野村美月のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ファミ通の方では残念ながら打ち切りになった物語の後日談……というか描かれるはずだったエピソードを詩也の娘ミナ目線で綴ったシリーズ最終巻。
うん、読んでよかった。
すっきりした。
野村さんらしく、実に切なく苦しく、それでいて愛おしい物語だよなあ。
詩也に永遠に生きることの目的を教えてくれたアリスちゃんのエピソードも
もう一人の吸血鬼の生き方の選択も
そして、雫と詩也との関係の真相と結末も
きっとシリーズでもっと詳しく描かれるはずだったのだろうけれど、でも、十分神髄は伝わった。
むしろぎゅっと凝縮されて心に響いてきた。
シリーズとして描かれた前半よりも、描かれなかったこの後半の方がもっと切なかった。
そして本作の語り手であるミナの心情も。
ただやっぱり永遠の命を持つ者の苦しさはどうしても考えてしまう。
たとえ詩也が綾音さんに永遠の恋をしているとしても、それでも、その思い出だけで永劫の時を生きていけるのだろうか?
いつか想い出が尽きて絶望に堕ちてしまうんじゃないか?
そんな風にやっぱり心配になるけれど。
なんにせよ、ちゃんとシリーズの結末まで読むことが出来てほんとによかった。
ありがとうございました。 -
Posted by ブクログ
シリーズ4巻目はある意味一つのハイライト回。
前巻では結局自分の気持ちしか考えられず、そうじゃないだろうと突っ込むしかなかった詩也。
今巻では綾音の気持ちもちゃんと考えることが出来るように成長したのが嬉しいかぎり。
今回も演じる劇の展開と二人の関係が実によく重なって、さすが作者と感心した。
暗闇のなかで詩也が自分の正体を明かす場面から、その後のクリスマス劇の本番を経て、ラストの告白までの流れが、とてもよかった。
息詰まるような緊張と切なさを経て解放される想い。
うん、こういう場面を見たかったんだよ。
涙を浮かべながら微笑む綾音の姿に胸がキュンとしてしまった。
それにしても綾音のブラ姿といい、カレナ様とのキス場面といい、今回はなかなかエロチックだった(笑)
もう、そこは押し倒してもいいんじゃないかな(爆)
でもあれだね。
カレナ様はほんとはとてもいい人だね。
なんというか一本芯が通っている感じ。
ステキだ。
そうそうカレナ様、その台詞は漱石的には告白なんだけど、知らぬが仏だろうか。
物語は一山越えて、さてどこへ向かっていくのか?
ぜひこの先にハッピィエンドが待っていて欲しい。 -
ネタバレ 購入済み
9歳の時の聖羅の視点の話から始まり、時系列で結婚までの流れが書かれている。
他のキャラにもきちんとスポットを当てており、素晴らしかったのだが、展開が駆け足だった様に
感じられ、少し残念だと思った。
あと結ばれたあとの話が書かれていないのが非常に残念と言わざるを得ない。
短編集かなんかで書いて欲しいと思う -
Posted by ブクログ
ネタバレこの人の読み切りは、ラノベではなくて、少女小説である。それも創設された頃のコバルト文庫のような、少女漫画をそのまま活字にしたような。
つーか、美月たんがほんとうに書きたいのは、そういうお話なのだろう。
…もう死に絶えたという噂も…
むしろ、そんな思いは、アラサーフォー女子向けの作品にちりばめられてる気がする。
モジモジした2人の関係「いいかげん、くっつけ!」と周りが思ってるのに、ぐずぐずとしてるカップルはもう絶滅してしまったのかなぁ。
私も伏線がしっかり回収されるお話は大好きだ。しかし、伏線とバレないように、しかも読者にしっかり覚えさせる伏線をはるように!と明言して、しかも、ホントにその通りの伏線がしいてありました。流石、プロの作家です。
しかし、なぜ金網越し??
絶対この人、三浦しをんにも、柚木麻子にも、有川浩にも負けない才能だと思います。是非「表舞台」に出てきて欲しい。 -
Posted by ブクログ
大きなことが起きるお話ではありません。
一夏、ただ毎朝出逢うだけの少女と少年の、淡い恋のお話。
読んでいて悲しくて、胸が痛くて。何度も本を置きました。
終りが来ると分かっていて、
どうしてそれでも惹かれていくのでしょう。
絵を描くことで自分を支えている少年、陸。
彼は最後に、初恋の少女を画布に写し、賞を取ります。
彼はきっと孤独の中で自立して、名のある画家になるかも
しれません。
その受賞と、彼の想いを受け取る千星も、今のまま
ひとりで日常を丁寧に生きて、多分進学し、いずれ
静かな家庭を持つでしょう。
いつか届けば。
そう願いながら、きっと彼女たちは
名実ともに大人になっても、思い出の夏にしかなりえない。
けれど…。
なんてきれいな夏。
清冽で、淡くて。おとぎばなしはいつもかなしいと
決まっているなら、これもまた。
荒れた言葉は出てこずに、食事や小物や、風景や
全てが綺麗です。
ただ、世界を握りつぶす大人たちの存在だけが
どうにもならない闇の色を しています。
文学少女やヒカルより、こちらのお話が野村さんの本質
だと思います。どうかお手にとってみてください。
せつなく。悲しいお話ですが。
ラムネの瓶を陽に透かすような、薄青のおはなしです。
私はどうして あなたに出会ったのかしら。
いつかお別れの時が来るなら
何も知らずにいたら良かったかしら。
だけれど、あなたと見たあの空は ひかりは。
いまも目を閉じれば。
揺れる白いスカートの裾
空に舞った麦わら帽子
あなたのそばには どんなひとがいるのかしら。
あなたの手はもう触れないのに
私は
あなたをいまも。