あらすじ
若き女王ロクサーヌの治める平和なフロリア。王都の片隅の小さな菓子屋【パティスリー】には、今日も劇作家がやっかいごととともに駆け込んでくる。そんな平和な日々が、不意に揺らぎ始めた。フロリアの守護神、バルトレオン将軍の遠征失敗によって。フロリアは再び混沌に呑まれるのか――。その行く末は、国際会議の席でのロクサーヌの外交、そしてその席で供されるアルジャンの菓子の力に委ねられた!! "菓聖"の伝説を綴るヒストリカル・ファンタジー、堂々終幕【フィナーレ】!!
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Posted by ブクログ
素晴らしきかな無駄の美学!
お菓子の力で戦争回避など頭お花畑な少女漫画とでも呼ばれそうなものだが、バルトレオン将軍が指摘したようにこの会議が『無駄な会議』である事が前提にあるので話は変わる。
舌戦である外交会議に置いては何もかも回りくどいことこの上ない。一見無駄でしか無い言い回しや皮肉が国の趨勢を左右する舌戦の場であるからこそ、攻め気を失わせる様な甘く麗しいお菓子というのが文字通り舌を鈍らせている。
言ってしまえば『お菓子の城』という美食であり芸術もまた一見すれば無駄でしかないが、この会議に出席する人間が文化人であることもまた展開に説得力を加えている。アレを出された上でまだ宣戦布告をするというのも集まる大使達から顰蹙を買う様な行いだろうし。
そして恋!
最後のワンシーンが作中出てきたどのお菓子よりも甘いんじゃないっすかね!?
Posted by ブクログ
上巻のレビューとこちらのレビューでトータル。
ちょっと二冊にまたがる書き方をしてしまいました。
文学少女の時もそうでしたが、好きなもの
美しい物への賛美の表現が野村さんは本当に
お上手です。
今回それはお菓子の描写で遺憾なく発揮されてて
私達をうっとりさせてくれます。
無駄なものの中に、素晴らしい物がいっぱいある
というロクサーヌの主張は、ほんとに我が意を得たり
でしたし、チカラで敵を屈服させるのではない戦いも
かえって熾烈な緊張感があって私は好きです。
ファミ通文庫の主な読者さんは男性でしょうから
迫力に欠けるという声があるのだと思いますが
これ、女の子が読むと最高にツボるお話なのです。
寡黙で一途で秀麗な戦いでは頼りになる主人公が
夢の様なお菓子を通して、恋い慕う若き女王の
知略を支える。
不自由な身体を物ともせず、美貌と心優しさと
賢さで大国と渡り合うヒロインとの
結ばれぬかに見えて終生不滅の愛。
最高に楽しかったです。
はっきりと上手く行った!ってお話だけを望まずに
ちょっとそういう目線で読んでみてください。
最高ですから。
宝塚で上演してくれないかしら…。
Posted by ブクログ
上巻と同じく、菓子職人を軸にして進む短編。
菓子職人の過去が少し分かってみたり。
しかし外用だけを見たら、劇作家の言っている事は
頷けるものがあります。
まさかの関係、まさかの…ですが、良くある事?
元上官はともかくとして、劇作家の頑張りが…。
一方通行ではない、ような感じではありますが
その辺りはどうでしょう?w
さらに最後には、国として大変な状況の話、など。
すべてにおいて、上巻では語りになっていた劇作家は
自分の話(?)以外では、あまり出演せず。
なので若干シリアス、やも知れません。
そしてやはりお菓子が美味しそう!
最後の会議の時は、目の前で仕上げてくれたわけで
ものすごく詳細に語られておりました。
これもまた、お腹が空いた時に読んではいけません。
Posted by ブクログ
ひっそりと存在したもうすぐ外国に嫁ぐ伯爵令嬢である妹の話からはじまる、可愛いお菓子か小さな玩具みたいにちまちまと広がる作中世界の様子がすき。アルジャンとロクサーヌの身分違いででも信頼で結ばれた儚いような関係も良かった。開戦となるか否かの国際会議で次々と振る舞われるお菓子たちに勢いがあって圧倒された。