高橋昌一郎のレビュー一覧
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ネタバレ本当は☆4.5。
良い本。すごく分かりやすいし良くまとまっている。これを一通り読んで「こういうバイアスがあるんだな」と認識すれば、全てを記憶することはできなくてもきっとその後に影響がある(はず)。
一番良かったのが最後に「知識の呪縛」で終わるところ。
「さて、この本を読み終えると、あなたはバイアスについてある程度の知識を手に入れることと思う。ここで考えを巡らせてほしいのは『バイアスについて知識のない人たち』のことである」というように、この本を通して知識をつけた読者に向かって、そうでない人へバイアスを持っていないかと釘を刺して終わる。これをいわば「あとがき」の代わりとしているのである。去り際が -
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読みものとして面白かった。
スピリチュアリズムブームについて、その起源から虚構であったことがよく理解できた。
科学的な言説に基づかない、オカルト的言説が跋扈する世の中において、科学的視点を重視する習慣をつけたい。
少し気になったのは、聴き役の助手のキャラクターについて、主題と関係ない部分のやりとり、受け答えなどが、ステレオタイプすぎるように感じた。(ジェンダーバイアスの話などもある分、余計に)
ただ、主題と関係ない部分であるし、私の気にしすぎなような気もする。そうだったらすみません。
でも、感想くらいは、主観的な視点で書くのをお許しいただきたいとも思う。 -
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記号を最小単位分解し、それを自在に組み直す試みは、物質を物理的に最小単位分解して自在に組み直すよりは容易である。それを利用した生成AIが誕生したが、本書では、同時代の天才たちを分解し、何か共通項や今日的な意義のようなものを見い出すことはできるのか。
「彼らはいかに関わり合い、何を考え、どう生きたか。そしてそれは今日の世界に何を意味するのか」と問う。本書は、それぞれの人物が残した代表的な講演や論文(ゲーデルの「数学基礎論における幾つかの基本的定理とその帰結」、チューリングの「計算機械と知性」)を、訳出と解題を通じて掲載し、「彼ら自身の言葉によってその思想の本質に迫る」と紹介される。
1903 -
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ノーベル賞受賞者の人となりや逸話集。それも、碌でも無いよりのエピソード多めの。
一面的な能力が高くあっても、それは当人の「正しさ」を示すものではない。それを忘れ権威に目をくらまされるととんでもないことになるぞという警鐘の本だろうか。
序盤はそのノーベル賞受賞者の危うさがナチスとの関わりという部分が多く、やや飽きたが、中盤からバラエティが増えてよかった。
ライナス・ポーリングの 「立派な年長者の話を聞く際には、注意深く敬意を抱いて、その内容を理解することが大切です。ただし、その人の言うことを『信じて』はいけません! 相手が白髪頭であろうと禿頭であろうと、あるいはノーベル賞受賞者であろうと、間違え -
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【目次】
1.個人の意識と認知バイアス
認知バイアス・アンカリング/認知バイアス/意思決定プロセス/ヒューリスティック/各章バイアス/ギャンブラーの誤謬/心理的リアクタンス/現状維持バイアス
2.人間関係と認知バイアス
循環論法/対人論法/お前だって論法/藁人形論法/吊り橋効果/単純接触効果/感情移入キャップ/ハロー効果・初頭効果/パーソン・ポジティビティ・バイアス/ネガティビティ・バイアス/内集団バイアス/対応バイアス/セルフ・サービング・バイアス/感情ヒューリスティック
3.社会生活と認知バイアス
バーナム効果/ステレオタイプ/バンドワゴン効果/グラスの誤用/システム正当 -
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もう、理性の限界…。
こう告げられると、今にも襲われそうである。または、怒り出すのか、スーパーサイヤ人になるのか、そのいずれかだ。とにかく、茫然自失。感情的、性的、あるいは穏やかな心を持ちながらの変身において、衝動的な精神状態に変化する境目を表す言葉である。
高橋昌一郎のこのシリーズが面白くて三部作を完読した。他に『知性の限界』『感性の限界』がある。哲学的対話形式で面白おかしく、しかし学際的に進められ知的刺激溢れる内容。
ここで漸く、知性と理性と感性を区別して理解する重要性に気付く。これらには〝限界“つまり、統制を失ったり、能力を超越するまでのラインがあって、そこには順序がありそうだ。
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ネタバレよく創作でフォン・ノイマンを模したキャラクターが狂人的扱いなので気になって読んでみた。全く理解できない感じの天才なのかなーと勝手に思って読んでみたけどどこが悪魔的なのか全くわからなかった。むしろ常識人寄りだと私は思ったのだが…。良識ある大人では???このタイトルと正反対なのがアピールポイントなのか???
・天才数学者エルデシュ~「同じベッドに1週間以上寝ることはない」と言われるエルデシュの放浪癖が始まった。~世界各国の数学者がエルデシュを迎えて自宅の部屋や宿を提供し、食事を与え、彼と共同研究する栄誉に浴した。到着すると彼は「私の頭は営業中だ!(My brain is open!)」と奇妙な英 -
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同氏による別本『感性の限界』も読んだが、同じように哲学ディベート形式の論理哲学入門書の仕立て。ウィトゲンシュタインをはじめとする哲学者たちの論を紹介しながら、人間の知的営為の基本である「言語」「予測」「思考」の限界と可能性について探求する。
言語の限界とは。言語が示す内容が誰にとっても同じではないことや、言語理解の矛盾や限界について論じる。特に、ウィトゲンシュタインの「言語ゲーム」や「指示の不可測性」などの概念を取り上げ、有名な「語りうることは明らかに語りうるのであって、語りえないことについては沈黙しなければならない」という言葉を引く。私は、言語の限界についてはよくわかるが、沈黙が推奨される -
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著者が一人多役。哲学者になったり行動経済学者、認知科学者、進化論者、実存主義者、カント主義者や急進的フェミニスト、会社員、運動選手、大学生など多彩に顔を使い分けながら、対話式で感性の限界を探る。
頻繁に脱線し、それを司会者に軌道修正されながら進むが、脱線した話も面白くて中断しないで欲しいくらいのクオリティ。自由意思とは何か、感情は如何に生成されるか、不合理性の話、ミルグラムの実験、分析的システムと自律的システム、環境決定論など、興味深い話が続く。
とりわけ印象的だったのは、自らの子孫を残す意義についての議論。子供は「自分の遺伝子」を引き継いでくれるものという考えがあるが、引き継がれるのは「