高橋昌一郎のレビュー一覧
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ノーベル賞を取る天才も当然ながら人間だ。天才じゃないとノーベル賞は取れないけれど、天才だからと言って、必ずしもモラルや道徳面でも聖人君子というわけじゃない。ノーベル賞を取るには運も必要で、科学者として大成功とも言える人生にも苦悩があるのだなとしみじみ思った。
ノーベル賞受賞者が専門外のことについて誤った方向に進むことをノーベル病と呼んでいるが、ノーベル賞を取るほどの人は専門という概念はなく、自分の興味のあることを研究し続けてしまうものなのかもしれない。それがノーベル賞を取った分野と同じように成功するとは限らないということなのだろう。
大昔のギリシャなんかの哲学者は自分の専門という概念はなく、森 -
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人類史上最も頭脳明晰との評判が高いノイマンの生涯を追う。こういった特異な人のエピソードはとても面白く、まさに事実は小説より奇なり。フォン(貴族)の称号は父の時代に得られた、ノイマンが示す通り「〜マン」ユダヤ系であることが名前で分かる。「最恐」と表現されているのは、ノイマン哲学は科学至上主義で、どんな人道上の問題があっても科学が優先されるため。朝鮮戦争でも、ソ連に対する予防戦争でも核兵器の使用をためらってはならないとの恐ろしい主張であったが、実際にアメリカが主導で軍事的な裏付けのある国際機関が実現できていたら一時的に戦争は無くなったかもしれない。しかし、アメリカの価値観で押さえつけられることに世
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とても興味深かったです。ビジネスを自分で行う上で参考書として持っておきたいなと思った本でした。
バーナム効果
あいまいな性格に関する記述を目にしたとき、人は自分に当てはまっているととらえてしまうこと。
以下の文章に騙されないぞ。
•人に好かれ賞賛されたい
・自分自身に対して批判的な傾向がある。
・まだ利用されていない能力がある。
・性格的に弱点もあるが、大抵それを補っている。
・不正的な適応に関する問題を抱えている。
・外面は自律的で自己管理しているように見えるが、内面的には心配性で不安定な傾向がある。
・時々自分の決断や行動が正しかったのかどうか深刻に悩むことがある。
・ある程度の変化と -
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フォン・ノイマンが科学の色んな分野に驚異的な進展をもたらした天才であったことはなんとなく知っていたが、その残した功績の大きさは、最初の「はじめに」を読むだけでおよそ普通の脳構造の人間1人ができる芸当ではないことを思い知らされる。これでコミュ力あってジョークも言えて、お茶目さもあるとか普通じゃない。ただ運動はできず、運転も下手くそで事故りまくって、ゲーム理論作ったのになぜかカジノは負けまくってた模様でかわいい。程度の差こそあれ天才は現代もいるだろうが、そういう人が、自分が悩んでいる研究を見てその場で瞬時に暗算で解いたりしたらすごい絶望を味わいそう。ノイマンといえど第二不完全性定理の証明について、
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AI関係の本を読んだ時に名前が出てきたので興味はあったがここまで凄い人とは知らなかった。生い立ちから死後まで網羅してある。凡夫からすると天才としか思えない数学者達が本書には登場してくるがそれを上回るノイマンの超天才ぶり。孤高ではなく社交性もある人で悪魔には思えない。戦争における考え方をどう評価するかだが合理的思考に基づく判断としては間違いでもないと思う(日本人からしたらたまったものではないが)。
彼の業績については本書を読むと分かるが自分の知能が低すぎて本当に凄さが理解できたか怪しい。それでも今この文章を入力しているスマホの源流もノイマン型コンピュータにあるので全人類に影響を及ぼした人という認 -
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感性の限界
不合理性・不自由性・不条理性
著:高橋 昌一郎
講談社現代新書 2153
幻影;ライプニッツは、あらゆる問題を理性的に解決できると信じていた
限界とは、幻想と置き換えても分かりやすい
ただ、人類の進歩によって限界にたどりつくと、また、新しい地平線が新たになり、視野が広がっていく
高橋昌一郎氏の3つの限界シリーズ
①理性の限界:選択の限界、科学の限界、知識の限界
②知性の限界:言語の限界、予測の限界、思考の限界
③感性の限界:行為の限界、意思の限界、存在の限界 本書
内容は、けっこう辛辣です
本書が問うのは、なぜ理性的であるはずの人間は、このような愚かな集団行動をとる -
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1人の科学者の生涯が書かれた本を初めて読んだ。彼の残してきた功績の華々しさに惹かれたことがきっかけだった。信じられないほど多岐にわたる分野での活躍に彼の脳内を覗きたくなった。大学で化学を学んできた者にとっては、聞き慣れた人物や理論が続出し、科学者の繋がりや心情の一部を知れたこともこの本の醍醐味であると感じた。数学出身の人は尚更であろう。
科学に対する考え方が人それぞれであり、特に原爆に関しては大きく意見が分かれ、派閥があったことなどは如何にも人間らしいと思った。その中で、ノイマンはタイトルにも書かれているように、「人間のフリをした悪魔」と表現されていたが、彼の人当たりの良さや癖や意外な一面も多 -
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名レビュアー渡辺由佳里氏が運営するサイト「洋書ファンクラブ」を閲覧していた時のこと。
天才数学者フォン・ノイマンをテーマにした小説“The Maniac”のレビューにあった一説に目が行った。
「歴史に詳しい(映画『オッペンハイマー』の)視聴者の中からは『なぜNeumann(ノイマン)のことが描かれていないのか?』という疑問の声も上がっていた。というのも、オッペンハイマーは原爆の開発を後悔して水爆の開発に反対して公職から追放されたのだが、フォン・ノイマンのほうは水爆の開発に積極的であり続けたからだ」
自分も映画を鑑賞したが、確かにノイマンという人物はワンシーンたりとも登場していなかった。「『 -
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知的好奇心を擽る素晴らしい本。第一章は就活、第二章は他者との関係(人間関係)を踏まえた自己分析についての話で、就活の実情も踏まえ、非常に参考になった。第三章は哲学的な自己分析の話。ソクラテスからプラトン、デモクリトスなどに触れながら「私とは何か」の思索を追うが、デカルト以降はかなりややこしくなる。何が何だか分からない。けれど考えるしかない。実存は本質に先立つ。カミュが唱えた形而上学的反抗が印象に残った。しかし、それを達成するのは非常に厳しそう。そもそも「達成」などというものはないのかもしれない。現実に反抗するのは立派であり、知性の限界に挑戦する素晴らしいことのように思える。しかしそれ自体、「意