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両親の離婚話に立ちすくむ千星。明るく笑ってみせることで、壊れそうな家の空気を辛うじて保ってきた。けれど本当は、三人で一緒にいたいと、素直に泣ければよかったのだろうか……。新聞配達のアルバイトを続ける陸。母は家を空けたまま帰らず、生活のために必要だった。ただ絵を描いていたい、そんな願いも叶わない。それを恨んでも憎んでもいないけれど、今まで自分は笑ったことなどあったのだろうか――。そんな二人が、出会う。切なく繊細な一夏の物語。 ※作品の表現や演出を考慮して、電子版は本文縦組で制作しております。また一部のページを改変しております。※
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Posted by ブクログ
大きなことが起きるお話ではありません。
一夏、ただ毎朝出逢うだけの少女と少年の、淡い恋のお話。
読んでいて悲しくて、胸が痛くて。何度も本を置きました。
終りが来ると分かっていて、
どうしてそれでも惹かれていくのでしょう。
絵を描くことで自分を支えている少年、陸。
彼は最後に、初恋の少女を画布に写し、賞を取ります。
彼はきっと孤独の中で自立して、名のある画家になるかも
しれません。
その受賞と、彼の想いを受け取る千星も、今のまま
ひとりで日常を丁寧に生きて、多分進学し、いずれ
静かな家庭を持つでしょう。
いつか届けば。
そう願いながら、きっと彼女たちは
名実ともに大人になっても、思い出の夏にしかなりえない。
けれど…。
なんてきれいな夏。
清冽で、淡くて。おとぎばなしはいつもかなしいと
決まっているなら、これもまた。
荒れた言葉は出てこずに、食事や小物や、風景や
全てが綺麗です。
ただ、世界を握りつぶす大人たちの存在だけが
どうにもならない闇の色を しています。
文学少女やヒカルより、こちらのお話が野村さんの本質
だと思います。どうかお手にとってみてください。
せつなく。悲しいお話ですが。
ラムネの瓶を陽に透かすような、薄青のおはなしです。
私はどうして あなたに出会ったのかしら。
いつかお別れの時が来るなら
何も知らずにいたら良かったかしら。
だけれど、あなたと見たあの空は ひかりは。
いまも目を閉じれば。
揺れる白いスカートの裾
空に舞った麦わら帽子
あなたのそばには どんなひとがいるのかしら。
あなたの手はもう触れないのに
私は
あなたをいまも。
Posted by ブクログ
野村先生の久々の読み切り作品。
ずっと温めておられた、というかなかなか日の目を
浴びさせてあげられなかった作品だそうですが、
良い意味で納得しました。
これは良い意味でラノベでなくていいというか
ジュブナイルです。狙った要素やあざとさも何もなく
(強いて言えば昔の少女漫画の読み切り風)
ファミ通文庫より「青い鳥文庫」などが似合いそうな
作風です。
安易に甘口にせず、余韻を残す終わり方もとても素敵です。
一見時代錯誤にも見えるアナログなお話ですが、
今の時代だからこそ、
「相手を知ろうとしないと勿体ない」と思わせてくれました。
意外とこれはデジタル化した今の時代のほうが
少なくなっている気がしますから。
あと「自分の尺度だけで計っていていてはいけない」
かな。
ヒロイン・千星ちゃんのあの姿はこっちのほうがいいと
思った方が多いかと。
意外と自分の目と他人の目にはそれくらいの違いがあるかも。
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