水谷淳のレビュー一覧
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副題見ずに勝手に原爆の話だと思ってたら、全く違ってた。
世界大戦の中で相対論なるものが考え出され、認められるまでの、アインシュタインを中心とした科学者達のお話。
現代でも国別の論文数がどうのとニュースになるけど、国の威信が叫ばれる時代、しかも戦争中に、国際協力で研究を続けることの困難さといったらないだろうなと。
ローレンツ、エディントン、ボッシュ、プランクと名前は知ってる科学者たちがいっぱい出てきて、オールスター感あった。
科学と政治が結びつかざるを得なかった時代だからこそ、トップ層の科学者は分野は異なっても協力/反発関係があったようで。
なお、相対論の理解は進んだようで進みませんでした -
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ジョークは、人間が生きて行く上での薬にもなれば、毒にもなる取り扱い注意のものだ。
「ユーモアと心」では、ユーモアの中で人を笑い者にするものが多い。ポイントは優越感を抱かせるだった。誰も自分がかわいいからなあ。
「分かっちゃいるけどやめられない」のが「笑いとセックス」だった。ユーモアは、異性に対して自分をよく見せる道具になる。人間がいる限りなくなることのない笑いの1つだ。
「ジョークと文化」では、ユーモアがうさ晴らしの手段になる場合として、反体制的なジョークを取り上げている。押さえつけられているとユーモアを言いたくなるようだ。
ソビエト時代のロシアの地下で広まったジ -
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僕たちは、宇宙のことぜんぜんわからない この世で一番おもしろい宇宙入門
著:ジョージ・チャム , ダニエル・ホワイトソン他
この本は、宇宙についてわかっていないことについて書いている。もう答えが出ているはずだと思っているかもしれないけれど、実はまだわかっていないいろんな大きな疑問についての本である。
宇宙最大の未解決問題にはどんなものがあるのか、どうしてまだ謎のままなのかを説明している。まだ探検さrていない、とてつもなく広い未開の地にわくわくしてもらうのがねらいである。
構成は以下の16章から成る。
①宇宙は何でできているの?
②ダークマターって何?
③ダークエネルギーって何?
④物資の -
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宇宙について「分かっていない」ことを明らかにする本。科学の進歩でたくさんのことが解明されてきたが、それでもまだこんなにも分かっていないことがある、ということにワクワクが止まらない。
"知らないこと"と"存在しないこと"は違う。宇宙について解明されていない95%に一体何が存在しているのか、ありとあらゆる可能性があるような気がしてすごく面白い。
宇宙飛行士が地球へ帰還した後に宗教の道へ進むことがよくある、という話を聞いたことがあるが、こんなにも未知が詰まった宇宙を地球外から目の当たりにすれば、それはもう理屈では説明し得ない力、いわゆる神の力みたいな -
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ダーウィンと表しつつも、フォン・ノイマンの自己増殖オートマトン論文をベースにしたメタ生物学的アプローチから進化論を数学的に証明しようとする試みである。講義を元に構成されており概念や抽象的内容が多いが、文体は軽やかで読みやすく面白い。ゲーム理論が生物学とも親和し始めており、筆者が強調するノイマンの先見性や偉大さには同意。
DNAは自然ソフトウェアであり、人工ソフトウェアが開発されたからこそのアプローチだろう。そこから数式検証、例えばビットの順数より乱数のほうが進化が起こりやすいというのも、こうやって「自然の仕組み」が解明されていくのだなと感じさせられる。
それにしても結局「Ω」が何なのかがよ -
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本書はミシガン大学の経済学者スコット・ペイジによる、集合知における「多様性」の効果を定量的に論じた本である。
集団における最適化問題、予測問題、選好制約の解消問題について、多様性の効果を定量的に分析している。前者2つでは多様性がパフォーマンスの向上に結びつくのに対し、後者では多様性が選好関係を複雑にし、全員が満足する結果は得られないことを述べている。
おそらく著者の貢献は最初の最適化問題への適用であり、残り2つは既存の研究結果の説明であると思われる。
文章は読みやすいがわかりやすくしようとしてやや冗長である。理系の読者は、本書で紹介されている著者の論文を直接読んだほうがよいかもしれない。 -
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「対称性」ということなので、素粒子理論やひも理論のことが出てくるのは分かっていた。ただ、その説明のために高次方程式の解を導く公式から始まるのは想定外。ただ、読み進めていくと納得できる。高次方程式の解法が、何かが不可能であることを証明することや、複素数という新しい「数」の発明、という数学の歴史の中でも大きなステップにつながる出来事でもあったということがわかるからだ。そして何より、現代物理学にとって重要な「対称性」の鍵となるガロアの群論がここから始まったからだ。
(群論は、大学のときに全く頭に入らなかったことで覚えている。大事なんだろうなとは思っていたのだけれど...)
量子力学の歴史や、ひも理 -
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タイトルの「重力機械」とは、ブラックホールを指す。この時空を歪ませる宇宙の究極の存在は、その巨大な質量、高速の自転、それらによる竜巻状の時空の歪みにより、降着円盤に膨大な摩擦熱を発生させ、核融合よりもはるかに効率的なエネルギー発生源になるということが、このタイトルに集約されているらしい。
ブラックホールは、大きな質量を持つ恒星の最終形として生ずると理解していたが、最近の研究では、銀河中心部、あるいは銀河団中心部にある超重ブラックホールは、それとは別物らしい。本書は、このような超重ブラックホールを主な対象として、これが物質を食い尽くすだけでなく、時折膨大なエネルギーを放出することで宇宙が恒星過多 -