ほしおさなえのレビュー一覧
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シリーズ6作目。
コロナの世界的大流行の影響で記念館閉館イベントは全て中止。
大学4年生となった百花は、リモート環境下で卒論と就職試験に取り組むこととなる。
突然身に降りかかった未曽有の事態。
誰もが不安で、どう乗り越えたらいいのか分からなかった2020年を2年の期間をおいて描いてくれたことで、その実態を冷静に受け止めることが出来た気がした。
5作目の感想で、「書き急ぐのか?」と書いたが、この6作目でコロナに翻弄された1年を丁寧に描いていたような気がする。
学生の大事な1年さえも、コロナは奪ってしまった。
たくさんの人が虚無感に襲われたと思うが、自分の心の中にいつもいた大学4年生、高校3年生など最後の1年間を奪われてしまった人々の想いが、今作を通じて知ることが出来た気がする。
もちろん、今作はフィクション。
作者さんだって、本当の大学生ではない。
それでも百花やゼミの同級生、サークルの仲間とのやり取りから、にじむやるせなさや、その中で必死に前を向こうとする気持ちを感じ取ることが出来た気がする。
リモートのやり取りしか出来ない中で、自分が出来ることを見出そうとする人たちの言葉にも勇気をもらえた。
特殊な環境だから、これまでのような内容とは違うけれど、唯一出て来た「結のアルバム」のラストには涙がこぼれた。
記念館の未来には驚きだったが、次作から藤崎産業の社員となる百花の活躍に期待。
今作の刊行記念のオリジナルグッズが、すごい気になる・・・ -
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ネタバレ「紙屋ふじさき記念館」、その5。
和紙と活版印刷…とつながって、「物語ペーパー」に使われた百花の亡き父・吉野雪彦の著作を復刻した小冊子を刊行するという話がもちあがる。
また、紙そのものが芸術作品になろうかという、墨流しの技法を使った料紙との出会いから、閉館する記念館の最後の企画は料紙を使った文箱を作るワークショップと決まったのだが…
だんだん、失われつつある手作業や伝統技法の解説が多くなり、百花の研究レポートのようになってきたような…
その上、突然、リアル世界の新型コロナウィルス感染が物語世界に入り込んできたことにびっくり。
もちろん、コロナ禍で人々の生活様式も価値観も大きく揺さぶられたことは間違いないんだけれど…
ここまではっきりとリアル時間が百花の大学三年生と特定されたら、この先の物語も現実世界の実像を反映させて進まなくてはならなくなりそうで、何となく違和感が残った幕切れだった。
この先の世界の変動、例えば為替変動や他国の戦争も、物語に入れますか?この物語の伝えたいことって、そこですか?という…
そして、例によって蛇足ですが、表紙のイラストが気になって気になって…
百花の体のねじれ方もすごいが、腿裏まで届くような長〜いショルダーバッグと、いつも三揃スーツの御曹司の、レギパンのようなピッチリしたパンツ。ううう…誰も気にならないのかしら…
さらに個人的には、ご贔屓の登場人物、文字箱の綿貫さんの再登場希望。 -
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シリーズ第三弾。
守人の“家とのコミュニケーション”が、巻を追うごとに進化していますね。
最初は家の声が聞こえるだけだったのが、前巻では〈月光荘〉と“会話”をするようになり、この巻では〈月光荘〉以外の家とも会話ができるようになっていました。
そして第二話「オカイコサマ」で、守人の大学時代の友人・田辺さんの祖母・喜代さんも“家の声が聞こえる”お仲間ということが判明。
しかも、田辺さんの祖父母の家を建てた人が守人の血縁だったという素敵なサプライズ展開でした。
このような“人の縁”の連鎖が心地よく、出てくる人達が良い人ばかりなので安心して読めますね。
表題作の第三話「文鳥の宿」では、ついに〈三日月堂〉が登場して“おおっ♪”と、テンション上がりました。
第一話「雛の家」で行われた“貝合わせ”のワークショップなど〈月光荘〉で行われるイベントも魅力的で、企画する皆さんがすごく楽しそうなのが良いですね。
(それで毎回大盛況。ちょっとご都合主義な感じがしないでもないですが、この安定感が良いので問題なし)
進路に悩んでいた守人も、人々と交流していくうちに川越で働くという方向が見えてきた様子です。
今後、どのような縁が繋がっていくのか楽しみです。 -
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シリーズ第二弾。
家の声が聞こえる大学院生・遠野守人が、川越の古民家・〈月光荘〉の住み込み管理人となって数か月。
グイグイ距離を詰めてくる川越っ子・べんてんちゃんのお陰もあり、知り合いも増えて街にも馴染んできている様子です。
表題作の第一話「浮草の灯」は“活版印刷三日月堂シリーズ”に出てきた古書店〈浮草〉が舞台で、水上さんの「雲日記」も取り上げられていましたし、第二話「切り紙」では、“三日月堂シリーズ”の番外編に登場した和紙店〈笠原紙店〉の話だったりと、結構しっかりリンクしている感じです。
〈月光荘〉で行われた、切り紙のワークショップも楽しそうで、こうして古き良きものを通して地域の繋がりが広がっていくのって素敵ですよね。
ところで、前作では家の声が“聞こえる”だけだった守人ですが、本書では〈月光荘〉と“会話”ができるようになっていて、その様子が微笑ましく、何だか〈月光荘〉が可愛く思えてきました。
次巻ではどんな交流や繋がりがあるのか、読むのが楽しみです。 -
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『活版印刷三日月堂』シリーズが良かったので、同著者の本書を手に取りました。
こちらも“三日月堂シリーズ”と同じく、川越が舞台となっております。
“家の声”が聞こえる、大学院生・遠野守人が主人公。
縁あって、川越・菓子屋横丁の一角に建つ古民家で、住みこみの管理人をすることになった守人ですが・・・。
長い時を経た家に、住んでいた人の記憶や思いが“声”となって聞こえてくる・・というと、何だかホラーな感じですが、全然怖くなくてむしろハートウォーミングなお話です。
幼い頃に両親と死に別れ、厳格な祖父に育てられた守人は、祖父に対するネガティブな気持ちを抱き続けていましたが、古き良き街とそこに暮らす又は訪れる人々と交流していくうちに、徐々に目を背けていた思いを受け入れていきつつあるようですね。
情緒あふれる街並みや建物の描写も魅力的で、川越を訪れてみたくなります。
ところで、“三日月堂シリーズ”に出てくる喫茶店〈桐一葉〉の名前が本書でも登場して、思わず口元が緩んでしまいました。 -
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さて、このシリーズ3冊目。今度もまた配偶者のほうが先に読み終えた。
タイトルは「カラーインクと万年筆」だけど、今回は百花の母の実家がある飯田での、中でも水引の話が印象に残る。
飯田と言えば、ずっと昔に職場のレクリエーションで行ったことがあるな。
その時に水引工芸館みたいなところも行ったけど、実演してた人が作ったものをその場で部下の女性にプレゼントしてくれたことを思い出す。
ネットで動画を見たら、あわじ結びなどあっという間に出来上がるけど、私にはそれすらきれいに出来そうもないぞ。
お話はと言えば、多少の茶々が入ってもうまくことまとまっていく他愛もないお話だが、本作においては水引や旧い家など古き良きものを今の時代にうまく残していきたいねという想いがよく伝わった。(組子障子、新しい家でも残ったかな?)
百花ちゃんも最初の頃に比べたら頑張ってるしね。