鈴木美朋のレビュー一覧
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Apple TV+のドラマ『レッスンinケミストリー』の原作。ドラマは未鑑賞。
1960年代、女性である研究所を不当解雇された科学者の主人公は夕方の料理番組の司会者に抜擢される。料理を科学的に説明する風変わりな料理番組は国民的人気番組になっていく。
今よりも更に分厚いガラスの天井がある時代に、自分の才能を信じ、意思を曲げなかった強い女性科学者の話。
設定・キャラ・ストーリー・テーマ、全てがピカイチ。今年読んだ本の中で一番好きかも。ドラマも絶対面白いと思う。
ラストがうまくいき過ぎてちょっと引っかかったけど、現実では起こり得なかった女性へ救済と考えたらアリ。 -
Posted by ブクログ
性別に関する偏見とか差別に屈しない女性のお話。というか、恋人に出会う前も、恋人に死なれてからも、シングルマザーになってからも、偏見・差別・無意味な「常識」や規範・ときには宗教などに屈しそうになるけど、一人娘や飼い犬や周囲の支えを得て悲しみを乗り越えて前向きに生き抜く女性のお話。真面目に向き合うべきテーマではあるけど、アメリカンジョークたっぷりでテンポよく、ある意味痛快なストーリーで、楽しく読みました。
私は男性ですが、性差別に限らず無意味な偏見や悪習とかにとらわれずに自分がやりたいことに真剣に取り組む人生を送ろうよ、というメッセージに多いに勇気を貰える。自分の人生を「常識」とかのせいにして曲げたりせず自分の責任で生きることって、潔くて謙虚で尊敬すべき生き方だよな、と思った。
また、性差別についても考えさせられる。私はセクハラ(おふざけ程度のつもり)をしてしまったこともあるし、親父の時代の男は楽そうで羨ましいなとか思ったりするし、何より自分は男という性の人が持つ既得権益の上にいるなぁと思った。
娘たちが大人になって生きる社会が、不要なディスアドバンテージのためにやりたいことがやれないはめにならないように、他者も含めてみんな公正に活躍できる世の中にしていかないとならない、よくない現状は大人がちゃんと改善していかないとな、と思った。 -
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料理は化学であり、化学は変化である。女性が作る料理は生活であり、作る価値があるもの、注目に値するもの。1960年代のアメリカで、主人公のエリザベスは女性科学者としてさまざまな苦難に立ち向かう。時代と国は違えど、私自身理学部に進学したかったが、諦めて無難な薬学部に進学した背景があり、共感する部分があった。幾つもの時代を経た女性への偏見や不平等は、進学や仕事だけでなく日常の細部にも蔓延っているのだろう。特に研究者という道でエリザベスが不当な扱いを受ける様子は胸が痛くなるとともに複雑な怒りがこみ上げた。だから、物語の後半でエリザベスが料理番組を受け持つこととなり、視聴者である主婦に向けて堂々と真っすぐに語り掛ける場面は不思議な高揚感を覚えた。料理は私たちを形作っている。日々、料理という化学変化を扱う女性は、無力などではなく何かを変えることができる力を持っている。終始、エリザベスは不平等に屈しない強い女性であるが、あなたもその力を持っているのだと諭されたような心地になった。印象深い物語だった。
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購入済み
自分で自分の人生を選ぶ
1960年代のまだ性差別がノルムの時代に自分らしく生きた人の話と私は読みました。
エリザベスが私の心に響いたのは,自分らしくあること,自分に素直に生きたという点です。
自分で自分の人生を選ぶと,闘争が起きます。それは時代によると思います。現在でも,「あなたはそうすべき」という人の自分らしさを削ってくる人たちに従う道もあります。それはある意味闘争しなくていいので楽ではあります。しかしそうすれば自分の人生を他人の考えに渡してしまい,自分の人生は生きられなくなります。
会社がつらくとも3年は我慢すべき,結婚すべき,安定した職業につくべき,などとという「すべき」の多い世界です。そこで,自分とは何か,自分はどう生きるのか,自分の人生を取り戻すにはどうするのか?その部分は時代によらないんだと感じました。私たちの人生は限られています。その中,毎日我慢して生きるのも自分の選択です。そういう人生を選ぶのかどうかです。そして自分で責任を取るように選ぶのか,自分で責任を取らないが自分の人生を嫌な人生にするのか,考えさせられる本でした。面白かったです。
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感謝です!みなさんの高評価どおり、胸アツです、おもしろかった~!
