この巻には2つの事件が収録されていて、どちらも被害者が遺したダイイングメッセージが事件の鍵として示されている
まず小さめな事件でダイイングメッセージについて教授して、ダイイングメッセージが事件を左右する長編を描いたのかなと思ったら……
まさかのうっかりだったようで。奇跡のようなネタ被りですか
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...続きを読む話で描かれるのははっきりと犯人が自白していながらも、別人を指しているとしか思えないダイイングメッセージが遺されていた為に迷惑を被る人物についての話
ダイイングメッセージといえば、犯人を示す証拠としか考えていなかったから、この話で示されるような解釈は意外な驚きが有ったなぁ
ただし、本作は虚構推理。琴子は依頼人の困り事を解決するために一つの解決策を授け、それが実際に功を奏したわけだけど、琴子の推理が正しかった保証なんて何処にもないんだよねぇ
ここで琴子が最優先してるのって困り事の解決ではなく幽霊から目を逸らさせることなんだよね。幽霊なんて居ないと一貫して否定、それどころか中村沢が流した噂だと示唆して問題の根幹が中村沢にあるかのように話を誘導している
結果、中村沢に換言をしたことで問題解決がされたという認識がされ、同時期に消えた幽霊に関しては「ちょうどよく消えた」程度しか認識されない
琴子は知恵の神に相応しい動きをしているね
30話、31話で描かれるのは異種族恋愛譚と評したくなるような話
人間不信になった男とときおり人里に降りてくる雪女。そんな二人が意気投合して様々な食事に舌鼓を打つ様子は微笑ましい
だからこそ、突然訪れる殺人事件の一報は二人の日常を壊してしまうし、犯人と疑われる昌幸を救うはずのアリバイを唯一提示できる雪女が妖であるために証明しようがないというのは哀しく思える
アリバイ証明が出来れば昌幸を示しているかのようなダイイングメッセージなんて関係なく犯人ではないと証明できるというのに……
今回の事件は雪女が関わっていると表明しない限りは普通の事件として扱われそうなタイプに思えるけど、ここに虚構が入り込む隙はあるのだろうか?
困窮した二人のもとに現れた知恵の神琴子。彼女は昌幸と雪女を救えるのだろうか?
ていうか、琴子の様子だとまたしても九郎に置いてけぼりにされた感じですかね(笑)