高橋昌一郎のレビュー一覧
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前著「理性の限界」の姉妹編になる作品で、「理性の限界」のシンポジウムが終わった所へ、女子大生が駆け込んでくる所から話は始まる。
「ウィトゲンシュタインのパラドックス」「ニューカムのパラドックス」「バタフライ効果と複雑系」「宇宙論的証明と存在論的証明」などが、今回もシンポジウム形式で分かりやすく紹介されている。
前著「理性の限界」は、運動選手がA子さんを競技に誘うところで終わったが、今回のシンポジウムでも「また僕の競技を見に来てくださいね!」と言って終わる。「また」ということは、シンポジウムは数日間行われていて、シンポジウムが行われなかった日に実際に見に行ったということだろうか。ともかく、運動選手はA子さんとの関係を着実に深めているようで何よりであった。
第一章では、「世界が集団の言語習慣に基づいて無意識のうちに決定される」という、サピア・ウォーフの仮説が紹介されている。同じような話を飲みの席でしたことがあるが、友人には「屁理屈」とあしらわれた記憶がある。
簡単に言えば、あなたの「赤」は、私の言う「赤」と同じであるかという問題で、本の中では虹の例が出ている。日本で虹は7色あるといわれているが、国や時代によって様々で、アメリカでは6色、ドイツでは5色、昔の日本では2色といわれていたこともあったようだ。
登場人物の一人である日本文化論者は、「高浜虚子でしたか、『虹を見て思ひ思ひに美しき』という名句がありましたね……」といった。虚子は認識の不確実性という根本的問題を示唆しながら、ある意味では当然のことをシンプルに句として残している。こういうものを「名句」というのだろう。 -
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高橋さんの本はスマリヤンから数えてこれで5冊目になるが、どれも外れがなく良書だといえる。今回の論理学の本も、うちの大学でもぜひやってほしいと思うほど中身に充実感があり、だからこそ、そこに集う学生も議論に花を咲かせることができたのではないかと思う。中でも特に面白かったのが、4回目と5回目の講義であり、社会的ジレンマとナッシュ均衡に関するところは手をとめて考えさせられるほどであった。人間と動物を分けているのが理性だとされる中で、理性的であろうとするがゆえに、思惑であったり、感情であったりが付きまとい論理的でいられなくなるのが滑稽であった。論理をする上では、いかに心を捨てきれるかが大事になってくる。それはまた、その時だけでなく日常生活とも密着している問題である。心を捨てきれないうちは、冷静でいられることもできず、物事の本質を見極めることもできない。だからこそ、人は自分の価値基準・判断基準という軸に頼ることが必要になってくるのだ(その多くが、他の影響を少なからず受けたものであることは言うまでもない)。また、ナッシュ均衡においても、人間がそのバランスを失っているのが、理性ゆえだと言えるのではなかろうか。人間が人間的にあろうとすればするほど、その人間性ゆえに不自然な現象が生じるようになる。ただ凛として存在する自然の前に、面白い結果を突きつけられた哀れなピエロでたとえあるにしても、その踊りは見るものを楽しませ、また考えるきっかけを与えてくれることに対しては、大いに敬服を払いたいものである。
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『東大生の論理』といわれると、ロジカルシンキング等の類の本…?と思ってしまいそうなのですが、全然違います。
東大の理科学生対象の「論理学」の授業において繰り広げられる学生と教授のディスカッションの様子や、教授が投げかける問いに対する東大生の考察などがつらつら書かれた一種のエッセイのようなものです。
「そもそも論理学ってなにー?」って感じですが、簡単に言うと、この授業では主に、論理的に考えるということ、また論理的に考えようとするがゆえに陥るジレンマや限界が扱われています。
講義の中では社会的ジレンマやゲーム理論、功利主義のような政治哲学に関わる話題が出てきて、「これって文科学生対象の授業じゃないの?」と思ってしまうくらいなので、文型の私たちも問題なく読めます。
でも、随所に理科学生の科学的な考え方、解釈が出てきて、「理系の脳みそは違うなー」と思いました。
というか読み終えて、「やっぱり東大生の発想力&思考力はすごいなー」と思いましたww
東大の授業と聞くと堅苦しそうに思われるかもしれませんが、この授業は全くそんなことなくて、色々な具体例や問いを用いて分かりやすく説明してくれています。(ただ、あくまでも授業の触り部分の説明であって、この本では本質の説明まではしてません。この本のメインは学生と教授のディスカッションなので。)
この具体例や問いだけでもとても興味深いのですが、それらに対する東大生の見解や思考が、より読者を感心、わくわくさせるものになっています。
軽い気持ちで読める本だと思うので、気が向いたらぜひ読んでみてください^^
希望者にはお貸しします☆ -
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.@ShoichiroT氏著。東大での講義を通してわかりやすくゲーム理論について知ることが出来、同時に東大生の振る舞いを垣間見ることが出来る。
さすがの東大生は、頭がいいなあと思う。
それだけに、個人の能力と全体の結果は負の相関があるんじゃないかとと思えてならない(合成の誤謬?)。
東大生のように個人の能力でモノを言わせてきた人種においては、
自分の能力を高く評価し、全体よりも個人を大切にするのか、
結束・統率力が問われる問題に対して正解がわかっていても、
出すことが困難なのかと。
もしこれが弱点になるのなら、東大に対するコンプレックスは和らぐかな。
