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ライ麦畑が作家に与えた影響とは
名作「ライ麦畑でつかまえて」の作品の切り口から、ニューヨークの旅行記を綴った作品。
しかし時の流れで、ライ麦の主人公が歩いた1950年代と、現代のニューヨークでは、あまりにも乖離があり、その試みは難しかったのかもしれない。また、著者が英語を話せない事もあるのだろうが、現地での交流は希薄に思えた。
とはいえ、若い時分に影響を受けた作品の軌跡を、中年を過ぎた作家が実際に訪れて感じる様は、とても素直で肩肘をを張らず、読んでいて自分もニューヨークをほっつき歩きたい気分になれる。学生時代等、若い時に「ライ麦畑でつかまえて」を読んだ世代には、共感する部分が多いと思う。