの郷田先生はすきだった。

貧困や母親を知らない母親といった要素を問題の主因と見て切り離すには、あくまで不要な熱を帯びずに書かれる人間という種のそもそもの心の在り様に疑問を感じすぎる。
あらゆる面で他人の気持ちが想像出来ない、痛みを与えて来るひとたちが沢山いて、悪気も悪意も大して認識していないんだろうなという当たり前のにぶい酷薄さに全然誇張がなくて、現実でしかないと思った。
担任教師が刑事二人に語った内容と実際にネガが聞かされた言葉の差違に、心ない発言や保身のひどさと向き合うことをぬるぬると避けている風な彼に、虫酸が走った。
大人は結局、そうやって自分が生きられるように努めるのだ。きっと傷付く側だったひとでさえもが磨耗した末に次の世代を害する。綿々と繰り返す。
子供が一様に清く正しいとは勿論限らないけれど、ネガものぞみも凜子姉ちゃんも清廉でかなしかった。
担任の言葉に傷付いたのに、それを理解していないネガがつらい。
のぞみと違って自分は母親に働かされているのだと正直に言うことが出来ないネガもわかりすぎる。いたい。

生活保護への抵抗と叩く大衆など問題しかない。
自分は頑張って働いているのにずるい許せないという正しくて強い攻撃はとてもこわいけれど、立場は違えど自分は叩かれる側属性だと思う上でその心情に理解を寄せるのは(攻撃を肯定はしない)、感覚が侵されているということなのだろうか。
楽をするなら金銭の関わる娯楽や所持品を換金しないなどだめで、最低限であるべきだという観念。
全く隙のない最底辺でないと、そんな贅沢をしているから貧乏なのだと責められること。
わからなくもない自分にもやもやする……。なんかすごく悲しい気がして来た。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2020年04月10日

本の虫である父のおすすめ本。
貧困問題が絡まったこの本は想像する力が試される。
殺したのは誰なのか?なぜ殺したのか?少女に何を告げるべきか?防ぐには何ができたのか?そして、今後何ができるのか?
これからの日本で生きるならば確かな希望を創造する必要がある。‬

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Posted by ブクログ 2020年04月05日

テーマは重めだと思うけれど、さくさく読めるし感情移入がしやすい。二つの視点が切り替わりながら話が進むため、飽きない構成だと思った。推理小説と青春小説を一気に楽しんだ感じ。続編が出るということで楽しみ。

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Posted by ブクログ 2020年03月16日

 天祢涼さんの作品を読ませて頂くのは今回が初めてであったが、凄くメッセージ性の強い本を書かれるんだなと思った。(他作を読んでないので他は分からないが)
 
 良かったと思う点は2つ。

①伏線回収のうまさと心地よさ
 終盤、徐々にパズルのピースが埋まっていくような感じはなかなか体験できるものではなか...続きを読むった。最後のピースが埋まったときの痛快さは見事。
 
②3度に及ぶどんでん返し
 本の帯にも書かれていたが最後の畳み掛けは手に汗握った。この人の真意はこうだったのか。そんな騙されが何度もあった。

 社会派青春ミステリとあったが、社会派の部分が多くを占めていたと思う。子供の貧困と生活保護受給者の尊厳。
是非 子を持つ親御さんに読んでもらいたい。

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Posted by ブクログ 2020年02月22日

一気に読んでしまった。
最後まで飽きさせず、気をそらされることなく読める。
読み終えてタイトルに本当に納得。
辛くてどうにもならなくて、でも必死で着飾ってもがいていた彼女達に言える言葉なんて、きっと誰も持ってないだろうなと思った。
フィクションなのに、ネガちゃんの今後の人生が少しでも光溢れるものにな...続きを読むれば願ってしまう。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2020年02月10日

