鈴木美朋のレビュー一覧
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1960年台のアメリカ カリフォルニアで女性化学者でシングルマザーのエリザベス・ゾットが、料理番組に出演する。彼女の科学的な料理の説明、そしてその時代にそぐわない姿勢が視聴者の心をつかんでいく。
主人公のエリザベス・ゾットは非常に魅力的なキャラクターである。すべての人間がその生まれによる役割にとらわれず、自由に選択し認めれるべきという、1960年代にはまず受け入れられない在り方を押し通す姿勢はカッコいい。これは60年以上たった現在でも成し遂げらえていないので、非常に刺さってくる。
また主人公の周りにいる娘(マッド)、犬(シックス・サーティー)、ご近所さん(ハリエット)なども魅力的である。エ -
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エリザベス・ゾットの強すぎる信念に惹かれてしまう。
1950年代のアメリカを舞台とする1人の女性化学者の物語。女性差別や偏った社会通念のおかげで多くの女性は社会進出が果たせず、結婚して子どもを産み育てることが望ましいとされる中、信念を持って子どもを育て仕事をし研究を進める。そんな「強い」エリザベス・ゾットの前に立ちはだかる障壁は偏見に満ちていて汚く読んでるだけで心が荒む。一方、少しずつ増えてくる彼女の支援者たちは心が温かくチームエリザベスとなっていく。
たぶんひとりで信念は貫けない。それを支えてくれる人や理解してくれる人がかならず必要だと思う。自分の人生が豊かになるためにはそんな人たちとど -
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すごく読みごたえのある本だった。ひさしぶりに、やらないといけないことを差し置いて読み続けてしまった。
主人公のエリザベスは、すごく優秀な化学者だが、女性だという理由で理不尽な扱いを受ける。対等に1人の化学者として接してくれるキャルヴィンに出会うが、後に悲しい出来事が起こる…
エリザベスにこれでもかというぐらい、困難が降り注ぐのだが、彼女の自分に正直な真っ直ぐさや、強さ、とても大きな熱量を持って立ち向かい、そして周りを変えていく。
私も、登場人物と同じように、普通に縛られず自分の本当にやりたいことをやるために努力を惜しまない彼女の真っ直ぐな姿勢に勇気をもらえた。
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ウィル・トレント・シリーズは、「三連の殺意」「砕かれた少女」「ハンティング」「サイレント」「血のペナルティ」「罪人のカルマ」と6作続き、7作目の今作「ブラック&ホワイト」となります。
ただし、電子書籍が間に2作あるようです。
(2016年からオークラ出版で発行の初期2作品は読んでおりません。)
警官夫婦が、何者かに襲撃された。
女性刑事レナ・アダムズと白バイ警官のジャレド・ロングが暮らす家。ジャレドは撃たれ、レナは反撃。
現場に真っ先に登場したのが、ウィル・トレント。ジョージア州捜査局の特別捜査官で、この時は別件の潜入捜査中だった。
レナは、ウィルの恋人サラ・リントンの因縁の相手。医師で検視 -
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Apple TV+のドラマ『レッスンinケミストリー』の原作。ドラマは未鑑賞。
1960年代、女性である研究所を不当解雇された科学者の主人公は夕方の料理番組の司会者に抜擢される。料理を科学的に説明する風変わりな料理番組は国民的人気番組になっていく。
今よりも更に分厚いガラスの天井がある時代に、自分の才能を信じ、意思を曲げなかった強い女性科学者の話。
設定・キャラ・ストーリー・テーマ、全てがピカイチ。今年読んだ本の中で一番好きかも。ドラマも絶対面白いと思う。
ラストがうまくいき過ぎてちょっと引っかかったけど、現実では起こり得なかった女性へ救済と考えたらアリ。 -
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性別に関する偏見とか差別に屈しない女性のお話。というか、恋人に出会う前も、恋人に死なれてからも、シングルマザーになってからも、偏見・差別・無意味な「常識」や規範・ときには宗教などに屈しそうになるけど、一人娘や飼い犬や周囲の支えを得て悲しみを乗り越えて前向きに生き抜く女性のお話。真面目に向き合うべきテーマではあるけど、アメリカンジョークたっぷりでテンポよく、ある意味痛快なストーリーで、楽しく読みました。
私は男性ですが、性差別に限らず無意味な偏見や悪習とかにとらわれずに自分がやりたいことに真剣に取り組む人生を送ろうよ、というメッセージに多いに勇気を貰える。自分の人生を「常識」とかのせいにして曲 -
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料理は化学であり、化学は変化である。女性が作る料理は生活であり、作る価値があるもの、注目に値するもの。1960年代のアメリカで、主人公のエリザベスは女性科学者としてさまざまな苦難に立ち向かう。時代と国は違えど、私自身理学部に進学したかったが、諦めて無難な薬学部に進学した背景があり、共感する部分があった。幾つもの時代を経た女性への偏見や不平等は、進学や仕事だけでなく日常の細部にも蔓延っているのだろう。特に研究者という道でエリザベスが不当な扱いを受ける様子は胸が痛くなるとともに複雑な怒りがこみ上げた。だから、物語の後半でエリザベスが料理番組を受け持つこととなり、視聴者である主婦に向けて堂々と真っす
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自分で自分の人生を選ぶ
1960年代のまだ性差別がノルムの時代に自分らしく生きた人の話と私は読みました。
エリザベスが私の心に響いたのは,自分らしくあること,自分に素直に生きたという点です。
自分で自分の人生を選ぶと,闘争が起きます。それは時代によると思います。現在でも,「あなたはそうすべき」という人の自分らしさを削ってくる人たちに従う道もあります。それはある意味闘争しなくていいので楽ではあります。しかしそうすれば自分の人生を他人の考えに渡してしまい,自分の人生は生きられなくなります。
会社がつらくとも3年は我慢すべき,結婚すべき,安定した職業につくべき,などとという「すべき」の多い世界です。そこで,自分とは何か -
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感謝です!みなさんの高評価どおり、胸アツです、おもしろかった~!
物語のなか、主人公に出会って生き方を変えた女性たちが登場します。これがほんとに、読者のなかにも生き方を変えたひとが多数いらっしゃるようです。このインパクトなので、ベストセラーになるのも納得です。
物語は、主人公エリザベス・ゾットさんが、1950〜1960年代のアメリカで、性差別に対して自分の考え・主張をぶつけ、乗り越えていく姿がえがかれています。その姿がカッコよかったです。
はじめのうちは、うらやましいほどの鈍感力だなとおもっていました。しかし、これはストイックの神々に愛されたかのような、苦難の連続で身につけたものでし -
Posted by ブクログ
背景は1960年前後の科学研究所。女性はどれほど才能があっても科学者として認められなかった時代。主人公は母と同年代であり、母の苦労話に通じる部分もあり、現代にも根強く残っている問題がある。理不尽な理由により研究所をクビになった主人公は、行きがかり上「料理は科学だ」という信念のもと、夕方の料理番組の講師になる。荒唐無稽な設定だけれど、読んでいくとそうならざるを得ない状況に追い込まれていく主人公に共感させられる。テレビ番組の常識を無視し、料理を化学で説明しながら、女性たちに変化をとく主人公に喝采を送りたくなる。主人公以外にも癖の強い人物がたくさん登場するのも面白い。おすすめです。