西研のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
論文とは、他者に自分を知って貰う手段の一つ。他者を説得しようと根拠を示しながら自分なりの意見を表明する。大学に入る為に求められる基礎レベルの教養だ。論文も、読者とのコミュニケーションの一種である。だから、誰もが納得のいくように論を進める必要がある。その際に、把握すべきなのは個人と社会の関係性、具体的事例と抽象的理論の関係性だ。今どんな社会が到来しているのか、そしてそれらが引き起こしている問題状況はどうなっているか等について、個人の生と深く照らし合わせながら論述する。
そもそも、意見とはどのようにして形成されるのか。著者は、己がまだ認識できぬ隠された段階にある意見は、各人の抱える感覚や感情の中に眠っていると主張する。何かに対して心が動かされる、モヤモヤした感覚に囚われる。その靄の中から本当の自分らしい独自なる意見の芽を掬い取る事が大切だと語る。違和感だったり、怒りだったり、己に生ずる感覚を、まずは適切な言葉に置き換えてみる。感覚の精確な言語表現こそが、論文に書くべき理屈の骨子に変わるのだ。
感覚は正直だ。嘘や偽りで誤魔化す事が出来ない性質を持つ。そして、一番奥深くに眠っている本当の声を探り当てるように、自分自身を掘り下げていく。そうすると、自分の意見とその根拠の有り様が、見えてくる。大切なのは、己を根本から捉え返す中で、当事者としての問題意識を強く自覚し、自分は何を求めているのかについて、真剣に考え抜く作業である。論文とは、考え続ける作業の過程が、言葉としての論述に置き換わっただけの話だから。
一番云いたい事を結論に据えるのがベスト。或いは、自分自身が展開する論の主題に据えよう。その際に、社会に対する自分なりの接し方、処理方法を論述に組み入れていく事が望ましい。自分が成長すれば社会も違った角度で見えてくる。他者の存在自体が自分の中でその意味を変えていく。自分の意見の先に他者の声と態度があり、他者の声と態度が自分の意見に組み込まれて共鳴し合う。まずは、社会に向かって行く己の確かな意思表明からスタートしよう。
他者がありありと他者性を開示してくる事もある。その中で恐怖を感じずに居られなくなる。だが、与えられた恐怖の根源は、社会を包む他者と自分を強固に関係させる相互作用の中で、次第に縮小へと向かうだろう。そのような補完的な関係性を樹立する上でも、コミュニケーションは最大の武器になる。様々な問題が絶え間なく生じ得る社会への関心と、其処への歩み寄りによって、己の生の価値はどんどん豊かな方向へ転じて行くだろう。そもそも、一般論としての解答などは、誰からも求められはしない。つまり、自分自身をより良く知って貰う為に、論文を書くのだから。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「考える力」を身につけたいと思い、その一助となるような本を探していたのだけど、これは良い出会いだった。小論文対策として以上に、一人の人間として物事(人間の生や社会について)を考え、まとめることについて真摯に取り組んでいる本だ。
読んでいて思ったのは、「独自性ある文章」は思っている以上に簡単には出てこないし、かといって諦めるほど手の遠いものでもないんだ、ということ。
普段から、私たちの周りには「もっともらしい正論」がそこら中蔓延していて、すぐに思考がそっちに引きずられてしまいがちだけれど、それは結局は考えた「つもり」でしかない。そうした紋切型の思考の軛から離れるには、素朴な問いに立ち返ること、粘り強く検討を続けて物事と自分を結びつけていくことが必要になる。
残念ながら試験における論文には制限時間があるので、そんなことを言っていたらすぐにタイムアップが来てしまうが、普段の生活においては、その粘り強い思考こそが何よりも重要なのだろうと思う。その思考の繰り返しが、思考の深み、重みを生むのだと。
実際にいくつか例を使ってその違いを見せられると、成程と頷くしかない。
その問題についてどう問いを立てるか、抽象的に考えていくか、具体的に見ていくのか、歴史的視点はどうみるか、自分との引き付け方は…。そうやって細かく、慎重に考えを積み重ねていくこと。これは、とても面倒くさいことだ。しかし、この本はそこにある面白さを、伝えてくれる。考えまとめたものが「自分の経験」として確かに肉付けされていくのだと教えてくれる。とても素敵な本だった。
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Posted by ブクログ
ネタバレ西 研さんという哲学者の著書、集中講義 これが哲学!
「人生は何のためのものか」という~問いを問わずにおれないのは、
その人の生がどこかに苦しいものを抱え込んでいるからですね。
~生の物語がなかなか描けない。~将来的な展望がはっきりしない
~存在可能が明確でない~この種の不安や苦しさが究極的な
意味を求めさせる。ということが書いてあります。この部分にとても
共振してしまった私は、いったい・・・
最近、お世話になっている哲学者は、この西 研さんと竹田青嗣 さん、
この二人にかかると、難しい近代哲学も、私の人生に活かせる概念に
なってくれる。
私たちは、私たちなりに、私たちが生きている世界のルールについて
理解しなければ生きていけない。幼児の頃であれば家庭、子供の頃で
あれば家庭と学校、社会人になれば勤務先というように、私たちは
私たちが生きている世界を拡張して行くわけだが、世界が拡がれば
拡がるほどルールは複雑化し例外も増えて行く。
拡がった世界で生きて行かなければならない私たちにとって、
必要なのは、世界を観察し秩序化する能力だ。そのような能力を
私たちは、私たち自身で身につけたり、先人から学んだり、書物から
学んだりするわけである。
この「これが哲学!」は、私たちが世界を観察し秩序化するための
知恵を授けてくれる。 -
Posted by ブクログ
小論文入試を控えているため、
1.評価される小論文とはどんなものか
2.それを書くに当たって必要な力は何か
3.その力をどのように養えばいいか
について知りたいと考えて読んだ一冊。
1、2については明確に知ることができた。3についても完璧とは言わないまでも、8割程度の、かなり明確ではあるけれども少しぼんやりしている、といった程度まで知ることができた。残りの部分は他の書籍や、実際に文章を書くことによって明確にできそう。
自分の読書目的と本書の内容の一致度を考えると、非常に効率の良い読書だった。
内容については、小論文の文章テクニックとかではなく、書く際の思考の軌跡をメインに据えて論じられていく。そのため、小論文を書く必要がある人以外にも十分役立つ一冊といえる。 -
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
論文は、なりよりも自分のモヤモヤした考えを明確にするため、またそれを他者に伝えるために書かれる。
「自分とは何者か」から「人間の生」「現代社会の在り方」まで幅広いテーマを取りあげて、論文の「かたち」と「なかみ」をていねいに解説する。
本書は、大学入試小論文を通して、文章技術の基本を身につけるための、最良の実用参考書である。
と同時に、「書く」ことによって自分をつかみ、思考を深めていくための哲学の書でもある。
[ 目次 ]
第1章 論文ってどういうもの?
第2章 じょうずに「考える」ために
第3章 「読み」と「発想・構成」―原理篇
第4章 「読み」と「発想・構成」―実践篇
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]