面白かった.よけいな感想などいらない,この一言だけで十分.そんな作品.
(なのだけれども,最近物忘れが激しいので以下に記憶のためのメモ書き)
中学2年の冬野ネガはクラスメイトの春日井のぞみを殺害した容疑で逮捕される.事件を担当するのは神奈川県警刑事部捜査一課の真壁巧と多摩警察署生活安全課少年係の仲田...続きを読む蛍.「初陣」を半落ちで済ませたくない真壁は,彼女たちの気持ちを”想像”してばかりいる仲田をいまいち信頼できない.物語は,そんな真壁とネガの視点を交互に切り替えながら進んでいく.
 物語が進むにつてどんどん魅力的になっていく二人の少女が,悲劇的な結末に向かっていくのが悲しい.
ネガがいう「わかんないよ.あんたたちにはわかんない.なにがわかんないのかも,わかんない」がわかっても完落ちにこだわった真壁が,最後にネガにかけた言葉はなんだったのだろう.

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Posted by ブクログ 2020年02月07日

思春期の一番多感なころに感じた小さな希望と大きな絶望。その中で生きる主人公・ネガの姿が健気で、そして重たかった。さらに作者の優しさも感じられて大変素晴らしかった。大好きな小説。

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購入済み

ここ数年でベストな一冊

いし 2019年11月28日

話の構成力もさることながら、それぞれの登場人物の書き分けが凄まじい。
ストーリーもテーマに沿ったもので、その用意周到さに驚かされる。
凄い作品だ。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2019年11月06日

同級生を殺害したとして14歳の女子中学生が逮捕された。
彼女は犯行を認めつつも「なぜ同級生を殺したのか」という理由を一切語らない。
「あなたには何もわからない」―。動機を必死に探す刑事たちは彼女を取り巻く闇を明らかにできるのか?

子どもの貧困、生活保護、福祉という現在の日本が抱える社会問題に深く切...続きを読むり込んだ1冊。
多くの読者が主人公の刑事の1人・真壁の立場に共感または逆に嫌悪しつつ物語を読み進めることになると思います。
真壁自身も幼少期に貧困で苦しみながらも努力で警察官になった経験があるからです。
しかし物語が進むにつれ、真壁自身の貧困に対する考え方に変化が見られるようになります。
おそらくここで読者も深く考えさせられることになるのではないでしょうか?

ミステリーや警察小説として読みごたえがありつつも、今の日本が抱える貧困や福祉の大問題を各登場人物の生い立ちや言動から多角的に捉え、読者を揺さぶり、深く考えさせます。

最後に筆者から与えられる問いにあなたならどう答えるでしょうか?

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2019年10月17日

「セケン」、「シャカイ」という得体の知れないボヤけた化け物に「チイサナキボウ」が殺されたのだ。
夕方のニュース番組で流れる悲しいニュースの濃い部分を抽出して書き記した、そんな1冊だと感じた。
この小説の中で唯一の救いがあるとすれば、それは「死」ではないだろうか?
しかし、死を通してハッピーエンドを得...続きを読むるはずだった2人ともハッピーエンドを得ることが出来なかった。
悲しきハッピーエンドを迎えることも許されないのが社会なのかもしれない。

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Posted by ブクログ 2019年10月10日

同級生殺害の容疑で逮捕された14歳の女子中学生。
犯行を認めた少女は、何故、動機を一切語らないのか。

なぜ、彼女は殺されたのか。
なぜ、希望は死んだのか。
希望が死んだその夜に、一体どんな衝撃の事実が隠されているのか⁉︎

現代社会の闇に〝何故〟が渦巻く、社会派青春ミステリー。

現代社会に生きる...続きを読む人々に、どうかこの作品を読んでほしい。
本来、決っして死んではいけない希望が死にゆく様を。
それでも尚、大切な人のために希望を生み出そうとする、その絶望の淵の必死を。

決っしてこれは作中だけではない、この社会に蔓延る闇だ。
たとえ希望を失くしても、お終いにしてはいけない。
絶しても望み続け、あみ出してほしい。
耳を傾け、声を出し、手を差し伸べて、希望を生み出したい。
常に改善に向けて動きたい。
子どもの貧困問題を、目を逸らすことなく見てほしいと願って止まない。

