あらすじ
大陸横断鉄道完成間近のアメリカ西部。妻エイダを奪われ、不当な罪を着せられた中国系の殺し屋ミン・スーは、予知能力を持つ老人の言葉に導かれ、奇術ショーの一座と共に西を目指して疾駆する。妻を取り戻すため、自分を陥れた連中に復讐を果たすための苛酷な旅路。終着地カリフォルニアで彼を待ち受ける未来は、救いか、それとも――。アンドリュー・カーネギー・メダル受賞、若き天才作家トム・リン25歳の衝撃的デビュー作は、暴力と幻想に彩られた叙事詩的ウエスタ――「境界を越えた者よ、存分にやれ!」
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Posted by ブクログ
トム・リン『ミン・スーが犯した幾千もの罪』集英社文庫。
これがデビュー作なのかと驚くほど素晴らしい完成度の西部劇&ロード小説。
北野武の映画のような救いの無い結末と砂埃の臭いを感じるような描写、雰囲気が良い。
ソルト・レイクからカリフォルニアを目指す過酷な旅。主人公のミン・スーは一体何人を殺し、結末には何が待ち受けるのか。
大陸横断鉄道完成間近のアメリカ西部。不当な罪を着せられ、大陸横断鉄道の強制労働を課せられた挙げ句に妻のエイダを奪われた中国系の殺し屋ミン・スーは復讐の旅に出る。
予知能力を持つ老人の預言者と行動を共にすることになったミンは道中で奇術ショー一座の用心棒に雇われ、ひたすら西を目指す。ミンに懸かられた懸賞金を狙うアウトローたちや保安官がミンの命を狙い、次々と襲い掛かる。
本体価格1,100円
★★★★★
Posted by ブクログ
ひと癖ある西部劇。
キャラクターが魅力的で個性があり良かった!
そして超能力とか出てくる少しSF的な預言者とかも出てくると言えば本当に西部劇かと思うかもしれないが、もう硬派な西部劇です!
物語は分かりやすく
全てを奪われた男が自分を貶めてた奴らを1人残らず殺していくという復讐劇。
その旅にある一座と出会うのだが・・
と言った具合
最初は少し慣れない言葉や風景のオンパレードで戸惑ったが慣れれば苦ではなくなる
少しボリュームはあるが
西部劇始めての僕でも読めたのでおすすめ!
Posted by ブクログ
妻を奪われ、鉄道工事の労力にされてしまった中国人の殺し屋ミン・スー。工事現場から逃げ出したミンはアメリカ大陸を横断し、西海岸にいる妻を取り戻す復讐の旅に出る。
道中の仲間達が異能者だったり、物語中の死の描写がマジックレアリズムっぽかったり、荒涼とした開拓時代のアメリカ大陸を舞台にした物語の雰囲気は最高なのだが、それだけで読ませる作品。
ミステリー界隈で話題になった作品だったので、仕掛けや伏線回収に妙な期待を抱いてしまったが、その手の構成は皆無だったのが残念。
旨いこと映画化したらすごく面白いロードウェスタン活劇になるとは思う。