物語のなか、主人公に出会って生き方を変えた女性たちが登場します。これがほんとに、読者のなかにも生き方を変えたひとが多数いらっしゃるようです。このインパクトなので、ベストセラーになるのも納得です。
物語は、主人公エリザベス・ゾットさんが、1950〜1960年代のアメリカで、性差別に対して自分の考え・主張をぶつけ、乗り越えていく姿がえがかれています。その姿がカッコよかったです。
はじめのうちは、うらやましいほどの鈍感力だなとおもっていました。しかし、これはストイックの神々に愛されたかのような、苦難の連続で身につけたものでした。
読みすすめて思いだしたのが、アンネ・フランクさん『アンネの日記』の作者です。アンネ・フランクさんは1929年生まれ、1945年にお亡くなりになられました。彼女も性差別に立ち向かおうと考えたひとでした。
主人公エリザベスさんは、1950年が大学院修士最後の年なので、そのとき24歳くらい。だから生まれは1926年頃かな。エリザベスさんのパートナーであるキャルヴィンもそれくらいだし。
そうすると、なんとエリザベスさんは、アンネ・フランクさんよりちょっとお姉さんです!その当時にあって、「性差別」の意識が変化していく「時代の波」を感じました。そして、その波動は今もまだ続いている訳です。
エリザベスさんの物語は戦後ですけど、『アンネの日記』とはずいぶん印象が違うものですね。
じつはそんなに期待していなかったです。朝の連続テレビドラマ風かなと思っていました。
そうじゃなかったです!複数の要素が巧みに盛り込まれています。そのひとつが「宗教と科学」です。
前半部分を読んでいて、わからなかったですが、途中であれ?と思いました。気がついて(ノ・ω・)ノオオオォォォ- 教科書の伏線があってからの、エリザベスさんの研究テーマ、そうゆうことですね!
まったくわかってないですが、アメリカなんかだと「性差別・宗教・科学」のトライアングルは一般に認識されている組合せなんでしょうか? 後半は大々的に展開します。
そのほかにも、ボート競技に、添加物否定の料理、傲慢なマスメディア、もちろんお決まりのクソ男たちも、これでもかとぶち込んだおもしろ本 でしたよ! -
Posted by ブクログ
ネタバレ先に「忘れられた少女」を読んでしまってたからなぁ…本来の順番で読んだ方が楽しめたんだと思うんだけど、仕方ない。
とはいえ、あのアンドレアとおかんの微妙な距離感というか緊張感の源となる事件がはっきりと分かってよかったというか、すっきりした。
それにしても、人たらしのカリスマって怖いなぁ。フェロモン的な謎の魅力に翻弄されて、どこまでも言いなりになる。自衛本能が麻痺して命の危険、尊厳の破壊、人格否定までされても…いやされるからこそ、その人をさらに盲信し、暴走し、とんでもない事件を起こす。
カルトの教祖なんてのは、こういう類なんだろう。またここまでじゃなくても、軽いカルト教祖みたいなんっておるんよねぇ。引っかかる時は誰でも引っかかるんだと思う、ほんま気を付けないと。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ・あらすじ
4人の女性を殺害した死刑囚のアンセルパッカーの死刑執行12時間前から物語は始まる。
彼は密かに刑務官のショウナを抱き込み脱獄の計画をたてていた。
アンセルの死刑までのカウントダウンと彼と関わりを持った3人の女性の過去から現在まで。
・感想
ミステリーだと思ってたからてっきりアンセルは冤罪で3人の女性視点からその事実が浮き彫りになる…的な作品かと思ったら全く違った。
アンセル視点では常に二人称代名詞が「あなた」となっていていて、それがこの物語は「別の世界線の私だったかも」という気持ちにさせられる良い効果をもたらしていたと思う。
絶対的な善人も悪人もなく、灰色の世界の中でこのアンセルの辿った道はあなたであった可能性もあるんだよ、と。
