鈴木美朋のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ジェンダー不平等に苦しむ女性の成長譚は既読感ありですが、本書は明らかに一線を画しています。
エリザベスは自分らしさを決して曲げず、己を貫き通します。何も変わらないその潔さで我が道を切り開き、周囲をも変えていく様子は痛快です。
アメリカの人気料理番組に出演するエリザベス・ゾットは化学者。笑顔もなく真剣な表情で「料理は化学です」と言い切る姿に、全米の主婦が熱狂!
冒頭からこんなシーンで、読み手の心をも鷲掴みにします。エリザベスはいかにしてテレビスターになったのか?というストーリーの幕開けです。
1950年代の化学研究所。女性で優秀が故に、エリザベスが直面した困難の数々は、あまりにも厳 -
Posted by ブクログ
英米でベストセラーとなった小説。1950年代の科学研究の世界を舞台とし、そこで当時の性差別的環境で苦闘する女性科学を主人公としている。
ストーリーはかなり特異的で、主人公やその恋人のキャラも立っていて、悪役と味方(ほとんど悪役だったりするのだが)が明確に分かれていて、ある種のエンタメ性に優れたストーリー小説として楽しめる。それは、ほとんど無名だった著者の初の本格的な小説であったにも関わらず長期のベストセラーとなったことや、その後ドラマ化されたことでも証明されている。主人公のエリザベス・ゾッドは、尊敬できる同僚と恋をし、私生児を産み、研究所を追われ、一風変わった人気料理番組のスターとなるなど波乱 -
Posted by ブクログ
ネタバレ先に「忘れられた少女」を読んでしまってたからなぁ…本来の順番で読んだ方が楽しめたんだと思うんだけど、仕方ない。
とはいえ、あのアンドレアとおかんの微妙な距離感というか緊張感の源となる事件がはっきりと分かってよかったというか、すっきりした。
それにしても、人たらしのカリスマって怖いなぁ。フェロモン的な謎の魅力に翻弄されて、どこまでも言いなりになる。自衛本能が麻痺して命の危険、尊厳の破壊、人格否定までされても…いやされるからこそ、その人をさらに盲信し、暴走し、とんでもない事件を起こす。
カルトの教祖なんてのは、こういう類なんだろう。またここまでじゃなくても、軽いカルト教祖みたいなんっておるん -
Posted by ブクログ
ネタバレどのキャラクターも自分のせいだと思って、罪悪感を抱き、自分を許せずにいる。
過ぎた事、変えられないことを受容する許可、勇気?平和?を自分に与える。
永遠に自分を苦しめなくていい。
亡くなってしまった愛する人が望む生き方、自分の幸せになる生き方をする。
今ここを生きる。
自殺とは、絶望後、ゲームオーバー。
ではなく、リセットする。
本トゥモローアンドトゥモローアンドトゥモローみたい。
普通って何?
多数の人が思っている事であり、真実では無い。
事実を理解する事により、自分で真実を知り、考えることができるようになる。
自分の本当の望みを知る事ができ、
自分の中の勇気で現状を変える事ができる。
-
Posted by ブクログ
ネタバレ・あらすじ
4人の女性を殺害した死刑囚のアンセルパッカーの死刑執行12時間前から物語は始まる。
彼は密かに刑務官のショウナを抱き込み脱獄の計画をたてていた。
アンセルの死刑までのカウントダウンと彼と関わりを持った3人の女性の過去から現在まで。
・感想
ミステリーだと思ってたからてっきりアンセルは冤罪で3人の女性視点からその事実が浮き彫りになる…的な作品かと思ったら全く違った。
アンセル視点では常に二人称代名詞が「あなた」となっていていて、それがこの物語は「別の世界線の私だったかも」という気持ちにさせられる良い効果をもたらしていたと思う。
絶対的な善人も悪人もなく、灰色の世界の中でこのアンセ -
Posted by ブクログ
トム・リン『ミン・スーが犯した幾千もの罪』集英社文庫。
