松尾由美のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
大変、可愛らしいSF Lovestory
魔法はきっとあると信じたくなる一冊。
画家であるオーナーの一存で入居が許されるというアパートメント〝アビダシオン・ゴドー〟の入居条件は「よそで3ヶ所以上の入居を断られた」人。
旅行代理店に勤める志織は、趣味のカメラが原因でマンションを退去させられてしまう。
たどり着いた〝アビダシオン・ゴドー〟で、ある夜、壁に開いた穴(エアコンダクト)に話しかけられる。
「北村志織さん!」
声の主は、挨拶もまともに交わしたことのない隣の住人、平野ですと名乗る。しかも一年後の!
「そちらの平野には言わないで下さい。」
「私を助けて下さい。」
未来の声、自称平野の目的は?
信じること、愛すること、強く願う気持ちこそが魔法。それを奇跡という。
今年の23冊目
2020.8.13 -
Posted by ブクログ
先日読んだ『御城の事件<西日本編>』がなかなか面白かったのでこちらも読んでみた。
この<東日本編>はどちらかと言えば時代物という枠を超えた感があるが、『御城の事件』という枠は守っているので良いか。
高橋由太「大奥の幽霊」
<もののけ>シリーズで有名な作家さんだが読むのは初めて。
『大奥で赤子の幽霊が泣いておる。成仏させてくれぬか』
将軍家綱の命により大奥を探ることになった主人公の忍びが行き着いた真相とは。
てっきり明るいもののけ物だと思っていたら、意外な顛末だった。
山田彩人「安土の幻」
幻の安土城を描いたという襖絵を写しとるために絵師の芳永がやって来たのは、豊臣方の軍勢に水攻めを受けている最中の大志城。
写し取った安土城の姿絵を水没しつつある城からどう持ち出すのかという作戦を立てるのが、盲目でツンな姫君というのがワクワクする。
この姫君と芳永のやり取りの楽しさでテンポ良く読めるが、そこに輪をかけて興味を引いたのは安土城の姿を写し取った芳永の、安土城は城ではないという結論。
では安土城とは何だったのか、そして信長の狙いは。
この作品が一番印象に残った。
松尾由美「紙の舟が運ぶもの」
幽霊物やファンタジー物がお得意の作家さんだが、時代物は初めてらしい。
藩主の妻からの依頼で城内の野鳥を調べている主人公が出会ったのは、子供の幽霊。
そして朝になると堀に紙の舟がどこからともなく現れる事件が起きて…。
幽霊と主人公の交流が、距離感が程よくてほのぼのする。謎解きの方も大ネタではないが、松尾さんらしくて面白かった。
門前典之「猿坂城の怪」
石垣修理中の城内で、堀に渡した仮橋に座って城を描いていた絵師が殺される事件が発生。
当時は霧が立ち込めていて橋の手すりや床板の夜霧の粒に乱れはなかった。つまり橋の上には殺された絵師以外はいなかったことになるのだが…。
変則的密室事件にもそそられるが、それ以外にも読んでいて色々違和感がある。その謎は終盤に一気に明らかになる。
何とも様々な仕掛けが施された作品だが、最後の一文で更に違和感が。結局これは時代物ではなかった?
霞流一「富士に射す影」
城内の六地蔵の一つが持ち去られていたり、牢から逃亡した罪人が殺されて山の穴の中で餓死させられていたり、小姓頭が石垣に激突死していたり、男の生首とイタチの胴体が繋げられた死体が見つかったり、連続する奇怪な事件の意味は…。
肝は何故こんなことをしたのか、ということだが、今も昔も宮仕えは大変だなという印象。
全体的にはもう少し史実と絡めた話を読みたかったかなという感想。単純に御城と事件という組み合わせを読みたい方には良いと思う。 -
Posted by ブクログ
大学休学中の佐田はバイト先で不思議な事件の話を聞くが、実業家と名乗る猫とそれに仕える秘書兼運転手の男がその謎を容易に解いてしまう。
その後も佐田の行く先々で、次々と不思議な出来事と猫のニャン氏に出くわすことになるが──。
事件のあらましを聞いた実業家の猫のニャン氏がニャーニャーと鳴くと、秘書の丸山氏がそれを通訳して事件を解決に導くという風変わりな連作短編集です。
ふざけた設定ですが、日常の謎から密室殺人まで幅広い本格推理モノで、論理的な謎解きもしっかりしています。
派手さやケレン味はないけれど、きっちりと実直な謎解きは安心して読めました。
ただ、猫が名探偵というファンタジー設定がシュールすぎて、最後まで違和感がありました。
秘書の中年男性が通訳の際に語尾に「ニャ」をつけて話したり、猫が謎解きをすることを周囲の誰も突っ込まずに受け入れてたりして、そのリアリティの無さには首をかしげるばかりです…。
猫はただ鳴いてるだけで本当は秘書が名探偵なんじゃないかという疑問が最後までぬぐえず、肝心の謎にあんまり集中できませんでした。
まあ、幽霊や椅子に安楽椅子探偵をさせる作者なので、これもアリなのかな。
推理の途中で飽きて遊びの方に夢中になっちゃう、いかにも猫っぽい描写は可愛かったですが…。 -
Posted by ブクログ
これって恋愛ものなのか?と思いながら最後までたどり着いて、平野さんの告白に思いっきりキュンとして、あーこれは王道の恋愛ものだわと心の底から納得する、そんな作品。
倉さんの「男はみんな奇跡を起こしたいと思ってる、好きになった女の人のために」というのもそうだし、平野さんの「北村さんが「本当にこれでいいのだろうか」とそんな気持ちにとらわれた時、悪いのは僕だと言うために一緒にいなければ」とか、そんなにも大切に想ってもらえるのって、すごく素敵なことだなーと思う。憧れる。
平野さんの告白はどれも真っすぐで、飾らない言葉で、とてもとてもシンプルにキュンとする。
これ、高橋一生くんがやるのか…観たいな。