ところで、大学にこういう素晴らしい講師がいることを知っていれば、それだけでその大学に行く気になるんだけどなあ。 -
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【目的】:自分に役立つ情報を得る。
・<哲学>から出発した<倫理>を<論理>する。
・論理的思考法。すべてのケースを想定してみる。2つの要素の組み合わせが二者択一になるのは妥当でない。
・普遍的道徳主義と功利的快楽主義。
・文化普遍主義と文化相対主義、そして自文化中心主義。
・応報主義(目には目を)と人道主義(赦し)。
・自己決定権とパターナリズム。
・アリストテレスの中庸の道徳。
#ディベートといっても勝敗を決めたり、他者の意見を攻撃したりするものではなく、また、特定の見解を押し付けるような内容ではないところが、個人的に好きだ。
#命の授業、犬食、代理出産、死刑、売春、安楽死など、実際の事例から倫理的問題を提示し、肯定意見と否定意見を並べ、また周辺事情等を説明するというスタイルで、物議をかもす問題に対するさまざまな主張・意見をそれぞれ並列的に読むことができて、とても参考になるし、それらを踏まえて改めて自分の考え方を見つめてみるよい機会が得られた。
08-06 -
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偉人にして奇人。
53年の生涯で論理学、数学、物理学、化学、計算機科学、情報工学、生物学、気象学、経済学、心理学、社会学、政治学に関する150編の論文を発表した。
「はじめに」のページから読み入ってしまった。
11歳にして数学は大学院レベル。
その後、華々しいキャリアと重要ポスト兼任しながら膨大な仕事量をこなす。
コンピュータの父と言われる人物らしいが、読んでいて本人自身がまるで人間コンピュータかのよう。
また、人や環境、タイミングの巡り合わせも感じる。
余りにも多分野に貢献、前進させた人物で歴史に沿いながら興味深く読めたものの、『人間のフリをした悪魔』と言われる所以については考えさせられるものがあった。科学者としての能力に圧倒される一方で人命より科学や手段を優先する思想には共感し難い。
また、原爆が日本にどのように使われようとされていたのかについても新たな学びもあった。その一方で大本営の旧態依然な考えと姿勢には憤慨しかない。
科学の進歩と人間としての倫理は、必ずしも一致するものではないと考えさせられた。 -
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ネタバレ情報を正しく選択するための認知バイアス事典
第Ⅰ部 認知バイアスへの論理学的アプローチ
01 二分法の誤謬 / 02 ソリテス・パラドックス / 03 多義の誤謬 / 04 循環論法 / 05 滑りやすい坂論法 / 06 早まった一般化 / 07 チェリー・ピッキング / 08 ギャンブラーの誤謬 / 09 対人論法 / 10 お前だって論法 / 11 藁人形論法 / 12 希望的観測 / 13 覆面男の誤謬 / 14 連言錯誤 / 15 前件否定 / 16 後件肯定 / 17 四個概念の誤謬 / 18 信念バイアス / 19 信念の保守主義 / 20 常識推論
第Ⅱ部 認知バイアスへの認知科学的アプローチ
01 ミュラー・リヤー錯視 / 02 ウ サギとアヒル図形 / 03 ゴムの手錯覚 / 04 マガーク効果 / 05 サブリミナル効果 / 06 吊り橋効果 / 07 認知的不協和 / 08 気分一致効果 / 09 デジャビュ / 10 舌先現象 / 11 フォルス・メモリ / 12 スリーパー効果 / 13 心的制約 / 14 機能的固着 / 15 選択的注意 / 16 注意の瞬き / 17 賢馬ハンス効果 / 18 確証バイアス / 19 迷信行動 / 20 疑似相関
第Ⅲ部 認知バイアスへの社会心理学的アプローチ
01 単純接触効果 / 02 感情移入ギャップ/ 03 ハロー効果 / 04 バーナム効果 / 05 ステレオタイプ / 06 モラル信任効果 / 07 基本的な帰属の誤り / 08 内集団バイアス / 09 究極的な帰属の誤り / 10 防衛的帰属仮説 / 11 心理的リアクタンス / 12 現状維持バイアス / 13 公正世界仮説 / 14 システム正当化バイアス / 15 チアリーダー効果 / 16 身元のわかる犠牲者効果 / 17 同調バイアス / 18 バンドワゴン効果 / 19 ダニング=クルーガー効果 / 20 知識の呪縛
認知バイアスに関して論理学、認知科学、社会進学の観点からまとめたものです。
元々認知科学的な観点のものだけだと思っていましので、色々と勉強になりました。
進化の途中で身に付けた様々なバイアス思考。
もう不要になってしまったものをどうやって補正するか?自分はどの程度バイアスが掛かっているかを常に考えながら思考しないと思わぬバイアスの罠に掛かってしまうことを肝に銘じる必要がありそうです。
惜しむらくは名前は違うけれど結構似ているものが多く収録されていて、もう少しスッキリまとめる方法はなかったのかな?というところが残念です。
竹蔵 -
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限界シリーズ2冊目。
ウィトゲンシュタイン、ポパー、ファイヤーベント、カントにパスカル。様々な哲学者の考えを座談会風シンポジウムで、登場人物たちが意見をぶつけ合う。
とにかくわかりやすくて、楽しい。しかも難解な哲学内容もなるほどと思わせてくれる。
1冊目の「理性の限界」は、アロウ、ハイゼンベルク、ゲーデルがしっかりと中心にすえて議論されていたけれど、今回は不可測性、不確実性、不可知性をテーマにいろいろな話題が絡んで、その分面白く、あっという間に読み終えることができる。ただちょっと雑然とした感じで終わった気もする。
まぁテーマが限界に挑んでるわけだから話を収束させること自体できないのだけど。