「難民探偵」というタイトルながら、これは探偵小説…なのか?
どちらかと言えば、探偵の相棒が主役的な位置づけとなっている、「ワトソン小説」とでも呼ぶべき、とてもユニークな小説でした。
本人曰く、「どこでどう選択を間違えてしまったのかわからない」まま、就職浪人となった窓居証子(まどいしょうこ)は、祖母の助言により、売れっ子推理作家の叔父である窓居京樹(まどいきょうき)の元に身を寄せながら、終わりの見えない就職活動を続けることになります。
やがて、ひょんなことから京樹の友人であり「難民探偵」でもある根深陽義(ねぶかようぎ)とコンビを組んで、ネットカフェで起こった殺人事件の捜査に乗り出すことになってしまうのですが…
まず、序章で40ページ強に渡って語られる、証子の就職活動の様子からして、同じ作者の「掟上今日子の備忘録」における隠館厄介の生涯を思い起こさせる不運っぷりで、この時点でグググっと彼女への同情と共感が生まれます。
その後も周囲の濃いキャラたちに振り回されつつ事件に関わっていく様や、それでいて結果的に探偵を一押ししたり、重要な事柄に気づいたりという思わぬ有能っぷり!?も微笑ましいところです。
また、冒頭に述べたように探偵小説としての異色さも興味深い点が多々あります。
その極めつけが「謎解き解決編」。
探偵小説における探偵の最大の見せ場たるべき舞台において、警視総監の真田道規(さなだどうき)が放った一言とそれに対する探偵の回答は、開いた口がふさがらないほどの衝撃(笑撃)です。
ただ、決しておふざけや悪ノリでなく、一見「アンチ名探偵」に見えなくもないストーリーの奥に、紛れもない探偵小説愛が垣間見えるように感じました。
相変わらず、登場人物のネーミングにもニヤリとさせられますね。
西尾維新さん、いいです!