ままならない現実や状況に憤った際に「たられば」を夢想する事は誰でもある事だけど、彼の場合は他人や環境に自分に都合の良いように変わってほしいという妄想ばかりしてた印象がある。
もちろん自分を変えたい気持ちは持っていて、そうできない事に葛藤してたけど。
個人的には進むも逃げるも、選ぶもやめるも自分で決めて自分で選んだ方が正解だと思って生きる方が幸せに生きられると思ってるけど、アンセルのような悲惨な家庭環境で幼少期を過ごした人間にそこまで自己責任論を問うのは中々酷だよな。
アンセルの幼少期の環境に関しては「運が悪かった」としか言いようがないし…。
埋められない「愛」「拠り所」があったはずの隙間でなき続けてるパッカー赤ちゃんがブルーハウスを見つけた事で泣き止む描写はちょっと切なくなった。
でも「そうしない」選択肢もあったのに己の衝動を御しきれなかったんだからその責任は負わなければならない。
彼の母親であるラヴェンダー、幼馴染で刑事のソフィ、彼の妻の妹のヘイゼルの3人はそれぞれの人生でどうアンセルと関わり、彼に影響を与え、また影響されてきたかが描写されてるけどラヴェンダーとソフィの出した結論(一種の諦観)に共感した。
犯罪被害者やその家族の苦しみを置き去りにして、刺激的な事ばかりを面白おかしく題材として消費する事への警告と、どこか違う世界の出来事ではなく被害者にも加害者にもなり得る可能性はいつだってある事を書いた作品だった。 -
Posted by ブクログ
今まででいちばん面白かったかも。(って何度も思ってるんだけど)
これまでは連続猟奇殺人ばかりだったが今回はテロ。ダッシュはなんとなく俳優のラミ・マレックさんを想像してた。後半はところどころ雑なところがあるものの前半はなかなかスリリングだった。サラが犯人のDNAを集めようとするのは自らの死をリアルに覚悟しているからだと知ったとき、サラが死ぬわけないと思いながらも心配でたまらなくなった。ふと読むのを中断したとき、いまじぶんがどこにいて昼なのか夜なのか何時なのかわからなくなったほど熱中して読んでた。ウィルに関する極秘資料とても好き。
は〜、グウェンはもちろんだけどミシェルも好きになれなかった。やっぱり女性の登場人物に好きなひとが少なすぎる〜。でもウィルとサラが好きなのでまた続きも読みたい。もうレナやアンジーは出てこなくていい! -
Posted by ブクログ
いつもの猟奇的な単独犯ではなく、犯罪組織が相手主人公ウィルの恋人サラが連れ去られてしまう。(組織への潜入捜査とかもあったけど、それよりも武装していて爆破テロを実行するタイプ)
犯罪者と行動を共にするサラパート
前半ほぼ落ち込みまくってるウィルパート
操作で協力することになったFBIにイライラしまくるフェイス(ウィルのバディ)パートに分かれて進行
松田青子さんの「女が死ぬ」という掌編にあった物語のために女が死ぬことについて「話の進行のためだけに登場人物が死ぬ軽さ」を気にしていたのだが、この作者は被害を受けた後についても描いているという話が解説にもあり、確かに容赦なく、重たい。
過去のシリーズ作品でも感じていたので納得。
200ページまでは数日かけ、残り400ページは一気読みしてしまった。 -
購入済み
女性は強し!
女性検死官サラと特別捜査官ウィルはそれぞれシリーズ化されているらしく、今回は初クロスオーバー作品だとか。とにかく女性の強さ、逞しさを見せつけられる作品だった。出てくる男はヘッポコだらけ。逆に女性たちはみな何らかのハンデやトラブルを抱えながら懸命に生きている。そういった女性ならではの悩みや問題を丁寧に描くことで、鈍感な男どもへの作者の警告とも受け取れる。派手などんでん返しがあるわけではないけれど、最後までハラハラさせるスリリングな展開にページを捲る手が止まらなかった。