富樫倫太郎のレビュー一覧
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「早雲の軍配者 上」
北条早雲の晩年のお話し。
人格者で村人から慕われていた早雲は自分亡き後、この地が幸せにいまと変わらぬ生活を民に送ってもらいたいと常日頃から考え、我が孫の代まで考えて、孫を立派に補佐してくれる軍配者を見つけて、目をかける。
軍配とは、戦の総指揮だけではなく、天気「風水」、やいろんな学問に特化した者のこと。
目をかけられた主人公の小太郎は、貧しい身寄りのない百姓の若者。
小太郎が、有名な足利学校で同じように
軍配者を目指す若者と切磋琢磨していくものがたり。
かなり面白いのよ!
下巻も楽しみ!!やっぱり歴史物、武将者は面白い! -
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読み終わって面白さに唸り、中江有里さんの解説を読んで本作に出てくる「ガルトネル開墾条約事件」が史実であったことを知り、驚きに再び唸らされました。
箱館戦争と合わせて二つの史実の陰に、実はロシアが蝦夷地を植民地化しようとする陰謀と、それを阻止せんとする土方歳三らの活躍があったのではというのが、本作の大筋です。
己の信ずるところに従い、敵味方にこそ分かれているものの、日本のためを思う志から一時的に手を結び共通の敵に立ち向かう男たちの姿には、胸を熱くさせられます。
そして、全編にわたっての土方歳三のかっこよさ。
「生まれつきの武士でない分、ぼんやりしてると百姓の地金が出ちまう」からこそ、どんなときに -
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四郎佐、いや山本勘助が、これまでの不遇の鬱憤を晴らすかのように、生き生きと飛び回っています。
ただ「早雲の軍配者」がそうであったように、この「信玄の軍配者」も主役こそ勘助であるものの、その友でありライバルである小太郎や冬之助の様子も、よく描かれています。
特に小太郎など「早雲」の時よりもさらなる活躍をしています。
そして結びでは、早くから軍配者としての才能を開花させていた冬之助が、宇佐美冬之助として長尾景虎に仕えることになりました。
三者三様の生き様を経て、ここにいよいよ皆が戦場で存分に戦える態勢がととのったわけです。
彼ら同様、物語を読み進めるこちらも、気持ちの昂りが抑えられません。
次は「 -
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関東の情勢は風雲急を告げ、氏綱に請われ、小太郎は四年半で足利学校を去ることになる。
氏綱やその家臣たちに、大いなる期待とともに迎え入れられたものの、すぐには表立った働きを命ぜられることもなく…
そう、下巻にいたっても、小太郎がすぐに獅子奮迅の活躍をするわけではないのです。
むしろ、目立つ働きという意味でいえば冬之助。
扇谷上杉の軍配者として北条を脅かします。
ただ、それでも小太郎の影が薄いのかと言うとそうではないんですね。
自身が主たる軍配者ではないものの、戦場で、あるいは城内で、すばらしい判断と決断をもって味方を救っていきます。
そしてそれ以上に、小太郎に魅きつけられるのは、彼の人としての素 -
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物語の底には、足利学校で回り逢って、互いをかけがえの無い友と思う風摩小太郎、山本勘助、曾我冬之助の3人が「何時か戦場で、互いの陣営を率いた状態で見えよう」という“約束”が果たされる日を願い続けている、というものが流れている。“青い”想いのようなものを大切に、それぞれの道を歩む互いを思いやり、年齢を重ねる男達…そういう趣が非常に好い!!
不幸な生い立ちで、容貌も醜く、片足が少々不自由という“逆境”を負う男である四郎佐…“逆境”を跳ね返すエネルギーを秘め、生への執着を見せ、色々な人達との出会いを経験し、成功を重ねながらも失敗も悔い、新たな境地を目指す…物語を読んでいると、そんな山本勘助こと四郎佐