これがデビュー作なのかと驚くほど素晴らしい完成度の西部劇&ロード小説。
北野武の映画のような救いの無い結末と砂埃の臭いを感じるような描写、雰囲気が良い。
ソルト・レイクからカリフォルニアを目指す過酷な旅。主人公のミン・スーは一体何人を殺し、結末には何が待ち受けるのか。
大陸横断鉄道完成間近のアメリカ西部。不当な罪を着せられ、大陸横断鉄道の強制労働を課せられた挙げ句に妻のエイダを奪われた中国系の殺し屋ミン・スーは復讐の旅に出る。
予知能力を持つ老人の預言者と行動を共にすることになったミンは道中で奇術ショー一座の用心棒に雇わ -
Posted by ブクログ
今まででいちばん面白かったかも。(って何度も思ってるんだけど)
これまでは連続猟奇殺人ばかりだったが今回はテロ。ダッシュはなんとなく俳優のラミ・マレックさんを想像してた。後半はところどころ雑なところがあるものの前半はなかなかスリリングだった。サラが犯人のDNAを集めようとするのは自らの死をリアルに覚悟しているからだと知ったとき、サラが死ぬわけないと思いながらも心配でたまらなくなった。ふと読むのを中断したとき、いまじぶんがどこにいて昼なのか夜なのか何時なのかわからなくなったほど熱中して読んでた。ウィルに関する極秘資料とても好き。
は〜、グウェンはもちろんだけどミシェルも好きになれなかった。やっぱ -
Posted by ブクログ
いつもの猟奇的な単独犯ではなく、犯罪組織が相手主人公ウィルの恋人サラが連れ去られてしまう。(組織への潜入捜査とかもあったけど、それよりも武装していて爆破テロを実行するタイプ)
犯罪者と行動を共にするサラパート
前半ほぼ落ち込みまくってるウィルパート
操作で協力することになったFBIにイライラしまくるフェイス(ウィルのバディ)パートに分かれて進行
松田青子さんの「女が死ぬ」という掌編にあった物語のために女が死ぬことについて「話の進行のためだけに登場人物が死ぬ軽さ」を気にしていたのだが、この作者は被害を受けた後についても描いているという話が解説にもあり、確かに容赦なく、重たい。
過去のシリーズ -
Posted by ブクログ
カリン・スローター『破滅のループ』ハーパーBOOKS。
ウィル・トレント&サラ・リントン・シリーズの最新作。700ページの大ボリューム。このシリーズは読み方を覚えると極めて面白い。
カリン・スローターの描く犯罪は冷酷無比にして大胆であり、全く情け容赦ない。そして、こうした犯罪に翻弄され、心身共に痛め付けられる主人公というのが1つのパターンになっている。本作もまた、冒頭からウィルとサラの束の間の幸せを奪うような大事件が起こり、二人に最大の危機が訪れる。
恋人の検死官サラと束の間の平和な時を過ごしていたウィルは、たまたま近くのアトランタの中心部で発生した爆発事故現場に急行する。途中、 -
購入済み
女性は強し!
女性検死官サラと特別捜査官ウィルはそれぞれシリーズ化されているらしく、今回は初クロスオーバー作品だとか。とにかく女性の強さ、逞しさを見せつけられる作品だった。出てくる男はヘッポコだらけ。逆に女性たちはみな何らかのハンデやトラブルを抱えながら懸命に生きている。そういった女性ならではの悩みや問題を丁寧に描くことで、鈍感な男どもへの作者の警告とも受け取れる。派手などんでん返しがあるわけではないけれど、最後までハラハラさせるスリリングな展開にページを捲る手が止まらなかった。
-
購入済み
残虐性がとまらない
女性の誘拐、拉致監禁、拷問、レイプ。死体解剖とともにおぞましい拷問の方法が明らかになってくる。被害者があまりにも可哀想すぎる。今回は奇跡的に生存者がいるにもかかわらず、捜査は難航。上巻が終わっても容疑者すら浮かび上がってこない。そんな難事件に挑むのは、プライベートでいくつか問題を抱える捜査官コンビ。お互いをナイスフォローしながら難事件に挑む姿が素敵。果たして犯人にたどり着けるか? 下巻へ。