社会問題の改善は容易でなくとも、まず現状の認識がないと何ひとつと進めない。
本作は現代社会の抱える問題を認識し、考えさせられながらも、ユニークなコンビが謎の真相に迫るストーリーは、読書をとっぷり楽しませてくれる、そんな青春ミステリーだ。
解明されていく謎、まさかの衝撃の展開に、胸騒がしくページを貪る傑作です。

ラストの1行にシビれる。そこに込められた想いに、涙。

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Posted by ブクログ 2020年05月14日

希望は死んだ。もういない。    
私もそこそこの貧乏育ちだと自負してはいるのだが、やはり下には下がいるようでして……。   
人間生き抜くためには希望が必要だなぁと、特に子供にとっては、しみじみ思うのですが、ではその希望が死んだ夜に人は何を思うのか。    
多感な10代さえなんとかなってしまえば...続きを読むあとはなんとかなると思わなくもないが大人は大人でしんどいですか。 
まぁ図太く生きましょう。

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Posted by ブクログ 2020年04月05日

私はこういう社会問題からは目を背けて生きていきたいタイプの人間だ。
私が悩み考え落ち込んだところで、明日生きていく世界は大した変化がない。意味が無いのだ。
この考えが許されるべきか、という話をするならば許されるべきではないだろう。
だけど、それは私という一人の人間が健やかに生活を送る為の手段であって...続きを読む、それについて誰かが批判をすることは的外れだと思う。

これがこの本を読む前の私の社会問題に対する意見だ。
さあこの本を読み終えた私はどう変わったのか。
結論から言うとさほど変化はない。
ただ、どんな環境にいるどんな生き物にでも共通すること。寄り添う事ができたなら。
忘れてはならない、忘れることなどできない本能。
勿論、私が誰かに寄り添ったところで貧困問題は解決しない。
でも、私にできることなど限られている。
じゃあどうするべきなのか。
この答えが出た頃に、作者が望んだ絶望の先が見える気がするから、私は今日も生きていきます。

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Posted by ブクログ 2020年03月28日

日本の貧困家庭に暮らす中学生の女の子二人をメインに話が進む、推理小説です。中盤ぐらいまでは、そんなに大きなトリックはありませんが、中盤から終盤にかけて大きく警察の捜査がすすんで大きな盛り上がりを見せます。トリックなどは、抜群だと思いましたが、それ以上に中学生二人の環境に憐憫の情が湧いてしまいました。...続きを読む貧困がテーマなので、あまり愉快な話ではなかったものの、人にはお勧めしたい一冊でした。

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Posted by ブクログ 2020年03月14日

青春、ミステリ、貧困、が混ざった作品。
中でも特に貧困のテーマが深く掘り下げられており、様々な立場や状況が複雑に絡み合って、生活保護1つ受けるのにも葛藤があり一筋縄ではいかない。最近は外国人の日本での生活保護なんかがよく問題になるせいで、簡単に安易に受けててズルい!みたいなイメージが先行しますが、こ...続きを読むの作品で書かれているような状況も1つのリアルなのかなぁと思います。
ネガとのぞみの友情や秘密の共有なんかに青春っぽいキラキラした希望も感じたけど、それはとても脆くて、
彼女達に本当に必要だったのは何だったのかを考えます。お菓子かな。

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Posted by ブクログ 2020年02月18日

舞台が登戸、向ヶ丘遊園、多摩川ということでちょっと興味を持ったけれど、なかなかに重たいテーマ。
貧困が思春期の子どもに与える影響は計り知れない。素直で優秀で未来に夢を持って頑張って生きている子どもたちの希望が死んだ瞬間を考えると本当に胸が痛く目頭が熱くなる。

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Posted by ブクログ 2019年12月26日

表紙からはもっとライトな感じの物語かと思っていましたが、わりと本格的なミステリでした。

互いに親友と呼ぶ女子高生たち。そのひとりが相手を殺したと容疑で捕まった。刑事としての初仕事で、半落ちでは起訴できないともなれば目をかけてくれる上司に面目もたたない。 
そんな中、バディを組まされたのは所轄の女性...続きを読む警官。
なりやら同僚からも疎まれている感じもある。

はたして、この女子高生はなぜ死んだのか、そして自分こそがその犯人だと名乗る真意は?

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Posted by ブクログ 2019年11月27日

貧困をテーマにした社会派ミステリ。

母一人子一人で生活している中学生のネガ。
母は働いてはいるものの生活は苦しく、情緒も安定していない感じ。
そんな中、ネガと同級生の望の死体が発見され
ネガは自分が殺害したと証言している。

シングルマザー家庭の貧困は取り上げられることも多いけれど、シングルファザ...続きを読むーの場合だって
貧困に陥る事もあるんだよな、と少し考えれば分かるような当たり前のことに気付かされる。

この問題は一概に誰が悪いと言いきれない分、切なさが増すけれど、
少なくとも子供たちは未来を見ていた。
大人たちがそれに気付けなかったのが何より残念。

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Posted by ブクログ 2019年11月10日

次に読む本を求めてネットを彷徨っていたところ、細谷正充さんが本書に寄せた解説がたまたま目に留まりました。「面白い作家が、凄い作家になる瞬間がある。天祢涼の場合は、本書『希望が死んだ夜に』だ。」という書き出しを読んで、すぐに購入しました。

天祢涼さんという作家さんは今回初めて知りましたが、(細谷さん...続きを読む曰く)本作品はこれまでの天祢さんの作風とは大きく異なるそう。デビュー以降、特異な設定や変わった職業を題材にしたユーモラスなミステリが得意だったようですが、初めて読んだ本書がシリアスな社会派ミステリーだったので、今度は初期の作品も読んでみたいなと。

「神奈川県川崎市で、14歳の女子中学生・冬野ネガが、同級生の春日井のぞみを殺害した容疑で逮捕された。少女は犯行を認めたが、その動機は一切語らない。何故、のぞみは殺されたのか?二人の刑事が捜査を開始すると、意外な事実が浮かび上がって―。現代社会が抱える闇を描いた、社会派青春ミステリー。」
(―文春文庫 内容紹介より)

同級生の殺害容疑で逮捕された中学生・冬野ネガと、その事件を担当する刑事・真壁巧の視点で過去と現在が交互に描かれ、少しずつ事件の真相が明らかになっていきます。最後まで展開が読めず、また人の心理が丁寧に描写されていて、ミステリーとしてもヒューマンドラマとしても生々しさがあり読み応えがありました。

本書は全体をとおして、「貧困」がひとつのテーマとなっています。
貧困というと、それこそアフリカのやせ細った子どもたちが大きな目でこちらを見つめているような画を想像してしまいますが、誰もがお金に困らず、裕福に暮らしているように見える日本にも実は貧困は存在する。何も考えず暮らしていると見落としてしまうような「日本の貧困」の実情が、本書では鮮明に描かれています。

貧困問題に対して自分に何ができるわけでもないけれど、少なくとも自分の家族や子孫にはつらい思いをさせないように、家族を大切にしながら、きちんと「稼ぐ力」を養っていきたいと改めて思いました。

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Posted by ブクログ 2019年11月07日

現代日本で困窮する子供とその周辺環境を赤裸々に描くミステリー。
犯人役主人公の冬野ネガ(すごい名前だ)が春日井のぞみを殺害後偽装しているところを警察に発見されるが、頑として理由を説明しない──。
これでもかというくらいにネガの不幸が書かれ、普通に考えれば「こいつが殺ってもおかしくない」くらいの不幸の...続きを読むどん底に落とされるネガ。母親が死ねばよかったのに…。
読んでいる最中も眉間にしわを寄せながら読んでいたような気がする。
真犯人はちょいと強引な気がしますね。

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